こんなトレッキングをしてみたかった。古峰ヶ原高原(鹿沼市)の紅葉を満喫。

2023年11月8日(水) 晴れ

山を歩くのに必要な脚力と心肺機能を維持、強化するには日頃からウォーキングやランニング、筋トレが欠かせない。
これらの中で脚力をつけるための筋トレとして王道とも言えるスクワットは自宅でできるが、心肺機能を維持、強化する目的のウォーキングとランニングは、たとえ家にマシンがあってもあまり気が進まない。
自宅にはトレッドミル(ルームランナー)とバイクがあるのでやろうと思えばいつでもできるが、目の前の無機質な壁を見つめながらの運動はとても虚しいものであり、長続きしない。
そこで気候が温暖な季節、初夏から初秋にかけては屋外でおこなうようにしているわけだが、脇を走る車の音で気が散るし、花が咲いているとつい足を止めて写真を撮り始めるから立ち止まっている時間の方が長くなり、運動にもならない。

管理人、自然豊かな日光に住んでいて登る山に不自由はしないが、標高差の大きな日光の山は心肺への負担が過大(※1)で後期高齢の身には危険が大きい。
では心肺機能を維持、強化するのに相応しい山を日光の他に求めるとすれば、どこか。

それを叶えてくれたのが9月と10月におこなった、古峰ヶ原高原(※2)から登る地蔵岳だった。→こちらこちら
部分的に急斜面はあるものの、ルートは概ねゆるやかで、心肺機能の維持、強化にぴったりだったのである。
緩やかなアップダウンは心拍数を上げることもなく、気持ちに余裕を持って歩ける。いい空気を吸いながら、開放感のある広い林の中を歩くのは実に気持ちがいいものだ。

登山口へ行くのに県道を車で走っていてわかるのは、県道の左右に緩やかな斜面が広がっていることだ。
そして、斜面の至る所に沢が流れている。
日光の自然環境とはまったく異なることに感動し、であればこのエリアを心肺機能の維持、強化の場としよう、そう決めた第1弾が今日の三枚石(さんまいせき)、方塞山(ほうさいさん)行きである。
地形から考えて管理人の期待を裏切ることはないはずだ。

自宅からの距離30キロは奥日光や古賀志山とほぼ同じである。
奥日光は今の時期、紅葉見学の車で大渋滞必至だから、到着は昼ごろになり、登山どころではない。
だが、過去2回の経験で古峰ヶ原高原への道に渋滞はない。
惜しいのは、県道58号線(草久足尾線)は古峯神社から足尾町粕尾峠までの約10キロの区間が冬季通行止めになることだ(来年だと6年1月19日から3月15日までの2ヶ月間)。→こちら
とはいえ、日光の国道のように半年間も通行止めになるよりはずっといい。

これからは通行止めの期間を除いてせっせと通うことにしよう。

※1:科学的な根拠として挙げられるのが、(220-年齢)×0.8~0.9で算出した心拍数での運動といわれている。管理人でいえば、220-75=145を心拍数の限界値(これ以上だと心臓に悪影響を及ぼす)として、この80~90パーセントの範囲を維持できる運動が望ましい。
具体的には1分間の心拍数が120~130になる運動である。
※2:
古峯神社(鹿沼市)から足尾(日光市)にかけて広がる丘陵を指している。

メモ(記録にはGeographicaを使用した)
・歩行距離:9.7キロ(GPSログをカシミール3Dで処理した値)
・所要時間:4時間23分(写真撮影と休憩を含む)
・累積標高:764メートル(アップダウンのうち、上昇分の累積)

古峯神社と足尾を結ぶ県道58号線脇に大きな駐車スペースがある。
今年9月から下見を含めて4・5回、この道を走ったが、駐車スペースに車が駐まっているのを見たことはない。
車道と駐車スペースの境目が荒れているため12インチと小さいエブリイのタイヤがはまってしまうのではないかと心配したが無事に乗り入れることができた。
時間は10時と遅かったが往復10キロのコースなら問題ないだろう。


駐車スペースのわずか後方、古峯神社寄りにハイキングコースの入口がある。
すぐ下をとても感じのいい沢が流れているが地理院地図には描かれていない。
下見で訪れたときは薄暗く、落ち葉は水に濡れ、これは魔界への入口かとやや不安に思ったが今日、歩いてみてわかったのは実に広く、歩きやすい遊歩道だということだった。


遊歩道に標識はなく、行き止まりまで来てしまった。
右の斜面を上がるとそれらしい道になっていた。


へつり地蔵


堰堤工事の際に使われたものと思われる今は荒れた林道。
靴底からゴツゴツした感触が伝わってくる。
堆積した落ち葉の下には大小の石が隠れているのでつまずかないように気をつけて歩く。
沢はこの左下を流れている。


道標に従って斜面を下り、橋を渡る。
橋を渡ると広い林となるがトレイルは落ち葉によって隠れ、スマホに表示される地理院地図を頼りに歩くことになった。


おぉ、実に見事な朱色だ。


県道58号線と交わると古峰ヶ原峠。


道はここでふた手に分かれる。
車止めの柵がある方(南)は深山巴ノ宿へ続き、そこで再び県道と交わる。
管理人の今日の目的地である三枚石、方塞山へは四阿を左に見ながら直進(東南)する。


四阿から、これから歩いて行く方を眺める。
右前方に見えるなだらかな山並みが三枚石と方塞山であろう。
管理人未踏のトレイルである。


最初の目的地、三枚石は古峯神社に近い金剛山瑞峯寺の奥の院になっていて、鳥居はその奥の院への入口となっている。
一ノ鳥居、二ノ鳥居と続いている。


実に歩きやすい道だ。
当然ながら斜面はあるが緩やかで、理想の心拍数が得られる。


天狗ノ庭
苔むした岩が密集している。
標識はあるが説明書きはないので推測に過ぎないが、おそらく天狗はこれらの岩と岩との間を飛び交いながら足腰を鍛えていたのであろう。
天狗とは修験道が盛んだったころの行者を指すものと思える。


