古賀志山18キロ、バテバテ記(鞍掛ルート+馬蹄形ルート)

2020年11月8日(火) 快晴

まずは10月に歩いた2つのルートの軌跡をご覧いただきたい。
鞍掛山ルート(2022/10/03 左回り)
・歩行距離:12.6キロ
・所要時間:6時間46分
・累積標高:1245メートル


馬蹄形ルート(2022/10/20 右回り)
・歩行距離:14.7キロ
・所要時間:7時間2分
・累積標高:1725メートル


上2枚の画像の軌跡を合成したもの。

古賀志山登山とひとくくりでいうと古賀志山の山頂を目指すものととられるが、古賀志山は山域のごく一部であり、他に魅力的なピークやトレイルがたくさんあって、それらを組み合わせると距離は20キロ近くに達する。
この画像に描かれた赤い線は古賀志山の東側をぐるりと廻る鞍掛山ルートと、西側を廻る馬蹄形ルートを合成したものだが、ふたつのルートを一日で廻ろうとすれば距離は27キロにもなる。平坦路ならまだしも、嫌と言うほどアップダウンがあるので管理人は歩いたことがない。
どちらか単独で歩くのが一般的といえる。
だが、中央の縦のルートを除外すれば約18キロになり、頑張れば一日で歩けなくはない。
それが管理人の年間ルーティンのひとつ、「鞍掛山ルート+馬蹄形ルート」である。
距離18キロといえば女峰山より4キロも長いし、累積標高にいたっては女峰山を大きく上回り2千メートルを超える。
それはもう厳しいのひと言でこれまで何度か挫折したことがある。
だが、現在の自身の脚力とスタミナを知るためもこのルートに挑戦するのは大きな意味がある。

女峰山を凌ぐ距離18キロと2千メートルを超える累積標高にもなると体調不良などのアクシデントが発生することを想定しなければならない。
管理人がいま恐れているのは両内股の痙攣と右脚の腸脛靭帯炎だ。
8月の女峰山では両内股に激痛が走り一時はどうなることかと思い、先月20日の馬蹄形では右膝の腸脛靭帯炎で苦しむ結果となった。
このふたつの症状が管理人を悩ましている。
最大の心配事は、もはや持病と化した下肢の痙攣と腸脛靭帯炎がいつ、どこで発症するかである。

さて、管理人が「鞍掛山ルート+馬蹄形ルート」を歩き始めたのは、古賀志山の面白さに取り憑かれた2015年からだ。
未踏のバリエーションルートをひとつ、またひとつと潰していくのは快感そのものだったし達成感を味わうことができた。
それに加えて「鞍掛山ルート+馬蹄形ルート」は現在の脚力と持久力を試すのに最適なルートであることが分かった。
以来、今回で7回目となる。

馬蹄形ルート

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下の表は管理人が好んで歩く馬蹄形ルートそして、馬蹄形ルートに鞍掛山ルートを組み合わせたロングルートの一覧です。
2016年から最新まで、すべてを記録しています。参考にご覧ください。
所要時間が異なるのは当然として、距離と累積標高が異なるのはそのとき時で使用するGPSが異なる(仕様や精度)のと、歩くルートが少し違っているのが理由です。
実施日ルート備考距離所要時間累積標高
15回目2023年10月24日右回り+鞍掛山ルート16.5km07:481715m
14回目2022年11月08日左回り+鞍掛山ルート17.8km07:502130m
13回目2022年10月20日右回り馬蹄形単独14.7km07:021725m
12回目2021年04月22日右回り+鞍掛山ルート17.0km07:371979m
11回目2021年04月19日左回り馬蹄形単独14.0km07:511638m
10回目2020年03月13日左回り+鞍掛山ルート16.7km07:481866m
9回目2019年12月08日右回り馬蹄形単独14.5km08:501653m
8回目2017年09月10日左回り+鞍掛山ルート19.8km09:452224m
7回目2017年03月29日右回り馬蹄形単独15.4km08:221749m
6回目2016年11月25日左回り+鞍掛山ルート18.0km10:301974m
5回目2016年11月03日右回り馬蹄形単独14.7km08:041522m
4回目2016年04月30日左回り+鞍掛山ルート17.6km09:441922m
3回目2016年01月09日左回り馬蹄形単独10.7km07:271420m
2回目2016年01月03日右回り馬蹄形単独13.4km10:411804m
1回目2015年06月30日右回り+鞍掛山ルート20.2km10:111784m

今日は左回りすなわち、鞍掛山ルートで歩き始め中央稜(正式には北主稜線)への分岐で馬蹄形ルートに移り、主稜線を古賀志山まで行くというもの。
安全を考えるなら馬蹄形ルートから歩く右回りの方がいい。
その理由は追々説明しよう。


