これでも尾瀬に行く? 駒止湿原のミズバショウに満足。

2023年5月22日(月) 曇天

管理人が初めて尾瀬を訪れたのは2017年のことだからそれほど古いことではない。
御池側から燧ヶ岳に登って尾瀬沼側に下り翌日、雨の中を尾瀬沼を一周したが、広大な湿原にミズバショウを始めとする多くの植物が咲き、圧倒されたのを今でも覚えている。
その後、尾瀬ヶ原の魅力に触れ、これから毎年訪れて尾瀬を知り尽くしたいと考えていた。
その矢先にコロナが蔓延し始めて計画は頓挫して現在に至っているが、尾瀬を忘れたわけではない。
とはいうものの、広い尾瀬を歩くには山小屋に泊まる必要があって、いつ仕事が舞い込むかがわからない管理人の仕事柄、なかなか厳しい。
車中泊の旅であれば呼び出しがあったらその場から車を走らせることができるが、山の中に泊まるとそう簡単にいかないのである。
ちなみに、これまでの宿泊経験は尾瀬沼でのテント泊1回、会津駒の小屋2回、安達太良の小屋1回と少なく、あとは麓での車中泊ばかりである。

尾瀬と同じ福島県だが尾瀬よりも近く、日帰りが可能な場所に駒止湿原(こまどしつげん)があることは知っていた。
だが、大雨による土砂崩れでマイカーの通行ができない、歩くにはガイドを付けなければならないという情報もあって、行く機会を失っていた。

そんな折、管理人がフォローしているFacebook「南会津観光物産協会」から、駒止湿原が21日に山開きするという情報が届いた。
3つある登山口の中で、幸いにも日光に近い田島口(南会津・針生地区)からマイカーが入れるそうだ。
いい機会だ。
行かない理由はないだろう。

懸念は山開き2日目の今日、平日とはいえ入山者が多く、写真など撮っていたら後続の人のひんしゅくを買うのではないかということだ。

8時12分に日光を発ち途中、道の駅とコンビニに寄り国道289号線の針生(はりゅう)から支線に入り、駒止湿原の田島側の駐車場に10時40分に到着した。

これくらいの移動時間であれば年老いた管理人でも苦にならない。
清潔なトイレがある。
入口に保護協力金を求める箱があったので100円を入れて用を足した。
車は管理人のを含めて4台(右2台は巡視員のなので除外)。
駐めるスペースがあるのかどうかを心配しながらここまで走ったが、この車の少なさに拍子抜けした。
なお、駐車場はここから一段下がったところにもあって計30台は駐まれるらしい。


歩き始める前の予備知識として、駐車場内に設置されている湿原に咲く花の一覧にざっと目を通した。
その種類はもちろん、尾瀬には敵わない。
が、尾瀬のように現地までの移動に4時間かける必要はなくまた、田代山湿原のように2千メートルの山に登る必要もなく、湿原に咲く花がここで楽しめるのである。
贅沢を言ったら罰があたる。

なお、画像ではわかりにくいので一覧に紹介されている花の名前を記しておこう。
春(◎は今日咲いていた花)
ミズバショウ◎、ソウホウミズバショウ◎、タテヤマリンドウ◎、ワタスゲ◎、チゴユリ、ヒメイチゲ、リュウキンカ◎、コバイケイソウ、ショウジョウバカマ◎、イワナシ、レンゲツツジ、ブナ
※付け加えるならばアズマシャクナゲ(蕾)、ミズナラ、オオカメノキ◎、タチツボスミレ◎。


サワラン、トキソウ、カキラン、コバギボウシ、ウラジロヨウラク、キンコウカ、ヒオウギアヤメ、コオニユリ、ニッコウキスゲ、サワギキョウ、マルバフユイチゴ、ギンリョウソウ


ウメバチソウ、エゾリンドウ、オオカメノキ(実)、ミズギク、コマユミ(実)、アキノキリンソウ、ツルコケモモ(実)、ズミ(実)、マルバモウセンゴケ、サワフタギ(実)
※実になる植物があるくらいだから花もあるはず。


駒止湿原は大谷地、白樺谷地、水無谷地の総称で、北へ向かって左記の順番に続いている(谷地は湿原の意味)。
駐車場からアスファルト道路を少し歩くと湿原への入口がある。

注意書きの看板があったので目を通したが、国立公園特別地域に指定されていて規制が厳しい我が小田代ケ原や戦場ヶ原よりもさらに厳しいことが書かれている。
貴重な植物が生育する場所にはマナーの悪い入山者もいて植物を痛めつけるのは管理人の地元、日光でも同じだ。
まだハイカーのいない早朝、湿原に入り込んで写真を撮るというのは日常的におこなわれている。
撮影技術の稚拙さをカバーするために、より近くで撮りたいという心理なのだろうが、であればもっと技術を磨けばいいのにと管理人は思う。
以上、余談。

ちなみに入口にある緑の敷物は入山者の靴底に付着している泥などを拭うためのもの。
泥には他のエリアの植物の種が含まれていることがあるため、それらを駒止湿原に持ち込まないための工夫である。


