カテゴリー別アーカイブ: 日光北部(赤薙・女峰・丸山など)

スノーシューの下見で赤薙山にチェーンスパイクで登る(雪はまだ中途半端)。

2017年1月10日(火) 晴れ、気温0~4度

一昨日8日の夕方から降り始めた雪は21時前には止んでしまったが、標高820メートルの我が家で5センチほど積もった。ただし、水分をたっぷり含んだ重たい雪だったことに加えて、気温は夜になっても下がらず、屋根の雪は早くも融け始めてボタボタと庇を叩く音が聞こえる始末だった。

本来なら今頃すでに管理人がガイドを務めるスノーシューツアーが賑わいを見せる時期だが、今年も昨年に続く暖冬少雪で、開催が大幅に遅れる見込みだ。
天気予報によれば11日に日本海側に寒気がやって来て、日本海側と北日本は寒気が通過するまでの間、かなりの降雪になるらしい。日光の山沿いは冬は日本海側の気象の影響を強く受けるため、日本海の上空に寒気が押し寄せるとそのおこぼれに預かり、雪が降る。
8日に降った雪が融ける前に11日から連続して雪が積もれば根雪になりスノーシューができるようになる、そんな期待をしている。

8日に降った雪は我が家の周辺ではすでに融けてなくなってしまったが、山ではどんな具合だろう。
取り急ぎ、近場の山、赤薙山に登って状況を確認することにした。
なお、タイトルに書いたように積雪量が中途半端な雪の降り始めはスノーシューだと木の根や段差に引っかかって危険だし、靴のままだと滑る。そんなときはチェーンスパイクが威力を発揮する。装着が簡単だから場面場面で着けたり外したりできるし、アイゼンほどではないがそこそこのグリップ力があるのでアイスバーンを除けば滑ることはない。なによりも軽いし薄いし柔らかいので、着けていることを意識せず違和感なく歩けるのがいい。
管理人はこれをオールシーズン活用している。→無雪期の使用例


霧降高原道路をキスゲ平に向けて走っていると赤薙山が次第に大きく迫ってくる。
ここは反対車線に待避所があって写真を撮るのに最適な場所。この先へ行くと今度は赤薙山が頭上にかぶさるほど巨大になる。女峰山への通過点に過ぎないマイナーな山だが、目の前にすると山の雄大さがわかる。


赤薙山や丸山そして女峰山登山の起点となるのが霧降高原キスゲ平。
今日、目指す赤薙山は標高2010メートルだが、この1445段の階段がもっとも厳しいかも(^^)


階段を登り始めるとすぐ、ニッコウキスゲなどの高山植物を楽しむための散策路と交わる。標高は1370メートル。
そこにピッケルを突き刺し、シャフトに付着した雪を見ると約20センチと予想外に深いことがわかった。


次は階段700段目の散策路。標高は1470メートル。
先ほどより深く、30センチくらい。


階段の700段目の避難小屋から振り返り関東平野を眺める。
遠方は霞んでいるが筑波山まで見渡せる。この標高でこれだけの展望が得られる場所は奥日光にはないからキスゲ平の環境がいかに優れているかが知れる。


階段の最上部に到達した。
ここの標高は1582メートルだから、麓と赤薙山との標高差670メートルのうち、240メートルを階段で稼いだことになる。残り430メートルは緩やかな稜線歩きと短いが急傾斜。赤薙山は冬でも比較的安全に登れるから冬山入門の山としていいのではないだろうか。


いいっすね~、この大パノラマ。
キスゲ平は麓からも関東平野がよく見えるが標高が上がるにつれて展望はさらに広がりを見せ、大パノラマとなる。
画像は北西に位置する高原山(鶏頂山、釈迦ヶ岳、中岳、西平岳の総称)。高原山の左に那須連峰が見える。
奥日光だと2千メートル超えの山頂以外、展望を得るのは難しいが小丸山から赤薙山の稜線は2千メートルに満たないが最高なんである(^^)


お~、今日は富士山が見える。
同じ位置から南南西に180キロ。


標高1601メートルの小丸山に出た。
ここから女峰山(実際には帝釈山)まで実に長い稜線が続く。
ところで、いつもと雰囲気が違うなと思ったら山名板が新しくなっている。以前は「キスゲ平」となっていたが「小丸山」に変わった。だが、地理院地図にキスゲ平も小丸山も表記はないから、国には認知されていない名称だと思う。
強いて言えば昭文社・山と高原地図に記載されている小丸山を通称名とするのが妥当なところか。
整理すると、天空回廊のあるキスゲ平園地全体(元のスキー場)をキスゲ平、キスゲ平を抜けてこの山名板のある場所を小丸山、小丸山から赤薙山を経て女峰山へ続く稜線を赤薙-女峰稜線と呼んで区分けするとわかりやすいと思う。
蛇足ながら、山名板の下の「標高一六〇一米」という表記は非常にわかりづらい。そもそも漢数字を横に並べて書くか?、書くなら縦じゃないのか?


今日の管理人の出で立ちはチェーンスパイクにピッケルという、ハイキングにしては大袈裟だし、冬山登山にしては中途半端なもの(^^)
とはいえ管理人、チェーンスパイクはオールシーズン使っているし、ピッケルは冒頭の画像でわかるとおり積雪量を計るのに持参した。


このように雪面に突き刺し、潜った長さで積雪量を知ることができる。
ちなみにこのピッケルの全長は標準の65センチなのでこの場所だとおおよそ50センチの深さ。


焼石金剛。
山名板と雪に埋もれた小さな社がある。
実は焼石金剛という名前だが、ここにはおそらく噴火で飛んできたのであろう大小の石がごろごろしている。
昔の人は大きな石(岩)が夕陽で真っ赤に染まるのを見て、それを神として崇めたのではないかと思う。それともうひとつ、実はふと思ったのだが、雪がまだ浅い今日、この周囲だけ雪がまったくついていない部分がある。地熱が高くすぐに融けてしまうのだろうか。それもやはり神の力と信じられたのかもわからない。


焼石金剛を過ぎると右側に樹林帯、左側に深い谷に挟まれた細い尾根となる。
雪の量が増えると谷側に雪庇ができ非常に危険な尾根に変わる。雪庇を踏み抜くと樹木のない斜面を為す術もないまま300メートル滑り落ちる。
樹林帯のきわが安全ゾーンだ。


赤薙山に導く道標。
道標にしたがって進むと木の根が露出した樹林帯を緩やかに登っていく。わずかでもいいから距離を短縮したい場合は画像正面に向かって進む。雪は深くなるが危険があるというわけではない。


山頂直下はしばし急傾斜が続くがこの林を抜けると、、、


赤薙山に到着。
小丸山から休み休み歩いて1時間42分、焼石金剛から56分。
休み休みというのは、雪の吹き溜まりに入り込んでもがいたり、振り返って景色を眺めたりしたことを指す。無雪期に女峰山へ行くときなどはこんなに時間をかけると登頂前に陽が暮れてしまう。


赤薙山山頂からの眺めは鳥居をくぐったところの崖っぷちからのみ。
そこからだと女峰山と男体山がよく見える。


こちらは男体山。


山頂の空気が冷たくなってきたので早々に退散することにしたが、今日はよく晴れ渡り、いい空の色をしている。


下りでやせ尾根を上から見たところだが進行左側は樹林帯で右は中ノ沢へ落ちる斜面。なかなか怖い。


雪庇にピッケルを突き刺すとヘッドまで埋まる。深さは80センチはあるだろうか。
ピッケルの数十センチ沢側に地面はなく、雪が載っているだけ。


小丸山まで戻りあとは階段で駐車場まで下ってお終いとなる。


最上段から700段目を見おろしたところ。
気温が下がるとこの雪は凍りつき、間違いなく滑る。
これからの季節、階段を利用する方は十分ご注意のほどを。

今年5回目の母なる山、女峰山は久しぶりに絶景で迎えてくれた。

2016年11月7日(月) 晴れ

天空回廊(6:00)~日の出の写真多数撮る~階段最上部(6:35)~小丸山(6:38)~焼石金剛(7:12/7:20)~赤薙山(7:48/8:00昼食)~奥社(8:54/9:00)~P2209(9:15)~P2295/一里ヶ曽根(9:53/10:00)~P2318(10:26/10:30)~女峰山(11:14/11:30写真と立ち話)~帝釈山(12:01/12:35昼食)~女峰山(13:10/13:15)~P2318(13:56/14:05昼食)~水場(14:19)~P2295/一里ヶ曽根(14:38)~P2209(15:10)~奥社(15:27)~赤薙山巻道(16:10)~焼石金剛(16:30)~小丸山(16:53)~階段最上部(16:58/17:08)~天空回廊(17:30)
※距離:17キロメートル
※累積標高:1830メートル
※所要:11時間30分

7・8年ほど前から、長い登りが終わった後の下りで右膝の外側が痛くなる、腸脛靭帯炎に悩まされている。
腸脛靭帯炎は若きアスリート、中でもランナーによく起こるというから、一般の膝痛とは原因が異なるものと考えて対応した方がいいらしい。グルコサミンやコンドロイチンといったサプリをいくら飲んでも効果はない。なぜなら関節ではなく、靱帯そのものの痛みだから。

でまぁ、3日に古賀志山の馬蹄形ルートを歩いたときに腸脛靭帯炎を発症し痛みを我慢しながら下山したのだが、よせばいいのに翌日4日、100パーセント晴れ保証との天気予報につられて女峰山に行くつもりで歩き出したのだ。
天空回廊を登り始めてちょうど10分、700段目にさしかかったときに右膝に違和感があり、試しに700段目から数段下ってみると前日と同じ痛みを感じたことから、腸脛靭帯炎に間違いないと判断し、わずか10分歩いただけで大事をとってリタイヤを決めた。前日発症した腸脛靭帯炎が治っていなかったのだ。

→2016年11月3日 古賀志山・馬蹄形ルート

腸脛靭帯炎は膝の外側を通る腸脛靭帯が膝関節とこすれることで炎症を起こし、それが痛みとなって現れる症状だが、腸脛靭帯が膝関節とこすれるのは理由がある。
腸脛靭帯は膝の外側を通って脛骨とつながっているので、こすれる下地がもともとある。
だからといって山歩きする人全員がなるわけではないし、管理人も右足だけが痛くなる。人はすべて同じ脚の構造をしているにもかかわらず、腸脛靭帯炎になる人ならない人、片足だけなる人などさまざまいるわけであり、そこには固有の原因があるはずだ。
管理人の場合、なぜ、右足なのかというと2009年に起こした踝の骨折が原因している。
手術は成功(医師の弁)し骨はくっついたが以来、右足だけがO脚となり左右のバランスがよろしくない。

腸脛靭帯炎は腸脛靭帯と繋がっている大臀筋と大腿筋膜張筋の緊張が原因している。大臀筋と大腿筋膜張筋がなんらかの理由で緊張(硬縮といったほうがいいかもしれない)すると、繋がっている腸脛靭帯が引っ張られて、膝関節とのすき間がなくなり膝関節と接触するようになる。すると膝の曲げ伸ばしによって接触が繰り返しおこなわれるようになり、次第に炎症へと発展する。
管理人の場合、左右の脚のバランスが悪いために右側の大臀筋と大腿筋膜張筋が絶えず緊張を強いられていて、腸脛靭帯炎になりやすい。

過去になんども腸脛靭帯炎を経験しているから治し方は知っている。
大臀筋と大腿筋膜張筋をほぐすためのストレッチが効果抜群だ。やりかたは動画で見たり画像入りの説明を見る方が理解しやすいので、管理人と同じ症状で悩んでいる人はどうかネットで探してほしい。

3日に発症、下山後、簡単なストレッチだけで4日に女峰山に挑戦してリタイアしたのは自業自得と言える。一度くらいのストレッチで治るほど、腸脛靭帯炎は軟弱ではないのだ。晴れとの予報に目がくらんで欲を出したのがいけなかった。

4日の夜から一日2回、延べ5回、大臀筋と大腿筋膜張筋、太もものストレッチをおこなって今日に臨んだ。
結論を言うと、霧降から女峰山を経て帝釈山を往復しても懸念した腸脛靭帯炎は発症しなかった。いつ発症するかいつ発症するかと心配しながら歩いていたのだが、幸いなことに何ごともなく下山することができた。
お尻周りのストレッチは腸脛靭帯炎の予防に効果大ということだろう。
距離約17キロ、時間にして11時間だった。

ではぼちぼち山行記録に取りかかるとしましょう。
参考:今年の女峰山の記録
07月20日(水) 野門から帝釈山経由で10回目の女峰山・・・
07月04日(月) 女峰山を寂光神社から・・・
06月10日(金) キスゲ平から女峰山、帝釈山ピストン・・・
04月06日(水) 残雪の女峰山へチェーンスパイクで・・・


6:00
まだ夜が明けぬ時刻。辺りは薄暗い。
気温、プラス1度。寒い。
予報によると今日は一日中、晴れるそうだ。
今年5回目となる母なる山、女峰山へ向かって歩き始めることにする。


6:09
おっお出ましになった(笑)
ちょうど鹿島灘の方角。
どうか予報通り、いいお天気でありますように。
そして、腸脛靭帯炎が発症しませんように。
さらには、誰とも会わず、女峰山を独り占めできますように(笑)


6:15
天空回廊の700段目。
4日はここまで来て腸脛靭帯炎の痛みに耐えかねてリタイアした。


陽がだいぶ昇った(天空回廊700段と800段の間から)。
う~ん、いいですなぁ。


6:35
天空回廊のトップ。
陽が昇る方向をなんども振り返りながら階段を上ったため35分も要したが、ゆっくりだった分、疲れは感じない。


6:38
小丸山。
すぐ目の前に赤薙山が望めるが今日、目標とする女峰山と帝釈山はまだずっと先。
朝日が回転ゲートの影を作り出している。影がずいぶん長い。


赤薙山へ向かう稜線から北東に目を向けると高原山が見える。
陽はまだ昇りきっていないので幻想的な光景だ。


7:12
焼石金剛に到着。
8分の休憩。


冬の訪れを物語るかのように一面、霜、霜、霜。


赤薙山直下のやせ尾根を通過中。赤薙山はもう目の前。
笹原を抜けて樹林帯に入ったら15分くらいだ。


7:27
樹林帯に入る前に道が分岐するがどちらの道を行っても途中で合流して赤薙山に行ける。
こちらは直登コース。道標の示すコースよりもややきついといった感じだが登りやすい。


7:48
途中、写真を撮るのと休憩を含んで1時間48分という、まったりペース。


赤薙山は神社の鳥居のうしろだけが開けていて、女峰山と男体山が垣間見える。
写真中央のピークの右が女峰山。ルートは写真右端から大きく左へ曲がりながら達する。


こちらは男体山。


このルートでもっとも疲れるのが赤薙山から赤薙奥社へ向かう区間だ。
距離は1キロだが標高で200メートルも上がる。
景色は見えないし道は荒れているし、ただもう黙々と歩くしかない。


岩が多いのも特徴。


8:54
ふ~、ようやく奥社に到着。ここまでがひと苦労だった。6分の休憩。
標高は2203メートル。スタートが1345メートルなのでここまでで858メートルも登ったことになる。女峰山まであと280メートル登ればいい。だがそう簡単にはいかない。標高差は小さいがアップダウンの激しい道を4キロ弱歩く。それに今日は帝釈山を往復する計画だ。とてつもなく長い。


奥社を過ぎると下ってそれから登り返してピーク2209に達する。
2203メートルから2209メートルへ6メートルの登り、、、とこれも数字通りにはいかない。
一旦、2152メートルの鞍部に下ってそれから登り返すからだ。
実際にはピークを左へ巻くようになっているため、積雪で道が見えないときにピークを目指すと藪に入ってしまう。冬はリボンに忠実に従って進むことを勧めたい。


9:14
ピーク2209の稜線に乗ったところ。
ここはハクサンシャクナゲが群落している。


9:21
「ヤハズ」。矢筈って書くんだろうか?


ヤハズに来てようやく女峰山への道のりが一望できるようになる。
まだまだ遠い。


シャクナゲが早くも来年の花芽をつけている。
開花は7月なので半年以上かけて栄養を蓄えるのだろう。


ヤハズから先、ピーク2295(一里ヶ曽根)まで、ほとんど平らな道。
1100メートル歩いて60メートル上がるだけという快適さだ。だが、ここでペースを上げてしまうと山頂でバテてしまうから意識してゆっくり歩くのがいい。


9:53
ピーク2295の一里ヶ曽根に到着。7分休憩。
女峰山が眼前に迫ってきた。
あと乗り越えるのはピーク2318だけだ。


一里ヶ曽根からガレた急斜面を恐る恐る下りるとピーク2318との鞍部に出る。
鞍部の距離は短いが広々していて気持ちがいい。
ただし、目の前にピーク2318が立ちはだかっていて気後れする。


10:04
水場を通過。
歩き始めて4時間経ったので、夏だったらここで補給しておいた方が安心かもしれない。


10:26
ピーク2318に到着。立ち枯れした木があるのが特徴。4分休憩。
道はここから南へと転じる。


いよいよ始まった(^^)
これからしばらくの間、ガレ場があったり幅30センチほどの道を歩いたり、ロープで岩を登ったりというスリルを味わうことになる。


おぉ、女峰山をとらえたぞ!!
山名板が見える。人の姿も見える。


ロープがかかっているがあえて使う必要もないであろう。
ただし、下りは使った方が安全かもしれない。


ハイマツが茂る間を縫って、、、


見えるのは女峰山だけになった。


ハイマツ帯を抜け出すとそこに女峰神社がひっそりと建っている。


山頂目前。
管理人を追い越していった三人のうちのふたり。
このふたりよりも前にいた若者の姿が見えないが、帝釈山へでも行ったのだろうか。


11:45
晴れている(^^)
今年になって5回目の女峰山だが山頂で陽の光を見るのは今回で2回。他3回は一面の霧でなにも見えなかった。それだけにとても嬉しい。
先着の人と立ち話をして15分費やす。


西にこれから向かう帝釈山がよく見える。
その向こうに太郎山、左に小真名子山。


小真名子山(右)と大真名子山(左)


そして男体山。
それにしてもいい天気に恵まれた。
今日の女峰山は絶景をプレゼントしてくれた。ありがとう、厳しくも優しい母なる山よ!!
おっと、感動ばかりしているわけにはいかない。これから帝釈山まで行かなくてはならない。


専女山。
女峰山から帝釈山へはガレた急斜面を下り、ガレ場を歩き、この岩を乗り越え、急斜面を上がる。


12:01
女峰山を出て30分で帝釈山に到着。
燧ヶ岳を始めとして越後の山々を見渡せる帝釈山山頂。眺めは女峰山よりもいいんじゃなかろうか。
女峰山を目指してここまで来ないのは実にもったいないと思う。


誰もいない山頂を独り占めして満足顔の管理人。
このあと、管理人としては珍しく、たっぷり時間をかけて昼食とした。
管理人の山での主食はコンビニの菓子パンだが、360度の雄大な景色のおかげで最高のご馳走となった。


山名板の右が小真名子山、その左は大真名子山、さらに左が男体山。


中央右が太郎山で左が小真名子山。その間に挟まれて遠くに白根山が見える。


その白根山をズームで。


大真名子山とそのうしろに男体山。
う~ん、なんという絶景!!


