古賀志山、5回目の馬蹄形。標高差367Mなれど累積標高はその4倍も。

2016年11月3日(木) 晴れ

森林公園駐車場~芝山橋~東陵コース~東陵見晴台~古賀志山~御嶽山~中岩~赤岩山~北ノ峰~無縫塔~腰掛岩~P444~P383~手岡分岐(仮称)~P431手前を南東へ(北尾根)~長倉山~P349~森林公園駐車場

文化の日、紅葉の見ごろと重なって日光は大渋滞が予想される。
こんな日は混雑する日光を離れて静かな山をのんびり歩くに限る。それに天気もいいことだし、、、やはり古賀志山でしょう。

馬蹄形ルートはその形が馬の蹄に似ていることからつけられた名称らしいが、地図にルートが描かれていないので説明が難しい。そこで始めに、管理人がこれまで4回、手探りで歩いたときのGPSの軌跡を地図で紹介しておく。
古賀志山とその北に位置する手岡分岐(地図に記載はない)を結んだ線の西側を馬蹄形ルートと呼んでいる。ただし、管理人が歩いたルートこそ唯一、正しいのだということではない・・・後述馬蹄形ルートは面白い。
地図にルートが描かれていないため自分でルートを設定しなければならない。その作業ならびに自分で設定したルートを地図とコンパスを使って歩くのは読図の訓練にぴったりだ。
机上でのルート設定が終わり、いざ実践に望んだとしても、わずかな角度差で尾根が分岐しているときなど、どちらに進んだらいいのか現場では迷う。
上の地図を見て、同じ馬蹄形ルートを歩いたつもりなのに過去4回の軌跡は微妙に(大きく?)違っていることがわかると思う。これは分岐でのルートミスによるものである。それほど馬蹄形ルートは難しい。
とはいえ、地図にルートの記載がない以上、なにをもって馬蹄形ルートとするかの定義はなく、馬蹄形に似たルートを自分で設定すればそれが正しい馬蹄形ルートということになる。ただし、地図を追っていけば自ずと1本のルートに集約されるが、、、、
上にルートミスと書いたがそれは管理人があらかじめ設定したルートから外れたという意味であり、それは悔しいものだ。地図読みの難しさを痛感する。その悔しさがその後の馬蹄形歩きに結びついている。
馬蹄形ルートを歩くのは与えられたわずかな情報を元にゴールへ向かうオリエンテーリングのように、頭と身体を使うスポーツなのである。
果たして今日の結果は如何に(^^)
それでは行ってきま~す。

参考:過去の馬蹄形ルートの記録
1回目:2015年06月30日 右回り
2回目:2016年01月03日 右回り
3回目:2016年01月09日 左回り
4回目:2016年04月30日 左回り


2ヶ月ぶりで訪れた赤川ダム。
渇水期なのか水位がずいぶん低下している。
正面に見える双こぶの左が古賀志山で右は東陵見晴台。その下が急激に落ち込んでいるが、そこが岩場の連続する東陵コースで今日、歩くルートである。


赤川ダムに沿った車道を北に向かって歩いて行くと芝山橋がある。ここが古賀志山北コースと東陵コースに共通する入口となる。


芝山橋を渡り右を見ると川に沿って踏跡がある。そちらが北コースで左の急斜面が東陵コース。


東陵コースの大部分は急斜面だが画像のような歩きやすい部分もあって息が抜ける。


紅葉したアブラツツジ


地面の最後の登り、ってわかるかなぁ?
つまりこの登りが終わると次は岩の登りとなるわけだ。


始まった(^^)
最初の岩は5メートルはあるだろうか、垂直に近いがよく見ると手がかり足がかりとなるホールドがあるので技術を磨けば鎖を使わなくても登れるようになる(決して推奨しているわけではありません)。


最後にこの岩を登ると、、、


、、、眺めのいい東陵見晴台に立てる。
ここから宇都宮の市街地と北に高原山が見える。角度的に日光連山も見えるのだが木立があって遮られている。


東陵見晴台と古賀志山とは隣り合わせの位置にあり7・8分で行き来できる。
古賀志山は古賀志山山域の最高峰583メートルだが展望がいいとは言えないのが残念なところ。
ただ、山頂は広く地元の人の社交の場となっていて昼時は多くの人で賑わうので情報を得るにはいいかもしれない。


地理院地図を見ると古賀志山から西へ向かって長く、なだらかな稜線が続いている。
それが古賀志山の主稜線でピーク432.7の北ノ峰まで、実に変化に富んだ稜線歩きが楽しめる。眺めがいいのも山域一と言っていいのではないだろうか。
ただし、なだらかな稜線と書いたがそれは地図上でのことであり、実際に歩いてみると地図では読み取れない大きな岩が稜線上にいくつも出てくる。もう勘弁してくれと言うほど、、、
これは御嶽山手前の岩。これから先を暗示させるような(^^)


