3年ぶりの鞍掛山+馬蹄形は過去最短時間で。

2020年3月13日(金) 晴れ

手元のガイドブック(随想社・栃木の山150)に紹介されている古賀志山のコースは5本。地理院地図に道が描かれていない、いわゆるバリエーションルートも紹介されているが古賀志山を歩くにはそれがすべてではない。

管理人が初めて古賀志山を訪れたのは2014年10月のことだった。→こちら
以来、古賀志山の面白さに魅了され、管理人のホームグラウンドである日光の山には目もくれず、今日に至るまで80回近く通っているわけだが、ガイドブックに紹介されているコースばかり歩いていては飽きてしまってこれほどの回数にはならない。
ガイドブックに紹介されていない、管理人を魅了して止まない魔力あるいは引力をもつバリエーションルートが他にもたくさんあるのだ。

古賀志山を歩いてみればわかるが、登山道を歩いていると道が分岐する。分岐した道を歩いているとまた分岐する。
古くから古賀志山を歩いてきた地元の人による労力の賜が現在、こうして管理人など多くの登山者を楽しませてくれているわけだが、地図にある登山道以外に100本以上の道があり、年に100回通ったとしても毎回違った道を歩ける、それが古賀志山の魅力なのである。

管理人はそれらバリエーションルートと呼ばれる道をすべて歩き尽くすことを目標にしているが、もうこれですべての道を歩いたと思って達成感に浸っているとある日、偶然にも未踏の道を発見して愕然とすることがある。
バリエーションルートの実態は今もって管理人にはわからないのだ。

管理人を魅了して止まないのはバリエーションルート歩きの面白さがあるからである。
魔界へ導くような道、次々と現れるアップダウン、岩場、遠くの展望、多彩な植物など、ガイドブックに紹介されている登山道だけを歩いていては絶対に得られない面白さ、楽しさを管理人は古賀志山に見出しているわけだ。
バリエーションルートなくして古賀志山の存在はあり得ないとさえ管理人は思う。

それらバリエーションルートの中でお勧めは、と問われたら真っ先に古賀志山主稜線を挙げたい。古賀志山と北ノ峰とを東西に結ぶ、1キロ半におよぶ変化に富んだ稜線のことを言う。
尾根は細く左右は谷である。
全体を通して岩尾根なので岩の上り下りを強いられる。
鎖が設置されている岩がある一方で両手両足を使ってクリアしなければならない岩場も多いから細心の注意を払って歩く必要がある。
それらの苦労と緊張を伴うからこそこの尾根を歩く醍醐味があり、達成感が得られる。

次にお勧めはと問われたら、では脚力を試されるバリエーションルートはいかが、と答えたい。読図の力を試されるバリエーションルートはいかが、と答えたい。
その両者を満足させるにぴったりのバリエーションルートがあるのだ。
それが今日、管理人が歩こうという馬蹄形ルートである。

先に紹介した古賀志山主稜線を含む、古賀志山山域の大外を回る長距離のルートで、主稜線だけでもアップダウンと岩場が多いのに、距離が長いだけに岩の数はその数倍に達する、古賀志山山域でもっとも過酷なルートである。
その上さらにですよ、本日はですね、馬蹄形ルートをお買い上げの読者に、これも魅力的な鞍掛山ルートをプレゼントしてしまおうという思い切った企画なんです!!

そう、古賀志山山域でもっとも距離が長く、累積標高が2000メートル近くになる、馬蹄形ルートと鞍掛山ルートをセットでやろうというわけである。
馬蹄形ルートで一日、鞍掛山ルートで一日というのが普通の歩き方だが、これを今日一日でやりたい。

馬蹄形と鞍掛山の組合せは過去に4度、挑戦し、4度とも9時間超えだった。
一昨年(2018年)は福島県遠征が多くなって時間が確保できずまた、昨年は馬蹄形ルートだけだった。
無謀を自認している管理人だが馬蹄形と鞍掛山の組合せは慎重になる。
それに今日、管理人は2017年以来、3年ぶりに挑むつもりでやって来た。
体調は悪くない。

今日の接触者
・コンビニ(店員と・客は少ない)
・駐車場から長倉山まで、地元の女性1名と話をしながら歩く。

・歩行距離:16.7キロ(GPSログをカシミール3Dで処理した値)
・所要時間:7時間48分(写真撮影と休憩を含む)
・累積標高:1866メートル(アップダウンのうち、上昇分の累積)
行程表は最下段の地図を参考に。

勇んでやって来たのに馬蹄形+鞍掛山をやるには遅い時間の出発になった。
歳のせいか最近、深夜に目が覚めると眠れず、今朝は5時までうつらうつらしていた。そのままでいたら寝不足になると思って目をつぶったら半眠りとなり、次に目覚めたのは6時を回っていた。
7時に歩き始めるつもりでいたので大幅な遅れだ。
亀足の管理人のことゆえ下山が日没にならなければいいのだが、、、