さあ、あまりのんびりしているわけにはいかない。そろそろ引き上げなくては。
女峰山を仰ぎ見る。
まるで三角形の薄い板を立てたかのよう。こんな姿の女峰山を拝めるのも帝釈山だからこそ。


山頂直下のガレ場。
荒々しさでは白根山と同等だ。


13:10
女峰山山頂。


女峰山から帰りの道を俯瞰する。
いや~、とてつもなく長いね。ここからあの稜線の右端まで歩かなくてはならないとは。陽が暮れるな。


ピーク2318へ行くまでにこんな場所もあるが気をつけてゆっくり歩けば大丈夫でしょう。


13:56
ピーク2318。
右斜面は崩落していて深く切れ落ちている。
ここで降りてきた道を振り返り、大福をほおばる。


14:18
一里ヶ曽根との鞍部の水場を示す道標。正面に見えるのがピーク2295の一里ヶ曽根。
水場に立ち寄ってみることに。


14:19
小さい沢に差し込まれた塩ビ管からちょろちょろと水が流れ落ちている。
7月に来たときは2本の塩ビ管のうち、1本は涸れていた。


ピーク2209の手前まで来ると北東に大笹牧場が見えた(目一杯のズームだが)。


北西には栗山の集落が、、、


15:27
奥社を通過。


奥社から赤薙山への道は帰りの疲れた身体に堪える。


こんな場所もあるしな。


16:07
振り返ると、男体山に間もなく沈もうとしている陽が見えた。日の出と同じくらいにいい眺めだ。


16:08
ここで赤薙山を巻く道と分岐する。
崩落箇所があるので登山者はほとんど通ることがない。
今日は日没を覚悟で出発したので時間は気にしない。久しぶりに行ってみることにした。


歩く人がいないためか案の定、藪化している。
崩落箇所は見あたらなかったがここは通らない方が無難だ。積雪期は特に危なそう。


小丸山へ続く稜線の向こうには雲海が出ている。


16:30
焼石金剛を通過。
雲海の上に高原山が飛び出している。いい眺めだ。


16:58
小丸山を通り抜け天空回廊のトップまで来たときはすでに陽が落ちてヘッデン(ヘッドランプを指す業界用語・笑)に頼ることになった。毎度のことですが。


おかげで日光市街の夜景が楽しめるというオマケがついた。
天空回廊を下りきったのはちょうど17時半であった。


ルート断面図。
アップダウンが激しく標高差1136メートルに対して累積標高1830メートルにもなる。


地図はこちらを参照ください→16年6月10日

山はすっかり秋模様。霧降高原丸山そして赤薙山で秋の花を堪能。

2016年8月10日(水) 晴れのち曇り

霧降滝駐車場(6:25)~徒歩~キスゲ平(8:10/8:20)~八平ヶ原(8:49/8:55)~丸山(9:10/9:20)~丸山分岐(9:37)~焼石金剛(9:58/10:05)~赤薙山(9:19/9:30)~小丸山(11:05)~階段700段目(11:15)~キスゲ平(11:33/11:50)~徒歩~霧降滝駐車場(13:14)

※所要時間:6時間49分
※歩行距離:24キロ(うち、車道歩きが16キロ)

かつてに比べて売り上げが落ちたとはいえ、8月はやはり忙しい。
レジャー業界に身を置いているとお客さんなくしては経営が成り立たないわけだが、8月の忙しさが他の季節に分散してくれればいつもの月のように山歩きが楽しめるのに仕事の性格上、こればかりは管理人にはどうすることもできない。
お客さんからの電話も多いから常に携帯の圏内にいて、家人から電話で呼び出されたらその場で山歩きを中断して帰らなくてはならない。
だから8月は、ほんの少しのすき間時間を利用して、計画したとおりに事が運ぶような山歩きとなる。当然だが藪に阻まれてにっちもさっちもいかなくなってしまうような山は避けるし、滑落して身動きが取れなくなったら数日から数週間、発見されないというような山も避ける。努めて健全な山歩きを行うようにしている。

明日からまた数日間、本業で家を空けられないから、今週は今日しか機会がない。
危険のない安全な山でなおかつ、遭難しても発見されやすい山へ行って、明日からの仕事でバテない身体を作ろう。でも5キロや10キロでは物足りない。最低でも15キロいや、できればもっと長い距離を歩いて体力をつけたいと思う。

携帯圏内で、家人から呼び出しがあったらすぐに帰れて、安全で、遭難しても発見者がいてくれて、その上15キロ以上歩ける山、、、、う~ん、ちょっと思いあたらない。それは自分で言うのもなんだが、これまでの管理人の山歩きのスタイルを覆すような条件だ(^^)
寝床で地図を広げて考えたのはいつものように登山口から歩き始めて15キロ以上の山となるとやはり奥日光になってしまうから、上に書いた条件には合致しない。
そこで閃いたのが、登山口に達するまでの道のりで距離を稼いでしまおうという、我ながら目から鱗のアイデアだ(^^)
いつもなら登山口まで車で行くところを、ずっと手前に車を置いて歩き出せばいい。よしっ、これで15キロは確実だ。

場所は霧降高原の丸山にしよう。
登山口から北斜面へ回り込んで山頂に達し、小丸山を経て天空回廊をキスゲ平に降りることにしよう。キスゲ平は今頃、秋の植物で賑やかだろうから写真を撮りながら散策気分で歩こう。
さて、車をどこへ置こうかということになるわけだが自宅から丸山の登山口まで歩くことももちろん可ではあるが、より距離を延ばすためには駐車地を登山口からより離して霧降滝の駐車場を利用した。
霧降滝とキスゲ平間は路線バスが走っているから家人から呼び出しがあってもバスで駐車地まで戻れる。

1608010-1281608010-108

オヤマリンドウ(左)、ウメバチソウ(右)


6:32
霧降高原道路の霧降滝付近。
いつもなら車で通過するところを今日は歩く距離を稼ぐため、この道路を歩いてキスゲ平へ向かう。初めての体験なのでドキドキ(^^)


いい天気だ。
日光連山のうち、もっとも北西にある赤薙山(雲のかかった中央の山)と小丸山からのなだらかな稜線そして、丸山(右)が見える。
今日はあの丸山を裏側から登って手前の稜線へ降り、小丸山を経て登山口のキスゲ平に降りる予定だ。


霧降高原道路の両側は深い沢になっていて斜面にいろんな植物が生育している、ということが歩いて初めてわかる。
これはタマアジサイ。
手前に見える球形が蕾でこのひとつの玉の中に花の集合体が収まっている。なんだかとても神秘的。


シモツケ
シモツケという名のつくのは他にシモツケソウ、ホザキシモツケ、オニシモツケなどがあるが、「シモツケ」とは下野=栃木県のこと。すなわち、栃木県特有の花であるとか栃木県で最初に見つかった花であるという意味であり、同じ種類の植物というわけではない。


赤薙山がグンと近づいた(中央の雲がかかった山)。
日光ではもっとも低い2千メートル峰で楽に登れる。また、積雪期でも登りやすいので雪山入門の山としてうってつけだ。
冬の赤薙山へ登る。


8:10
歩き始めて1時間40分で丸山(1669M)、小丸山(1601M)、赤薙山(2010M)、女峰山(2483M)の登山口となるキスゲ平に到着。ここまで1時間40分かかったが当初の予定では2時間だった。
正面に見える小高い丘のようなのが小丸山でその右が丸山。小丸山はここからだと標高差が260メートルしかないが、1445段もの階段を昇る必要があるので管理人がもっとも苦手とするところ。
むしろ登山道を使って丸山に登ってから小丸山に降りる方が楽(^^)


まず丸山に登るのでここを右へ入る。
ハイキングコースとなっているが、厳しさから言って立派な登山コースです(^^)


笹がきれいに刈られていて路幅は広く、歩き易い。
笹は年に一度刈られるだけなのでグッドタイミング。


ニガナ、ハナニガナかな?微妙なところ。


ここで登山道は分岐する。直進すると天空回廊と並行して小丸山に達するが道は笹が伸び放題で荒れている。
丸山へはここを右に折れる。
なお、道標は丸山と赤薙山が同じ向きを指しているが上に書いたように荒れて廃道寸前。


丸山の北登山口となる八平ヶ原への道も笹が刈られて歩きやすい。


8:49
一面、笹におおわれて気持ちのいい八平ヶ原。
樹木のほとんどはダケカンバで新緑の頃はとてもきれいだ。
空気が澄んだ冬は遠く筑波山、高原山がよく見える。
これから写真に写っている丸山へと向かう。


オトギリソウ
昔、仲の良い兄弟がこの植物を使って秘伝薬を作っていた。製法は門外不出としていたが、金に目のくらんだ弟がノウハウを持ち出そうとした。それに怒った兄が弟を切り倒してしまったことから名がついたそうだ。と、本からの受け売りw


赤い実をつけたオオカメノキ


丸山の北斜面は傾斜が厳しい。
そのため、このような階段が2箇所、他に丸太を組んだ階段もある。


山頂近くから北東を眺める。
天気がよければ高原山が一望できるがご覧の通り、上空は灰色の雲が垂れこめている。


丸山山頂に到着。
濃霧。誰もいない。


9:15
今日の管理人の出で立ちは短パンに半袖、トレラン用の小型ザックに靴はランニングニューズという軽装。昼食は持たずお腹が空いたら行動食を食べながら歩くといった、長距離向きのスタイルにした。
やはり荷物の軽量化は身軽に動けるし機動力がまったく違ってくる。
女峰山などもこの身軽さで登れば時間は大幅に短縮できるのにねぇ。


丸山山頂ではすでに葉を赤く染めたヤシオツツジが見られた。
これはシロヤシオでしょう。この夏は短いのかも?


オヤマリンドウ


小丸山と赤薙山を結ぶ稜線に出てこれから天空回廊で降りることに、、、、


と思って時計を見ると、まだこんな時間か。
ここで帰ってしまうのもなんだなぁ、悔いが残りそう(^^)


魅力的な稜線が手招きしている(笑)


シロバナニガナ


このガレ場、管理人がどこへ向かっているのか赤薙山や女峰山に登ったことがある方にはこの光景を見て思い当たると思う(^^)


9:58
とうとう焼石金剛まで来てしまった。
ここまで来れば往復20キロは稼げるはずだが、赤薙山がすぐ目の前に迫っている。30分で行ける距離だ。
赤薙山が管理人を呼んでいる(笑)


おぉ、信じられないことにこんな場所にウメバチソウが。本来、戦場ヶ原のような湿地帯に生育する植物なのだがウメバチソウに間違いないと思う。


やせ尾根には濃いガスがかかり前方が見えない。


山頂直下の岩場を這い上がって、、、


10:19
とうとうここまで来てしまった。
では次は女峰山へ?
いや、そこまで欲張ってはだめだ。事故の元だ、と冷静さを失わない管理人なのである。いつもそうだと良いのだが(^^)


アキノキリンソウ


それにしてもオヤマリンドウが多い。
至る処で目につく。


シラネニンジンでしょう、きっと。


11:05
小丸山に降り、これからあの回転扉の向こうへ。さあ、今度はなにが待っているのか?


ヤマハハコ


ノハラアザミ


天空回廊の近くまで来てようやく前方の景色が見えるようになった。中央に見えるのは大山。


11:08
天空回廊の最上段。
ここから急降下して700段目から園地の散策路を歩く予定だ。


天空回廊は700段目まで一直線に続いている。
下からぞろぞろとハイカーや観光客が上ってくる。すれ違うにはまだ時間があるからランニングシューズの身軽さで駆け下りよう。


シロヨメナ


11:15
700段目に立てられている避難小屋が見えてきた。
この手前から園地内の散策路に入れるので、これから先は花を眺めながらゆっくり歩くことにする。


ヨツバヒヨドリだがほぼ咲き終わっている。


ドクゼリかな?


オカトラノオだと思う。


ツリガネニンジンも至る処で見られた。可愛いねぇ。


コバギボウシ


11:51
天空回廊を降り振り返ると、朝とは違って小丸山と丸山に黒い雲が。間もなく降り出すかも?
さてと、ここまで無事に来れたので駐車地までバスに乗ることもない。
道は下りなので走ったり歩いたりしながら戻ることにしよう。


1リットル持参したスポーツドリンクは200ミリほど残った。8月にしては異例のことだと思う。
曇天で気温が上がらなかったのと適度な風でダラダラと流れ落ちるほどの大汗をかくことがなかったからだが、これが長距離を歩くのに幸いしたようだ。なんとか24キロを歩ききることができた。

自宅に戻ったら風呂に入ってその後、ビールをグビッとやろうと考えていたのだが、いざ入浴を済ませるとビールではなく冷たい水が無性に飲みたくなった。
生暖かいスポーツドリンクは残したけれど身体はきっと、もっと多くの水分を欲していたのだろうと思う。
汗はかいたものの気温が上がらなかったので喉の渇きを感じることがなく、それで少量のスポーツドリンクで済んだのだが、実際には現場でもっと多くのスポーツドリンクを飲んでおくべきケースだったのかもしれない。
まあでも、熱中症になったわけではなく、帰りの車道は走って駐車地まで行けたので問題なしとしよう。

高山植物が足下で見られる絶好の場所、小田代ケ原や戦場ヶ原へは今年はまだ一度も行っていない。
この季節でも高原を吹き抜ける風は涼しいし開放的な景色が好きでよく通ったものだが、行くとかならず小学生の団体と遭遇して、すれ違いや追い越しに苦労する。
小田代ケ原と戦場ヶ原は5月から始まる体験学習や夏の林間学校の定番になっているからこの季節は賑やかだ。その点、霧降高原は静かな環境でゆっくりと花を見るのに適している。
我が家から近くに位置し、散策やハイキング、赤薙山や女峰山への登山にも便利だ。冬はパウダースノーシューの中、スノーシューを楽しめるという、万能性がある。ここに小学生の団体は似合わない。

日光にこんな華麗な滝があるなんて得した気分、野門の布引滝。

2016年7月29日(金) 曇り

野門沢林道ゲート(7:10)~階段(7:28)~鳥居(7:39)~展望台(7:55/8:02)~林道終点広場(8:18/8:20)~布引滝分岐(8:37)~野門沢ロープ(9:29)~布引滝(10:12/10:25)~野門沢ロープ(10:57/11:15)~布引滝分岐(12:09/12:25)~林道終点広場(12:57/13:08)~展望台(13:21/13:35)~林道ゲート(14:10)
※所要時間 7時間
※距離 13キロ


梅雨が明けた。
平年より3日早く梅雨入りし、平年より7日遅い梅雨明けとなった。
しかし、梅雨明け特有のあのジリジリした日差しがない。そればかりか管理人が住む日光霧降は梅雨明け間近に必ずあるはずの雷がなかったし、7月だというのに気温が上がらず、暖房を使うほど寒い日があった。
それでも梅雨は明けた。が、時期が時期だけに無理やり明けさせたといった感じでメリハリがない。
こんな年の夏は短い、そんな予感がする。

さて、本業よりも山歩きに重きを置くようになっている管理人にとっては雨さえ降らなければ山歩きには差し支えないので、はっきりしないもののこの梅雨明けをありがたく受けとめたい。
で、明日から5日続けて本業が忙しいので、梅雨明け初日の今日を有効に使いたいと思う。
いくつかある候補地でプライオリティ1は野門の布引滝と決めてあった。

布引滝の存在を知ったのは、今月20日に常連さんと帝釈山の北尾根で女峰山に登ることになり、その計画を組んでいるときであった。
帝釈山北尾根を女峰山へのルートに設定したのだが、地図を見るとその東側に女峰山から派生する野門沢がある。源頭部は標高1980メートル付近にありそこから鬼怒川まで長い流れが続いている。
帝釈山北尾根から沢のもっとも深いところまで落差400メートルという、とてつもなく深い沢だ。
布引滝は沢の途中、標高1610メートル付近から流れ落ちる落差120メートルもある大きな滝であることを事前の調べで知った。

落差120メートルといえば日光最大の滝、雲竜瀑に次ぐ大きさで、観光スポットとして人気のある華厳滝など問題としない。これはぜひ見ておかなくてはいけないと思った。

常連さんとのツアーを控え、前日19日に帝釈山の北尾根を探すため下見に行った際に、布引滝へも行くことにした。
布引滝はそのルートの途中、分岐を沢に向かって下ったところにあるので北尾根探しとの二兎を追ったわけだ。

布引滝は野門沢に降りた沢の行き止まりにあった。
あったと言うのは正確ではなく、そこで見たものはいくつかの段差にぶつかりながら、角度を微妙に変えて流れ落ちる布引滝の、末端10メートルほどの滝であり、布引滝全体を見るにはその滝の上部に出なくてはならないらしい。
ネットで調べたところ末端の滝の手前にロープがあるのでそれを伝っていけば布引滝本体の滝壺に出られるとあったが、19日は肝心のロープが見つからなかった。
だが、ここを登れば滝壺だと思われる斜面は見つかった。

その斜面は崩落によってガレ場となっていてとても危険そうだ。斜面の取り付き部分は1メートルほどの段差になっていて、管理人の場合は諸事情あって足が届かない。やはり既存のロープで登るのが正しいようだ。
まっ、「二兎を追う者は一兎をも得ず」のたとえもあることだし、19日の下見の本目的は帝釈山の北尾根を探すことにあったので、布引滝を見るためのロープ探しは日を改めることにした。
その方が楽しみを先延ばしにできるではないか、と簡単に引き下がる管理人であった。

登山口となる野門は今でこそ合併して日光市だがそれ以前は塩谷郡栗山村であった。
当時(合併前)、日光の山にしか目が向かなかった管理人にとって市外の山のことにはまったく無知であり、行こうともしなかった。管理人にとって自然を楽しむには日光の山だけで十分なのであった。
それが宇都宮市の古賀志山を知ってからというもの突然、地図にない道をコンパスを使って歩くいわゆるルートファインディングと藪歩きに開眼してしまい、昨年3月から今年にかけて48回も通うといったご執心ぶりであった。とにかくおもしろいですよ、古賀志山は。技術面においても精神面においても鍛えられます。
古賀志山との最初の出合い

その古賀志山に端を発し、日光市に属していても地図に道が描かれていない山をコンパスを使ってルートファインディングしながら歩く楽しさを覚え、道間違いや滑落寸前という危ない目に遭いながらも今日に至っている。
そんなわけなので藪には慣れたし地図に道がない場所を歩くのも平気になった。
だから今は、ピークハントも目的のひとつだがどうせ登るのなら遭難と隣り合わせになるが、そのプロセスを楽しみたい、そんな思いをいだきながら歩いている。

