待った甲斐あって秋晴れの女峰山へ。女峰山は間違いなく日光一の山だ。

2022年10月30日(日) 快晴

女峰山(2483m)の難しさはこのブログでなんども取りあげているが、管理人が述べる難しさとは技術的な面だけではない。
歩き始めてピークを6つ越え、7つ目に達してようやく女峰山の山頂というだけあって、とてつもなく遠い。行けども行けども山頂に近づいた気がしない。
ピークが多ければその間、多くのアップダウンがあって嫌でも体力を消耗する。
往路でアップダウンがあるということは帰りも同じ数のアップダウンがあるということだ。登りの時間と下山の時間があまり変わらないのも女峰山の難しさを表している。
強い精神力とスタミナを要求されるのが女峰山なのである。

精神的にも肉体的にも女峰山に目標を合わせてピークにもっていく。
それはまさにアスリートが競技に臨む姿勢と同じなのである。
アスリートになった気持ちでメンタルを良好な状態になるよう調整しつつ、食事管理に努めさらには筋トレによってスタミナを蓄える。
それが女峰山登山を前にしたアスリート的アプローチといえる。

話は変わるが、管理人がソロで登る場合、直前の予報を見て山行を決めることが多いが同行者(お客さん)がいるとそうはいかない。
予定がびっしり詰まっているお客さんのことだから中止にするならできるだけ早いタイミングがいい。
しかし、天気予報は日々変わるから予報が確定する直前まで決定を待ちたい。
そんな葛藤がある。
何日も前から予報をウォッチしているうちに胃がキリキリと痛みだす。
今日のお客さんとの予定は二度も中止にしている。
3度目の中止などあってはならない。

8月は雨の予報に加えて管理人がスズメバチにやられて中止、9月は台風14号の影響による雨で中止。
再々挑戦の今日こそ、天気に恵まれて欲しかった。
10月になってそれまでの悪天続きが嘘のように秋晴れが続いている。
今日は前2回の不運を吹き飛ばすかのような快晴で、絶好の女峰山日和となったのである。
女峰の神様に歓迎されているような気がする。

メモ(GPSはGARMIN Instinctを使用した/Geographicaは電源入れ忘れる)
・歩行距離:14.3キロ(GPSログをカシミール3Dで処理した値)
・所要時間:10時間33分(写真撮影と休憩を含む)
・累積標高:1838メートル(アップダウンのうち、上昇分の累積)

女峰山は長時間の山行になるため四季を問わず、6時前に歩き始めるのが必須。
今日は6時の日の出に間に合うよう5時20分にペンションを出発した。
車をキスゲ平第3駐車場に駐めて5時55分に天空回廊を上り始めた。


東の地平線が朱色に染まって太陽がお出ましになった。
神々しい光に合掌。


昇ったばかりの太陽が自然を朱色に染め上げる。
まさに燃える秋。


天空回廊の中段となる700段目に来て息を整える。
ここから先はスキー場(昔、ここはスキー場だった)の上級者コースになるため階段の傾斜もきつくなる。
ここから先は100段ごとに1分間の休憩を取りながら上るのが疲れないコツ。
計6回、6分の休憩だが疲れ具合が全然違うし全行程時間にはほとんど影響ない。


振り返ってもう一度太陽を拝んだ。


100段ごとに立ち止まっては景色を眺め、お喋りをすること6回、それでも38分で天空回廊のトップに到着。そのおかげでここまで疲れはない。
展望台に上がって下界の景色を楽しんだ。
富士山が見えた。


階段のトップから少し進むと広い平面のある小丸山(1601m)に着く。
正面(西)に1番目のピーク、赤薙山が見える。
目指す女峰山は赤薙山の西の延長線上に位置するがルートとしては赤薙山の右に見えるピークへ向かって北へと進む。その後、半円を描くように左回りに進んでようやく女峰山に着く。
さて、この空の色から察すると女峰の山頂は晴れているはずなのだが、是非そうあってほしい。
管理人、この赤薙山の麓に住んでいるがこれほど澄んだ空を観るのは一年のうちでもそれほど多くない。


ここ数日の冷え込みは厳しく、標高1601メートルの小丸山はあちこちで霜柱が立っていた。


笹原の中の登山道を抜け、ガレ場を慎重に歩いて標高1800メートルの焼石金剛に到着。
ここから眺める高原山(鶏頂山、釈迦ヶ岳、中岳、西平岳の総称)と福島県境の山並みは感動するほど美しい。


先は長い。
赤薙山を正面に見ながらゆっくり歩いて行く。
普段の山歩きよりも遅いかなというペースで登っていくくらいがちょうどいい。


赤薙山山頂へは2時間弱。
お客さんと一緒のペースとしてはこれでいい。


赤薙山山頂はコメツガに囲まれて展望が悪いが1ヶ所、鳥居の奥に狭いながらも視界が開けている場所がある。
中央のピークの右斜面に米粒ほどのピークが見えるがあれが女峰山。
ここから6つ目のピークという遠さである。