御嶽山の山頂まで来ると視界は一気に開ける。
西に日光連山と白根山、錫ヶ岳、皇海山などの2千メートル峰、北に高原山や那須連峰が見渡せる。実に素晴らしい。


御嶽山山頂から日光連山を望む。
冬は冠雪した日光連山がとても美しい。


山頂の北には高原山が望める。


古賀志山主稜線は適度なアップダウンがあるのと稜線からの眺めがいいので管理人がもっとも好んで歩くルートである。その上、高さ5メートルほどの大きな岩をクリアしなくてはならず、それがまた主稜線の大きな魅力(^^)となっている。
この岩がそのひとつ。
赤岩山へ向かう場合は上りとなる。ここにも守ろう会が取り付けた真新しい鎖がかかっている。
なお、正式な名称がないためかカミソリ岩と呼ばれているらしい。位置はピーク546(中岩)の東120メートル。地図には岩記号が描かれている。


赤岩山山頂。
山頂は眺めがないのと休める場所がない。
休む場合はこのすぐ手前の今は使われなくなったパラグライダーの離陸場を利用するといいと思う。眺めがいい。


赤岩山から北ノ峰への明るい道を歩く。


猿岩。
ルートから少し外れるので馬蹄形を歩くための必須事項ではないが、立ち寄ってこの岩の上から景色を眺めることを強くお勧めしたい。
なお、岩の基部に「猿岩」という地名板があったのだが不心得者の仕業により損壊されてしまった→こちら


猿岩のトップから日光連山を眺める。


古賀志山主稜線の末端に当たる北ノ峰。
4等三角点がある。地図に北ノ峰の記載はなく、標高432.7メートルの地点。
北ノ峰から先のルートはふたつ。
ひとつは籠岩を経て県道70号線に至る南西ルート、もうひとつが無縫塔を経て北西に向かう馬蹄形ルートである。
いっとくけどここから無縫塔まで急な下りなので怖いよ(^^)


急な下りが終わると檜林となり左に長い岩壁が続いている。
岩壁に沿って5分ほど歩くと地上3メートルくらいの高さに洞窟があり、中に卵形の石が鎮座している。
文字が彫られてなくのっぺらぼうの石像である。文献で調べるとこれは無縫塔といってお坊さんのお墓なのだそうだ。
なお、猿岩と同じでここもルートから外れるので立ち寄るのは必須ではない。なにかが出てきそうな雰囲気があるし、、、(笑)


無縫塔から北西に向かって広い斜面の、はっきりしない尾根をかすかな踏跡を頼りに下りていく。


傾斜が緩くなると廃屋となったプレハブの小屋が見つかる。馬蹄形ルートのランドマークともいえる重要なポイントなので見落としてはならない。
この後、小屋の脇を通り抜け左折して傾斜を下りて右折という手順を踏むが、これがなかなか難しい。


プレハブ小屋の先を左折して右折して林道を横切って藪を突っ切ると林道内倉線と並行するこの沢と出合う。沢というよりも土砂が堆積した現場という方がわかりやすいかもしれない。
昨年9月の台風による大雨でピーク444の中腹が大きく崩落し、その土砂が沢を埋め尽くしたのである。


上の画像の沢を横切ると林道内倉線と交わる。その林道も横切って斜面に突入する。
薄い踏跡があるので大丈夫でしょう。


林道内倉線を横切って樹林帯の中の踏跡を辿りこの奇妙な形の岩が見つかったら正解。
名前は腰掛岩という。いわれはその形でしょうね。なお、腰掛岩に至る尾根筋はとてもわかりにくい。地図とコンパスの出番といえる。


腰掛岩は西側にあるいくつかの尾根が合わさった位置にあり、ここで進路を東に変えてピーク444を目指す。ピーク444は地図には記載があるが平坦なので見落としてしまう。石の祠が目印。


さあ、これからが馬蹄形ルートの核心部分となる。
多いときは尾根が3つに分岐するからたまったものではない。
3つに分岐する尾根の、自分はどちらに行ったらいいのかをあらかじめマーカーで塗っておくといいと思う。
ピーク444からピーク383の間で見ると進むべき方向は東北東から東南東の範囲にある尾根が正しい。
ピーク444を過ぎると尾根は崖で終わっているがそれが正しいので慌ててはならない。すぐ左にロープがかかっている岩があるので下る。


ロープを伝って崖を降りると再び尾根になるので進む。地図を見るとピーク383の手前(西側)に林道が描かれている。
画像はその林道に向かう藪の斜面。一年前より藪が深くなり踏跡を隠すほどになっている。ここは勇気を持って突破しよう(^^)
ちなみにこの藪を下ると地図の林道(軽車道)と交わるが、林道といってもすでに廃道となっていて人が通れるほどの幅しかない。地図だけだとわからない混乱する箇所だ。