きちんと整備され眺めもいい道を歩くよりも、日差しも入り込まないほど鬱蒼とした樹林帯の中を地図とコンパスを手に、道迷いという恐怖と闘いながら歩く方が管理人の性に合っている、そんな気がする。やはり性格暗いか、俺って?
あ~、いや、そうではなく探求心旺盛ということにしておきたい(^^)
帝釈山北尾根で女峰山に登ったのもその延長であるし、もちろん今日の布引滝探訪も。

栗山村が日光市栗山となって早10年。もしも合併がおこなわれなかったすれば、管理人は今でも布引滝の存在を知らなかったかもわからない。帝釈山の北尾根を歩く計画の過程で偶然見つけた布引滝の存在を、ずっと大切にしたい。
でわでわ、そろそろ出発しましょうか。


7:10
県道23号線を川俣へ向かって走ると鬼怒川に架かる橋を渡る。
橋を渡ると左に折れる道があり、「家康の里」と彫られた黒塗りの大きな門が待ち構えている。
門をくぐってしばらく走ると小さな集落があって数件の民宿と栗山東照宮がある。この栗山東照宮が家康の里と密接に関係しているらしいが、管理人にそこまでの知識はない。
集落を抜けて先へ進むと道は写真のゲートで行き止まる。
この道と並行して流れる野門沢に堰堤を建設する工事がおこなわれ、そのために敷設された道路(林道)らしい。


7:12
ゲートから先、林道の終点までこのアスファルト道路(林道)が続くが、道は大きく蛇行を繰り返しながら斜面を上っていくため距離が長い。
そこで林道をショートカットすることで距離を短縮したい。ここが第1番目のショートカット開始点。
ガードレールの切れ目を入り、斜面をトラバースしながら標高を上げていく。


ただ闇雲に林道を近道しようとしても狙った地点に出なくてはショートカットの意味をなさない。
開始点と終了点をコンパスにセットして、コンパスの指示通り進んで行く。


蛇行を繰り返す林道をショートカットするので当然だが深くて急な林の中を歩く。
傾斜が急な上、落ち葉が堆積しているので滑落に注意しながら歩いたのはもちろんである。
本来、雪山の軽登山を目的とするチェーンスパイクは、滑り止め効果と駆動力アップに優れているので管理人は無雪期でもよく利用する。


ただいまショートカット中。
けっこう厳しいですよ。すでに大汗でシャツはぐっしょり。


狙い通りガードレールの切れ目に出た。
ここで林道を少し歩いて第2番目のショートカット開始点を探す。いえ、19日と20日にすでに歩いているから今日で3回目だ。
地図を見るとこの少し先に登山道が描かれている。その登山道を進むのがもっとも近道なのだが、、、


ここが地図に描かれている登山道。ということなど、わかるはずもない。しかし、尾根であることは一目瞭然だ。
つまり昔はこの尾根が、野門から富士見峠を経て日光まで交易の道に利用されていたのである。やがて交通の発達によって道は廃れさらには、林道ができたことで用無しになったのである。と勝手に推察し断定するが地図から何を読み取るか、それは読み手の想像力次第で無限に広がるというものだ。だから地図はおもしろい。


7:28
曲がりくねった林道を歩く時間を短縮するためにも、どこかショートカットできる場所を探さなくてはならない。
地図に描かれた登山道のすぐ先の擁壁に階段が設けられている。
地図の登山道の位置とは異なるがなんらかの意味があってのことだろう。
ショートカットするには都合がいい。ここを2回目のショートカットの開始点とした。


階段を上るとこんな感じ。
1番目のショートカットと同じく、セットしたコンパスにしたがって進んで行く。


7:39
2回目のショートカットが終わると林道脇に丸太で組んだ素朴な鳥居と石の祠のある場所に出る。
先ほどの階段はここに至る参道の名残だったことがこれではっきりした。
ちなみにこのような林道は一般車は入ることができないが、地権者や神仏を管理する人、工事関係者であればゲートの鍵を所有していて車の通行ができる。
例の階段から鳥居まで、昔は樹林帯の斜面を歩いたが参拝する人の高齢化によって車に頼らざるを得なくなり、車で行き来するようになったのであろうと思う。それが廃道になった原因、とこれも地図からの推察。


最後のショートカットは鳥居の前を真南よりほんのわずか西へ向かって進んで行く。
ここは地形が少し複雑なのでセットしたコンパスに忠実にしたがって歩かないとロスが生じる。
白樺が茂る自然林の中を登っていくのだが3つのショートカットの中でここがもっとも気持ちがよかった。帰りはこの斜面ではなく尾根を歩いてみた。


ショートカットがうまくいくと林道脇に設置された構造物の下に出る。


7:55
構造物の正体は林道脇の展望台だ。
南面にこれから向かう布引滝そして滝の源頭部がある帝釈山や女峰山が見渡せる、、、天気のいい日なら。


一瞬、霧が晴れて帝釈山から女峰山へ続く稜線の一部がのぞいた。


展望台から先はもう時短の方法はなく、林道の終わりまで緩やかなアスファルト道路を歩く。
林道脇に太いウリハダカエデを見つけた。紅葉の季節はいいだろうなぁ。


林道とは思えないほど整備された道だ。一般車に開放してほしいくらい。


8:17
林道終点の広場にはテーブルが1卓、ポツンと置かれている。
これから山道へ入るが、一段高くなっているのが尾根の部分で、帝釈山そして富士見峠へと続いている。


遊歩道という名に欺されるな!!
理由はこれから先の説明で(^^)


8:37
遊歩道入口から20分弱で分岐に着く。直進して丸太の階段を下っていくと布引滝。
右へ曲がると富士見峠と帝釈山の北尾根に至るがそのへんのことは前回のブログに書いておいた。
7月20日、帝釈山北尾根で女峰山へ


分岐を数歩、歩くと布引滝がよりはっきり見える場所がある。
ここがそう(^^)


丸太で組んだ階段は足を乗せる部分の土がえぐられ、足を大きく持ち上げないと先へ進めない。そればかりか丸太の多くは朽ち果て、もの悲しい雰囲気が漂う。
造ったらそれっきり、そんな遊歩道だ。ここまで荒れると遊歩道などと侮ってはいけない。怖いし危ないです(笑)


丸太の急階段を下っていくと斜面の上部から水が勢いよく流れている場所に出る。
水は苔むした石を避けるようにして流れている。
地図に水の流れは描かれていないが布引滝へ行くのに4つか5つの沢を横切るようになっているので、この流れはそのうちのひとつのようだ。


地面をスギゴケが覆い隠しその上にシャクナゲ、コメツガ、シダが茂っている。霊気漂う場所である。


流れのある沢を3本渡ると道は登りに転じる。丸太の階段はまだ続いているからここはまだ遊歩道として設計されている場所なのであろう。
とはいえかなりの荒廃ぶりにこの先はどうなってしまうんだろうという雰囲気だ。でもこういう異界に導かれるような雰囲気って管理人、大好きなのだ。


遊歩道はとうとう異界に突入した(^^)
どういう作用からなのか周りは岩だらけだ。岩は長い年月の経過で苔むして自然の美というものを感じる。
はっきりした道ではないし不用意に岩の上に足を乗せると滑るし、これを遊歩道と称していいものかどうかわからない。ここまで来て引き返してしまうハイカーもいるんじゃなかろうか。


9:26
岩を通過すると布引滝の流れ、野門沢の河原に下りる場所に来た。
斜面に河原に降りるためのトラロープがある。ロープを使わなくては河原に降りられないので、ここはもはや遊歩道とは呼ばないだろうなぁ。
ロープを下る場所から布引滝の全貌が見えるので遊歩道としての機能はここまででしょう。


河原に降りた。
砂利の歩き易い河原とは違って大きな岩がゴロゴロしている。
岩の上に乗っては下りの繰り返しで上流へと進んで行く。シロヨメナの藪の中を歩くこともある。


前方に布引滝が迫ってきた。
いい形をしている。
全長120メートル、180メートルの雲竜瀑に次ぐ長さだ。


幸いなことに岩の多くは乾燥していて乗っても滑ることはなかった。
だが、岩と岩の間に靴が挟まったり足首がカクンとなったり、なんどかは危ない目に遭った。


進行右手(左岸)にこんな斜面がある。
19日の下見のときはこのガレた斜面を登れば滝壺に出られるのではないかと見当をつけておいたのだが、その後、ネットで調べたところロープが垂れている斜面があるらしいことがわかった。ここにはロープはかかっていない。


9:47
19日と同じようにとうとう河原の行き止まりまで来てしまった。布引滝の末端部分だと思う。
ロープは見つからなかった。
ネットの情報が古く、ロープはなくなってしまったのかもしれないと思った。


末端の滝は落差10メートルはあろうか、これだけでも十分な見応えがある。
だが、布引滝の全貌を見るにはこの滝の上部に出なくてはならない。
今日は布引滝を間近に見るためのやってきたので、諦めることなく斜面を登るロープを探すことにした。


おっ、あった。
河原の行き止まりからロープを探しながら引き返すと、草むらに隠れているロープが見つかった。
ロープは古く、退色して岩と同じ色をしているので19日は見つからなかったのだ。今日は時間をかけて探して正解だった。
ロープの行く手は先ほどのガレた斜面と一致しているから、19日の管理人の勘はあながち間違いではなかったようだ。
ロープはクライミングに使われる10ミリ径で、引っ張ると伸びることから古いとはいってもその機能はまだ損なわれてはいないようだ。


河原に垂れていたロープは、岩に打ち込まれたピトン、それに結ばれたスリングが支点になっていた。
スリングとロープは長い間、野ざらしの状態が続いて養分を含んだのであろう苔が生え、ナイロン製とはとても思えない見栄えだ。
布引滝がいつの頃から探求されだしたのか、スリングとロープへの苔のつき方から察してその歴史は古いようだ。


上の画像のロープの支点を右へ追うと、さらに上へとロープが続いている。うっすらとだが踏跡もある。


古いロープと並行して新しいトラロープが取り付けられている。
この辺りはロープに頼らなくても歩けた。


ひょ~、センジュガンピだ。しかも群落になっている。


ノリウツギに、、、


ソバナに、、、


タマガワホトトギスも盛りだ。


布引滝の河原が間近に迫った。
ここまでロープは6本かかっていた。


河原を目の前にしてシロヨメナの群落に突入。

10:12
ついに布引滝の滝壺に降り立った。
いや~、とてもいい形をしている。きれいだ。雲竜瀑にも劣らない美しさ。
日光市に存在する48の滝を紹介している書籍があるが出版当時、布引滝は日光市ではなかったので紹介されていないが、第2版が出るとすれば間違いなく採りあげられるであろう。
水量が少ないということはないのだが不思議なことにとても静かだ。
この距離まで近づいても水しぶきがかからない優しさがいい。

独り占めする贅沢。得した気分になれる。
次回は椅子と文庫本を持参し、この水でいれた珈琲を飲みながら時間を過ごそう。あっ、でも帰りは日没になるな。


マルバダケブキ


滝をあとに帰路につくことにした。
遊歩道は往路とはまた違った趣がある。苔むした大きな石がゴロゴロしていて自然の美しさのような風情を感じる。


この丸太の階段の上りはずいぶん厳しい。
ステップ間の土がえぐれているので足を大きく持ち上げないと上のステップに届かない。
階段ではなく斜面である方が管理人には楽だ。


シロヨメナ
地味な夏の花だ。


12:09
急階段に疲れたがなんとか富士見峠への分岐まで辿り着くことができた。
ここから先は下りになるが、ひと休みして息を整えることにした。
振り返ると布引滝が見える場所なのだが滝は相変わらず霧の中。


この美しく開放的な林をスマホで撮ろうとザックをまさぐったところ、、、ない。スマホが。
そうか先ほど分岐で休憩したときにザックから取り出して写真を撮り、しまい忘れたのだ。
やれやれ、また登りかよ。


12:57
スマホは無事に回収でき、登山道を歩き終えて林道終点に着いた。
これから約900メートル、この林道を歩いて布引滝の展望台まで行くがここで今日、3回目の食事とする。


13:21
林道終点から布引滝展望台までは10数分と近い。
ここで帰りのショートカット、第1回目をおこなう。
左カーブの部分にガードレールの切れ目があるのでそこから笹原に踏み込む。


13:49
展望台から鳥居までのショートカットはルートを少し変化させてみた。
往路は鳥居の奥へ歩いて行ったのだが帰路は尾根を利用して画像の左隅に見える踏跡から林道に降り立った。


14:07
最後のショートカットが終わって林道が視野に入った。
駐車地まであと5分。今日はすべてがうまくいった。

登山口までのアクセスが非常に悪いので訪れる人は少ないと思うが一応、地図を掲載。
林道終点までの道のりが長いため管理人はショートカットで距離を短縮したが、地図とコンパスが必須になるのと急斜面を登るため、距離の短縮イコール時間の短縮になるかどうかはわからない。

林道終点から富士見峠との分岐点までは緩やかな上り斜面。地理院地図と実際の道にズレはあるが、これはGPSを携帯していなければわからないことなので気にすることはない。道は明瞭なので迷わない。

分岐点から布引滝へは丸太を組んだ急な階段を下っていくが丸太がじゃまして足を引っかけることがある。それと丸太の上に靴を載せると滑るから、ここが最大の難関だったりして(^^)

野門沢の河原に降りると大きな岩がゴロゴロしているのでつまずいたり、岩で滑ることがある。ここで転ぶと痛い目に遭う。

河原の行き止まり付近に布引滝の滝壺へ上がるロープがかかっているが、それはご自分で探してください。それも楽しみのひとつです。

禁断の激藪を突破して帝釈山に直登、そして10回目の女峰山へ。

2016年7月20日  晴れのち曇り

野門沢林道ゲート(6:20)~布引滝展望台(7:12/7:20)~林道終点(7:37/7:40)~布引滝分岐(8:04/8:04)~帝釈北尾根分岐(8:31/8:35)~標高点1637~標高点1823~標高点1972~標高点2147(10:26)~帝釈山(12:40/12:43)~女峰山(13:18/13:45)~帝釈山(14:14/14:20)~富士見峠(15:11/15:16)~標高点1935~標高点1862~帝釈北尾根分岐(17:02)~布引滝分岐(17:16/17:20)~林道終点(17:30/17:40)~布引滝展望台(17:53/17:55)~林道ゲート(18:32)
※所要時間:12時間12分(休憩を含む)
※距離:20.1キロ(GPSログをカシミール3Dで処理した値)

去る4日、女峰山へのルートとしてはかなりマイナーな、若子神社からの笹藪ルートで9回目の女峰山登頂を果たした。
地理院地図にも昭文社の「山と高原地図」にも道は描かれているが「山と高原地図」には、“笹多い”という注意書きがある。
距離が長い上に標高にして1700メートルも登らなくてはならないために利用者が少なく、それが原因でルート上に笹が繁茂して藪となったのだろうと思う。
まっ、でも、女峰山の山頂に向かっているすべてのルートを歩いてみたい管理人としては、笹藪ごときで怯んではいられないw
笹藪に大いに遊んでいただこうという寛大な気持ちになって今月4日にやってみたわけだ。
笹は深いところで胸の高さまであって大いに手こずったが、華やかなルートとして人気のある霧降ルートとは違った面白さを味わうことができ大いに満足した。結果はブログにしてあるのでご覧ください。
2016年7月4日のブログ

女峰山のルートはこれまで、裏男体の志津乗越に車を置いて歩き始めるというのがスタンダードだった。
しかし、数年前に駐車スペースが閉鎖されてしまい、現在は志津乗越5キロ手前の駐車場に置いて林道を歩いて登山口まで行かなくてはならなくなった。往復10キロ、2時間以上も余計にかかることになったため管理人は以来、女峰山のルートとして使わなくなった。登山口にたどりつくまで長い林道歩きを強いられるルートは楽しさが半減してしまう。
長い林道をてくてく歩いてやっと登山口、ということを考えれば女峰山へ登るのに志津乗越ルートはもっとも距離が長いといえる。女峰山ルートのスタンダードは一気に難易度高レベルへ昇格した(^^)

その影響もあるのか、交通の便のいい霧降ルートを利用する登山者が増えていることを実感する。天空回廊ができて荒れた登山道を歩かなくてよくなったこと、駐車場が整備されたこと、バス停が天空回廊のすぐ脇に移動したことなどが功を奏したのだと思う。もはやこのルートを利用しない手はない。
このブログにもなんどか書いているが他のルートに比べて眺めのいい稜線歩きが続き、快適なトレッキングが楽しめる。笹藪やこみ入った樹林帯の中を歩くことがない。まるで日本庭園の中を散策するようないい気分で歩ける。イワカガミやシャクナゲが咲く季節に特にお勧めしたいルートだ。雪解けが遅く冬が早いので歩く期間は限定されてしまうが、女峰山登山のスタンダードになりつつある。どうか一度、ご賞味ください。
ただし、それほど簡単なルートではない。時間もかかる。
往路で5.5時間、復路が4.5時間なので計10時間は覚悟する必要がある。とはいえ、亀のごとく歩みの遅い管理人の所要時間なので健脚の方であればそれぞれ1時間ずつ短縮可能であろうと思う。いちおう、参考値として紹介しておきたい。

他のルートでお勧めできるのは好みの問題もあると思うが、東照宮裏の行者堂を起点に標高差1700メートルをひたすら登り続けるロングルートというのがある。稚児ヶ墓から先、広大な笹原(藪ではない)はツツジの宝庫といわれるほどの大群落になっていて、5月はシロヤシオとヤマツツジに圧倒される。それに距離が18キロと長いので健康状態の確認にもなりそう(^^)
行者堂から登り始めて霧降に下りる(あるいはその反対)というのが最良の方法だが、マイカーだと車を取りに戻るという手間がかかる。
したがってこのルートを選択する場合、
1.マイカーを取りに戻る手間と交通費を惜しまないこと。
2.マイカーを2台用意して登山口と下山口にデポできること。当然だが複数人数での登山。
3.路線バスを利用する。ただし、時間的にとても厳しくなる。
といった条件がついてしまう。

例外的には、早朝、身内に登山口まで送ってもらい、歩き終えたら下山口まで迎えに来てもらう方法というのがあるが管理人は以前この方法で家人からひんしゅくを買ったことがあるから、夫婦仲のいいご夫婦に限るというのが条件w

以上で若子神社、志津乗越、霧降、行者堂を起点とする女峰山ルートをおおまかに紹介した。
もっとも無難なのは距離もほどほど、稜線からの眺めのいい霧降からピストンという手かな?
同じルートを往復することになるが変化に富んだコースなのでピストンなら2倍、楽しめる。

これらをやったらあとは栗山の野門(のかど)ルートが残る。
野門をスタートして富士見峠に出てそこから帝釈山を経て女峰山へ登るというかなり厄介なルートだ。野門から富士見峠まで見通しの効かない深い樹林帯の中をただひたすら9キロも歩き、その上で富士見峠から帝釈山を経て女峰山に達するのに、さらに2キロも歩くという苦行を伴うのでマニア向けといっていい。修行僧になったつもりで歩く覚悟が必要なほど大変なルートだ。

