スノーシュー、金精沢は新雪たっぷりで快適そのものだった

2021年1月4日(月) 小雪

一昔前だったら年末から4月上旬まで雪と戯れることが出来たが気候変動が顕著になったこの数年は、真冬にもかかわらず大雨が降ったり雷が鳴ったりと、その異常さにスノーシューツアーを冬の生業としている管理人は、絶望の底へと突き落とされる気持ちとなる。

昨年も一昨年も1月はフィールドに雪はなく、ツアーのスタートは2月になってからであり、しかも2月の終わりにはお客さんに終了を告げる事態であった。
23年間もスノーシューツアーをしていればいろんなことを経験するというものだが、雪がなくてスノーシューツアーが出来ないというのは精神的にもっとも辛い。

毎年のことながら、今年こそ雪に恵まれたいと思う。
それがより多くの人に喜んでもらえることになるし管理人のやり甲斐につながる。

今年でスノーシューツアーのガイドを務めて23年目。

これほど長く続けていられるのも、管理人をガイドとして指名してくれる人がいるんだという希望あってこそだ。
ただし、その前提として「雪」は必須である。

今年は例年より10日も早く先月15日、標高820メートルにあるペンション周辺に積雪があった。最大で10センチほど積もった。
1月末になってからの遅い積雪は困るが早すぎるのも好結果とならないことを経験上、知っている。
果たしてこの冬はどうなるんだろうかと心配になる。
それはそれとして、今年は正月明け早々にもかかわらず、フィールドには十分な量の雪があるらしい。
今後の降雪が心配だが取り急ぎ、雪がなくならないうちに存分に楽しみたい。

メモ
・歩行距離:7.4キロ(GPSログをカシミール3Dで処理した値)
・所要時間:4時間5分(写真撮影と休憩を含む)
・累積標高:445メートル(アップダウンのうち、上昇分の累積)

まずはお決まりの社山の景色を!
いろは坂を上り終え中禅寺湖に出るとこんな素晴らしい展望に出会える。
2千メートルに満たない(1827m)山だが実にカッコいい。
湖畔から登り始めて稜線に出ると足下に中禅寺湖と男体山が一望できるのがこの山の魅力といえる。


赤沼に立ち寄って積雪量をチェック。
ここは小田代ケ原と戦場ヶ原の入口になっていて、バス停の前がコースの入口という便利さもあって人気がある。また、起伏がないことからお子様でも年配者でも疲れることなくスノーシューが楽しめる。
難点はといえば多くのハイカーが歩くことによってコースが踏み固められ、別にスノーシューなど使わなくても歩けてしまうこと。
また、目的地に着くまでルートの自由度がないことも食指が動かない。
管理人が主催しているスノーシューツアーでこのコースを使うのは氷瀑を見に行くときだけ。
ちなみに積雪量だが、四阿(あずまや)の屋根に積もった雪の量を見ればわかるとおり、せいぜい15センチほど。


湯元に着いた。
ここを起点にすると金精沢コースと刈込湖コースが選択できるが、今日は金精沢コースを歩くと決めておいた。
金精沢コースの状況が把握できれば刈込湖コースはどんなもんだか、おおよそ分かる。

画像はジムニーに代わってこの冬から乗り始めたスズキのエブリイ(軽貨物車)。
4年乗ったジムニーが車検の時期となり、あれこれ考えた末に乗り換えた次第。
ジムニーになんら不満はなかったが、なにしろ平成13年式という年代物であるだけにこれから発生するであろう修理費用を考えるとここらが替え時、幸いなことに下取り価格が付いたのが決め手となった。
エブリイは貨物自動車だけに荷室は広く、そこにベッドや小物入れなどを設けて遠征登山時のマイルームにするつもりだ。