鞍掛山ルートの最初のピークが長倉山。
ここまで広葉樹林帯の明るい林の中を緩やかに上ってくる。
春から夏にかけて花が多く見られて管理人お気に入りのルートである。


道は長倉山で下りに転じて鞍掛山登山口へと向かう。


真っ赤な実をつけたツルリンドウ。


鞍掛山手前の大岩に着いた。
ここからの展望は素晴らしく南に古賀志山から延びる主稜線、東には筑波山が見える。


大岩から見た筑波山。
雲の上に浮かんでいるかのように見える。


展望のない鞍掛山は写真を撮っただけで通過。


鞍掛山の次のピーク「シゲト山」からの眺め。
西に日光連山が一望。
なお、シゲト山は地元の人が付けた名称で地理院地図にその名は描かれていないしまた、標高も明示されていない。


北には高原山(鶏頂山、釈迦ヶ岳、中岳、西平岳の総称)が一望できる。


アップダウンは続く。
シゲト山を下りきると林道が交わる猪倉峠になる。
「7:36」の画像で触れたが、鞍掛山ルートには3本のエスケープルートがある。
ここ猪倉峠もそうだが、疲れて続行できなくなった場合などエスケープルートを使えば短時間で駐車場に戻ることができる。
ここを左へ行けば鞍掛山登山口に戻ることが可能だ。


猪倉峠で今日5ヶ所目の上り傾斜となる。
冒頭でこのルートの累積標高差は女峰山を上回ると書いたが、それはピークの数が女峰山より圧倒的に多いからだ。
最下段にルートの断面図を載せておいたが、ゴールまで上っては下り上っては下りを20回ほど繰り返す。
一回のアップダウンの距離は大きくはないが積み重なれば累積標高差が大きくなり、それは疲労へと結びつく。
管理人の懸念はそれによる腸脛靭帯炎の発症である(今のところまったく問題ないが)。


ピーク431を通過


ここで左から来る北尾根と合流する。
ここもエスケープルートの入口となっていて、北尾根経由で長倉山あるいはその手前にあるエスケープルートを使って駐車場に戻ることができる。
安心安全なのが鞍掛山ルートなのである。


アブラツツジの紅葉。
以後、アブラツツジは数多く見たが同じ色というのはなく、実に見応えがあった。


イロハモミジだろうか?


う~ん、いい眺め!
この先に手岡峠があるが、そこが3本目のエスケープルートになる。


手岡峠の先、間もなく手岡分岐に差しかかる。
その手前から見上げたピークの紅葉。


さあ、馬蹄形ルートへの入口となる手岡分岐に着いた。
直進すると古賀志山へ行くが馬蹄形ルートはここを右へ下っていって大回りで古賀志山に達する。
したがって古賀志山あるいは赤川ダムへのエスケープルートはここが最後になる。
馬蹄形ルートにエスケープルートはないので覚悟して歩かなくてはならない。

ここまで休憩なしで歩いて来た。
朝食からちょうど5時間、空腹を感じたので休憩することにした。
ちなみに鞍掛山からここまで、宇都宮市と日光市との境界線上を歩いて来たが、ここからしばらくの間、日光市内を歩く。


森林公園へ向かう途中で買ったセブンのパン。
品揃えがガラッと変わり、これなど初めて購入した。
以前、よく買った4ヶ入り110円の粒あんパンは姿を消していた。


10分の休憩を取って馬蹄形ルートを歩き始めた。
なお、馬蹄形ルートに入るとエスケープルートはない。
どんなことがあってもゴールへ向かって進まなくてはならない。


踏むとカサカサと音のする落ち葉の上を歩くのは気持ちがいい。


馬蹄形ルートの難しさは道間違いをし易いことだ。
尾根の分岐が数カ所あるので地図を見ながら進んで行かないと思わぬ方へ行ってしまう。
この分岐でいえば右へ曲がるのが正解だが、どうしても直進しがちだ。


上の画像の場所は地図で分かるとおり、道なり(直進)に進むと馬蹄形ルートから外れてしまう。
地図上の赤いラインは先月20日に歩いたときの軌跡。
こうしてアプリに残しておくと同じルートを歩いているかどうかがわかる。


鎖がかかっている岩が2つ続けて出現するが、ここは鎖を使わない。


ピーク444の鳥屋山(とややま)。
展望はないので通過。


鳥屋山のすぐ先に展望のいい場所がある。
日光連山が一望できる腰掛岩である。


腰掛岩。
名前の由来は画像でお察しください。


これから行く北ノ峰が目の前に見えるがその道は厳しい。


その北ノ峰へはまず、腰掛岩から林道内倉線へと降りる。
その道は明るい広葉樹林の中なのでとても快適。


内倉林道に降りたら林道を2本突っ切り、再び林の中へ。


こんな山の中になぜ、と思わせるような建物が見つかる。
おそらく林業関係者が使ったものであろうが、今は荒れ果てて “なにか” が出てきそうな雰囲気が漂っている。
ここは足早に通り過ぎるに限る。


檜が茂って薄暗い斜面を登り切ると次は急傾斜に変わり、北ノ峰に向かう。
ここまでで身体はかなり消耗しているためこの登りはきつい。


古賀志山から延びる主稜線の終わりに位置する北ノ峰。
標高は433メートルで三等三角点がある。
ここまでで全行程の3/4が終わった。
先が見えたかのように思えるがここから古賀志山までの行程もまた厳しい。