布引滝展望台から眺める女峰山と帝釈山

野門から歩き始めるルートをもうひとつ。
スタート地点は同じ野門だが富士見峠を経由せずに帝釈山に直登するという方法がある。
野門~富士見峠~帝釈山が直角三角形の2辺と考えれば帝釈山直登ルートは三角形の斜辺を歩くようなものなので、距離はずいぶん短縮できる。
しかし、、、だ。
このルートは藪が予想される。若子神社ルートで笹藪に泣いたのでできれば藪は避けたいところだが、愛しの女峰山へ登るためには致し方ない。
だが、事前の調べでは林道をショートカットしたりルートファインディングを必要としたりといった、山歩きの楽しさを味わえそうなのだ。
そのへんの経緯は7月17日のブログに詳しく書いておいたので参考に。
2016年7月17日のブログ

それにしても多彩なルートを持ち合わせてるな、女峰山は。
稜線歩きが好きな方から藪歩きが好きな方まで、さあ、あなたのお好きなルートで登ってらっしゃい。
でもそんなに簡単じゃないわよ、アタシを攻略するのは。そう言われているようだ。さすが母なる山、手厳しい(^^)

今日はその母なる山の懐に、ちょうど10回目の挑戦として野門から飛び込んでみよう。
心優しく迎えてくれるのかそれとも、厳しさにはじき返されてしまうのか、期待と不安は大きい。

上に書いたように今日予定しているルートは野門から富士見峠へ向かって南下して、途中で帝釈山の北尾根に乗り換えて山頂に達し、女峰山に行くというのが往路で、帰りは帝釈山から富士見峠に出て野門へ戻るというロングコースだ。
管理人が愛用しているフリーソフト「カシミール3D」で距離を試算したところ、約16キロと出た。
ただし、試算ではクネクネと曲がった道も直線としてとらえているので、実際には2割くらい多くなると考えている。所要時間はこれも試算だが休憩を含んで13時間。
いやはや、年甲斐もなくどうしてこんな厳しい山行を考えてしまったのだろう。後悔の念をいだきながらも気持ちを奮い立たせて歩き始めた。
実は昨日、近くの布引滝を見学がてら帝釈山北尾根を標高1800メートルまで登って感触を確かめておいた。

図の赤い線は事前に計画したものではなく、歩き終えた後のGPSの記録を地図に反映させたもの。
このルートに考えが至った経緯は2016年7月17日のブログを参照いただきたい。


川治温泉と川俣温泉を結んでいる県道23号線、野門橋を渡るとすぐ左に立派な門構えの道がある。
なぜここが家康と関係するのか、、、、それを管理人が書いたりするとボロが出るのでこちらを。


6:20
県道から外れて2キロほど走るとここから先、一般車は入れない。
工事車両のじゃまにならないように縁石左の草地に車を突っ込んで歩く支度を済ませた。
地図で見るとこの道は大きく蛇行を繰り返しながら南へ向かっているので、道路上を歩こうとすると大変な時間がかかることがわかる。
そこで事前に、3箇所ほどショートカットするルートを設定しておいた(上の地図)。


遮断機の脇を通り抜け、最初のショートカット地点に向かう。


ショートカットに失敗すると返って時間をくったりすることがあるため、到着地点を決めておき、そこへ間違いなく着けるように地図とコンパスを使って歩く。
1回目のショートカットは距離は短いながら傾斜は急だった。
ショートカットが終わると林道のガードレールの切れ目に出たので少し進む。地図にはすぐ先に林道を横切るようにして登山道がかかれているのだ。しかし、その場所には高さが2メートルほどの擁壁があり、上ることができない。
林道を設けるために斜面を削り、そこに擁壁を作ったことで登山道が寸断され、用をなさなくなってしまったようだ。

歩くつもりだった道がない、、、さあ困ったぞ。計画を修正しないと!!
当初予定していたルート


下図は現場で修正したルート
最初のショートカット(図のA)後、登山道が見つからないまま歩いていると林道の右手に階段が現れた(下の画像)。地図で現在地を確認するとここをショートカットできそうだ。
話が前後するが、図のBのようにショートカットすると鳥居と出合ったので、ここで再度、地図を見て図のCのショートカットをおこなった。
3つのショートカットの末に布引滝展望台に出ることができた。
これによって林道を歩く距離は大きく短縮されたはずだ。ただし、笹の急傾斜を登ったことで消費したエネルギー量は林道を歩くのと同じだったかもわからない(^^)


ショートカットする場所は濡れた落ち葉が堆積した急斜面なので、滑り止め効果と登攀力を増すためにチェーンスパイクが有効だ。


6:42
2回目のショートカットをした階段。
地図に描かれた登山道とは明らかに違う場所だが、人が歩くための階段であろうことに間違いない。
GPSで現在地を確かめ、コンパスをセットして斜面を登り始めた。
階段を昇った右のガレ場を登り、次に笹原をひたすら登っていく。


6:55
2回目のショートカットが終わると再び林道と合流。そこには丸太で組んだ鳥居と石の祠があった。
そうか先ほどの階段はここへ来るための昔の参道だったのだ。
しかしゆるやかに上っていく林道ができたことで急傾斜の参道は廃れ、誰も歩かなくなったようだ。
3回目のショートカットはこの鳥居の奥へと進んでいく。

上のチェーンスパイクの画像に写っている人物と鳥居のそばに写っている人物は今日、同行してくれることになった常連客のWさん。管理人が計画したところ、頼りない管理人のために助っ人として都内から駆けつけてくれた。


7:11
鳥居からのショートカット(図のC)を終えるとこんな構造物の真下に出た。
これが布引滝の展望台。擁壁がもっとも低くなった場所を探して道路の上に乗った。


お~、なかなかの展望ではないか。
はて、これから向かう帝釈山そして、女峰山はどれなんだろう?
どうやら写真中央の右、ピラミッドのように尖っているのが帝釈山らしい。女峰山はその左に見えるピークのうちのどれかなのだろう。
答えは冒頭の写真に。


3つのショートカットが終わると次は林道が尽きるところまで歩く。
管理人のこれまでの経験だと山の中の林道は斜面から落ちた岩が堆積していたり道が崩落していたりするが、ここはそれらはまったく見られない。そればかりでなく、一般車が通行するのになんら差し支えないほど整備されている。


7:36
林道を900メートルほど歩くと、休憩するのに十分な明るい広場に出た。
ここからいよいよ道標にしたがって山の中へと入っていく。

地図によると道は尾根上をまっすぐ南下するように描かれているが実際には急斜面を避け、ジグザグに登っている。


8:03
道はここで布引滝方面と富士見峠方面に分岐するので右へ直角に曲がる。
布引滝は19日に帝釈山の北尾根を見つけるために来た帰りに近くまで行ってみたが、最後に周りを直角の壁に阻まれてにっちもさっちもいかず、諦めて引き返した。


布引滝への分岐を富士見峠へと向かうとすぐ、木の祠と出合う。「山の神さま」という名板が立木に取り付けられている。


石は苔むして古道の雰囲気が漂ういい道だ。
道のすぐ左が一段高くなっているがこれが地図で見る尾根らしい。


左側の一段高くなったところに石の祠があり、中に石像が納められている。
よく見ると右手を直角に上げてなにかを持っているように見える。背中には炎のようなものを背負っているので不動明王なのかも?
ちなみに、地図によれば、ここが富士見峠と帝釈山の尾根を分ける分岐点になっていて、直進すると帝釈山の尾根に乗り、道の右にある沢を横切ると富士見峠に行くようだ。しかし、道は1本しかないためとりあえずこのまま尾根を直進して富士見峠と帝釈山の分岐を探すことにした。


8:31・・・画像A
石の祠から400メートルほど行くと太い木に赤いペンキのマークがある。
そして道の先はややガレていて沢のように見える。帝釈山へは尾根上を進むはずなので沢は通らない。ということはここが富士見峠と帝釈山との分岐に違いない。分岐は地図よりもずいぶん先にあった。
であれば帝釈山への尾根はここで向きを左へ変えているはずだ。左へ入る踏跡を探す。
ちなみに、赤いマーカーの立木はたくさんあるので当てにはできない。地図で探すのが基本。


8:35
ここが帝釈山北尾根の取り付き部分らしい。
シャクナゲの群落だが目を凝らすと判然とはしないが踏跡らしいのが見えた。
と、わざとらしい書き方をしているが実は昨日、下見でこの藪を突き抜け標高1800メートルまで確認済みなのだw


8:51
昨日は登山の定石通り尾根上を歩いたところ、びっしり埋まったシャクナゲに行く手を阻まれ、やむなく尾根から西へ少し下がってみたところ、そこはコメツガ林に変わり、歩き易いことがわかったので今日も同じ方法をとった。
歩き易いと書いたがシャクナゲの藪に比べてということであり、実際には倒木あり、落ちた木の枝あり、横に張り出したコメツガの枝ありでそれなりである。踏み跡は見えない。


9:02
標高1820メートル付近のコメツガ林の中に赤いテープがあった。
この尾根が帝釈山へのルートとして使われていることに間違いないことを確認した。
昨日はこのすぐ手前、標高1800メートルで引き返した。


9:09
コメツガ林はシラビソの林に変わった。
尾根は幅広くなり、ともすればどちらに向かっていいのかわからなくなる。
ほとんど見えない踏跡を探すのは諦めて、斜面の最も高い部分を見失わないように慎重に登っていった。


9:21
標高1880メートル付近。今度はコメツガとシラビソの混在林となった。密度が濃くなる。
幼樹は背丈が低いので、前進するのにじゃまをする。枝のすき間を縫ったり倒木を避けながら歩くので真っ直ぐ歩くことは困難だ。


9:36
はっきりした道があったので辿ったところ、こんなところに出てしまった。
シカ道だったのかそれとも、人の踏跡が崩落したのか、いずれにしてもこの先は行けそうもないので両手まで使って斜面を右へ上った。


9:58
標高2050メートル辺りに来ると尾根幅が広がったのでルートを外さないよう、標高点2147に向けてコンパスをセットする。
参考までに、管理人が手にしている地図は前述のカシミール3Dを使って緯度経度線、磁北線を含めて印刷したもので、より細かいところがわかるように縮尺は1/12500にしてある。


10:12
コメツガとシラビソの林は密となり、枝をかき分けながら木々の間を縫うようにして進む。


10:25
進路が南から東南東へ変わって前方に見えるのが帝釈山らしい。
この辺りが地図にある標高点2147だと思う。


10:41
標高2180メートル付近。
倒木がきれいに切断されているのを見つけた。
切断面は古く変色しているが昔はここにルートがあったことをうかがわせる。登山道だったのかあるいは、狩猟か炭焼きのための道だったのだろうか?


腐生植物のギンリョウソウ。
ここに来るまでギンリョウソウは数多く見たがこれほど密度の高いのは初めてだった。


コメツガの幼樹の新緑がとてもきれい。


11:13
コメツガとシラビソの林は途切れることがなく続いている。
すき間を見つけては枝の下をくぐって前に進んでいくがシャクナゲに比べれば苦痛ではない。


標高2250メートル付近。
ここまで来るとハクサンシャクナゲがまだ見られる。
藪には違いないがほっと一息つける瞬間。


11:40
シャクナゲは尾根上にしかないものと安心していたところ、尾根から一段下がったシラビソ林の中にびっしり。


おっ、ゴゼンタチバナだ。


11:58
標高2360メートル付近。ようやく帝釈山が見えた。
ただし、あそこへ達するためには目の前にびっしり茂っているコメツガとシラビソ、シャクナゲの群落を抜けなくてはならない。
踏跡はない。自分の足下さえよく見えないくらいの藪だ。人が通れるすき間もない。
枝で目を傷つけないように頭を下げ、両手を前に突きだして枝をかき分けながら進んで行くが身体が枝の上に乗ってしまうと足が地面に着かず浮いてしまう。時間ばかりくって先へ進まない。ここが一番の難所だった。
この藪を経験したらもう怖いものはない、そんな気持ちにさえなった(^^)


12:03
激藪は数分で終わった。だが、ずいぶん長い間、藪と格闘したように思えた。
藪を抜けると今度はザレ場となった。このザレ場は地理院地図に「砂れき地」記号として描かれている。
更新頻度の低い地理院地図に描かれているくらいだから、この数年の間にできたザレ場ではなく、十数年あるいは数十年前からこの状態にあるものと思う。
ここを横切って対岸の林の中に入るべきかそれとも、直登した方がいいのか迷ったが、斜度から判断して滑落の危険はないように思えたので上へと向かった。
慎重派のWさんは左に見える林の中へと消えていった。


ザレ場の正体は火山礫だ。
火山礫はその性質から軽く、不安定だ。
靴を載せると潜りまた、滑る。力が入らない。雪の斜面を登っていく要領で、靴のつま先を食い込ますようにして足場を作り、慎重に登っていく。


より安全な場所を選んで慎重に登っていくWさん。
自分で言うのもなんですが、その方が絶対、安全です。


12:30
ザレ場上部の藪を抜けると今度は高さ3メートルほどの岩が立ちはだかっている。
10メートル間隔の等高線だと予測が困難な岩場である。
17日のブログで紹介した「日光連山ひとり山歩き」作者の烏ヶ森の住人さんはここを右へ巻く道があると書いておられたが、ホールドとなる岩の突起がはっきりしているので越えられると判断した。
問題はこの岩の上部であった。
表面が白いのでてっきりそこも岩であろうと思ったのだが、とんでもない見誤りであった。白く見えたのは土の表面の地衣類であった。
さあ、どうしよう。ホールドとなるものがない。
視野を広げて見つめると、地衣類のすき間に太さ2センチほどの木の根が見える。3本ある。
最初の木の根を左手でつかんで身体を引き上げ、右足を50センチ上に移動すれば岩の突起に乗せることができる。次に左手を2本目の木の根に移して空いた木の根に左足を乗せる。そのようにイメージしながら登っていった。
すると間もなく草が生えた斜面だ。そこに枯れたハイマツの枝があった。根はしっかりしているのでつかんでも大丈夫そうだ。
そうやって登ったところが帝釈山のすぐ下だった。


Wさんも無事に岩をクリアした。


きっとこの上が山頂に違いない。


お~、やったぞ。
帝釈山の山名板を裏から見る。この位置から見るのは初めてだ。よく頑張った。


12:39
歩き始めて6時間13分。
ついに北尾根で帝釈山の山頂に達した。感動で言葉が出ない。Wさんも同じらしい。
Wさんに体調を聞くと悪いところはないようだ。では、次は予定通り女峰山だ。
休む時間もなく女峰山へと向かった。


帝釈山と女峰山を結んでいる稜線はわずかなアップダウンはあるが快適だ。
今日のルートのハイライト部分なのだが、深い霧で景色は見えない。


霧の中に専女山の山名板が見える。


コケモモ。
美しさに立ち止まって何枚も写真を撮った。


間もなく女峰山のはずだが霧に包まれて見えない。


コメツツジ


ミヤマダイコンソウ


最後の登りは岩場だ。
岩は脆いので足を乗せる場所に注意しながら登っていく。


13:18
数えて10回目の登頂を果たした。
母なる山、女峰山は今日も快く迎えてくれた。
2002年に初めてこの山頂に立ちそれから14年かかってようやく10回だが、この間、怪我による長いブランクがあったことを思えばよくぞ10回も登ったものだと我ながら感心する。
生涯であと何回登れるかわからないが、この素晴らしい女峰山とは末永くお付き合いしたい。


13:45
27分の休憩の後、帝釈山へと向かった。


タカネニガナ


14:14
再び帝釈山に戻ってきた。
ここからが帰りのルートになる。
富士見峠に向かって急降下していく。


富士見峠への樹林帯の下りはこれで4回目となる。
これまでの3回の記憶だとかなりの悪路という印象が残っていたが、4回目の今日はそれほど悪い道ではないという感じがして、我ながら驚いた。
当時はまだ未熟者で山道を歩き慣れていなかったためであろうと思う。それからいろんな道を経験したからだろうか、いまではごく普通の道のように思える。


15:04
大雨で水路が拡大し渡れなくなってしまったのか、溝に丸太が渡してある。


15:11
富士見峠は4差路になっていて南は志津乗越へ、西は小真名子山へ向かっている。
車を置いた野門へは道標を右、北へと進んでいく。
調べてみないとわからないが、昔は日光と福島県を結ぶ街道として利用されていたのではないか、そんな風情を感じさせてくれるいい峠だ。


管理人がこのルートを歩くのは初めてだが悪い道ではない。
地図では富士見峠からしばらくの間、道は九十九折となる。
厳しい山道でない限り、普通、登山道が九十九折にはならないはずなので、この道は工事用の林道として敷設されたものであろう。林道の用が済み、このように木が茂ったと考える。


15:26
標高2020メートル付近のガレ場を通過する。
前を行くのは相変わらずWさん。


Wさんからの提案で、最初のUターン部分から標高点1935までの間をショートカットすることになった。


ショートカットを終えて元の道に戻る。
木がうるさいが藪ではないので歩き易い。


標高1850メートル付近。
道は部分的に荒れていてわかりづらいところがある。


大雨が降ったときにはおそらく水路となるのであろう、道はガレていて滑りやすい。


17:18
朝、通過した布引滝と富士見峠との分岐点まで来ると霧が晴れて布引滝がはっきり見えるようになった。
落差120メートル。華厳滝よりも大きい。
実は昨日、下見のついでに布引滝に近づいてみたのだが、間近で見るためには崖をよじ登らなくてはならないらしい。次の課題として帰ってきた。


林道へ向かってゆるやかに下る。


17:29
林道を下に見る位置まで来た。これでもうなにも心配することはない。


17:45
林道終点部分から九十九折りへ向かう。
朝、時間を短縮するために林道を3回、ショートカットしたが、時間も遅くなり辺りは薄暗くなったのでショートカットは2回にとどめ、最後は林道を忠実に歩いて駐車地へ向かった。


18:32
距離は試算の16キロを少し上回って17.1キロ。所要時間は30分下回って12時間23分だった。
このGPSが示す距離はある速度を超えないと計測されない仕様らしいので、実際には20キロは歩いていると思う。


標高点2147から帝釈山の山頂まで、計画を大きく上回り2時間14分もかかってしまった。
激藪、ザレ場、岩場といった時間のかかる難所が続いたためだが、想定していたものの計画に甘さがあったようだ。
まあ、でも、結果だけを考えれば予定より20分遅れて出発した割に、ゴールは30分早かったので良しとしよう。ちょっと待て、その考えがいけないんだよ、山というものはw

17日のブログにも書いた通り、この山行を計画するにあたって次の2つのサイトを参考にさせていただきました。この場をお借りして御礼申し上げます。
※「日光稜線紀行」、starionさんによる「野門~帝釈山北尾根~女峰山周回」・・・2006/07/02
※「日光連山ひとり山歩き」、烏ヶ森の住人さんによる「野門から北尾根経由で帝釈山」・・・2006/07/14

女峰山ルート考察。野門から帝釈山に直登して女峰山というのはどう?

