古賀志山の花探索でとうとう禁断の馬蹄形に侵入!!

2021年4月19日(月) 晴れ

今日見た花(順不同)
ヒメイワカガミ、チゴユリ、ニリンソウ、ヒカゲツツジ、トウゴクミツバツツジ、ヤマツツジ、アカヤシオ(枯れかかり・画像なし)、アケボノスミレ、フモトスミレ、マルバアオダモ、マルバコンロンソウ、シラユキゲシ、タチツボスミレ(画像なし)、ニガイチゴ(画像なし)、アオイスミレ、ウラシマソウ

馬蹄形ルートを初めて歩いたのは古賀志山のバリエーションルート歩きに夢中になっていた2015年だった。
そのときは鞍掛山ルートと組み合わせたため距離が20キロに達する長さでなおかつ、古賀志山主稜線よりもさらに南側を歩いたため、巷間言われる形の馬蹄形とは異なったが、累積標高1780メートル、10時間という所要時間は管理人を疲れさせるに十分であった。
その後、鞍掛山ルート単体、馬蹄形ルート単体(※)をなんどか歩いてきたが、距離だけでとらえると鞍掛山ルートの12キロに対して馬蹄形ルートは14キロと、馬蹄形ルートの方が2キロ長いに過ぎない(山ではこれでも大きな違いだが)が、際立つのはアップダウンの多さすなわち累積標高が鞍掛山ルートよりも馬蹄形ルートの方が400メートル以上、上回っていることだ。
また、エスケープルートがないため、疲れても近道の術はなく、ゴールまで歩き通す必要がある点が馬蹄形ルートの困難さを象徴している。

過去の記録を調べると休憩を含んだ所要時間は8時間かかっていて(なにしろ管理人は足が遅いので)、古賀志山山域の他の周回ルートを圧倒している。
したがって馬蹄形ルートを歩くには体調を万全に整えて臨むのはもちろんのこと、ここに時間がかかる花の探索など加えてはならないというのがこれまでの経験知なのである。

昨年9月に帯状疱疹を患ってから、神経痛が酷くて身体を動かすのが辛く自宅謹慎を余儀なくされていたが、古賀志山山域に花が見られるようになった3月をちょうどいい機会ととらえ、ここ数年続けている花の探索を今年も始めることにした。
今年は3月18日を初回に、今日で7回を数えた。

10キロ程度の距離とその間のアップダウンは、長きにわたる空白によって衰えた筋力と心肺能力を元に戻すには最適で、先週は鞍掛山ルート12キロを歩き通せるまでになった。
この快復速度であれば次は馬蹄形ルート、その次は馬蹄形ルートと鞍掛山ルートの組合せ、さらには女峰山も視野に入れたいし中禅寺湖一周25キロにも挑戦したい。
暗澹たる気持ちから前向きな気持ちに変化したのも距離を自在に調節できる古賀志山が身近にあって、花の季節を迎えたからこそだ。

その馬蹄形ルートを、時間がかかる花の探索の場としようと考えたのは、快復傾向にある身体にさらに大きな負荷をかけ、快復に拍車をかける意味があった。
これまでも8時間を要してきた距離とアップダウンに花の探索を加えるとどうなるか、まったくの未知数ではあるが、花の探索に手を抜くことはしないというのを自身に課して歩き始めた。

※馬蹄形ルート単体の他に鞍掛山ルートと組み合わせた20キロというロングルートがあり、それと区別する意味。

メモ
・歩行距離:14.0キロ(GPSログをカシミール3Dで処理した値)
・所要時間:7時間51分(写真撮影と休憩を含む)
・累積標高:1638メートル(アップダウンのうち、上昇分の累積)
※カメラはキャノンのG9Xを使ったが内蔵時計が9分も進んでいることに帰宅後、GPSログとの対比で気がついた。数ヶ月もの間、使わなかったのが原因。今回掲載した画像のタイムスタンプもすべて9分の進みがある。
掲載に使った画像は書き込まれている情報(Exif)をアプリケーションによって書き換えることができるが、面倒なのでずれたままにしておく。