湯元は雪が降っていた。
コメツガの葉に雪が積もってとても幻想的。


金精沢は底辺の広い沢で、距離は短いながらも起伏に富んでいて面白い。
沢は群馬県との県境にある金精山の東面から派生して湯元温泉まで続いている。
金精山の西面には豪雪で名高い丸沼高原スキー場があるだけにその影響を受けて雪の量は日光の他のエリアに比べて多い。それに雪質もいい。
土手に積もった雪の上を登ろうとしたら空洞にはまって脱出に大往生。
雪は1メートルに達していた。


このコースは歩き始めてしばらくの間は金精道路と並行しているが、金精道路がいよいよ山に入るとカーブを繰り返し沢を跨ぐようになる。
その最初の沢を跨ぐところまで来た。
道路の下をくぐって先に進むのが楽というものだが、金精山をカメラに収めたく、道路の上に乗ることにした。
ここで沢から金精道路に上がるときの注意点。
道路は沢に設けられた石の擁壁に乗っかるようにしてあるが、雪で隠れているように見えても擁壁の際(キワ)は空洞になっている。
ガードレールの手前まで来たらポールで雪を突いて空洞部分を探し出し、大股で(短足の管理人の場合は小股となるが)乗り越えるようにする。


金精道路から見上げた金精山。
天気がよければ白く輝いて見えるのだが、、、
ちなみに、金精山は群馬県との境にあり、山頂にナイフを入れて真っ二つに切ったその断面が日光市に向いていることが地図で読める。
断面に木々はなく岩肌が露出していてそこに雪が積もるから他の山に比べてひときわ白く見える。


沢跨ぎ2回目の金精道路。
ここはくぐって先へ進む。


ここが今日の折り返し点となる標高1780メートル地点。
金精道路の沢跨ぎ3回目の場所である。
ここで道路の上に乗ると前方にひときわ白く輝く金精山(2244m)がで~んと構え、振り返ると男体山が一望できるという好立地なのである。


正面に見えるいや、見えないか?
肉眼だと金精山がうっすらと見えるんですが。


雪が舞い散るなか時折、強い風が吹き体温が奪われる。
道路の下に身を潜ませて昼食、もちろん立ち食いとする。
金精沢コースを歩く際、天気が良く展望が望めるときは道路の上で、悪天候の時は道路の下でランチタイムとしている。
古い話になるが今から7年前、金精山の西20キロ先にある武尊山(群馬県)の近くを震源とする大きな地震が発生(2011年の余震と見られる)し、この辺りは震度5強だったと記憶している(ここからさらに50キロ離れた管理人の自宅も大きく揺れた)。
その際、金精山の岩肌に積もっていた大量の雪が一気に崩れて管理人が今いるこの沢を下流へ向かって流れていった。


雪崩があった翌日(2013/03/26)に来てみた。
もの凄い勢いで沢を流れてきた大量の雪は木々をなぎ倒しガードレールを破壊し、道路の上も下も雪で埋め尽くした。
実はこの前日、管理人はツアーの参加者といっしょに道路下でランチを食べていた。一日違っていたらこの雪に閉じ込められてしまったのだと思うとゾッとした。
以来、金精沢のツアーの際は「今、地震が起こって雪崩が来たらどうするか」を常に意識しながら歩くようになった。


昼食を終え、沢と道路が2回目に交わるところまで降りてくると、前方(東)に男体山が見えた。


スタート地点とは違う場所に降りてきて単独ツアーが終わった。
この道標、「白根山登山口」となっているがここから白根山に登るのは簡単ではない。
中ツ曽根(ナカッソネ)という、背丈以上もある笹藪の尾根を延々と歩き、金精山と五色山とを結ぶ尾根に出たらまず五色山に登り、そこから前白根山に登り返して白根山に登るか、五色山から弥陀ヶ池か五色沼を経由して白根山に登るという実に長大な尾根歩きを強いられる小屋泊まり必須のルートである。

あぁ、そんなことはどうでもいいが、この道標が剥き出しの状態はまだ積雪が多いとはいえない。
今日はたまたま新雪の直後という幸運に恵まれて快適に歩けたが、この道標が雪に埋れるくらいにならないと本格的なスノーシューシーズン到来とはいえない。