営業許可更新の準備に追われて連日、忙しい思いをしていた。
許可制の仕事であるため万一、更新できないとなれば明日から営業できなくなる。家族三人路頭に迷う、そんなことを想像した。だから無我夢中、一心不乱に全力で取り組んだ。
日頃から整理・整頓・清潔を心がけていれば間近になってあたふたすることもないのだが、それはやはり性格というものなのでしょう。
営業許可は無事に更新できたがこの間、管理人としては珍しいほど、山歩きのことを忘れていた。

息抜きに外へ出てみると赤薙山そして、女峰山が梅雨空の雲の間から見える。
ふと我に返って、山歩きのことが頭に浮かんだ。
前回の山行はいつだったんだろう、そんなことも思い出せない精神状態だった。
記録を見ると前回は今月4日だった。
そうかもう2週間も経つのか。
え~と、前回はどこへ行ったんだっけ? いえいえ、そこまで忘れてはいないw
前回はいま眺めている女峰山に登ったのだ。今年3回目、通算9回目だった。

さあ、そろそろ次の山行計画を立てなくては。
一気呵成に女峰山10回目を目指そうか?
そうであれば、これまでと同じルートで登ったのでは面白くない。
10回目はひとつの区切りにふさわしく、これまで歩いていないというか、食指が動かなかったルートにしてみたいものだ。

それは野門ルートだ。
日光市北部の野門(のかど)をスタートしてアスファルトの林道そして登山道を歩いて富士見峠に出て、富士見峠から帝釈山を経て女峰山に至るというルートである。
地図によると林道の終点まで長い九十九折りがあってそれから先、想像だが陽も差さないような薄暗い樹林帯の中を歩いて富士見峠に至る、地図からはそう読み取れる。さらに富士見峠から帝釈山への樹林帯をただ黙々と登っていく。これは過去3度、経験済みだ。道はえぐれ倒木がある。陽は差さない。それがこれまで食指が動かなかった理由である。
ところがここへきて目から鱗の面白い発見をした。

管理人の仕事机の上や寝床にはPCから印刷した地図が整然いや、散乱しているw
そのうちの一枚をトイレに持って入ったり風呂に浸かりながら次の計画を練るのが管理人の生活の一部となっている。
野門ルートを子細に眺めていると、野門から富士見峠に至るルートの東に、帝釈山から派生している明瞭な尾根があるのを見つけた(図の四角印)。
もしもこの尾根が使えるのであれば、富士見峠を経なくても女峰山に行けるのではないか、その方が距離を短縮できるしなんといっても尾根歩きが楽しめる、そんな気持ちがしてきた。
う~ん、なぜ今までそこに気がつかなかったのだろう。
やはりあれだな、野門ルートはアクセスの悪さゆえに端から頭になかったのだ。それしかない。
これで30ワットくらいの灯りが差した。

ネットで調べたところ、管理人が考えているルートを歩いた記録が残る2つのサイトが見つかった。
※「日光稜線紀行」、starionさんによる「野門~帝釈山北尾根~女峰山周回」・・・2006/07/02
※「日光連山ひとり山歩き」、烏ヶ森の住人さんによる「野門から北尾根経由で帝釈山」・・・2006/07/14
烏ヶ森の住人さんはstarionさんの記録を参考にされたそうだ。
今から10年前に歩かれたとすれば、当時はおふたりとも管理人よりも若いはずだ。それでも10時間半を要している。
管理人であればさらに2時間は余計にみておかなければならない。

おふたりの山行記録を見ると、いずれも管理人とは比べものにならないほど日光をくまなく歩かれていて、信頼するに十分な山行記録だ。
普段、他者の山行記録を読むことなどしない管理人だが、未知のルートを歩く場合は念のためネットで調べて、役に立ちそうなものは参考にすることがある。それが上に紹介した2つのサイトだった。
地図上の尾根は明瞭だがそこが藪になっているかどうかは地図を見ただけではわからないし、10メートル間隔の等高線からは10メートルに満たない崖や岩があっても読み取れない。だからこのような先達のリポートはとてもありがたい。
おふたりのリポートによると、帝釈山から派生している尾根上は一部、密藪で難儀するものの、他は歩けないほど酷い藪ではないということ、標高点2147の先、帝釈山直下に滑りやすいザレ場と大きな岩がありそこは巻いた方が安全であることがわかった(管理人が読み間違えもあるかもわからないが)。
灯りは30ワットから60ワットへと昇格した。
ただし、リポートは10年前のものだ。
藪は成長しさらに激しくなっているかもしれない。
60ワットは50ワットに下った。

野門ルートの登山口は日光市栗山なのだが同じ市内でありながら栗山は遠い。
実踏を前に道路状況と所要時間、車を駐めるスペースを確認するため下見に行ってみた。
川治温泉と川俣温泉を結ぶ県道23号線を川俣へ向かって走り、鬼怒川にかかっている短い橋を渡って左折すると家康の里と呼ばれる集落に入る。細い道沿いに数件の民宿と栗山東照宮がある。
さらに進んで行くと人家はなくなり、山の中を走る林道になった。集落から2キロほど走ると鉄製の遮断機が設置されていて、一般車はそこまでしか入れない。車は路肩に2・3台、置けるスペースがある。
遮断機まで自宅から37キロ、60分だった。アスファルトのいい道なんだが、車はここまでか。

地図を見るとここから先、帝釈山の尾根の取り付きまで九十九折の林道が続いている。ただ、幸いなことに遮断機の手前、標高1030付近から林道をショートカットするようにして登山道が付いているので、これを歩けば長い林道歩きは避けられそうだ。
ただし、距離の短縮にはなるが時間の短縮になるかどうかはその登山道次第ということになる。
なんてったって地理院の地図は更新が遅く、とっくの昔に笹藪化している登山道が描かれた地図が最新版として流通(同院のオンライン地図)しているくらいだ。どうなっているかは歩いてみないとわからない。
ちなみにstarionさんも烏ヶ森の住人さんも、林道を歩かれているようだ。ということは地理院地図にある登山道の存在に気がつかないほど、林道は藪になっていたということも考えられる。
しかし、九十九折の林道はなんとしても避けたい。

林道はそこを車が通るように設計されているから急斜面を避け、大回りしながら少しずつ高度を上げていく。したがって距離が長い。登山向きではないのだ。
緩やかだが長い車道を歩くかそれとも、急だが短い登山道を歩くか、どちらがいいかと問われれば管理人は即座に後者と答える。いえね、急な登山道が好きというわけではなく、登山靴で硬いアスファルトの道路を歩くのは疲れるからイヤなんですよ。

だらだらした林道歩きをできるだけ避けて最短距離のルートを考えたのが左図だ。
野門からアスファルトの林道を南下して遮断機手前に車を置いて歩き始め、A地点から始まるヘアピンカーブを避けて、山の中をB地点にショートカットする。
あとはB→C→Dと地図にある登山道を歩いてDで車道と合流し、車道終了点のEから富士見峠への登山道を歩き、Fで帝釈山の尾根に乗るというルートだ。
これなら少なくともA地点からD地点までの九十九折の林道歩きは避けられるはずだ。ただし、地図に描かれている登山道が現在もあればの話w

で、前述のstarionさんと烏ヶ森の住人さんに倣って行程を次のように考えてみた。
野門沢林道ゲート(6:00)~林道終点(7:45)~帝釈北尾根分岐(9:00)~標高点1823(9:45)~標高点1972(10:18)~標高点2147(11:06)~帝釈山(12:10)~女峰山(12:53)~帝釈山(13:56)~富士見峠 (15:01)~帝釈北尾根分岐(17:27)~林道ゲート(19:04)
休憩時間を含めて13時間4分。取り急ぎおふたりの記録を参考にして所要時間を算出してみた。

上に書いた行程の元になるのが下図なのである。
行程を作成するためのツールとして管理人が愛用しているフリーーソフト、「カシミール3D」で予定のルートを設定すると区間距離や区間推定所要時間が算出される。
それをエクセルで作成したフォームに転記すると予定した出発時刻に対して終了時刻が計算される。計算結果に休憩を反映させなければ区間推定所要時間が総時間になるが、休憩時間を加味すると区間推定所要時間プラス90分~120分を見ておいた方がいい。それが13時間4分だ(下図赤枠)。

う~ん、13時間とはねぇ、、、、やってみたい気もするしこの計画はなかったことにしてしまいたい気もするし、心中複雑w

それにしても梅雨の盛りで晴れる日がない。梅雨入りが早かったのでそろそろ明けるのかと思いながら天気図を見ているが梅雨前線は停滞したままだ。せめて雨をまったく心配しなくてもいい日が一日でもあればなぁ、、、、いや進退窮まって野営することも考慮して二日は必要か。

後記
この記事を書いた3日後の20日、気持ちがウズウズして我慢できずさっそく実行しました→こちら

 

今年3度目の女峰山は若子神社から笹藪ルートで。1700Mの登りで疲れ果てたが達成感あり。

2016年7月4日(月) 曇天、雨、強風、一瞬の晴れ間が入り交じる

5:20/若子神社(810M)~7:11/裏見滝出合(1408M)~8:22/荒沢出合(1732M)~9:38/水場(2110M)~10:11/唐沢小屋(2230M)~10:55/女峰山(2483M)~12:26/一里ヶ曽根(2295M)~13:18/奥社跡(2203M)~14:06/赤薙山(2010M)~15:00/小丸山(1601M)~15:30/レストハウス(1345M)

※全行程:18キロ
※所要時間:10時間10分(上記各ポイントで5~10分の休憩を含むが昼食場所は決めず、空腹を感じた時点で食べる)
※累積標高:2318メートル(GPSの記録を元にカシミール3Dで算出)
※「/」の前は時刻、地名のあとのカッコ内は標高


我が家から見る冬の女峰山と赤薙山

女峰山。
日光に数多く存在する2千メートル超えの山で、この山ほど管理人を魅了するものはない。
管理人が山歩きを始めたのは1999年(※)からなので今年18年目になるが、女峰山に初めて登ったのは3年後の2002年であった。
もっとも登りやすいとされる志津乗越の先、馬立から歩き始めて、2時間50分で山頂に達した。このときはたしか、偶然にも林道のゲートの鍵をもつ知人と志津乗越でバッタリ出会い、一般車が入れない馬立まで車で進入した記憶がある。

管理人、それまで2千メートル超えの山は赤薙山(2010M)にしか登ったことがないので、日光の山の魅力を知っていたというわけではない。
だが2002年の女峰山の経験が管理人のその後の山歩きを決定づけた、それほど魅力ある登山だったのである。
いまでこそ、5時間も6時間もかけて山頂に達するのが当たり前になっている管理人だが当時、3時間弱とはいえ管理人を苦しめ、花と景色で感動させるに十分な登山だった。

※山歩きを始めたのは1999年と書いたが、PCに保存してあるもっとも古いデジカメの画像を元に書いている。この年の画像にはザックはもちろんのこと、登山靴や山用のウエアも写っているので、記憶にないだけで実際にはもっと早かったのかもわからない。
このことからも記録することの大切さを思わざるを得ない。

樹林帯の中の急斜面を登り、ガレた沢を恐る恐る渡るとそこに勢いよく流れ落ちる沢水があった。水は高いところから下に流れ落ちるという当たり前の原理なのに、標高2千メートルを超えるこんな高い場所から水が流れ落ちていることに驚いた。
樹林の間から垣間見るすぐ近くの山、いま思うとそれは男体山や大真名子といった日光連山なのだが、その雄大さに感激した。広いガレ場をトラバースして再び樹林帯の急斜面を登るといきなり女峰山の頂上に出た。なるほど、頂上というのはこのようにいきなり出現するものなのだ、と意表を突かれて妙に納得したものだった。
古びた祠があり、そのすぐ先に山頂を示す木柱を囲むようにして石が積まれ、そこが最高標高点の2483メートルであった。男体山とはわずか1メートルしか違わないのだ。
※その後、男体山の最高標高点は2486メートルに変わった。

山頂からの眺めは抜群だった。当時、まだ方角を知る術はなかったので山の名前は特定できなかったが、どこを見ても山、山、山であった。それらの山は形だけでなく緑も美しかった。7月半ばだというのに青空の下を赤トンボが元気に飛び交っていた。

これをきっかけに管理人の本格的な登山が始まったといっていい。
女峰山へはその後、このときと同じルートで2回、難関とされる行者堂から霧降に抜けるルートとその逆ルートが1回ずつ、霧降からのピストンが3回そして今日は行者堂ルートと同じくらい難易度の高い、寂光滝から登ることにした。数えると今日で9回目だ。

多彩なルート

上に書いたとおり女峰山への登り口は日帰りを前提とするなら志津乗越=シヅノッコシ(※)、霧降、東照宮裏の行者堂そして若子神社がある。
さらに加えるとすればアクセスが非常に悪いが野門(栗山村)からのルートがあって多彩だ(※)。標高差も距離も違えばルート上からの眺めも違う。
管理人がもっとも勧めたいのは霧降からのルートだ。駐車場あるいはバス停が即、登山口になっているというアクセスの良さがなんといっても便利。
距離往復14キロ、標高差は1140メートルなので登山の経験があって健脚の人であれば十分、日帰りが可能だ。
ただし、バスだと朝一でも8時到着なので登山には遅い時間となる。午後は天気が急変するので朝6時には歩き始めたい。

※志津乗越からのルートは現在、駐車場が三本松側に5キロも移動(遠ざかる)されてしまい、往復10キロの余計な林道歩きを強いられることになった。以前なら志津乗越から往復14キロで済んでいたものが今は24キロと、女峰山ルートの中で最長距離になり、楽とはいえなくなった。
※野門ルートは上図、富士見峠の北から入山する。

焼石金剛から女峰への稜線

霧降からのルートを勧める理由はなんといっても稜線からの眺めの良さだ。歩き始めて赤薙山の手前まで続く稜線とピーク2209から山頂まで、約3キロにもわたって続く稜線からの眺めが文句なしに素晴らしい。稜線自体が日本庭園のごとく美しいのもいい。

花の季節であれば稜線上に10数種類の花を観ることができる。その代表がハクサンシャクナゲとイワカガミだ。5月は残雪と向き合うのもいい。
他の登山口からだと見通しの悪い樹林帯の中を山頂まで歩かなくてはならないので、ピークハントという目的があるのなら別だが、霧降を登山口とするルートに比べて楽しみは半減する。

ここで蛇足ながら、管理人の女峰山歴というか、女峰山への熱の入れ込みよう(^^)を紹介しておきたい。

行者堂からのルートの高低グラフ

2007年5月に女峰山へのルートで最長かつ標高差がもっとも大きい、東照宮裏の行者堂から登ったことがある。
それまでに一度、志津乗越から登ったことはあるがたった一度で女峰山の虜になり、次は別のルートから挑戦してみたいと思っていたのだ。
もっと登り甲斐のあるルートはないかと探して見つけたのが行者堂から登り始めて女峰山に達し霧降高原に下山するルートだった。
行者堂からの記録

計画段階でわかったのは距離18キロ、登山口から山頂までの標高差が1700メートルもあり、そんな登山は管理人には初めてである。覚悟が必要であった。男体山でさえ標高差は1200メートルなのでそれより500メートルも余計に登らなければならない。標高差1700メートルと言えば男体山の上に鳴虫山が乗っかっているようなものだ(^^)

前もって白根山に登ったり中禅寺湖を1周するなどして体力の強化に努めて実戦に備えたものの、所要時間が10時間もかかり下山時はふらふらの状態であった。
ちなみにその当時、まだ霧降高原の天空回廊はなく小丸山からの下山は地図にある登山道を使う必要があった。この登山道が癖物で、大きな段差はあるわ泥濘はあるわで難路なのだ。天空回廊が完成した現在は笹藪化して歩く人がいなくなった。

同じ年の9月と翌年に志津乗越から二度、これはお客さんとのツアーで登っているが、その翌年の2009年に足首を骨折して2年のブランク、2012年には膝の靱帯断裂でやはり2年ものブランクが生じ、復帰したのは2014年になってからであった。齢60過ぎての4年ものブランクは厳しい。怪我の後遺症は今も残る。
読者の皆さま、登山に限らず怪我でいいことはなにもありません。手術をすると怪我した部分は治ってもその周囲の神経や血管は手術によって傷つくので、痛みや痺れ、関節の動きが制限されたりといった後遺症が必ず発生します。老婆心ながらどうかくれぐれもご注意のほどを。

復帰第1戦は霧降からのピストン

ブランクの期間はリハビリ代わりに低山ばかりを登って体力の回復に努め、昨年5月になってようやく、5回目の女峰登山を果たすことができた。
このときは女峰登山の醍醐味が味わえる霧降高原からのピストンであった。距離14キロ、標高差1140メートルだが雪が残っていたため11時間を要した。

11時間もかかりながらも女峰山に登れたのは、ケガで低山歩きを余儀なくされていた管理人の自信につながったのはいうまでもない。
復帰第1戦の様子

逆バージョン

その2週間後、今度は長年のお客さんであり山友であるWさんと霧降から登り始めて行者堂へ下るという、管理人が2007年に経験しているルートの逆バージョンをおこなった。
距離は18キロ、所要時間は10時間だったので2007年と同じであった。
実は逆バージョンの場合、登山口から女峰山への標高差は1140メートルなのだが、帰りは距離11キロ、標高にして1700メートルも降下しなくてはならないから登りよりも下りを上手にコントロールしなくてはならない。
コントロールに失敗すると一気に体力を消耗してしまう。まっ、早い話が太腿に負担をかけないように意識してゆっくり下る、それに尽きますな。
それと、登りでも体力を消耗しているので、11キロもある長い下りは食べ物の補給を小まめにすることかな。
逆バージョンの記録

今年になっても女峰詣は続いている。
4月の残雪期と6月に霧降高原からピストンをおこなった。

今年4月の様子
今年6月の様子

さて今日、予定している若子神社を登山口とするルートについて説明しておきたい。

寂光神社からのルートの高低グラフ

距離、標高差ともに行者堂からのルートとほぼ同じだ。
距離が18キロと長く、標高差は1700メートルあることから一般的ではなく、栃木県の山だけを紹介するガイドブックにもこのルートの説明はない。
多くのハイカーが利用している昭文社の「山と高原地図」2014年版に道は描かれているが、「ササ深い」と記載されているため歩く人は少ないとみていい。
ササが深いから歩く人が少ない、しかし手入れは莫大なコストがかかるからやらない、この悪循環なので地図に道はあってもやがて完全な笹藪と化してしまう。現在、まさにそのようになっていることが想像できる。

寂光滝の流れを遡っていくとあるところで流れがなくなり、回りから水が湧く、管理人が源流と呼んでいる場所に着く。そこからの帰りは女峰山へのルートに出て登山道を寂光滝へ下るようにしているのだがそのルートに合流して女峰山方面を見やると、道は膝丈の笹に覆われていてこの先ずっと、笹が続いているのだろうことがわかる。山と高原地図に「ササ深い」と描かれている通りだ。