緑一色となった赤川ダムに宇都宮市森林公園内ではもっとも遅く咲く桜、八重桜が古賀志山に色を添えている。
これから約8時間の長丁場しかも、花を探索しながら馬蹄形ルートを歩こうというのにこのような景色を見ていると緊張感が薄れてくる。
時間は10時に近い。
車を置いた森林公園の駐車場は18時にゲートが閉まる。
花がある場所はゆっくり歩き、花がない場所ではスピードアップを図る、そうやって変化をつけながら身体の回復を試みようと思っている。
なお、花の写真を撮るには和式トイレ式に座り、そのまま息を潜めてマクロで撮って立ち上がるため休憩とはならず、筋トレで言うスクワットと同じ動作になり、それもまた快復のためのトレーニングとなる。


先週の15日に見て名前が特定できなかった膳棚林道のこのスミレだが、気持ちが落ち着かないので再度、時間をかけて細部まで写真に撮った。
花弁の色や形、「距」の形や伸び方、毛の有無、葉の形や色、葉脈の濃さなど、スミレを特定する各パーツの写真を撮り、帰宅して調べるつもりだ。

帰宅後、調べてみるといくつかの特徴があることがわかった。
先ず花だが、上弁がウサギの耳のように立ち上がり側弁は前に突き出て距は後方に立ち上がっている。
葉の両面は毛が密生し円形、葉の基部は心形。
以上の特徴からアオイスミレとした(花は白いが)。


今日は膳棚林道と北登山道との境にあるここ、北登山道と中尾根を結ぶ急斜面入口を起点にした。
馬蹄形ルートは古賀志山山域の中央を南北に走る中央稜(※)から西側のバリエーションルートをぐるっと一回りする14~15キロのロングルートを指しているが、古賀志山を起点にしようと考えてしまうと往復とも古賀志山を通過しなくてはならなくなり、ルートの面白みにやや欠ける。
そこで同じルートを歩かなくてもいいような工夫が必要になる。
それと、今日の目的のひとつであるヒメイワカガミを探すためにもだ。
先ず、ここから中尾根に上がって班根石山(ごーごーきゅー)への行程でヒメイワカガミを時間をかけて鑑賞しその後、北上して手岡分岐に達して馬蹄形ルートに入る、そんな計画だ。


中央稜という正式な呼び名はなく、ルート識別のために管理人が勝手に付けた名称。


急斜面を上がり始めてすぐ、咲いたばかりのチゴユリが見つかった。
ユリと名がついてはいるがユリ科の花ではなく、イヌサフラン科。
花の形がユリに似ていることから名がついたのであろう。


フモトスミレ
大きさ1センチくらいの白い小さなスミレでとても可愛らしい。
管理人のスミレに対する知識は乏しく、日本に200種あるとされるうちのわずか数種類しか名前を言い当てられない。
フモトスミレはこれまで、花の大きさと色の特徴から、日光でよく見るツボスミレ(ニョイスミレ)だと思い込んでいたが、スミレのガイドブックを見ているうちに、ツボスミレによく似た花にこのフモトスミレというのがあることを見つけた。
唇弁が尖っていること、側弁の基部に毛があること、上弁が反っていること、葉が厚く色が濃いのがツボスミレと異なっていることで見分けができるようになった。


薄暗い林間の急登が終わると中尾根と交わる。
ここから進路を西へ変えて班根石山に向かうのだが、中尾根は尾根全体が岩尾根となっているため気を抜けない。
ちなみにこの岩は三番岩と呼ばれ、四番岩へと続いている。
なお、中尾根の末端からここへ来るまでの間に一番岩と二番岩があり、両者ともに厳しい難所として知られている。
今日はその難所を回避したことになる。
なんたってこれから先が長いので少しでも楽をしなくては!


