古賀志山は10月に続いて二度目の挑戦だが今回はカタクリを愛でるのが目的なので、危険箇所には近づかないつもりだったが

2015年3月31日 宇都宮市・古賀志山
天候:晴れ

昨年10月、日光市内は紅葉見物の車で大渋滞するので山歩きは諦め、地図上で山行を楽しんでいたところ目に入ったのが、渋滞を尻目に反対車線を走って行ける古賀志山であった。
距離は片道40キロ弱、これは山を登るのに湯元まで行くのと等しいがなにしろ、ふだんなら1時間で行ける湯元が渋滞の日には3時間以上かかるのが当たり前なので、古賀志山への1時間というのは魅力に思えた。
管理人が経営する宿が使っているお米は古賀志山と目と鼻の先にある農家の産なので毎月一度は仕入れに通っているし、古賀志山と峰続きの赤岩山にはパラグライダーのスクールがあって、そことは仕事で付き合っているから、古賀志山には割と親しみを感じていた。

とはいえ標高わずか583メートルである。日光の低山、鳴虫山より520メートルも低い。その気になればいつでも登れる山、そんな認識だったから親しみはあっても登ることはしなかった。
しかし、昨年はケガの後遺症による長い空白を埋めるため、自分を追い立てるようにして多くの山を登ったのだがそれまで日光の山しか登ったことがないのにわざわざ宇都宮市に越境してまで古賀志山に登ったのは、上に書いたように日光市内が渋滞する時期であっても1時間で行けるのに加えて、管理人がよほど山に飢えていたからだと思う。

昨年の古賀志山の山行記録はブログ(2014年10月27日)で読んでいただくことにして、管理人がこの山に登ったことが結果として大きな広がりを見せることになったのは大変な驚きであった。
このへんはなにぶんにもローカルな話なので理解されないとは思うがまず、管理人が古賀志山の記録をブログに→古賀志山をキーワードにググってブログを見つけてくれたOさんがスノーシューに参加→Oさんその後、毎週スノーシューに通う→一昨年スノーシューに参加したKさんがOさんと同じ日にスノーシューに参加して意気投合→KさんとOさん、約束したわけではないのに古賀志山でバッタリ出合う、といった経緯だ。
他にもOさんの友達のEさん、Kさんの友達のKさん(ややこしいのでKKコンビ)、管理人の娘の同級生Yちゃんも古賀志山と縁がありしかも、お互いに面識があるというように古賀志山が磁場となって人と人を結びつける作用を果たしているかのようだ。
世間は狭いといってしまえばそれで終いだが、縁が重なり合っているという言い方がしっくりする。

ここで核になるのがOさんの存在ということになるのだがブログになんども登場するのでご記憶にあるかもしれないけれど、1年半前に始めた古賀志詣がすでに61回に達したというほど、マニアックな登山を繰り返している山女子なのである。年内には100回を記録するであろう。

管理人の今回の古賀志詣はじつはOさんからのカタクリ情報にそそられたからであった。カタクリは日光でも見ることができるが群落となると管理人はまだ見たことがない。その群落が古賀志山にはいくつもあるというのだ。しかも管理されたものではなく、自然の群落を形成しているそうだ。
管理人は地図に道がない山を好んで歩くとか、道に迷っては脱出に苦労したなどとブログに書いたりするからよほどの変わり者ではないかと思われる節があるのだが、一方では植物が好きでこれからの季節は週に一度は花を愛でなくては気持ちが落ち着かないという、ふつうの人並みの一面ももっている。
だからOさんからのカタクリの情報に敏感に反応したのである。群落場所の情報はOさんにお願いしてすでに入手していたのだが、問題はそこにたどり着くことができるのかどうか、その一点に尽きる。

というのも昨年10月に古賀志山を歩いたときに気がついたことは、持参した国土地理院の地図には駐車場をスタートして駐車場に戻る、古賀志山周回コースしか描かれていないのに、実際には他にも道がたくさんあって道迷いを起こしても不思議ではないほど入り組んでいて、複雑怪奇なのである。
そこで今日、カタクリ見たさと地図にない道を歩きたい衝動で、二度目の古賀志詣となった次第である。

古賀志山はアクセスの不便さといい知名度の低さといい、県外から訪れる人は少ないように思える。事実、登っている人の話を聞いているとほとんどが地元の人のようであるし、カタクリの群落がいくつも残されているというのも、地元の人にしか知られていないからであろう。日光など貴重種の盗掘を目的にやってくるケースがあるくらいなので、カタクリの群落が残されているのは地元の人に愛されている山だからであろう、と管理人は思っている。

それでは出発することにしよう。
平日だというのに駐車場には次から次へと車が入ってくる。散策の人もいれば古賀志山目当ての人もいるし、競技用の自転車に乗ってる人もいるしウォーキングの人もいてとても賑わっている。