金剛山瑞峯寺の奥の院・三枚石(さんまいせき)
日光を開山した勝道上人が岩の下に籠もって修行したとされている。


三枚石の近くにこんな標識があったので行ってみたが、涸れた井戸があるだけだった。


元の道に戻って次は今日の最終目的地である方塞山へ向かう。
これらの木々の多くはツツジ。
ツツジが咲く5月にも来てみなければ。


アップダウンはあってもこんなもの。
快適なトレッキングが楽しめる。


視界が開けるとそこは牧場だった。
そして、ここが方塞山(1388m)の山頂だった。
これでも山頂かと思わせるほど平坦だが地理院地図にはちゃんと閉じた等高線として示されていると。
ちなみにここを左(南)へ2キロほど行くと井戸湿原散策の起点となる前日光ハイランドがある。
時間が早ければ往復するところだが、今日は下山後、別の用事があるためここで折り返しとする。


山頂広場にはテーブルとベンチがあった。
穏やかな陽射しを全身に受けながら昼食とした。


20分の休憩を取り下山を始めた。
下山といっても画像で見るとおり道は平坦。


三枚石を見上げる。


天狗ノ庭といい三枚石といい、このルートには巨大な岩があちこちに見られる。
四角い岩の上にUFOが乗っているような構成、どういった現象でこうなるのか、不思議。


平坦路は続く。
915メートルの出発点から1388メートルの方塞山まで標高差は470メートルあるので、すべてが平坦というわけではないが、片道5キロの距離で470メートルの標高差は登っている感じがしない。
快適そのもののトレッキングなのである。


きれいに色づいた葉を見つけた。
う~ん、この木はなんでしょうな?
帰宅して図鑑を調べてもわからなかった。


一ノ鳥居をくぐり抜けると古峰ヶ原峠の四阿と県道が見えた。


出発地へはここを右へ降りる。
来るときは気がつかなかったが、きれいに色づいたカエデが見えたので写真に収めるため近くに行ってみた。


実にきれいだ。
いい色に発色している。


丸太を組んだ階段は一部朽ちかけているので慎重を期して下っていく。
それと落葉の季節は堆積した葉っぱが地面の上の小石や枯れ枝などを覆い隠してしまうので注意を要する。


紅葉(黄葉)した木々を通して沢の流れが見える。
日光ではなかなか見られない光景なので管理人には感動的だ。


カエデの紅葉


黄色に染まっているのはこれから赤くなるカエデ。


黄色から朱色、赤へのグラデーションが美しい。


快適なトレッキングもこれで終わってしまう。
心拍数が上がって苦しむことはなく、始めから終わりまで快適なトレッキングを楽しむことができた。
このルートの存在をもっと早く知っていればなんども繰り返し訪れたものの、あと2ヶ月で県道が冬季通行止めとなる。
それまでせっせと通うことにしよう。
今夜の晩酌は気分良く酔えそうだ(笑)


周回コースの設定は絶対に無理という完全なピストン(笑)
三枚石と古峯神社を結ぶルートはあるが車の回収に県道を5キロも歩かなくてはならず、現実的とは言えない。
ピストンでも往きと帰りとでは違った景色を楽しめたので満足。
次は古峯神社からのルートを歩いてみたい。


日光には存在しない台形の地形。
全行程のうち上りが3キロ、下りが3キロで他はほぼ平坦。
傾斜といっても3キロの区間で約15度(26%)と緩く、息が上がるようなことはなかった。
傾斜地は小石が多くて走るのは危険だが平坦地はまったく危険はない。
いずれ機会を得て走ってみたいものだ。
我が日光でこれほど歩きやすい山はなく、ここは絶品と言える。
我ながらいい場所を見つけたものと、ほくそ笑んでいる。



場所が変わってここは深山巴ノ宿(じんせんともえのしゅく)。
先月11日、ここ深山巴ノ宿近く(※)に残る金剛堂(石の祠)を探し回ったのだが見つからず、次回の宿題としたが今日、あらためて探すためにここにやって来た。
といっても県道の距離でいえば約3キロ、大した移動時間ではない。

金剛堂を紹介している池田正夫著「日光修験・三峰五禅頂の道」を読み直すと、金剛堂は巴ノ宿の西側約100メートルに位置するとある。
今日はその辺りを入念に探した。
ヒントはミズナラの古木である。
※日光市と鹿沼市との境界線上と推定される修験道


巴ノ宿の鳥居を背にして西側を見ると、なるほどそこはミズナラの林だった。
だが、どのミズナラも古く、巨木に管理人には見える。
金剛堂はミズナラの幹の根元にあると本に記述されている。
ミズナラからミズナラへと渡り歩いているうち、黒い苔におおわれた大きなミズナラが目に入った。
そのミズナラは30メートルほど先だ。
根元になにかの塊のようなものが見える。
あれに違いない、と確信をもち、落ち葉を踏みながら近づいていくと、果たして本の記述通り、金剛堂であった。
階段状になった石の台座の上に屋根だけが乗ったまさに「母屋を欠いた金剛堂」だった。
スマホの地図アプリで現在地を確認するとここは今は県道が貫いているが、日光市と鹿沼市との境界線上すなわち、修験で使われた古道の上である。
前回、10月11日は県道をまたいだ向こう側を探して見つからなかったが、それは管理人の読みが間違っていたことになる。
これで宿題が終わった。

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