マルバアオダモを見たのは先週15日に鞍掛山ルートを歩いたときだ。
やや高い位置に綿状の花をつけたひょろ長い木を見つけたが、それがマルバアオダモだった。
マルバアオダモは古賀志山山域で初めて見た(それまでは気がつかなかったのであろう)が、そのモシャモシャ、ふんわりした花はいかにも春といった風情を醸し出していて、いっぺんに気に入ってしまった。
それが山域のどこででも見られるのだとわかったのは今日だ。


大きく特異な形をした岩に到着。
前方に突き出した形を軍艦に見立てて地元の人は「軍艦岩」と呼んでいる。
細長い岩は南北に面しているがこんな岩にこそヒメイワカガミが生育している。


岩の下をくぐって北面に回り込んでみると案の定、そこにはヒメイワカガミの一群があった。
地面に膝を突き、写真を十数枚撮って歩き始めた。


つぼみがすべて開花した深紅のヤマツツジ。


1本の枯れ木を取り囲む岩。
中尾根ピーク496の少し先にある名無しの岩だが、管理人は識別のためにここを「枯れ木岩」と呼んでいる。


まだ十分に見頃のトウゴクミツバツツジ。


班根石山に近づくにつれて足場が悪くなる。
ヒメイワカガミが生育するのに適した環境である。
ヒメイワカガミは岩陰に小群落を作るので見落としやすい。


この場所は見つけやすかった。


足場はさらに悪くなる。


意外にもヒカゲツツジがまだ残っていた。
今年になって班根石山のヒカゲツツジを初めに見たのは先月31日だった。
多くは蕾で、咲いていたのはごく少数だった。
ヒカゲツツジはその名の通り日陰を好んで生育する植物で、特に班根石山では北に面した急峻な岩場に張り付くようにして生育していて、身を乗り出すようにしなければ見ることができない。
ただし、危険を承知の上で登山道から少し離れるとこのように間近に見ることもできる。
それにしても全体的に咲くのが早いとされる今年、4月半ば過ぎになってヒカゲツツジを見られたのはラッキーだった。
班根石山のヒメイワカガミはこの少し先にあり、先週よりも開花が進んで見頃の状態だった。


班根石山を弁天岩に向かって歩くと古賀志山への分岐があり、展望がいい。
土曜日から日曜日の朝にかけて降り続いた雨は奥日光では雪になり、日光連山を再び化粧した。


古賀志山への分岐をさらに西へ進むと大きな弁天岩が道をふさぐようにしてある。
中央稜は弁天岩の手前で右(北)に進路を変えて手岡(ちょうか)分岐へ向かう。


弁天岩で進路を北に変え、幅30センチにも満たない危険箇所を過ぎると道は右斜めに下る。
そこを直進するとこんな岩と出合う。
先週15日、鞍掛山ルートから中央稜を南下した際に、初めての上りを経験した大きな岩の上部だ。
今日は中央稜を北上しているが、上りを経験した岩を、今度は下る経験をしてみることにした。
まずは落差2メートルほどの岩を下る。
左右の岩の間を下りるわけだが右手で右の岩を、左手で左の岩を支えとして、前向きのまま下る。
鎖はその先の朽ちた桧の幹に巻き付けられ、岩の基部に下がっている。


桧がまだ若いうちに鎖が巻かれたのであろう、桧の生長に伴って鎖は桧の幹に食い込み、地中から水分と養分を吸い上げられなくなった桧は枯れ、今は朽ちている。
先週、岩を上がるにあたり、鎖を両手で引っ張ってみたが鎖が伸びることはなく、支点はまだしっかりしていると見てここにたどり着いた。
初めて上がった緊張感からその場では確かめる気持ちの余裕もなかったが、今日、あらためて支点となる朽ちた桧を観察してみた。
鎖は桧の幹に2・3センチほど食い込み、管理人の肩の位置に相当する辺りを両手で押すと桧は大きく揺れた。
地盤と桧の根にすき間があるようだ。
鎖に体重をかけたくらいでは桧が抜けてしまうことはないが、倒れるのは時間の問題であろうと考えた。
巻き道があるのでこの岩の上り下りは今後は止めておこう。


こうして上から見ると垂壁ではなく、スタンスが多く、古賀志山山域の他の岩に比べて難易度は高くないことが分かった。
だが、慎重に下りたのは言うまでもない。


岩を下りて振り返ったところ。
鎖は中央に見える大きな樹(樹名はわからない)のすぐ脇に下がっている。
岩の基部の左が巻き道。


ピーク540の近くまで来ると鬱蒼とした桧の林間が終わって一気に明るくなった。


チゴユリ


ピーク540
ここは左側(西)の展望が良く、日光連山が一望できる。


古賀志山山域から日光連山を望める場所はここに限らず、いくつかある。
独立峰ゆえの展望の良さなのであろう。


馬蹄形ルートの入口、手岡分岐まで来た。
空腹を感じたのでそろそろ昼飯にしたい。
すぐ手前に丸太のベンチがあるが先着がいたので遠慮して、この先の岩に座って食べることにした。