期待を胸に湿原へと進む。


お~、ブナですな~。
芽吹いたばかりで緑が目に優しい。
あっそうか、ここは日光から近いとはいえ福島県なんだ。
ブナが多いのは当然かも知れない。


タチツボスミレ


湿原入口の手前に説明書きあったのでこれにも丹念に目を通してから先へ進んだ。


これはミズナラの雄花ですね。


シカやクマ避けなのか、ミズバショウの密度が濃い場所は金網で保護されている。
入山者とはここで夫婦2人、この先の湿原で単独の男性2人と出会っただけだった。


タテヤマリンドウ


コバイケイソウ


綿毛が出始めたワタスゲの花。
花そのものは美しいとは言えない。


うふぁ~、ものすごい数のコバイケイソウ。


木道脇のミズバショウ。
駐車場にあった花の一覧によると、これは「ソウホウミズバショウ」といって珍しいのだそうだ。
ミズバショウは普通、仏炎苞(白い花弁に見えるもの)が1枚なのに対してこれは2枚(双)ある。
それで双苞(ソウホウ)ミズバショウという。


仏炎苞が1枚の普通のミズバショウ。


交尾中の甲虫を発見。
甲虫はカブトムシかクワガタくらいしか思い浮かばないので名前は割愛(笑)


タテヤマリンドウは湿原全域に分布している。


ショウジョウバカマ


これもショウジョウバカマ。
色がきれい。


ミズバショウは花を被っている仏炎苞を見て美しいと感じるわけで、花(柱状のブツブツ)は控え目で、咲いているのかどうかは肉眼だとよくわからないほど小さくて地味だ。
唱歌「夏の思いで」の中に ”水芭蕉の花が咲いている” という句があるが、
あれは仏炎苞が開いたミズバショウ全体を指しているのであろう。


花を拡大するとこうなる。
ブツブツのひとつひとつが花。


リュウキンカ


ところどころに石焼き芋屋さんの鐘がぶら下がっている。
もちろん、クマ避けのための鐘である。


大谷地を歩き終えると道は林道に突き当たる。
順路はここを左へ行くようになっている。
なお、駐車場からここまで一方通行なので逆戻りはできない。
駐車場に戻るには林道を右へ行く。


ふたつ目の湿原は白樺谷地という。


ここにもコバイケイソウの群落があった。
開花は6月になってからだと思う。


落雷に遭ったと思われる樹。
幹の中心部が焦げているのがわかる。


白樺谷地はここで終わって駒止湿原は間もなく次の水無谷地に替わる。
白樺谷地で撮った写真をこうしてブログに掲載すると、あまりの数の少なさに我ながらアレっと思った。
大谷地に咲く花と同じだから撮らなかったのかそれとも、花がなかったから撮らなかったのか、思い出せないでいる。


前の画像の林を抜けると駒止湿原のもっとも北側に位置する水無谷地に入る。


水無谷地に入って間もなくのミズバショウ群。


吸蜜しているのか、小さなバッタがミズバショウの花から離れない。


アズマシャクナゲはまだ固い蕾。
画像をクリックすると拡大するので見てほしいが、枝の先端の大きな膨らみが花の蕾、小さいのは葉。
蕾と葉が混在しているのが普通で、先日管理人が見た奥日光・湯ノ湖のシャクナゲはすべてが花の蕾という凄さだった。





これなど雰囲気からいって尾瀬的(笑)な感じがする。


湿原は抜けたが遊歩道の終わりまで行ってみることにした。
オオカメノキは本花(中心部にある小さいのが花)が開き始めている。


水無谷地を抜けるとそこは国道401号線の新鳥井峠近くから林道を入った昭和村側の駐車場だった。
駒止湿原へは3つの入口があるが、そのうち2つは現在、道路が通行止めになっていてこの駐車場へは来ることができない。
さあ、ここで引き返そう。


これはおそらくレンゲツツジでしょう。


水無谷地も間もなく終わる。
次は白樺谷地に替わる。


白樺谷地の東の外れで見たもうすぐ見ごろを迎えるワタスゲ。


白樺谷地を抜けて大谷地との合流地点まで戻って来た。
大谷地は駐車場からここまでの間、一方通行になっているためここからは入れない。
駐車場に戻るには林道を直進する。


その前に、空腹を感じたのでここで昼メシとしよう。
空が暗くなってきた。
予報によると午後から雨が降り出すらしい。


林道を歩いて駐車場に戻る途中、脇道があったので林道から外れて入ってみることにした。


そこは鬱蒼としたブナ林であった。


見渡す限りのブナ。


木道が敷設されているが下り傾斜になっているので雨で濡れると滑るだろう。
雨が降り出す前にここを抜けたい。
管理人、木道恐怖症なのである。
なんども滑って転んだことがあるからね、木道は怖い。


ブナ林の中の道が林道と合流するとすぐ駐車場だった。
車は管理人の後に到着した1台だけになっていた。

このあと、国道289号線を西へ向かって走り、401号線に移って南下して舘岩付近で352号線に入り、いずれ登ろうと考えている分水嶺の山、荒海山の登山口を探した。

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