IMG_0659スタート地点の赤川ダム。宇都宮市森林公園内にあって市民の憩いの場となっている。

正面に見えるのが古賀志山。山全体が岩盤で成り立っているようで低山ながら急峻である。


IMG_0664湖畔に沿って右回りにアスファルト道路を歩くと南に入る道が見つかる。ほとんど平坦で歩きやすく気持ちがいい。
駐車場はほぼ満車なのに人は見かけない。


IMG_0670歩き始めて50分で車道と合流した。
今日はこの林の中の尾根を登って古賀志山直下の見晴台に到達するルートを設定したのだが、石垣にじゃまされてここから入り込むのは難しそうだ。
そこで左の車道を歩いて入口を探したのだが、見つからず。次に右の車道を歩くことにした。


IMG_0673右の車道を歩きながら山の斜面を見ると、工事用に作られた小道があったのでそこから入ることにした。

それにしても暑い。ジャケットを脱いで2枚構成にしたが暑い原因は保温用のタイツを履いてきたことだ。
霧降でも春を感じるとはいえ4月いっぱい、タイツが必要である。そのままの格好で来てしまったのだ。


IMG_0675工事用の小道と別れて尾根が見つかった。GPSで現在地を確認すると予定のルート上にいることがわかり、ひと安心。


IMG_0677傾斜は急になりこのまま進めば見晴台に行くことを確信した。


IMG_0679間もなく尾根を巻く道に分岐。さて、尾根を進むべきか巻道を進むべきか。
尾根は見晴台に行くことがわかったので、ここはこの巻道を歩いてみることにした。はたしてどんな場所に導かれるのだろうか、これも地図に道が描かれていないコースを歩く楽しみであるww
結果として巻道を行ったことでカタクリを見ることができ、正解であった。


IMG_0682でっかい岩壁の下に出たぞ。
この岩壁の最上部が見晴台に続く尾根であろう、きっと。


IMG_0683岩壁に近づくと道は2つの岩壁に挟まれて、急に狭くなった。


IMG_0685おぉ、カタクリだ。
この場所はOさんの情報にはなかったが、とにかく念願のカタクリを見つけた。大群落とはいかないまでも30株はあっただろうか。


IMG_0710正面のヒノキを支点にトラロープと鎖がかかった岩場を登る。傾斜は緩いので苦労はなかった。
昨年10月に古賀志山を訪れた際は平日にもかかわらずじつに多くのハイカーで賑わっていたが、今日はここに来るまで他に人は見なかったので、このルートは裏古賀志といってもいいのだろう。


IMG_0721やがて山頂と見晴台を結ぶ鞍部に出た。10月と同じように多くの人が行き交っていた。
鞍部から5分で山頂へ。


IMG_0731休憩は後でとることにして、山頂から御嶽山に行ってみることにした。前回、10月はこの岩場に恐れをなして(^^)、パスした場所だ。


IMG_0730鎖や鉄梯子がかかった大きな岩を2つ越える。


IMG_0722西に大きく開かれた御嶽山山頂からの展望はよさそうだが、あいにくの春霞で遠くの景色は望むことができず。


IMG_0724アカヤシオが早々と開いていて春を実感する。
じつは日光は花見のできるようなサクラの名所がなく、アカヤシオの開花で春を知るというくらいだ。
日光での開花も間もなくだ。


IMG_0729峰続きの赤岩山を発着場とするパラグライダーの舞う、穏やかな空である。


IMG_0745古賀志山に戻って昼飯とし、次はOさんから教えてもらったカタクリの群落地へ向かった。
登山道からほんのわずか離れた場所にその群落はあった。


IMG_0758遠景だとその数がわからないと思うのであえて、近景のカタクリをアップしたが、全体で千株以上はあっただろうか。群落と呼ぶにふさわしい数であった。


IMG_0777さらに違う場所に行くとそこにはキクザキイチゲ{菊咲一華)が20株ほど。
日光で見かけるヒメイチゲの仲間でキンポウゲ科イチリンソウ属だ。
菊のように花弁が多く、広がって咲くことからつけられた名前だと思う。


IMG_0764スミレとしてはもっともポピュラーなタチツボスミレ。
日光でも全域に分布している。


キブシキブシ。
これも日光ではあまり見ないが管理人がよく行く小田代ケ原や戦場ヶ原にはないことから、平地に生育するのかも。


こうして2回目の古賀志詣は終わったが、危険箇所には近づかないつもりが鎖を使って岩をよじ登るなど、多少のスリルを楽しめた。
管理人よりもはるかに年上と思われるおばちゃんも登っていたので、地元の人には鎖やロープは当たり前と思われているのかもわからない。

管理人の前を歩いていた中高年のグループが視界から消えたと思ったら、急な斜面を足取りも軽く、ものすごい速さで下っていったのには驚いた。
登ってくる人に、もうすぐ頂上だから頑張ってねとか足下に気をつけてねといった言葉をかけていたのも好印象であった。いかにも地元の山ならではの光景だ。
日光の山しか知らない管理人にとって、古賀志山で見るすべてが新鮮だ。
Oさんの言葉を借りると、60回も登っていながらまだ歩いたことのないルートがあるという。地理院の地図に描かれていないルートが数多くあることの是非は別として、そそられる話ではないか。
全ルート踏破、管理人の予定にそんな大それた計画が加わるかもしれない今日の古賀志山であった。

お断り
カタクリの群落保護の観点から今回、管理人が歩いたルート図の掲載はしない方がいいと考えました。悪しからずご了承ください。