管理人、目的地を決めて歩く際に笹藪に突入し、やむを得ず藪こぎをすることはあっても、藪こぎしたさにあえて藪を狙って計画を組むことなどしない。いたって真っ当な歩きを好むスタイルだw
だが、これまで志津乗越、霧降、行者堂を登山口として女峰山に登ってきたからには、このへんであらたな登山口から登ってみたいと思った。我が愛しの女峰山を極めたいのである。
笹藪を歩くのは本意ではないが、女峰山を極めるためにはそれもやむを得ない。

※上4枚の図はGPSの記録を元にカシミール3Dで描画したもの。縦軸が標高、横軸が距離を表している。

今まさに梅雨の盛り、週間予報に晴れマークの日はない。したがって、降水確率のもっとも少ない日を選ぶしかないが、それが今日だった。
昨夜21時の予報によると降水確率は60パーセントとある。6日以後は40パーセントと少なくなるがそれは直前になってどのように変化するかわからない。100パーセントでなければ良しとしよう、それが今日、決行した理由である。

標高差1700メートルを登るロングコースは2007年以来だから、体力面で不安がある。
荷物はできるだけ軽量化して負担を減らしたい。

錫ヶ岳のときは野営を覚悟したのでザックは15キロになり、老体には堪えた。
今日はテントとマット他、数点を外した。これだけで2キロ以上、軽くなる。
さらにはザックを65リットルから30リットルへと小型のものにした。
これらの工夫で10キロをわずかに下回るまで軽量化できた。

今日の携行品
雨具、防寒着、手袋、シュラフカバー、ツェルト、レスキューシート、行動食多数、スポーツドリンク2Lと補充用の粉末、水道水1L、缶コーヒー、サプリ数種、ヘッドランプ、救急セット、チェーンスパイク、ロールペーパー、デジカメ2台と三脚と予備電池、GPSとGPSロガー、筆記具、コンパス、ラジオ、紙地図、熊避けの笛、折りたたみ傘、手ぬぐい4枚、紙おしぼり数本、ゴミ袋多数、携帯シャワー、携帯電話、スマホ。これに食料が加わる。

なにもそこまで揃えなくても、と自分自身で思うが、歩く人など皆無という道のしかも単独行であるがゆえに非常事態のことを考えると最低、これだけは必要になる。
錫ヶ岳から外したのはテントとマット、無線機、浄水器、GPS用の予備電池くらいか。
それでも10キロを下回るザックは軽く感じる。
ちなみにシュラフカバーとは寝袋が湿気で濡れないようにする防水カバーのことで、夏はこれだけで寝袋の代わりになる。使う機会はこれまでなかったが、ツェルトとこれがあれば非常時でも大丈夫でしょう、たぶんw

今日の行程だと雨は覚悟しておかなくてはならないし、笹の藪こぎも想定しておかなければならないだろう。
両者を合わせると疲れは相当なものになるに違いない。
先週の錫ヶ岳に匹敵するくらい、疲れるだろうか?
雨と笹藪だけならまだいい、雷が怖い。クマも心配だ。
不安で案の定、昨夜は眠りが浅くまた、短かった。
起きて1時間も経つのにまだボーッとしている。錫ヶ岳と同じ健康状態での出発となった→錫ヶ岳はこちら

ふふぁ~、眠い。


5:23
自宅を出発する際は小雨だったが若子神社の駐車場に着いて東の空を見上げると雲間に青空が覗いている。しかし、これから向かう北西側はぶ厚い雲に覆われている。この青空が吉と出るか凶と出るか、管理人にそこまで予測できる知識はない。
雨を想定してあらかじめ雨具を着用して歩き始めるべきかどうか迷ったが、暑さを考えると雨具は避けたい。スパッツだけにした。


出発点となる寂光神社の鳥居。標高は我が家とほぼ同じ810メートルだ。
この鳥居をくぐって石の階段を昇ると落差70メートルの寂光滝があり、登山道はそのすぐ脇につけられている。


鳥居前の登山カード入れにあらかじめ用意した3通の登山計画書のうち、1通を入れた。
他の2通のうち1通は家族の目につくように管理人の仕事机の上に置き、もう1通はザックの中に入れて家族から家出捜査、じゃなかった捜索願いが出たときに身元がわかるようにしている。
これ、実は管理人がガイドした女性客から教わったもの。家族のいる女性としてよく考えられた方法だ。


石段を数分上ると若子神社。
ここで滝と女峰山への登山道に分かれる。登山道は神社の真裏にある。


いきなり急登。
足はまだ眠っているので辛いところだ。


おっ、日差しが、、、
いいじゃないか!!
このままであってほしい。


急斜面を登るとゆるやかになる。ここはアカヤシオのトンネルになるいい道。


広いミズナラ林。
秋から春にかけて熊棚が見られることがある。
この尾根の左が寂光滝の流れで右が田茂沢。
先ほどの日差しはホンの一瞬であった。ここに来ると空は厚い雲に覆われた。


6:10
標高1100メートル付近。
この辺りから膝丈の笹がかぶさって道が怪しくなる。笹は濡れているのでズボンを脱いで雨具に換えた。スパッツはもちろん着けた。
雨がいつ降り出すかわからないような天気なのでザックから折りたたみ傘を出し、手に持って歩く。


標高1200メートル付近。
寂光源流の少し上、聖天岩と同じ等高線上。
ここから先、荒沢出合までが管理人にとって未踏のルートだ。
たが、この時点ですでにどんなルートなのかが明らかになった。藪歩きは避けられない。


7:11
ここで裏見滝からのルートと合流。
ここまで一時、腰高の笹に見舞われたが笹は低くなり、道が見えるようになった。
標高は1410メートル。緩やかな勾配が続いていたが出発してすでに600メートルも上ったようだ。しかし、女峰山まであと1000メートル以上も上らなくてはならない。


さあ、本格的に始まったぞ。
腰高の笹だ。先週の錫ヶ岳を彷彿させる(^^)
笹は雨で濡れている。


人が歩いた形跡などないのに道標だけがやけに立派だ。
先ほどからスズメバチが頭上を旋回している。巣の下を通過したのかもわからない。傘を広げて防御したが20分ほど付きまとわれた末、管理人に害がないことがわかったのか、やがて去っていった。


8:04
標高は1700メートルを超えた。腰高の笹はなくなり、道が見えるようになった。
道は広大な斜面の笹原をトラバースするように付いている。
このまま進むと地図の「荒沢出合」に達するが、道から外れてこの斜面を登ると行者堂からのルートと交わるようだ。
管理人の人生と同じように道を外してみたい衝動に駆られたが今日のところは見える道を素直に歩いて行こう。


8:16
地図に名前のない広い沢が見えてきた。沢はこの少し下で荒沢と合流、上流は唐沢小屋直下まで続いている。
女峰山へはこの沢を渡って志津乗越から来る道と合流するので上流へと向かう。


流れのないガレた沢を横切って対岸の志津乗越から来る道へ。
未踏ルートはここまでで歩き終えた。これから先はこれまで3回歩いている。
なお、このガレ場に出るまでかなりの悪路。


沢の対岸に渡るとさすがに道ははっきりする。
志津乗越からのルートは一般的なので利用者も多い。


道の所々に沢を見下ろせる場所がある。
堰堤群がこの山の崩落の厳しさを物語っている。


おぉ、シャクナゲが、、、
標高1900メートルに達しているからハクサンシャクナゲでしょう。


道はずっと樹林帯の中に付いていて眺めはない。ただひたすら登っていく。


9:34
沢の上流部まで来ると、ガレの間から水が流れ落ちているのが目に入った。
水は女峰山直下の伏流水のようだ。
女峰山へはここの足場のいいところを選んで渡渉する。


沢を渡ると道標があり、ここが水場。


9:40
本流から数メートル離れたところにパイプが差し込まれていて、きれいな水が流れ出ている。
手ですくって口に含むと文句なしに美味い。
手は氷水に浸したかのように瞬く間に冷たくなった。
ここまで700ミリのスポーツドリンクのうち、500ミリほど消費したので、ボトルに粉末を入れて水を満たした。
700ミリのボトルはもう1本、それと水道水を1リットル持参しているので、これで帰りまで大丈夫であろう。


水場から急登になる。


10:11
水場から15分ほどで唐沢小屋に着いた。


避難小屋という扱いなので無人。
水も自炊設備もトイレもないが利用者は多いようだ。


この小屋の利用記録として用意されているノートの最新の日付は今月2日になっていた。


避難小屋を正面に見て右へ行くと東照宮裏の行者堂へ下る。
女峰山へは左へ向かいさらに急登を続ける。


10:28
避難小屋から10分でガレ場のトラバースにさしかかる。
岩や石は安定しているが、上に登山者がいれば念のため自分で安全確保を。


ガレ場を抜けると再び樹林帯となる。
ミヤマダイコンソウと遭遇。


マイヅルソウ


先ほども見たがハクサンシャクナゲ。


10:55
花を眺めながら急斜面を登っていると突然、視界が開け、そこが山頂だった。
目の前に女峰神社の祠が見える。


10:57
祠の左手に見慣れた山名板がある。
歩き始めて5時間半、9回目の女峰山登頂だ。
三脚を使って自撮りしたがこのあとすぐ、カメラを載せた三脚が風で倒れた。
強風で身体が傾く管理人(そんな馬鹿な・笑)。


山頂には濃いガスが立ちこめ視界不良。嵐のような風が吹いている。
まずは防寒のためにウインドブレーカーを着て周りを見回した。
ほんの数秒、ガスが切れて帝釈山が見えたので急いでカメラを構えた。後にも先にも景色が見えたのはこのときだけだった。


今日はピークハントが目的だったので山頂での滞在時間は約15分。
目的は達したしこの風の中、じっとしているのは辛いので早々に山頂を去って霧降へと向かった。


11:18
女峰山の隣のピーク、2463メートル。
地理院地図に記載はないが三角点がある。


コケモモ。
女峰山山頂から霧降へ向かっての稜線は花の宝庫でもある。


ガレ場の急な下りにミヤマダイコンソウが。


先月10日に来たときは盛りだったイワカガミはほとんどなくなり、これは最後のひと株だった。


11:48
地図にあるピーク2318まで来ると樹林が風を遮ってくれるので、ここで山頂で食べるつもりだった菓子パンとバナナをお腹に収めた。


ツマトリソウ


12:11
ピーク2318を下った鞍部に水場がある。
手持ちはまだ十分だったが念のため、水量を確認しに行った。
正面に見えるピークは一里ヶ曽根。


土中に差し込まれた2本の塩ビ管の1本から、水が流れている。
梅雨に入り、先月10日に確認したときに比べると水量は多かった→先月の様子


水場がある鞍部からピーク2295の一里ヶ曽根を見上げる。
ここから標高で約50メートル上がる。


ピーク2295の一里ヶ曽根。
名前の由来は不明だが曽根とは尾根のこと。一里はどこかの場所を起点とした距離のことだと思うが、管理人にはわからない。昔は距離を「里」で表す方法がとられ、1里=4キロとされていたがその地域独自の尺度があったのだろうと思う。


シャクナゲがもの凄いことになっている。


道がシャクナゲ林の中を通っている。
まるで日本庭園の中を歩いているような贅沢な気分を味わえる。


ナナカマド(七竈)。
木は堅く、竈で七回、燃やしても燃え尽きないという例えだ。


ベニサラサドウダン


ハクサンシャクナゲ
これまでシャクナゲと説明してきたのは正確にはハクサンシャクナゲといって高地のもの。


ゴゼンタチバナ
この辺りで雨が激しくなってきた。
雨具はすでに上下を着用している。


ピーク2209から奥社跡へと向かう鞍部。


13:18
ピーク2203の奥社跡を通過。
休みは取らない。


奥社跡からの激しい道を下っていくとこのようなピークが見える。急いた気持ちからこれが赤薙山かと見間違えるが、赤薙山はこのピークに達してさらに400メートル先。


両側が切れ落ちた細い尾根を歩く。


14:06
ふ~、ようやく赤薙山だ。人心地がついたというか、ここまで来ればゴールは目前だ。


焼石金剛へのやせ尾根にさしかかる頃、霧はもっとも濃くなった。


焼石金剛手前の笹原。
赤薙山を下り始めて焼石金剛の先の小丸山までは、雨が降ると道が泥濘化して滑るので注意。


コメツツジ


ハナニガナ


これは開花間近のクルマユリ。
茎の根元の方の葉っぱを見ると輪状になっているのがわかる。これが名前の由来。


15:00
無事に小丸山まで下山した。
正面に見える回転扉を開けて入るとニッコウキスゲが咲くキスゲ平園地だ。


15:05
ここから1445段の天空回廊が始まる。
終わりまでの標高差は237メートル。
途中、ニッコウキスゲの他にも高山植物がたくさん見られる。
この雨にもかかわらず、キスゲ目当ての観光客がちらほら。


今が盛りのニッコウキスゲ。


斜面に群落するニッコウキスゲ


ヤマブキショウマ


ヨツバヒヨドリ


コバギボウシ


15:30
途中、花の写真を撮りながら1445段の階段を下りきった。
いつものことながら足はふらふら、余力なしの状態だ。


15:40発のこのバスで帰る。
16:55発の最終バスを覚悟していたのだが3本前のに乗れることになった。
身体はふらふらだが頭も同じだ。さあ、帰ったら風呂に入って、ビールを飲んで、それからゆっくり晩酌して疲れを取ろう、、、しかし、バスに乗ったとたんにそんな考えは吹き飛んでしまった。
そうだ、帰ったらすぐ、スタート地点の寂光滝まで車を取りに行かなくては(泣)。風呂もビールも晩酌もそれまでお預けだ。

かくして10時間にわたる9回目の女峰山が終わった。
曇天、雨と霧、強風、笹藪の女峰山だったが、霧降ルートとは別の顔を見ることができた。
登山口から山頂まで1700メートルも登らなければならない厳しい山行だったが、期待を裏切られることはなかった。達成感があった。
厳しいけれど胸を大きく開いて管理人を迎え入れてくれる、本当は心優しい、母なる山なのだ。
さて、10回目はどんなルートにしようかな。冥土の土産になるような楽しいルートがいいなぁ。

赤薙山から女峰山そして、帝釈山へ。今日も12時間の山歩きで心は晴れ晴れ、足はガクガク。

2016年6月10日(金) 晴れのち曇り

5:12/キスゲ平~5:53/小丸山~6:28/焼石金剛~7:05/赤薙山~8:09/奥社~8:30/P2209~09:10/一里ヶ曽根~9:51/P2318~10:35/女峰山~11:18/帝釈山~12:15/女峰山~13:03/P2318~13:30/一里ヶ曽根~14:05/P2209~14:38/奥社~15:35/赤薙山~15:58/焼石金剛~16:25/小丸山~17:05/キスゲ平

梅雨に入った。
山歩きを趣味としている人には憂鬱な季節であろうと思う。
仕事のある平日に晴れ、週末は雨という日がずっと続いたらきっと泣いてしまうに違いない。と、第三者的に書いている。

管理人、歳を重ねるにつれて仕事への意欲がなくなり、客商売ながら宣伝もしないから売り上げは最盛期の1/3程度に落ち込んでいる。それはすなわち仕事のない日が多いということを表しているわけで、時間だけはたっぷりある。
その時間をせっせと山歩きに有効利用しているというのがここ数年の、管理人の生活様式となっている。

だから梅雨時であっても、前夜の天気予報を凝視して、翌日は雨の心配がないとわかれば急いで支度を済ませて出かける。ここが定職に就いている人との違いであろう。
今日10日、前夜の天気予報では晴れとなっていた。梅雨の合間の貴重な日だ。当然ながら山歩きの日に充てる。
行き先はできるだけ厳しいところ、と決めてある。距離は15キロ以上、標高差が1千メートル以上あってなおかつ、アップダウンをなんども繰り返す山だ。古賀志山ではどれほどルートを工夫してもこの条件に合致しない。

管理人の今年の最重要課題がふたつある。
これまでまだ登ったことのない山に挑戦することだ。
度重なるケガで山から遠ざかっていたが、一昨年になってだいぶ良くなり昨年はかなりの数、こなすことができるまで回復した。
それでも管理人に、まだ手が出せない山が2座ある。
距離が長いので日帰りでは困難と位置づけている山だ。
錫ヶ岳と皇海山である。

両座とも下見(※)のために近くまで行ったことがあるが、やはり遠かった。
途中、避難小屋を利用すれば可能なのだが、仕事の都合で日帰り山行を原則とする管理人にとって小屋泊まりは避けなくてはならない。それに歩き終えたら風呂にも入りたいし晩酌もしたいしw
もとい、管理人の山行様式は疲れ果ててもうこれ以上、無理というまで歩くこと、それが管理人の満足に結びついているから、危険きわまりない登山といえる。
『登山道で高齢ハイカーが倒れているのを別の登山者が発見、病院に収容されたが疲労が激しく事情聴取に応じられず。倒れていたのは下山口までわずか200メートルという場所でした。』といったニュースになってもおかしくない歩き方をする(体力的に問題が、、、)。

そんな我が身を想像してしまう山が錫ヶ岳と皇海山なのである。
それを体調のいい今年こそやり遂げたい。
ただし、並大抵の準備では困難であることは十分、承知している。両座、往復で30キロもある。これまでそんな距離を日帰りで歩いたことがない。
今をその準備期間と位置づけ、長距離、急傾斜、アップダウンの訓練を積んでいるところだ。

錫ヶ岳の下見の様子
皇海山の下見の様子

で、今日の目的地だが、錫ヶ岳あるいは皇海山を成功させるのに必須となる脚力と持久力を養うために、管理人お気に入りの女峰山とした。
女峰山はその優しい名前とは裏腹に、厳しさでは定評のある日光の名山である。
このブログでもいくつか紹介しているのでここで繰り返すはやめておくが、アップダウンの激しい長い稜線歩きと稜線からの眺めの良さが気に入っている。
ここを余裕を持って下山できれば錫ヶ岳や皇海山に一歩、近づくことができる。
もしも時間に余裕がでたら、女峰山の700メートル先にある帝釈山まで行くつもりだ。

今朝は3時半に目覚ましをかけ、起床後、股関節と膝の屈伸をして両脚の腸脛靭帯部分にテーピングをした。さらに、膝サポーターとかかとサポーターを着け、故障に備える。ケガの予防のためには自分でできることはなんでもやってみる、という境地に至っている。
それから朝食を作り始めた。
これからの大仕事に備えて昨夜は袋麺のうどんとバナナを食べ、今朝はスパゲティとバナナ。山歩きにはエネルギー源となる炭水化物の摂取が必須なのだ。
非常時に備えて野営ができるほどの荷物を詰めこんだザックは15キロの重さになった。これを車に積み込むが寝起きの身体にはズシッとくる。

4時40分に自宅を出発。
女峰山の登山口となるキスゲ平へは15分で行けるから、この時間に出発すれば5時少し過ぎた頃から歩き始めることができる。所要時間は帝釈山まで行くことを考えて往復12時間と計算し、日没前に下山するためには5時台にスタートしなくてはならない。

でもこのところ、下山中に両膝が痛くなったり右足に腸脛靭帯炎が出たりと、年寄り特有の症状で苦しんでいる。そこのところが最大の心配ごと(泣)

