日光最大、180メートルの雲竜瀑へ「龍」を見に行ってきた(ガイドツアー)。

2022年9月17日(土)

恒例の女峰山への誕生記念登山を果たしてからというもの、まるで魂が抜けたかのような日々が続いていて山から遠ざかっている。
悪天候ばかりで登山をする気になれないという理由もあるが、それよりも今は車を使った旅行に夢中になっていて登山に気が向かないというのが正直なところだ。
今月は8月30日から9月3日までの4泊5日、その後9月7日から山形県と新潟県の海の景色を楽しんで10日に帰宅したばかりである。

その車中泊旅行の途中、リピーターのYさんからガイドツアーの依頼があった。
1月に案内した氷瀑、雲竜瀑にもう一度行きたいというものである。
なに、もう冬の話か?
と、読者におかれては思われるだろうが、そうではない。
結氷していないこの時期の雲竜瀑を見たいというリクエストなのである。

厳冬期以外に管理人は雲竜瀑に4・5回、訪れている。
そのうちの一度だけ、上昇気流に乗って谷底から湧き上がった霧が雲竜瀑を包み込み、まるで龍が天に昇るあるいは天から降りてくる姿を想起させるに相応しい光景を管理人は見たことがある→こちら

それを記事として当ブログに掲載したのを読み、Yさんは心を揺さぶられたらしい。
結氷した滝の普段の姿がどんなものか、ぜひ見てみたいとなった。
探究心が旺盛な
Yさんは山の一面だけ見て満足するというタイプではなく、四季折々、その山のさまざまな姿に接したいという心の持ち主で、山が心底好きなのである。
山への情熱が薄れている管理人の尻を叩いてくれたYさんへの感謝の気持ちで北陸は富山湾からOKの返信を出した。

メモ(GPSはGNS3000を使用した)
・歩行距離:14.0キロ(GPSログをカシミール3Dで処理した値)
・所要時間:6時間10分(写真撮影と休憩を含む)
・累積標高:1841メートル(アップダウンのうち、上昇分の累積)

稲荷川の右岸を走り林道ゲート前に車を駐めて歩き始めた。
雲竜瀑は結氷する厳冬期を除けば訪れるハイカーはなく、駐車スペースを独占できる。
今日のルートはここから稲荷川を左岸へ渡って日向ダムに乗り、次に洞門岩から渓谷に沿って雲竜瀑へ行くというもので、厳冬期と同じである。


アケボノソウ


シロヨメナ


テンニンソウ


日向ダムの巨大堰堤の上に乗って眺める女峰山。ここまでが第1のショートカット。
青空がまぶしい。
できれば曇天であってほしかった。
天気が良すぎて今日の狙いとする、天に昇る龍あるいは天から降りてくる龍を見ることは叶わないかも知れない→これを見たいのである


ゲンノショウコ


洞門岩と書かれた小さな道標を右に見て工事現場に向けて下っていくと巨大なパイプの堰堤に出る。
ここからがふたつ目のショートカットになる。


ダイモンジソウ


河原に降りると最初の渡渉点と出合う。
冬は流れの両側が結氷するため川幅が狭くなって渡渉は簡単だが今はそうはいかない。


ここで渡渉の前にこの時期必須の3点セットすなわち、ヘルメットに長靴、ポールを身につける。
結氷する時期との違いは流れの中を渡渉するため足下がアイゼンではなく長靴になったこと。
結氷時は川幅が狭く短足の管理人でもヒョイッと飛び越えることができるが、この時期は無理というもの。
危険を冒すよりも流れの中を渡る方が安全である。


水深は浅いが登山靴だと間違いなく水を被る。
その点、長靴であればなんら不安はない。
ただし、流れは速く、普通の長靴(雨靴)だと長靴と足との間の空気によって浮力が生じ、足を思うように動かすことができない。
長靴は足に密着する田植え用のがいい。


ウメバチソウ


渓谷へ降りる階段近くまで来て、1月によじ登った壁はどこかを確かめるため階段と反対方向に向かって歩いてみた。
そうだ、こんな感じだった。
あの流れまで歩いて来て今は雑草で隠れている壁をよじ登ったはずだ。


渓谷へ降りる階段。
入口は雑草に隠れて見えなかったが草をかき分けて階段を見つけた。


トリカブト(たぶんヤマトリカブト)


渡渉も4・5回くらいまで数えたが以後、面倒になって数えるのを止めた。
渡渉はなるべく川幅の広いところを選ぶといい。
川幅が狭いと流れの勢いが強く、バランスを崩しやすい。



渓谷が最も狭くなる友知らず付近。
渓谷の両側は切り立った岩壁になっている。


岩壁から染みだした水が筋となって河原に落ちていく。
厳冬期はこれらが凍りつき、成長し、あの巨大な氷壁へと変貌する。


友知らずを超えると前方の山の頂上付近からひとすじの流れが落ちているのが見える。


雲竜瀑全体が見える位置に場所を変え、しばし魅入る。
あれが落差180メートルを誇る日光最大の滝の全貌である。
厳冬期のあのでっかい氷の塊からは想像できないほどゆるやかに、そして静かに優しく流れ落ちている。
今日は天気がよかったため滝の全貌が見えるが、霧が立ちこめると滝の上部が霞んで見え、それはまさに龍が天に昇るあるいは天から降りてくる姿そのものなのである。
おそらく午後にはそうなるであろう。
だが、管理人には今、「龍」となった雲竜瀑が見える。


ヤマハハコ


滝の直下まで近づき、今日の課題である滝壺への道を行ってみることにした。
が、登り始めてわかったのは小石が堆積した斜面は脆く、足を乗せたそばから崩れていき、とてもではないが前に進めない。
10メートルほど登ったところで危険と判断し、降りることにした。


歩き始めて雲竜瀑まで片道2時間半という短い行程だったが、参加者のYさんには十分に満足してもらえたようだ。
滝が見える場所に腰を据え、尽きぬ山の話をしながらランチを採り、戻ることにした。
画像は友知らずを雲竜瀑側から見たもの。
厳冬期はこの両側の岩壁が氷のカーテンと化し、それは圧倒されるほどの迫力だ。


洞門岩近くのパイプ堰堤まで戻って来た。
この付近は冬を除いて絶えずなんらかの工事が行われていて景観が変わっていく。
このルートが工事によって閉ざされないことを願うばかりだ。


工事現場に設置されている仮設のトイレ。
工事に携わる人向けのトイレだがハイカーの利用も想定した説明板が掲げられている。


日向ダムへ降りる階段。


日向ダムを突っ切り、左岸に沿った林道を進むと稲荷川にかかる堰堤と出合うのでその上を右岸へ渡る。


林道ゲートに着き、この日のツアーは終了した。

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