地図の林道を横切ってピーク383に上ると尾根は方向を北東に変える。それから次に東へと変えて現在地に来た。ここはピーク559を経て古賀志山とピーク431を経て鞍掛山に至る分岐点。管理人はここを便宜上、手岡分岐と呼んでいるが地図にはもちろんそんな名称はなく、場所が日光市手岡だから記号のつもりで管理人が勝手につけたものだ。
馬蹄形ルートは一応、ここで終わりとなる。
ここをピーク559へ向かって南へ進めば古賀志山に至るし、体力にまだ余裕があれば鞍掛山へ向かってもいい。
ちなみに、管理人が手にしている地図は過去4回の軌跡を描いたものだが、初めての場合でも進むべきルートを地図に描いておくことをお勧めする。


手岡分岐を過ぎた辺りから両太ももの内側が引き攣れる。それに傾斜で脚を曲げるたびに右膝の外側が痛むようになった。
馬蹄形の右回りは長くて急な上りが多いので脚への負担が大きい。前回の山行は先月27日だったから7日ぶりで、インターバルとしては悪くないのだがその間、デスクワークの時間が長かったため下半身の筋が硬化したのが原因だと思う。
太ももの痙攣は症状がまだ軽いから我慢できるが膝の痛みは耐え難い。管理人を長年悩まし続けている腸脛靭帯炎である。発症すると入念な手当しなければ治らないので鞍掛山は諦めてショートカットすることにした。
ミネラルを多く含んだサプリとロキソニンでごまかす。腸脛靭帯炎にはなんら効果がないのはわかっているが困ったときの神頼み(泣)


予定していた鞍掛山を見ながら長倉山(地図に記載なし)へのショートカットの道、北尾根を進む。


ほう、アキノキリンソウがまだ咲いている。


オヤマリンドウ


ようやく長倉山に。


森林公園駐車場まであとわずかのところまで来た。16時半を回って辺りは薄暗い。
膝の痛みは我慢の限界に達している。
早く車に乗り込んで家路へ急ぎたい。風呂とビールが待っている我が家へと。
あっ、それから、天気のいい祝日にもかかわらず御嶽山からここまで誰とも出会わなかった。馬蹄形ルートを独占したわけだが言い換えれば高リスクと隣り合わせだったということでもある。
馬蹄形ルートを歩く際はくれぐれもお気をつけください。携帯が通じない場所も多いですし。


記事のタイトル通り、スタート地点の森林公園駐車場と山域最高峰の古賀志山との標高差は367メートルと、古賀志山は里山特有の登りやすい顔をもっている。
ところが、馬蹄形ルートを歩くとなるとアップダウンが連続し、上り分を足した累積標高は標高差の数倍にもなる。今日、管理人は馬蹄形の東側も歩いたわけだが、累積標高は1522メートルに達しこれは男体山に匹敵する。
距離でいえば14キロ歩いたがこれは霧降から女峰山を往復するのとほぼ同じで、累積標高が300メートル少ないだけだ。古賀志山は里山の域を超えて立派な山岳登攀である(^^)
なんども書きますがこのルートは誰にも会わないことが多く、疲労や怪我で身動きが取れなくなっても助けてもらえない。携帯の通じないエリアがあります。複数人で歩く、読図ができる人と同行するなど最善の方法を選択してください。

累積標高の詳しい説明


今日、歩いたルートを青線で示している。
赤線は過去4回の軌跡で地図中央の点線から左(西側)を馬蹄形ルートという。点線から右はオプションなので自身の脚力に応じて加えるのがいいと思う。鞍掛山を回ると18キロにもなるからそれなりの疲れは覚悟の上でどうぞ(笑)

今日、管理人は森林公園を出発して古賀志山へ出てそれから馬蹄形ルートを歩き始めた。割とすんなり歩けたのではないかと思う。青い線からはみ出している過去の軌跡から比べると格段の進歩だ(^^)
それでもまだ地図とコンパスは必要とするから、はっきりした1本の道が山頂まで続く日光の山々に比べれば難しいし侮れないルートである。古賀志山は奥が深い。

出発点だが森林公園(赤川ダム)の他に、古賀志山から北ノ峰にかけての主稜線の南(岩下道)から主稜線に這い上がるという方法もあるが、道が複雑でとてもではないが読図ができない人には無理だと思う。
その古賀志山へは地理院地図に道が描かれている北コースの他に上図には書かなかったが中尾根コース、東陵コース、南コースがある。管理人としては安全性とわかりやすさの観点から、北コースをお勧めする。