それでは行ってきます。


5:12
昨夜の予報の通り、よく晴れた。
あの小高いのが小丸山でその先が赤薙山。
女峰山は赤薙山から地理院地図に描かれた5つ目のピークだ。とても遠い。


5:31
天空回廊と名付けられた1445段の階段の700段目。
傾斜はここから急になる。ここでバテてしまっては女峰山を断念しなければならないので、意識してゆっくり上っていく。今日はザックが重いので100段ごとに休憩し、息を整えてはまた上るという繰り返し。


スキー場(元)の上級者コース部分。階段はこの傾斜に設置されているのでその厳しさがわかるでしょ。
ちなみに積雪時は登山者のためにこの斜面が開放され楽しさもぐっと増す。


5:47
階段を上り始めてちょうど35分。実にゆっくりペースだ。
空身なら20分で上れるところだが登山靴を履いた上に15キロの荷物はこたえた。
管理人、食事後の体重が55キロなので体重の30パーセント近い荷物を背負っていることになる。


5:52
標高1601メートルの小丸山。
ここが赤薙山と女峰山への登山コースの始まりで正面に緩やかな稜線が続いているが、これがなんともいえない気持ちのいい歩きが楽しめる。奥日光の山だとそうはいかない。
この稜線からの眺めとくに、振り返ったときの広い関東平野の眺めは最高の清涼剤となる。ときに富士山やスカイツリー、都心の高層ビル群が見えることもある。


稜線から振り返った眺め。今日は雲が多い。
真冬の澄んだ空気であればこの向こうに筑波山と富士山、都心の高層ビル群そして、スカイツリーが見える。


小丸山から赤薙山へ進んでいくと左(南側)に大きな尾根が現れる。
左は急に落ち込んでいて霧降高原道路の「高原歩道入口」というバス停で終わる。尾根を登っていくと赤薙山に至る。
管理人、この尾根に長年憧れつい先日、とうとう歩いてしまった。地図に道は描かれていないし実際に道はない。地図を読みながら尾根筋を忠実に歩き、ツツジと笹の藪を突き進みようやく赤薙山の山頂に達したときは喜びに泣いた。

この尾根を歩いたときのブログ


大小の石や岩がゴロゴロしている場所に来ると焼石金剛が近い。
これらの石と岩、赤い地肌は火山特有のものと思う。


6:28
焼石金剛に到着。
ガレ場はここで終わり、これから笹原を歩いて赤薙山直下の樹林帯に入る。


焼石金剛から先、やせ尾根となる。
左側の斜面がストンと落ちているので積雪期はとても怖い思いをするがこの時期はまったく問題ない。
尾根の先に見える樹林帯に突入すると山頂はすぐ。
日光でもっとも楽に登れる2千メートル峰が赤薙山なのだ。


7:05
赤薙山山頂に着いた。
歩き始めて2時間弱だからまずまずといったところか。
女峰山はここから5つ目のピーク。先はまだ長い。
昨夜と今朝は麺類でお腹を満たしているので空腹感はまだない。水分だけ補給して歩きを再開した。


赤薙山から先はほんのわずかな間、平坦な樹林帯の中を歩けるが、この先に試練が待ち受けていることなど想像もつかない。


視界が開けピーク2203の奥社跡(左)とピーク2209(右)が見えてきた。アップダウンが始まるのもこの辺りから。


あっ、白いイワカガミ(岩鏡)だ。文字通り、岩にへばりつくようにして生育する植物。
先週、赤薙山南尾根でも見て古賀志山と同じヒメイワカガミかと思ったのだが、萼片の色が異なるため特定できなかった。あとで調べてヤマイワカガミとしたのだが子細に観察するとヤマイワカガミともなんとなく違うようだ。いまはシロバナイワカガミではないかと思っている。


バイケイソウやシャクナゲ、マツ科の植物群の間をぬって歩く。
奥社直下の急傾斜はこの先から始まる。


8:09
赤薙山神社の奥社跡に着いた。
昔はより高い場所、より奥まった場所に神が宿るとされていたのであろう、赤薙山神社があってその奥にも神社があったようだ。ここがその場所。現在、その形跡はない。


奥社から進路を北に変えてピーク2209の稜線に出た。
ここからが女峰山登山の真髄、緩やかで眺めのいい快適な稜線歩きが楽しめる。


シャクナゲ。
ここはすでに2200メートルを超えているのでハクサンシャクナゲが生育する環境だが、これはピンクの花なのでアズマシャクナゲかもしれない。


おぉ、女峰山だ。いいですな~、でもはるか彼方に見える。
中央が女峰山で左がピーク2359、。
女峰山をよく見るとふたこぶになっている。これは位置関係でそのように見えるが、ふたこぶの右が女峰山の手前に位置するピーク2463。地理院地図にはなんの記載もないが三角点がある山だ。
上昇気流に乗って雲が湧き出た。


こちらは日光に広く分布しているイワカガミ。


ピーク2209と一里ヶ曽根の中間あたり。緩やかで気持ちのいい歩きを楽しめる。


9:10
赤薙山を過ぎて3つ目のピークとなる2295メートル地点。一里ヶ曽根と呼ばれている。
ここまでが女峰山までの2/3。もう一頑張りすれば女峰山に立てる。
後で書くがここで菓子パンをかじっていると間もなく、思いがけない人がやってきた。
やあやあやあ~、なんとなんと! などと挨拶にもならない言葉を交わして管理人、先へ進んでいった。


一里ヶ曽根から先はガレ場の下りとなる。
急なガレ場を下ると平坦な鞍部となり、そこに水場がある。
水場からは急な上りになりピーク2318に達する。


9:32
ここが水場。
細い沢に塩ビ管が差し込まれていて水をすくい取っている。
ここまでで700ミリのスポーツドリンクを空にしたのでボトルに粉末を入れて水を満たした。
今年は雪が少なかったためか流れは細く、ボトルに給水するのに時間がかかった。


9:52
水場から先、ふたたび急斜面を上るとピーク2318。その先で一時的に道は平坦になる。一息つけるわずかな時間だ。


10:05
やがて幅30センチしかない細い道に変わりワイルドな歩きが楽しめるようになる(^^)
と、そんなことを言えるのはこの時期だけで、残雪期は道が雪に隠れて見えずとても怖い。


10:17
山頂400メートル手前に岩場がある。
ロープがかかっているのでまったく問題なく上ることができる。
ただし岩は脆く、足を置く場所によって崩れることがあるので注意が必要。とくにすぐ下にいる人は。
できることならロープを使わずに登る方が岩にかかる荷重が分散するので、岩崩れを防ぐことができるかもしれない。


10:28
地理院の地図には描かれていないがピーク2463。三角点(画像右端の石の柱)がある。
ここまで来ると女峰山はもう目の前に見える。


とうとう女峰山をとらえた。
山頂に人がいるのが肉眼でも見える。
カメラの望遠で見ると5人いる。
管理人が登っている途中、3人に追い越されたので5人のうち3人はそれらの人であろうと思う。


10:33
山頂の女峰神社。やった~、女峰山に着いたぞ!!
今日も苦しかっただけに感無量。
4月に登っているから今年2度目の登頂ということになる。
時間の計測ポイントごとに10分の休憩、花を見つけてはカメラに収めるために休憩、遠くに見える女峰山を眺めては感嘆し、歩き始めて5時間と20分。
途中、3人の登山者に追い越されながらも焦らず、マイペースを守り通した。
4月の残雪期は6時間36分かかったから管理人にとっては好タイムだ。

4月に登ったときの記録


石が積まれた山名板で記念写真を。
右が管理人で左はKIさん。一里ヶ曽根で出会った思いがけない人というのがこのKIさんである。
じつはKIさんと管理人は顔見知りなのだ。しかし、まさかここでお会いするとは!
KIさんは今年の冬、管理人が主催するスノーシューツアーに参加してくれて、話をするうちにトレランの選手であることを知った。国内外の長距離レースに出場しているが夏に開催される240キロのレースに出場するためのトレーニングで来たそうだ。
なんだ、それじゃ管理人と同じ目的ではないか。距離に雲泥の差はあるが(^^)


せっかく山頂に達したのにガスで視界は不良。
天気が良ければ360度の展望があるのに残念だが山ではこのくらいのことは承知しておかなければならない。
さてと、管理人の今日の最終目標は女峰山ではない。女峰山の西700メートルにある帝釈山だ。休憩もそこそこにこのガスの中を突き進むことにする。


女峰山山頂は全体がガレ場だ。
そこを西へ向かって急な斜面を降りていく。
ハイマツの茂る稜線を歩いて行くとこのような大きな岩と出合う。2002年7月、初めてここを歩いたときはこの岩の大きさに恐れをなしたことを覚えている。
恥ずかしい話だがそのとき、気が動転していたのか鎖の存在に気がつかず、この岩を登るのは無理と考え、巻き道を探してかえって危険な目に遭ったのだ。良き思い出として残るこの岩が管理人を古賀志山へと導いてくれたのかもしれない。
いまは古賀志山の経験でこの程度なら驚くことはなくなった。鎖を使わずに登れる。


鎖を上ると専女山。名前の由来はわからない。
いまだに信仰の対象とされているらしく、いろんな御札が添えられている。


ハイマツの生い茂るこの稜線はとても魅力的。
女峰山と帝釈山はわずか700メートルしか離れていないがその間、じつにワイルドな歩きが楽しめる。いい稜線だ。


間もなく山頂。
風の強さを物語るかのように木の枝が南へ向かっている。


11:18
標高2455メートル、女峰山と28メートルしか違わない帝釈山に到着。
ここも女峰山と同じように360度の展望がある。しかしガスで視界不良。
ケガをする前の絶頂期だった2002年に訪れたのが最初でその後、2007年と2008年に来ている。
今日はじつに8年ぶりだ。
携帯圏内だったので友人知人らに無事を知らせるべく、ここでfacebookに投稿しておいた。


ほんの一瞬だが流れたガスの合間から太郎山が見えた。


北側は比較的ガスが少なく、川俣ダムが見える。


さて、戻ろうか。
女峰山が鋭い姿を見せている。
麓から見上げる女峰山は東西に延びた長い稜線を見るので、それが日光アルプスという冠にふさわしいのだが、帝釈山から東に見ると地図の通り、尖って鋭く見える。岩峰なのだ。


12:15
女峰山に戻ると裏男体の志津乗越から登ってきたという男性がいたので挨拶を交わす。
志津乗越の手前に車を置いて林道を登山口まで歩いたのだという。
以前なら志津乗越の登山口に車が置けたのだが現在は駐車スペースが閉鎖され、5キロ手前に新設された駐車場から、傾斜のある林道を歩かなくてはならない。林道を5キロもだ。
それは登山者にとって苦痛以外の何物でもない。
以来、管理人も志津乗越から女峰山に登ることはしていない。登山口に達するのに登山者にもっと快適な方法を提供することはできないものだろうか。


12:44
地図にはないがこれもいちおう、ピークの標高2380地点。
ルートの目印のためにも管理人が頭に入れている。


幅30センチのガレた道を歩く。


あれっ?
遠くにかすんで見えるのは、もしや燧岳では?


12:52
ピーク2318前の急なガレ場を下る。
この頃になって両膝に痛みを感じるようになった。


13:03
ピーク2318を通過


13:21
水場の前を通過して次のピーク、一里ヶ曽根を見上げる。
疲れも出てきた。ゆっくり行こう。


13:29
ピーク2295の一里ヶ曽根でひと休みする。
雲行きが怪しくなってきたので雨に備えて、ザック内の雨具を取り出しやすい位置に移す。


アズマシャクナゲの群落地帯に入る。といってもこの中を突き進むのではなく、脇の道を歩くのだが。


シャクナゲやコメツガそして岩。じつに見事に配置され、美しい日本庭園の中を歩いているような気分になれる。


山中でこんな色の花に出会うと癒されるね。でもそれで体力が回復するわけではないのだが。


14:14
ピーク2209から奥社へ向かう鞍部。
こんなにハッキリした道があるのに、ここは斜面、鞍部ともに広いため積雪時は方向を見失いやすい。二年前はここで道迷い遭難が発生した。


14:38
奥社跡。
ここから赤薙山まで厳しいアップダウンがあるので少し休憩して体力を回復させる。


シロバナイワカガミ


いやらしい部分だ。
疲れて膝が深く曲がらなくなっているので、木の根っこや岩につかまって慎重に降りることにする。


赤薙山を目の前にしてなんとか人心地がつく。


15:36
休憩せずに通過


赤薙山の樹林帯から稜線に出るとシロヤシオが見られた。といってもほぼ終わり尽くして残骸といった程度。


例のやせ尾根。
上昇気流によって濃いガスが立ちこめている。


16:24
やっと小丸山まで降りてきた。
ここまで来ればもう安心、いや、この先まだ長い階段があった。


16:29
最後の力を振り絞って天空回廊を降りることにする。
足がもつれて転げ落ちないように手すりをしっかり握り、慎重に降りる。
この直線の下が700段目。避難小屋があるところだ。


16:38
700段目から下は階段の他に園内を散策できる遊歩道がある。
ニッコウキスゲなど初夏の植物が歩きながら楽しめるようにと設計されている。階段も飽きたので遊歩道を歩いてみよう。
さて、どんな花が見られるでしょうか。


ハルカラマツ
これは園内でずいぶん多く見られた。


レンゲツツジ


アヤメが2株。散策路のすぐ近くで見られた。


ベニサラサドウダン


ニッコウキスゲ
なんとまあ、足下で咲いているではありませんか。
今年は開花が早いのかもね。
例年だと7月2週目に見ごろを迎えるけれど、今年はどうなることやら。


ユキザサ
葉が笹に似ていて、その先に白い花を咲かせるのでついた名前らしい。


今日、歩いたルートは東西に長いため小丸山から東側をカットして掲載する。
帝釈山は馴染みが薄いと思われるが女峰山の西、約700メートルに位置する眺望最高の山だ。
帝釈山を西へ下ると富士見峠に出て富士見峠を南へ下れば裏男体山林道へ行くことができる。
また、富士見峠から小真名子山を経て大真名子山を縦走し裏男体山林道に降りることもできる。とても魅力的な縦走ではあるが管理人にそこまでの勇気はない。


ルートの断面はこんな感じ。
かなり厳しい傾斜だがところどころ平坦な部分があって息を抜ける。


フリーソフト「カシミール3D」を使って東武日光駅前から見える赤薙山~女峰山~帝釈山の稜線を描画してみた。赤線が今日、管理人が歩いた軌跡。地理院地図と見比べるとおもしろいと思う。
実際には建物がじゃまをしてこの図のように全体を見ることはできない。
赤薙山から奥社、P2209までは樹林帯の中を歩くので展望が悪いが、その他はとてもいい。

ちょっと手強かった赤薙山南尾根。でもそこは嬉しいことにツツジと藪の宝庫だった(^^)

2016年5月28日(土) 晴れ

6:40/高原歩道入口~(0.5キロ)~6:54/中ノ沢渡渉点~(2.3キロ)~8:17/P1404~(1.2キロ)~9:54/ピーク1767~(1.3キロ)~10:41/赤薙山~(1.3キロ)~12:12/P1767~(1.2キロ)13:06/P1404~(2.3キロ)~14:00/中ノ沢渡渉点(休憩)~(0.5キロ)14:31/高原歩道入口

管理人の主催でおこなっている霧降高原・丸山のスノーシューツアーは丸山北コースから山頂を目指し、南斜面を降りて赤薙山稜線に出る。冬の赤薙山稜線からの眺めはガイド役の管理人だけでなく、ツアー参加者が例外なく感嘆の声を挙げるほど素晴らしく、条件が良ければ富士山やスカイツリー、都内の高層ビル群が目に入る。
もちろん、それより近い山並みは手に取るほど間近に迫り、その光景を奥日光で見ようと思ったら2千メートル峰の山頂に立たなくては困難なほどだ。

赤薙山稜線から見る光景で、管理人が前々から気になっていることがある。
赤薙山稜線の上に立つと左側に大きな尾根が見える。下は深い谷になっていて、谷底が中ノ沢。その中ノ沢から斜面が立ち上がっていて斜面の最上部に広い尾根を形成している。
その尾根は積雪期だと広大な雪原となり無雪期には緑の草原として赤薙山稜線から見える。実に魅力的な尾根だ。
いつかあの尾根を歩いてみたい。赤薙山稜線を歩くたびにその想いは強くなる一方だ。

地図で調べると尾根は赤薙山山頂の南から始まり南東へ向かって延び、霧降高原道路の少し西側で終わっている。そこは霧降高原歩道という立派な名称のついたハイキングコースの入口でもある。
しかし、地図を子細に眺めているうちに不安がわき起こってきた。それは等高線の詰まっている箇所がふたつあって、傾斜が30度もあることだ。果たして管理人の脚力で登れるものだろうか。古賀志山のように地図には描かれていない岩場などはないのだろうか。
それと、これこそもっとも恐れなくてはならない、クマとの遭遇だ。藪も想定しなければならないから、あるとき藪の中でクマさんとばったり出遭うことも考えておかなければならない。食料はたくさん持っていくつもりなので、挨拶代わりにお裾分けして済むものならそれでいいが、もっといいものを寄こせといわれても困る。

とまぁ、不安要素満載のルートだが長年いだいてきた夢の実現のためにはそれくらいの覚悟は必要かもしれない。
時期は天候が安定している5月がいい。木々はまだ芽を吹いたばかりなので見通しはいいはずだし、笹の成長もこれからであろう。赤薙山稜線からは見えない景色が広がっているかもわからない。ツツジだってまだ見られるかもしれない。
幸いなことに体調は今がベストだ。うまい具合に山頂に立つことができたら夜は祝杯を挙げよう。と、不安要素を払拭すべく、あれこれ考えを巡らすがそれでもやはり、不安の方が大きい。

まぁでも、初めてのルートを歩くときはいつも不安がつきまとうものだ。
そんなときは早いところ現場に入って仕事をするに限る。
前日の予定では7時から歩き始めるつもりだったが、今朝は緊張のあまり4時半に目覚めてしまった。袋麺で朝食とし、予定を20分早めて6時40分から歩き始めた。


6:40
県道169号線、霧降高原道路をキスゲ平へ向かって走ると「高原歩道入口」というバス停があって、バス停のすぐ脇に見落としてしまいそうな細い道がある。砂利道を走って50メートルくらい行った右側に車1台分のスペースが、そのさらに50メートルほど先の左側にも1台分の駐車スペースがあるので、そこに車を置いた。
駐車スペースに前から入れたがこれには理由がある。駐車スペースの際から先は深い沢へ落ち込んでいるため、後ろ向きに入って万一、ブレーキを踏むタイミングを誤ると沢へ向かって転落してしまう。命がけの駐車、ということになる。もちろん、タイヤストッパーをかけるのを忘れなかった。
ちなみに、この先まだ車が入れそうに見えるが路面が荒れているので車高の高い四駆車でないと無理。