去る24日、下界に降った強い雨は日光連山では雪となり、麓からでも冠雪していることが分かった。
それから数日経った今日、北斜面の雪はまだ残っていた。


4つ目のピーク、一里ヶ曽根独標。
全行程の3/4まで来てようやく女峰山が手中に収まる距離となった。
だがアップダウンはまだ続く。


今日は女峰山が初めてというお客さん2人を伴っているので展望のいいところで立ち止まっては話に花が咲く。
退屈しない登山となっている。


ピーク2318から女峰山を眺める。
まだ遠いが山頂の山名板が見える。
山頂にいる人の姿も見える。
画像中央のなだらかな稜線の右のピークが女峰山。


幅30センチほどの狭いルートを慎重に進んで行く。


こんな場面も、、、


と~ちょ~!!
山頂の真下、女峰山神社の祠前からローアングルで1枚。
このアングルからの女峰山頂はネットを探しても見ることがなく、貴重な1枚。


喜びを噛みしめるYさんとHさん。
疲れた様子はない。
ちなみに、晴れた日の山頂は逆光になるので写真としては良くない。


女峰山でこれほど天気に恵まれることは少ない。
左から男体山、大真名子山、小真名子山、その右斜め奥に太郎山、小真名子と太郎の間に白根山が見える。
暑くもなく寒くもなく、まさに秋晴れの爽やかな山頂で30分ほど過ごして下山にかかることにした。
今日は霧降高原からのピストン山行だが、霧降高原側から登って日光市街地近くに降りるマニアックなルートもある(最後の地図参照)。
距離が長い上に標高差が大きいのと、背丈ほどの笹をかき分けながら歩かなければならないという苦行を強いられるが挑戦するに値する(笹は6月までなら問題ない)


一里ヶ曽根独標とピーク2318との鞍部にある水場。
利用できるのは5月から11月まで。それ以外は雪に埋もれてしまう。


水場を出ると目の前に大きなピークが待ち構えている。
一里ヶ曽根独標である。
疲れた身体にこの登りはきつい。


独標に上がるとピーク2209まで、ほとんど平坦な尾根歩きとなる。
アップダウンはこれからも現れるのでこの平坦な区間で体力の回復に努める。
常緑樹アズマシャクナゲの群落があり緑が楽しめる。


奥社跡を過ぎて赤薙山山頂のすぐ手前まで来ると分岐があって山頂を回避できる。
赤薙山山頂から先は木の根が露出した歩きにくい道なのでここは歩きやすい分岐路に入る


赤薙山を降りると小丸山に延びる緩やかな稜線に変わる。
ここまで来ると長かった女峰山へのルートが間もなく終わるのだという実感が湧く。
これから焼石金剛のガレ場を抜け、天空回廊を下ればゴールだ。
気を抜かず、落ち着いて歩こう。


天空回廊のトップ。
こんな時間にもかかわらず上がってくる人がいるほど天空回廊は人気がある。


歩き始めて10時間半、なにごともなく無事に下山することができた。
参加した常連さん二人は行程中、笑顔を絶やさず管理人を和ませてくれた。
それはそうだろう。
二度にわたる中止に忸怩たる思いでこの日を待ったのだから。

管理人はいつになく饒舌だった。
ガイド登山の場合、先を急ぐあまりポイントごとに簡単な説明をするだけで終わることが多いが、今日は休憩するたびに口がくたびれるほどよく喋った。
今日の天気に気分を良くしたふたりの女性による麻薬効果で管理人はいつになくハイな気分になっていたようだ。

ところで前回の古賀志山(10月20日)における腸脛靭帯炎だが、今日は発症しなかった。
発症した翌日から両脚裏のストレッチ、大臀筋と腸脛靭帯の筋膜リリースに取り組んだ。当初、ストレッチは思うようにいかずまた、筋膜リリースは猛烈に痛かった。だが、朝晩、継続的におこなっているうちに硬化していた筋肉がほぐれたのか、痛みは軽減した。
その効果であろう、腸脛靭帯炎は発症することなく下山に至った。
腸脛靭帯炎の原因は大臀筋と腸脛靭帯の硬直によることは疑いの余地がない。
腸脛靭帯炎に悩む読者におかれてはYouTubeを参考にして痛みの解消にチャレンジしてみては、、、

ちなみに、管理人の女峰山登山は2002年の初登から数えて今回で24回目となった。


女峰山へのルートを5本、紹介しておきましょう。
ルートの名称は管理人が勝手につけたもので正式な名称ではありません。
登山口の場所や全体の位置関係については昭文社「山と高原地図・日光」を参照してください。
なお、登山口までのバス便があるのは霧降ルートですが本数が少ないためバスを利用した日帰り山行は厳しい。

Ⅰ:霧降ルート
Ⅰ-1:霧降→女峰山→霧降(14キロ)
Ⅰ-2:霧降→女峰山→帝釈山→女峰山→霧降(16キロ)
※もっとも多く利用されているスタンダードなルートでマイカーでのアクセスがいい)。
※霧降→女峰山→霧降の山行記録(当記事)
霧降→女峰山→帝釈山→女峰山→霧降の山行記録

Ⅱ:黒岩ルート(別名バカ尾根ルート)
霧降→女峰山→行者堂(18キロ)
※行者堂近くに背丈の笹藪あり。
※下山後、車を回収する必要あり。
霧降→女峰山→行者堂の山行記録
行者堂→女峰山→霧降の山行記録

Ⅲ:寂光ルート
霧降→女峰山→寂光滝(19キロ)
※寂光滝近くに背丈の笹藪あり。
※下山後、車を回収する必要あり。
※山行記録は寂光滝→女峰山→霧降。

Ⅳ:志津ルート
三本松→飯場跡(P可)→(林道を5キロ)→志津乗越→女峰山→帝釈山→富士見峠→志津→(林道を5キロ)→飯場跡→三本松(26キロ)
※飯場跡~志津まで片道5キロの林道歩きがあるので時間と労力の無駄(と管理人は思う)。
※かつては女峰山のスタンダードルートだったが、志津乗越に車を駐めることができなくなった現在、片道5キロの林道歩きを強いられるようになった。今では最長距離ルートとなった(志津乗越から先は素晴らしいルート)。

Ⅴ:帝釈山北ルート
野門(日光市栗山)→帝釈山→女峰山→帝釈山→富士見峠→野門(20キロ)
※地理院地図にも「山と高原地図」にも道がない。
※長い藪があるため読図力が必要。
※歩く人はほとんどいない。

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