夏までの定番、コンビニの海苔巻き弁当。
弁当だけで460キロカロリーあるから当面のエネルギーとして足りる。
馬蹄形ルートは長いのでエネルギー不足となったら長い海苔巻きを食べることにしよう。
なお、気温が高くなる夏はご飯ものに比べて水分が少ないパンと決めている。


さあ、これから馬蹄形ルートに入るぞ!
花の探索とは言え、ここまで来てしまった以上、後戻りはできない。
いや、物理的にいえばエスケープルートがある(※)のでできないことはない。
しかし、それはこの場で判断しなくてはならない。
これより先に進んだら戻るのは大変な困難がつきまとう。
不退転の決意とはこのことを言う、と自分に言い聞かせた。
まっ、とにかく安全にね(笑)

※この分岐を手前(西)に少し行くと手岡峠に出るので林道歩きで森林公園に戻ることができる。


分岐を右に入ると長い急斜面になる。
落ち葉で滑りやすいので足裏全体を地面に着いて慎重に下っていく。


急斜面を下りきるとカタクリの小群落がある。
花はとっくに終わっているがいつかはここのも見てみたい。
ただし、カタクリ目当てにここまで来るのは距離が長すぎて憚れる。
いずれカタクリの開花に合わせて馬蹄形ルートをやってみようと思う。


馬蹄形ルートは注意すべき分岐が2箇所ある。
最初の分岐は地図のピーク383、ふたつ目はその50メートル先である。
画像の分岐はひとつ目で、道なりに左斜めに進んで行けばいい。
間違えやすいのはふたつ目で、道なりに進むと馬蹄形ルートから外れてしまう。
右へ直角に折れるのが正しい。
ただし、ピーク383の分岐を見落とすと、どこがひとつ目でどこがふたつ目なのかが分からない。
管理人は以前、分岐が道なりになっているひとつ目を見逃してしまい、右に直角に折れるべきふたつ目の分岐をひとつ目と思い込んで左斜めに進んでしまったことがある。
歩き始めてすぐ気がついて戻ったが、そのまま進んで行くと鳥屋山と腰掛岩を通らずに内倉林道に行き着いてしまい、馬蹄形の形が崩れることになる。
また、そこから正しい内倉林道に出合うまで、林道を800メートル(地図上では)歩くことになる。


ふたつ目の分岐を右へ直角に折れ、地図にある林道へ下りていく。


林道を横断して急な上りに差しかかるとアケボノスミレがあった。
花弁は薄紫色で5枚すべてに薄い筋が入り、花の咲き始めは葉が巻いていて、「距」は太くて短く丸い形、葉の両面に毛があるといった特徴がある。
ということをガイドブックを見てようやく覚えた。


その先にはツルリンドウがあった。


馬蹄形ルートにはランドマークがいくつかある。
これから出合う「腰掛岩」はその象徴である。
その前に鎖のかかった岩をふたつ越えなければならないが、今日は横着して岩の基部を巻くようにして斜面を上って行った。
岩と違って標高を一気に稼げるわけではないが、林間だからなにか花でも見られるのではないかという野心というか、スケベ根性が働いたのだ。
岩陰のダラダラした斜面は長く、花はなにもなく、ただ疲れただけであった。


腰掛岩の手前、鳥屋山(ピーク444)に到着。


馬蹄形ルートのランドマーク、腰掛岩に着いた。
目の前に見えるあの岩がそうだ。
ここから内倉林道まで下って次に北ノ峰に登り返すが、そこまでが厳しい。
気になっていた靴の中に入っているゴミをかき出し、靴ひもを締め直した。
気持ちを締め直したのはもちろんだった。