鞍掛山ルートは宇都宮市森林公園の駐車場脇が登山口になっている。
今日のブログのタイトルはインデックスの都合で馬蹄形ルート+鞍掛山ルートとしたが、実際には鞍掛山ルートを先に歩き、馬蹄形ルートは後半にする計画を組んだ。
それと馬蹄形ルートは12月に単体でやっているので今回は後半にした、というのも理由。


このルートは長倉山まで緩やかな上りが続く。
花が咲くこれからの時期が楽しめる。


シュンランが今にも咲きそうな頃合いだ。


長倉山
ここから林道まで下りとなり、それから鞍掛山へ上り返す。

林道に降りると水辺に開いたばかりのキクザキイチゲを見つけた。


鞍掛山登山口。
これからしばらくの間、ダラダラした上りが続く。


首のもげた石仏が二体。
双神体という。


スミレの中ではもっともポピュラーなタチツボスミレ。


開放的な広葉樹林の中を気持ちよく歩いて鞍掛山へ向かっていく。


ヤマツツジ


鞍掛山手前の「大岩(※)」。
鞍掛山は展望がないのでここからの展望を楽しんだ。
※古賀志山山域に大きな岩はたくさんあるがこれは通称、大岩という名の岩。


大岩の金属梯子を降りるとしばらくは平坦路が続く。


鞍掛山
周りを木々に囲まれて展望はきかない。


鞍掛山から先は緩急折り混ぜたアップダウンが続き、急斜面を上がるとシゲト山である。
今日のルートでもっとも北に位置し、標高は470メートル。


北から西への展望がいい。
北面は高原山(鶏頂山、釈迦ヶ岳、中岳、西平岳の総称)がよく見える。


西には日光連山が、、、


おや、日光連山の少し右に見覚えのある山が見えるぞ。
あの姿形から察してあれは田代山ではないだろうか?
檜枝岐村(福島県)と日光市との境界線上にあって、平坦で広大な湿原を山頂にもつ山だ。
するとその左のピークは帝釈山だろうか?
女峰山から見たことはあったがまさかここで見られるとは、、、


猪倉峠
この先は鞍掛山ルートと馬蹄形ルートとを分ける手岡分岐だ。


こんな岩を乗り越えたり間を縫ったりしながら進んで行く。


林道入山線の入口となる手岡峠。


手岡分岐手前の最後の上りに差しかかる。


ここが鞍掛山ルートと馬蹄形ルートとを分ける手岡分岐。
といってもわかりづらいだろうし、説明のしようもないので地図を参照。


ここまで写真を撮る以外、休憩なしで来た。
朝食から5時間経ったので腹が減った。
岩に腰を下ろしてあんパンを2ヶ、早くエネルギーに変わるようによく噛んで食べた。


3月6日の山行で筆下ろしをしたローカットシューズはこれで3回目だ。
まだ足に馴染んだとはいえないまでも指先が当たることもなく、今のところ問題はない。


さあ、いよいよ馬蹄形だ。
直進すると古賀志山に向かうが馬蹄形はここを右斜めに降りていく。


いきなり急な下りとなる。
落ち葉が堆積しているので滑りやすい。
膝をぐっと曲げて重心を下げ、姿勢を安定させて下っていく。


下りきるとカタクリの群落が目に入った。
かなりの規模だ。
咲いている時期にも来てみたいがあまりにも遠い。


馬蹄形ルートは尾根がいくつもに分岐している箇所があって注意を要する。
ここは西に向かって尾根が2本、南西に向かって1本の尾根がある。
毎週のように歩いていれば足は自然と正しい尾根に向かうはずだが、たまにしか歩かないと覚えることは出来ない。


そこであらかじめ地図に尾根の分岐を書き込んでおき、「それらしい」箇所に来たら立ち止まってコンパスを使って正しい尾根を探し出す。
ここでは南西に向かって下る尾根が正しい。

おや?
なんかおかしいぞ!
いくら歩く人のいない馬蹄形ルートとはいえ、踏跡ひとつ見つからない。
立ち止まってコンパスが指す針の方向を見ると真南を向いている。
ここは南西でなくてはならない。

冷静になってよく考えろ、そう言い聞かせてGPSで現在位置を確認するととんでもないことになっていた。
間違いやすい分岐はふたつ、続けてある。
先ほど方向確認した場所はひとつ目の分岐だと思っていたが、実際のひとつ目の分岐は方向確認をしないまま通り過ぎ、ふたつ目の分岐をひとつ目と思い込んで方向確認したのである。
ふたつ目の分岐では正しい尾根は真西に向かうが、そこをひとつ目の分岐で進むべき南(地図上では南西)に向かってしまったのだ。
GPSを使って2つある分岐のどちらに立っているのか、それを確認しなかったのがいけなかった。
前回(12月8日)の馬蹄形は右回りだったが今回は左回り。
右回りだと必須な方向確認が左回りだと必要なく、すんなり正しい方向へ進めるのであった。