霧降高原歩道は入口を同じとして広大な笹の斜面を西へ向かって歩き、稲荷川上流部あるいは萩垣面を終点とするルート。
2014年12月に歩いたことがある→ブログ記事


道標があるがここは道が分岐していて地図によると直進が高原歩道へのルートになっている。が、下山してわかったのは南尾根に乗るにはここを右へ進んだ方が近道だということ。


道の行き止まりに堰堤がある。
ヒネリギ沢の堰堤なのだがこのすぐ上で中ノ沢が合流している。
今日のルートはヒネリギ沢と中ノ沢に挟まれた尾根を登っていくのだが、尾根に乗るには中ノ沢を渡渉する。その中ノ沢へ行くには堰堤右の林の中を進んで堰堤を乗り越え、斜面を上ると車1台幅の道と出合うのでその道の行き止まりまで行く。
その道とは、前の写真で見る分岐の右の道だったことがあとでわかった。


ここが分岐右の道の行き止まり。
大きな鉄の構造物が地中に埋め込まれている。沢の取水口なのかしら?
この斜面を降りると中ノ沢の河原に出る。


6:54
中ノ沢へ出たので水深の浅いところを選んで渡ることに。


対岸の斜面を登りながら尾根を探す。
おぉ、なんだかとてもいい雰囲気の斜面。まるで日本庭園のような、、、


斜面が終わって平坦になっても日本庭園風はまだ続く。
なんだ、ちゃんと道があるではないか。これなら想像していたほど難しくないような、、、


と思ったのもつかの間で、道はすぐに尽き、笹藪になった。
上の写真の道はシカ道だったのね。


麓ではとっくに終わっているヤマツツジがまだ十分、見られる。
カラマツの若芽がいい色している。ミズナラもある。
が、笹は深くなるばかりだ。


レンゲツツジだ。
ツツジが見られるとは予想していたがまさかレンゲツツジまであるとは、、、なんだかとても贅沢な気分。
こうして花を間近で見るため右へ左へとジグザグに歩くから効率が悪い。
それにしてもこの笹藪、なんとかしてほしい。


笹が生えていない部分に白い花びらが落ちている。シロヤシオだ。
見上げても咲いているのはないからすべて終わってしまったようだ。


これぜんぶ、ツツジの木。
いま咲いているのはヤマツツジしかないがアカヤシオにシロヤシオ、トウゴクミツバツツジもあるのだろう。


ツツジは行く手を阻むほど密生している。
木々のすき間を見つけては枝をかき分けたり、かいくぐったりしながら前進する。


ツツジの藪を抜けると展望が開けて女峰山が見えてきた。


8:17
ここは地図にある標高点1404らしい。
ピークではないので特定するのはむずかしい。


この先、30度以上の傾斜になるので滑り止めにチェーンスパイクを装着した。


進行左手に男体山が見えるようになった。


うへっ、またしてもツツジの藪だ。
ツツジは低木なので枝が地面から横に張り出していてまたいだり、くぐったりと忙しい。


ところどころこのような部分があるが長続きはしない。すぐに藪となる。


藪歩きに疲れて息抜きに後ろを振り返ると墨絵のような風景が広がっていた。
中央の長い尾根が鳴虫山でその左後方は鹿沼市の二股山だろうか。


いや~、もの凄い光景だな。
深紅のヤマツツジにシロヤシオ、トウゴクミツバまで咲いている。極楽だよ。


ツツジの藪を抜けると前方に標高点1767らしき小高い斜面が見えてきた。
あそこに達すれば赤薙山までの4/5は終了したことになる。


いい斜面だ。まるで牧場の中を歩いているようだ。異なるのは牧草の代わりに笹が生い茂っていること。
これが赤薙山稜線から見える広い尾根だろうと思う。
これが笹藪でなく、花咲く植物であったならどれほど素晴らしいことか。


ところどころこのような単独のシロヤシオがあって、これもまた見応えがある。


この白さ、この美しさ。アカヤシオと並んでまさにツツジの女王といえる。


進行右手に赤薙山稜線が見えてきた。
いつも歩いている尾根をこうやって離れて眺めると感慨深いものがある。
右端に見える急斜面が元スキー場のゲレンデ。現在はキスゲ平園地という。
急斜面の少し左に見えるピーク状が標高1601メートルの小丸山。しばらく平坦が続き、緩やかな登りとなってシロヤシオの陰に消えているが、あそこが焼石金剛へと続く歩き易い稜線でその向こうに見えるピークが標高1669メートルの丸山。
さらにその奥に見えるピークの連なりが鶏頂山、釈迦ヶ岳、中岳、西平岳。


ここで再びツツジの藪。
この標高になるとさすがにヤマツツジはなくなりシロヤシオに変わる。厄介なのは背の低いコメツツジの群落だ。跨ぐこともくぐることもできない。10センチくらいのすき間を見つけてそこを強引に突き抜けるしか方法がない。


女峰山が見え始める。


崩落が激しいのであろう樹木も笹も生えていない斜面がある。
正面に見えるピークが赤薙山に違いない。ここからだと右斜めに進んであの林の中を抜けるようだ。


10:31
ここは赤薙山山頂から南に向かって始まる尾根の等高線の間隔が開いているあたり。標高でいえば1960メートル。


赤薙山の山頂が目の前に迫ってきた。
あとひと踏ん張り。


急傾斜を登り詰めるとハイマツだろうか、低木針葉樹に阻まれる。
すき間を見つけて抜け出すと、、、、


10:41
そこは山頂だった。いきなりの山頂の出現にいささかビックリする管理人であった。
このロープの向こうが地図にある登山道。ロープをくぐるとすぐ赤薙神社の鳥居だ。
赤薙山は身近な山なのでなんども来ているが、南尾根を使ったのは初めての経験。あの笹藪とツツジの藪に手こずったがよくやった。


山頂の到着時刻は予定通りだったがスタートを20分早めたので、所要は4時間ちょうど。予定より20分オーバーした。
しかし、あの笹藪とツツジの藪に手こずったことを考えれば20分は誤差の範囲だ。良しとしよう。

それにしてもなんだな、正規のルートなら2時間半で来れるところを4時間もかけるという非効率的な登山はよほどの物好きでなければ普通、しない。
管理人もとうとう普通ではなくなったか(^^)


山頂は賑わっていたが展望が悪いためか長い時間ここにとどまる人はいない。
ここを折り返し点とする女性2人組やご夫婦。小型のザックにもかかわらず先へ進んでいった単独の男性が数名、女峰山へ向かったのだろうか。70リットルの大型ザックを背負った男性2人組はきっと女峰山直下の唐沢小屋に泊まるんだろうな。管理人、平日に来ることが多いのでこれほどの人の数に驚くほどだった。

さて、今日の目的は南尾根を使って赤薙山に登ることにあったので山頂でひと休みした後は下山だ。
しかし、下山するにあたって考えた。
予定だと一般ルートで小丸山へ降りてその先は天空回廊を下る。そこからバスに乗り、車を置いた高原歩道入口まで行き、マイカーで帰るというものだ。下山は早足で1時間半もあれば十分だ。
一般ルートはこれからも使い続けるだろうから、今日は上りと同じルートで下山してはどうだろうか。
このルートは厳しすぎてお客さんとのツアーには使えない。管理人自身、これから先、二度三度と歩くこともないであろう。
滅多にない機会だ。上りは設定したルートをはみ出すこともなく、問題はな かった。では、下りもまったく問題は起こらないのか、それを検証してみたくなった。上りではわからなかった新しい発見があるかもしれない。
菓子パンでエネルギー補給したあと、さっそくあのロープをくぐり抜けて下山に取りかかった。


下り始めてすぐ、上りでは気がつかなかったがイワカガミが見つかった。
花の色が白いので古賀志山でよく見るヒメイワカガミであろうと思ったのだが、いくつかの相違点がある。ひとつは花の付け根を包み込んでいる萼の色だ。ヒメイワカガミの萼は白いがこれは赤い。それと葉っぱの形だ。ヒメイワカガミの葉は丸く、葉の縁に細かいギザギザ(鋸歯)があるのだが、これは鋸歯が大まかで亀の甲羅に似ている。
家に帰って時間をかけて調べたがここで見たイワカガミに該当するのは見つからなかった。かろうじて、ヤマイワカガミが似てなくもない。課題としておこう。


今度はユキワリソウだ。
日光で見たのはこれで三度目。女峰山の南面と赤薙山稜線そして、今日ここで。


11:41
花と戯れている間に上ってきたルートを見失い、20分ほど彷徨うことになったが無事に尾根に乗ることができた。
これからまた、急斜面を下り藪を抜けなくてはならないと思うと気が重いが、上りのルートしか知らないのは片手落ちになる。と、自分に檄を飛ばして下っていく。


11:46
ここは上りで通ったね。


ガレ場の途中で見つけた、これはケルンだろうか?
でも上りでは気がつかなかった。


見事というほかに言葉が見つからないシロヤシオの群落。紅一点のトウゴクミツバツツジが映える。


12:32
コメツツジの群落が始まった。
進む方向、見渡す限りのコメツツジだ。幹も枝も硬いのですき間を通り抜けるにも苦労する。


コメツツジの藪はもう慣れっこになってしまった。
意識を前方のシロヤシオやヤマツツジに注ぐと藪も平気になるというものだ(苦笑)


深紅といえばいいのだろうか、こんな色のヤマツツジはそうざらにあるものではない。


レンゲツツジの群落に戻ってきた。


13:49
朝も通った日本庭園の中の道。ただし、シカ道。


14:00
尾根は終わり、中ノ沢に降り立った。
そういえば、今日は登るのに夢中になって食事は赤薙山で食べただけだ。
ここまで降りてきて緊張から解放されたためか、急に空腹を感じた。ここで2回目の食事としよう。スポーツドリンクはもはや飲む必要はなくなったので、持参した缶コーヒーを飲み菓子パンをかじる。


赤薙山稜線と赤薙山南尾根に挟まれた谷を源にする中ノ沢はここに至るまで人工物はなく、とてもきれいだ。浮遊物ひとつない。この時期、他の沢で見るようなプランクトンの発生によって生じる石けん状の泡も見ない。


総距離 :10.6キロメートル
標高差 :1045メートル
累積標高:1281メートル
※GPSデータを基にカシミール3Dで算出

雑感
尾根に乗るには中ノ沢を探して渡渉するが水量次第で渡れないこともありそう。数日前からの雨量を頭に入れて置いた方がいいと思う。
尾根に乗ってしまえば道迷いの心配はないと思うが、牧場のような広い部分があって方向を見失うこともあり得る。特にツツジの藪を避ける場合など、避けたあとの進行方向には注意を要する。
また、今日は30度を超える笹の急斜面を経験した。さすがに怖かった。笹を束にして握り、滑落しないよう、慎重に登ったのは言うまでもない。

上に載せた地図で往路と帰路のルートにずれがある。
山頂直下のずれは管理人のミス。
方角を確かめないで下ったところ、真南へ向かうべきところを西へ向かっていた。気がついて修正にかかったが危険箇所があったりして元のルートに戻るのにかなり時間がかかってしまった。下る際にコンパスをセットすべきだった。
そのおかげでイワカガミとユキワリソウに出会えたので悪いことばかりとは言えないが、、、と言い訳。
標高点1767から下のずれはツツジの藪を避けているうちに往路と違ったものだが、これは誤差の範囲。

クマとの出合いは幸いなことになかった。
広葉樹の深い林だし登山者のいないルートなので見通しのきかない場所では笛を吹いてこちらの存在をアピールしながら歩いた。
笛は音が大きくまた、遠くまで届くので、クマに知らしめるにはいいのではないだろうか。
それと鳴らすタイミングだ。
熊鈴は常時、チリンチリン鳴っているから付けている本人が安心してしまって、クマへの注意が疎かになりそうで管理人は使わない。やはり五感を頼りにクマの存在に注意しながら歩き、必要に応じて音を出す方がクマ避けの効果はあるのではないかと思っている。

日光に2千メートル超えの山は多いがどうしてもピークハントが目的になってしまい、プロセスを楽しむことをしなくなってきている。それが理由で積雪期の登山や宇都宮市の古賀志山といった、そのプロセスが面白い山へと管理人を向かわせている。
今日の赤薙山南尾根は、ピークハントよりもプロセスを楽しむことができたので満足している。丹念に探せば日光にもまだ楽しめるルートがあるのだということがわかった。

快適なトレッキングが楽しめる赤薙山稜線はツツジが見頃。眺めも最高。

2016年5月20日(金) 薄曇り

日光でもっとも低い2千メートル超えの山、「赤薙山=あかなぎやま」は、男体山から始まる日光連山の北西に位置しているので、エリアで区分けするなら霧降ということになる。

アプローチはいい。
日光駅からバスで約30分、バスを降りたところが即、登山口というアプローチの良さだ。
登山口の標高が1340メートルで、山頂は2010メートルだから標高差は670メートルというのも手頃である。特筆すべきは山頂直下まで緩やかな稜線が続いていて、振り返ると関東平野が一望できることだ。空気が澄んだ日であれば遠く、富士山や都心の高層ビル群、スカイツリーが見える。雲海の上に筑波山がぽっかりと顔を覗かせる日もある。

厳しい山じゃないと登った気がしないという人を除いて、ちょっと頑張れば2千メートルの頂に立てる達成感と眺望が楽しめる赤薙山は、2千メートル峰入門編としてうってつけだと思う。
ただイヤな点を挙げるとすれば登山口から標高1582メールまで、階段を1445段も昇らなくてはならないこと。標高差670メートルのうち、階段だけで標高差240メートルにもなる。これが実に辛い。

この階段はニッコウキスゲの群落として有名なキスゲ平に設置されていて、キスゲ平は元々スキー場として利用されていたくらいだから、初中上という異なる傾斜がある。それに合わせて階段が造られているため傾斜は一様ではない。
管理人のように心肺機能の衰えている老ハイカーが連続して昇れるのはせいぜい700段くらいがやっとで、傾斜が急になる700段以後は100段おきに休憩をとらなくては心臓が爆発してしまう。
過去になんどか、荷物を持たずにランニングシューズで昇ったことがあって最短時間は25分だったが、そのときは心臓がバクバクと音を立て本当に死ぬかと思った。

階段トップから先、赤薙山や女峰山に行く場合は荷物を10キロ以上背負うから、時間をかけてゆっくり昇っていくのがバテないコツだ。その場合、目安は40分というのが経験値である。
ちなみに、地図でわかる通り階段の北側に登山道があって、階段ができるまで赤薙山へ行くにはリフトで小丸山まで行くか、その登山道を利用するしか方法はなかった。
そのように以前からあまり利用されていなかった登山道だけに階段ができてからはなおさら、道は荒れて現在は道の大部分が笹藪と化してしまっている。

もうひとつ強いて欠点を挙げれば山頂は樹林帯の中なので眺望が悪い。木々のすき間から男体山や女峰山が見えるが山並みを眺めながら昼メシ、というわけにはいかない。
まっ、それらを差し引いても稜線からの眺望の良さは奥日光の山々では味わえないくらい素晴らしいし、春から夏にかけてはカタクリから始まってツツジやニッコウキスゲ他の花が次々と咲き、登山の楽しさを存分に味わえる山でもある。

今日は宇都宮市のTさんを赤薙山へご案内する日だ。
Tさんとは昨年、管理人が主催するツアーのクリーンハイキングに参加して以来のお付き合いでその後、鳴虫山、高山と登り今日で4回目、登山としては3回目となる。
お母さんの影響もあるのか本格的な山女を目指し、着々とスキルアップに励む努力家である。

参考
2016年1月22日・・・鳴虫山
2016年3月04日・・・高山


雲を突き抜けて天に向かって昇る階段をイメージして設計したという「天空回廊」。
標高1340メートルから始まり、1582メートルまで1445段もある。
この階段脇に現在、シロヤシオとトウゴクミツバツツジが咲き誇っている。


天空回廊の最終段に立って振り返ったところ。
スキー場の上級者コース部分なのでかなり急に見えるでしょ?


ここからいよいよ稜線のトレッキングが始まる。
道標に丸山・赤薙山とあるのはこの先で道が分岐していて直進すると赤薙山と女峰山、右が丸山へと行く。


お~、まだ咲き始まったばかりのトウゴクミツバツツジだ。
葉っぱがまだ出ていないので見応えがあるね。


ここは階段の終段と目と鼻の先の小丸山。モデルは2千メートル峰初めてのTさん。
地理院地図だと小丸山という表記はなく、1601メートルの標高点として描かれている。
登山をするのに地図をよく見る人ならわかることなのだが、ここに建っている木の柱には「キスゲ平 標高1635メートル」と刻まれていて地理院地図とは一致していない。謎である。


小丸山から焼石金剛まで1本の尾根なのだが道は幾筋にも分かれてついている。どの道だったか、薄紫の可憐な花を見つけたのでTさんに尋ねると、即座に「サクラソウ」と返ってきた。
実際にはユキワリソウなのだがサクラソウ科サクラソウ属なので、サクラソウの仲間だ。あながち間違いではない。


焼石金剛に近づくにつれて大小さまざまな石でガレ場となっているところを通過する。
ここでは浮き石に注意して歩くのがポイント。


焼石金剛を示す古い道標。
名前の由来はわからないが推察として、昔の人にとって夕日に照らされて真っ赤に染まったこれらの大きな岩が、まるで焼けた石のように恐れ多く見えたのではないか、そんな想像をする。


開花したばかりのミネザクラ(タカネザクラ)。
焼石金剛を過ぎたあたりから多くなる。


これはオオカメノキ。
葉っぱが亀の甲羅に似ているのが名前の由来で花はアジサイに似て、小さな花の集まり(本花)を取り囲むように装飾花を付ける。写真で白く見えるのが装飾花。


赤薙山と女峰山を分ける道標まで来ると樹林帯となり、眺めはよくない。
また、急登が始まるのもこの辺りから。


地面から木の根が飛び出していたり倒木があったりで決して歩きやすいとは言えないが、それもすぐに終わる。


2千メートル峰初登頂の喜びで笑みをうかべるTさん。
ではここでお昼ご飯にしましょう。あっ、二度目の昼ご飯だった。


昼食に30分ほど割いて同じ道を辿って帰ることにしよう。


焼石金剛まで戻って水分補給、そして小丸山へ。


小丸山からは天空回廊ではなく荒れた登山道を歩いて下山することにした。
手入れは一切していないので道は荒れ放題。雨で道はえぐられ大きな段差があるわ笹藪はあるわ泥濘状の部分があるわ木の根は露出してるわ傾斜は急わで決して歩きやすいとは言えない。
にもかかわらずなぜ、古い登山道を歩くのかといえばツツジを見るのならこの道が最善の選択なのだ。それに階段に比べれば歩く楽しさというものがある。
ただし、安全を第一に考え、チェーンスパイクを装着して万全を期すことはいうまでもない。


シロヤシオとトウゴクミツバツツジが同時に見られた。


ミネカエデ(だと思う)。


シロヤシオ近撮。


霧降高原の麓ではとっくに終わっているヤマツツジがここではまだつぼみだった。


登山口まで降りてきて、トウゴクミツバツツジとシロヤシオとヤマツツジ(つぼみ)という、ツツジのトリオを見ることができた。