それでは目の前に見えるあの「北ノ峰」へ。


下り始めに見たマルバアオダモ。


尾根末端の内倉林道。
ここで標高約220メートル、スタート地点の駐車場とほぼ同じだ。
ここから標高583メートルの古賀志山まで360メートルの標高差をアップダウンをなんども繰り返しながら上がって行く。
北ノ峰へは林道を横切って直進する。


内倉林道から弁天岩を望む。


薄暗い林内にマルバコンロンソウを見つけた。


これもランドマークといえる今は使われていないプレハブ小屋。
昔はなんらかの作業の休憩所あるいは資材置き場として使われていたのであろうと思う。
この時間、まだ明るく陽射しがあるが、日が陰って薄暗くなってからここを通過するのは不気味で怖い、そんな気にさせられる雰囲気があるランドマークだ。
いつだったか、曇天の薄暗い日にここを通過しようとしたときに、小屋の中でなにかが動く気配がしてふと足を止めたことがある。
中に人がいる様子は感じられなかったが管理人はその場に金縛りに遭ったように動けなくなってしまった。
強い力で足首をつかまれたように足を動かせないのだ。
高鳴る鼓動を感じながら心が冷静になるのを待ち、それから足を静かに持ち上げると動いた。足下を見ると靴に笹が絡みついていた。
それからは馬蹄形ルートを歩くのは天気が良い日と決めた。


プレハブ小屋を無事に通り抜け、薄暗い桧林の斜面をダラダラ歩いて上りきると一転、傾斜が急な広葉樹林に変わる。
路幅は細く左は落ち込んでいる。
身体は疲れてきているのでここ一番の頑張りどころだ。


変化に富み飽きることはないが疲れた身体には厳しい。


見頃のトウゴクミツバツツジ。
目の保養にはなるが身体の疲れを癒してはくれない。


ふ~、ようやく北ノ峰に到着。
気力があるうちは休憩をとらずに歩き続けよう。


アブラツツジ


北ノ峰と古賀志山を結ぶ尾根を古賀志山主稜線といって、全行程が岩尾根である。
歩いていて岩がないところはないというほど、次から次へと岩が現れてくる。


赤岩山まで来てなんとか先が見えてきた。
古賀志山まであと1時間くらいと思うと気持ちが楽になった。
とはいえ、岩場はまだまだ続く。


赤岩山山頂は展望がないが少し歩くと東から南方面に展望が開けた場所がある。
宇都宮市街を通して筑波山まで見渡せる。
この展望をカメラに収め、空気を思いっきり吸い込んで歩き始めた。


奇岩、二尊岩。
神が宿る岩として古来から地元の人に崇拝されてきた。
古賀志山山域には古くから名前が付いている岩がいくつかある。
以前、それらの岩を巡るルートを一筆書き風に歩いたことがあったが、点在する岩をすべて巡るのは骨が折れた→こちらに詳しく


中岩に到着。
ここからの眺めも素晴らしい。


御嶽山直下まで来ると大きなヤマツツジの木が満開だった。


御嶽山山頂。
西側の展望が良く、180度以上のパノラマが期待できる。


御嶽山のすぐ隣が古賀志山だ。
この時間、さすがに人の姿はない。


古賀志山からは中央稜を富士見峠へ下り、そこから北登山道で駐車場に戻るのが安全で順当と言えるが、そうすると往復で重複するルートが長くなる。
そこで古賀志山と稜線続きの東稜見晴台まで進み、重複を避けるとともにここから岩を利用して標高を一気に下げることにする。


東稜の岩場にはしっかりした鎖が取り付けられている。
ただし、鎖の頑丈さと安全性は関係しない。
慎重に下るに限る。


3つ目の岩を下りたところは東南稜への分岐点となっている。
東南稜は現在、伐採作業中で立入禁止になっているので左へ、東稜の下りを続ける。


東稜を下って行くと北登山道の入口部分と交わる。
北登山道を下っていくよりも変化があるし、時間も短縮できる。
と、そんなことをブログに書こうと考えながら歩いていると沢音が聞こえるようになってきた。
東稜を歩いていて沢音などこれまで聞いたことはなかった。
そうか、東稜の途中で北登山道へ下りる道に入ってしまったんだ。
これまで数十回も歩いている東稜なのに、道を間違えた。
身体よりも頭が疲れていて判断能力が低下しているようだ。
まっいいか、このまま下れば水場に行き着くのでそこで乾いた喉を潤わせることにしよう。