鎖のある岩もあればない岩もある。


展望のない赤岩山は通過。


落葉間近なナナカマド。


神宿る二尊岩


5メートルほどの鎖がかかる岩を鎖に頼らず登る。


アブラツツジの見事な紅葉。


アブラツツジは実にいい色に染まる。
これなど深紅とでも言うのだろうか。


正面に御嶽山が迫ってきた。
あそこへたどり着けば次は古賀志山、古賀志山まで行けばゴールは近い。
こうしてゴールのことばかり考えるようになるのは疲れが溜まっている証拠だ。
もっと道中を楽しみながら歩かなくてはならないが疲れてくるとそれができなくなる。


ピーク546の中岩。
だいぶ疲れているし空腹でもあり、ここで先ほどのパンの残りを食べることにした。

ここへ来ると思い出すのは5年前の9月、今日と同じように鞍掛山ルートから馬蹄形ルートへと歩いたときに疲れのピークに達したのがこの中岩だった。
足のふらつきと立ちくらみ、欠伸(あくび)に悩まされ、ここでうずくまったことがある。
当時、管理人は左上半身の神経痛に悩まされていた時期で、病院で処方された副作用の強い痛み止めを飲んでいた。
薬の注意書きには車の運転や高所作業、激しい運動は避けるようにとあった。
副作用の症状はまさにそれであった。
山など歩いてはいけない体調だったのである。
下山まで9時間半を要した。


時計を見ながら正確に10分休憩し歩き始めた。
ここは地元の人が「カミソリ岩」と呼ぶ5メートルほどの垂直の岩。
鎖とロープがあるが使わずに降りる。


御嶽山山頂。
ここまでの無事に感謝するとともに最後までなにごともないことを願って合掌。


御嶽山から日光連山を拝む。


御嶽山と古賀志山は近い。
両者、昼時は人で賑わうがこの時間ともなるとさすがに誰もいない。
ここを訪れるのは8割方が地元の人で、仲間と語らいながら昼ご飯を食べ、食べ終わると下山する。
この時間になると誰もいなくなるのは古賀志山では当たり前のことである。


古賀志山からの下山はいくつかのルートがある。
実は御嶽山辺りから腸脛靭帯炎の兆候を感じるようになった。
痛みが激しいと下山時に苦痛が伴うため傾斜が緩やかな北登山道で下山することにしたのだ。
右脚をかばいながらの下山はぎこちなく、時間もかかる。
だが、なんども経験しているので慣れたものだ。


広場を過ぎ水場に寄ってみてその水量の少なさに驚く。
ここは伏流水を引き込んでいるが片方はすでに止まっていた。


芝山橋まで来て今日の大仕事を終えた。
歩き始めたのが7時36分だったので7時間50分と、目標とした8時間をかろうじて10分下回る結果となった。
両太ももの痙攣と右膝の腸脛靭帯炎を絶えず心配しながら歩いたが痙攣の発症はなかった。しかし、軽かったとはいえ腸脛靭帯炎は発症した。
だが、アップダウンの連続で太ももを上げる回数が多かったためか右の大臀筋が痛む。大臀筋の疲れ、緊張が腸脛靭帯炎の原因になったのは明かだ。
まっでも、体調は少し上向いていると前向きに考えよう。

齢74になって鞍掛山ルートと馬蹄形ルートをやり切った喜びは大きい。
これならあと1・2年は歩けるかもわからない、と身の程知らずにもそう思った。
欲を言うならば、太ももの痙攣と腸脛靭帯炎を心配せずに歩きたい。


GPSの記録(歩いた軌跡)を地図に表すとこのようになる。
距離17.8キロ、累積標高2130メートルというのが今日のGPSの記録であった。
これを毎年、体力測定のためルーティンとして取り組み今年で7回目となった。
所要時間は毎回異なるが、それを体調の良し悪しを見るバロメーターとするならば今年は決して悪くはない。
が、こんな山行をいつまで続けられることやら、、、、


このアップダウンの多さが鞍掛山ルートと馬蹄形ルートの特徴といえる。
上昇で疲れても下降で疲れが取れると考えがちだが、斜面の下降こそ下肢の力を使うものであることは経験者であれば誰にでも分かる。
下山時は力だけでなく転倒、滑落に注意しなければならない。
古賀志山の場合、上るにも下るにも岩ばかりなのでなおさらである。
神経をすり減らす。


オマケの画像
芝山橋でタイムの計測を終えた後、宇都宮市森林公園内をゆっくり散歩した。
ダムの脇の広場はいま、紅葉の盛りだった。
緑と黄色、朱色のグラデーションが美しい。


20日に来たときに赤川ダムの水が涸れているのを見て一体、何ごとが起きたのかと気になっていたが、その理由が判明した。
ダムの中に設置されている「取水塔」の塗装作業をおこなうため人為的に水を抜いたようだ。
取水塔とはダムの水を農業用水として利用するための水の取り入れ口のこと。
渇水という自然現象でなくて安心した。


うっとりするような美しさだ!!

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