古賀志山で見る花たち・カタクリが咲いた(2022/03/16)

2022年3月16日(水) 薄曇り

今日観た花
カタクリ(一輪のみ)、タチツボスミレとツボスミレ(両者は下山後の林道で)

去る13日、今冬最後のスノーシューツアーをおこなったわけだが、それからまだ3日しか経っていないきょう、古賀志山の花の探索に臨んだ。

スノーシューツアーを終えて花の探索がスタートするまでに例年だと1・2週間の間があって、その間に前年の探索結果からいつ、どこで、どんな花が咲くのか整理して、それを山行計画に反映するようにしているのだが、今年はスノーシューツアーの終了が遅くなったためその余裕もないまま花の探索の季節を迎えた。

古賀志山は間もなく、たくさんの花が咲く季節を迎える。
それらを細大漏らさず写真に撮り、ブログを媒体にして記録するのを春から秋の管理人のルーティンとしているわけだが、一年の空白があると花の名前をすっかり忘れてしまう。
ザックもウエアも靴も冬用から春用に入れ替えたものの、スノーシューツアーを終えたばかりのいまは頭がまだ冬モードのままだ。モノの整理とは違って、頭の中は簡単に切り替えることができないのである。

昨年の結果を振り返っている時間の余裕はないが幸いなことに3月半ばに咲く花は多くない。
ブログを書くのにそれほど苦労することはないであろう。


穏やかな天候の下、起点となる宇都宮市森林公園の駐車場は満車に近い状態だった。
残り数台といった空きスペースに我が軽貨物車を駐めて歩き始めた。
なお、駐車場まであと1分というところが道路工事の現場となっていて、迂回指示の通りに走ったところ、10分以上の大回りとなった(工事は3月25日まで)。


森林公園を起点にする場合、必ず立ち寄って写真に収めるのがここ、古賀志山と東稜見晴台を湖面に映す赤川ダム。
空に雲がかかっているのと新緑にはまだ早いため見映えがしないが、それでも逆さ古賀志を観ることができた。


きょうはこれから数週間にわたっておこなう花の探索の下見のつもりで来た。
これまで通った経験上、3月半ばだと開花にはまだ早いことがわかっている。
そこで全体を占うつもりでまずは公園内を探すことにした。
始めに咲くのがタチツボスミレである。
タチツボスミレは里や低山であればどこにでもあるというありふれた植物だが、春の訪れを感じるにはこの花の開花がもっとも相応しい。
画像左の大木は森林公園を象徴する枝垂れ桜で、咲くのはあと2週間先になる。


湖畔を左回りにのんびり歩き、半周したところでアスファルト道路を外れて林に入る。


湖畔でタチツボスミレが見つからなければそれより標高の高い場所にはない。
本格的な春にはまだ早いのだ。
地上に落ちたドングリが芽吹いていた。
ミズナラの実だが場所柄、大きく育つことはないだろう。


林を抜けると再びアスファルト道路に出る。
道路は林道古賀志線といい自転車の世界的競技、ジャパンカップがおこなわれる林道である。
ここは通称「三叉路」と呼ばれている場所で、画像の左から来てここを右へ曲がると古賀志山南登山道入口に行く。
さて、これからどうしよう?
春の兆しとなるタチツボスミレが見つからないのであれば他の花を探すのは諦めて、目的を古賀志山登山に切り替えよう。
古賀志山へのアプローチはいくつもあるが、この場所からだと東南稜を上がって行くのがもっとも早い。
目の前が取り付き口になっている。


東南稜は途中で東稜と交わって最後に見晴台の上に乗る。
そこまで厳しい岩を乗り越えることで一気に標高を稼げるため、古賀志山に登るには効率がいい。
ただし、取り付き口となる場所(前の画像)まで来るのに時間がかかるため、管理人はあまり利用することがない。
きょうは花の探索で取り付き口まで来たので東南稜を歩くいい機会となった。

画像は慣らしのために履いてきたスポルティバのウルトララプターⅡ(ULTRA RAPTORⅡ)MID。
原型のローカットのトレランシューズをMID仕様にして、”走ることのできるハイキングシューズ” をうたい文句にした靴である。
コロナ自粛と加齢によって体重が増え、脚力が衰えた管理人が知恵を絞り、せめて靴だけでも軽量化を図って登山を楽にしたい、そんな考えで最近買った。