土曜日の大雨の影響か、水場は溢れんばかりの水量だった。
汗で干からびた身体には堪えられない美味さだ。


水場のシラユキゲシ


沢はいつもと違って水量が多く、轟々と流れていた。


北登山道出口近くのニリンソウは終わりに近かった。


冒頭にも載せたスミレが時間の経過でどう変化したかを見るために改めて写真を撮っておいた。
穏やかな天候だったためか8時間後の今は色が白から薄紫に変わり、花弁がしっかりしたように見える。
各パーツの特徴をガイドブックに照らし合わせるとアオイスミレに思えてきた(前回も同じ判断)が自信はまったくない。
調査を続けよう。


森林公園の柵内駐車場は歩き始めた9時半の混雑に比べてにご覧の通りの静けさだった。
地元の古賀志山愛好家は皆、朝早く来て2時から3時には帰るのがほとんどだ。
こんな時間まで居残っていると遭難者と間違われること必至。早いとこ引き上げよう。
ちなみに4月から10月までの間は18時が閉門になっている。


番外編
意外な場所でウラシマソウを見つけた。
サトイモ科の植物でよく見るマムシグサの仲間だが、仏炎苞が暗褐色なのと花(仏炎苞に包まれた部分)から長いヒゲ状のもの(葉っぱの上に見える)を延ばすのが特徴。
そのヒゲを浦島太郎が手に持つ釣り竿の糸に見立てて「ウラシマソウ」という名がついている。
それはともかく、管理人が過去に古賀志山山域で見たのは鞍掛山ルートを歩いたときの一度きりでその後、鞍掛山ルートでも見つからなくなった。
この日見たウラシマソウについては場所は明かさないことにするが、それにしてもこれほど多様な植物が生育する古賀志山の素晴らしさにあらためて感心したというのが正直なところだ。
古賀志山山域の数倍もの広さを有する日光の植物をわずか4キロ四方に凝縮し、まるで植物園の中を歩いているような楽しさを味わえるのが古賀志山の魅力といえる。


古賀志山中央稜(※・上図の茶色の点線)の東側を廻るルートが鞍掛山ルート、西側が馬蹄形ルート。
地図だと距離はほぼ同じように見えるが馬蹄形ルートの方が2キロ長い。
また、地形で言えば、馬蹄形ルートの方がアップダウンが多く、累積標高は鞍掛山ルートを大きく上回っている。
今日の馬蹄形ルートは中央稜を半分しか歩いていないが、馬蹄形ルート歩きで肝心なのは中央稜の西側を馬蹄形の形として正しく歩けたかどうかが評価の対象となる、というのが管理人自身に言い聞かせていることである。
読者の皆さまはどうかご自由に決めてください。


中央稜という正式な呼び名はなく、ルート識別のために管理人が勝手に付けた名称。


馬蹄形ルート断面図(2021/04/19)
距離:14.0キロメートル
累積:1638メートル
鞍掛山ルート(下図)と見比べてアップダウンの多さがわかる。


鞍掛山ルート断面図(2021/04/15)
距離:12.0キロメートル
累積:1196メートル


・中尾根へは管理人が入路したルートであれば危険箇所(1番岩と2番岩)を回避できる。
・中尾根の終り近くは青の矢印が順当なルート。管理人が辿ったルートは滑落の危険大。
・手岡分岐は道標があるので見落とすことはないと思うが左斜めにUターンするように入る。
・「分岐注意箇所」で間違えると南下して、馬蹄形をショートカットして林道内倉線に出てしまう。
・プレハブ小屋へは林道内倉線を横断してさらに次の林道を横断し、樹林帯に入っていく。突き当たりを左へ上っていくと右手に小屋が見えてくる。
・古賀志山主稜線は岩場のアップダウンの連続。鎖がある岩ない岩など多数。
・古賀志山から先は北上して富士見峠を右(東)に下るのが順当なルート(北登山道)。