このまま下っていっても内倉林道と交わるので駐車地に戻ることは出来るが、そうすると完全な形での馬蹄形ルートとはいえない。戻ろう。


登り返して分岐まで戻り真西へ向かう尾根を進む。
ロスタイムは12分と短かったが初歩的なミスをした自分が情けない。


アカヤシオだろうか、開花を待つ蕾。


ピーク444の鳥屋山(とややま)に行く途中、大きな岩を上がる必要がある。
鎖はあるから問題なく上がれるが、岩の基部を見ると落ち葉に隠れてはいるが巻き道らしい細い道を見つけた。
今までなぜその存在に気がつかなかったのかと不思議に思う。
おそらく今日とは異なり右回りに歩くと巻き道の始まりに気がつかないのであろう。
いい機会なので巻き道を上がっていき、どこで合流するのかを見極めたい。


鳥屋山に到着。
鳥屋山という名は最近になって判明(おそらく古文書などで)したもので、それまでは「ピーク444」あるいは単に「444、ヨンヨンヨン」で通用していた名称。


ここにイチヤクソウの保護地がある。
まだ葉っぱだけだが花咲く頃にも来てみたいものだ。


鳥屋山を過ぎ緩やかな傾斜を下っていくと腰掛岩という馬蹄形ルートのランドマークが見つかる。
まさに腰掛けの形をした岩でこれが見つからないと道間違いをしていることになる。


眺めがいい。
鹿沼の二股山が見える。


同じ場所からこれから行く北ノ峰が見える。
が、その道のりは易しくはない。


白石川に向かってどんどん降りていく。


白石川に沿った林道内倉線と交わるのでここを突っ切る。


暗い林の中へ。


ミツマタ
11日に紹介した群落はこことは別の場所。


これも馬蹄形ルートのランドマークとなるプレハブの作業小屋。


薄暗い桧林の斜面を上がっていくと「無縫塔」との分岐に当たる。
ここから傾斜はさらに厳しくなる。
足が重くなっているのを感じるようになったのはこの辺りからだ。


足が重い。
北ノ峰に上がったら大休止必至だ。


いや、ここで休憩しよう。
ちょうど踊り場のようになっていて眺めもいい。


あんパンを食べたのが11時頃。
それからまだ2時間だが空腹感が大休止を求めていた。


コンビニで買った海苔巻き弁当を食べ終え、まだ足取りが重い中、急斜面を上って四等三角点のある北ノ峰に到着。
これで全行程の2/3は終わった。
これから主稜線を古賀志山まで歩き、それから下山だ。


この岩場は長かった。


赤岩山を通過。


二尊岩を通過。


そろそろヒメイワカガミの季節なんだなぁ、これも楽しみのひとつだ。


鎖を使わずによじ登る。


中岩まで来ると足の重さはかなり解消されていた。
食べたものが消化され始め、エネルギーに変換されてきたのであろう。


カミソリ岩という、ほぼ垂直の岩を下る。
ホールドがしっかりしているのでここも鎖は使わない。


ほっ、御嶽山に着いた。
古賀志山は目前となった。
岩に腰を下ろしザックからバナナを取り出してほうばる。


御嶽山から古賀志山へ向かう途中にある大岩。
数年前、ツアーで訪れた登山者がここから下りる際に滑落して亡くなっている。


ついに古賀志山じゃ(笑)
下山は16時を目標にしているので写真を撮っただけで歩き始めた。
なぜ16時かというと、全行程で8時間を切りたいのだ。
過去4回の記録だといずれも9時間を超えている。
真っ暗闇の中を疲労困憊して下山したこともある。
それだけに体調を整えて臨んだのが今回なのである。
8時間を切らないとこれまでの努力が水の泡となって消え去ってしまう。


古賀志山から数分のピーク、東陵見晴台。
体力を消耗しているので本来なら地図にある北登山道を使って下山するのが安全面からもお勧めしたい(と、自分に言ってどうする)ところだが、距離が長いし時間がかかるので、ここは岩場を一気に下るのが時短のためにもいい。


岩場を下る。


岩を3つ降りると歩きやすい登山道に変わる。


カタクリの群生地に立ち寄って生育具合を確認。
葉っぱは大きくなったが開花にはまだ1~2週間かかりそうだ。


緩やかな下り傾斜を急ぐ。


北登山道と入口を共有し、ほぼ並行して古賀志山に至る東稜コースは、北登山道に比べれば傾斜が急だし岩場があるので歩く人は少ない。
しかし、ここを歩き慣れてしまうと北登山道へは足が向かない。こちらの方が登山の面白さを満喫できるからだ。


車道に降り立ち駐車場へと向かった。


赤川ダムから古賀志山(左のピーク)と岩を降りてきた東陵見晴台(右のピーク)を眺める。


無事に駐車場に戻り長距離、長時間にわたる山行が終わった。
下山は16時を過ぎたが目標とする8時間切りは達成することができた。
それでも長い時間歩いたためか、車に乗り込んでも足裏はまだ山中を歩いているような浮遊感があった。
これで残雪の女峰山が視野に入った。



馬蹄形+鞍掛山、過去4回の記録
2017年09月10日 左回り 09時間46分・・・
2016年11月25日 左回り 10時間37分・・・
2016年04月30日 右回り 09時間44分・・・
2015年06月30日 右回り 10時間11分・・・