他に履ける靴がたくさんあるというのに考えが安易といえば安易だが、これも欲しくなったら手に入れなくては気の済まない管理人の病なのである(笑)。


東南稜には避けて通れない巨大でなおかつ急な岩がふたつある。
NPO法人「古賀志山を守ろう会」によって頑丈な鎖が取り付けられているので鎖をしっかり握って上がれば不安はまったくないが、管理人は古賀志山山域に存在する岩のすべてを鎖やロープに頼らずに上がり(下りは無理)たいという願望があり、東南稜の岩もそのひとつで、かつてはこの岩も鎖を使わずに登れた。
しかし、古賀志山を訪れる機会が減り、東南稜ともご無沙汰し、この岩を前にきょうは不安の方が強い。
落ちたら新聞ネタになるのは確実である。
日光周辺の山の事故を一覧にしている管理人が、自らの事故を一覧に加えるのは笑い話にしかならない。いや、一覧に加えることすらできないかもわからない。
きょうは初心に戻り、鎖を使って失敗のないようにしよう。


ひとつ目の岩の途中で下を向いたところ。
怖いですね~。


続いてふたつ目の岩。
トレラン用の靴なので柔らかく、つま先を岩のスタンスに載せても安定しない。
5本の足指に力を入れてつま先でしっかり立つ必要がある。
手袋はホームセンターで売っている作業用のもので、古賀志山に通うようになって使い始めたが手のひら部分全体がゴムになっていて鎖をガッチリつかむことができる。
類似の手袋をいろいろ試してみたがこれがもっともグリップ力が強い。


東南稜のふたつの岩を乗り切ると右からの東稜と交わり東稜見晴台に向かう。
岩はまだあと3つ残っている。
画像は東稜と交わって最初の岩。
この岩は東南稜よりも易しいのと東南稜よりも数をこなしているので鎖に頼らずに上れる。
鎖の左側を上がって最後に鎖の支点となる立木につかまればいい。


最後は見晴台直下の1.5メートルの垂壁。
ここは壁の両脇にある溝を使って手と足で上がる。


東稜見晴台の上に立ったのは歩き始めて1時間半後だった。


見晴台から宇都宮市街を望む。
あいにくの空模様で遠望は効かず。


東稜見晴台と古賀志山とは5分とかからない。
昼の時間とあって山頂は多くの登山者で賑わっていた。
空いているベンチを見つけて管理人もここで昼食とし、午後の予定を考えることにした。


とりあえず、古賀志山と稜線続きの御嶽山(おんたけさん)まで来てみた。


御嶽山山頂は180度の展望があり、天気がいい日であれば日光連山がよく見える。
きょうはご覧の通り、近くの名のない山しか見えなかった。
古賀志山山域は周回ルートが充実している。
それも100本以上もあるとされるバリエーションルートの成せることである。
ここから下山して駐車場に戻るのにもほんの少しの重複はあるものの往路と同じルートを歩かなくても大丈夫だ。


御嶽山から古賀志山に向かって少し歩くと稜線から外れる細い尾根道があって、先へ進むと登山者がほとんど訪れることにない場所に出て、そこに小さな祠がある。
古賀志山大神(この場合は「こがしさん」と読む)である。
展望がいい。


古賀志山大神を東へ下っていくと対面岩へ行く道と猪落(ししおとし)へ行く道に分岐するので管理人はいつも猪落へ向かって下りることにしている。
展望が開けて爽快な気分になれるのである。
そこで思いがけなくカタクリと出合った。
古賀志山山域は多様な植物が生育しているが中でもカタクリが多く、管理人が把握しているだけでも5箇所の群落地がある。
ここは群落とはほど遠い数だがそれでも20株くらいはあり、そのうちの1株だけが咲いていた。


岩尾根の猪落の上部に来ると展望が広がる。
先行者と距離を取るためにしばらく展望を楽しんでから下った。


猪落から下りるとここで南登山道と交わる。
丸太を組んだ階段を下りると朝歩いた林道古賀志線に出て下山終了となる。


林道古賀志線のタチツボスミレ。


同じく、ツボスミレ



オマケの画像

自宅を出発する前に撮った赤薙山(左)とキスゲ平からの稜線。
13日におこなったツアーでは丸山(右)を下山後、稜線の中間に位置する焼石金剛まで行ったが、雪はまだたっぷりあった。
その後の気温の急激な上昇によってわずか3日の間に雪溶けはかなり進んで山肌が見えるようになった。
13日のツアーを最後にしたのは判断として正しかったようだ。