2020年12月04日(金) 快晴
またまた間が空いた。
前回の山歩きは10月30日だったから5週間も空いてしまった。
この間、ジムへ行くことはおろか、ウォーキングさえしていない。
帯状疱疹は癒えたとは言え、通院はまだ続いていたし紅葉の時節とも相まってペンションの宿泊客もそこそこいた。
11月の天気の記録を振り返ると「晴れ」の日が23日間と多く、いつもなら通院の予定を雨の日にして山歩きの機会を設けるのだが、帯状疱疹後は再発防止の最大の妨げとなる免疫力の低下に歯止めをかけるべく、睡眠時間を30分でも多く稼ごうという気持ちが働いて早起きはしなくなった。
実はずいぶん前に睡眠時無呼吸症を疑うようになり3年前に病院で検査を受けたところ、紛れもなくその症状があると言われた。睡眠中に数十秒という長い時間、呼吸が止まることがたびたびあり、放っておくと脳梗塞や心筋梗塞他の重篤な病気になるらしい。
朝、起きたとき、寝不足感と疲労感、頭痛や激しい動悸が混じり合ったような嫌な感じが日常的にあって一日も早く改善しなくてはならないところだが、状態を軽中重でわけると中から重の間にあり、症状の改善には呼吸が停止したことを検知し、気道に酸素を送り込む機器が有効なのだが、状態から判断すると管理人のレベルだとまだ治療には至らないというのがこの病院の見立てであった。
苦痛から逃れたくて先月、別の病院でも同じ検査をした。
検査は病院に1泊して睡眠中に行われるのだがこの病院の環境は劣悪で、深夜にもかかわらず隣室の患者の声がうるさく、それをなだめる看護師の出入りが頻繁に行われ、そのたびに目が覚めてしまう始末だった。
睡眠中におこなう検査にもかかわらず目が覚めている時間の方が長いという、なんのための検査だかよくわからないうちに検査は終わりとなった。
この病院での結果では軽から中と、3年前よりも良化してしまった。
寝ていないのだから当然と言えば当然の結果が出たわけだ。
睡眠時無呼吸症を自覚するようになったのは5年くらい前からだが、実際には数十年にわたって一晩につき数十秒という無呼吸をなんども経験してきたのであろうことは明白である。
若く体力のあるうちはまだ大丈夫だったが加齢で体内の各機能が衰えるにしたがって放置できない大きな問題をかかえての生活を余儀なくされているのは疑いの余地がない。
帯状疱疹は疲れや寝不足が原因で免疫力が落ちると発症するそうだが、寝不足が慢性化している現状、睡眠時無呼吸症ながらもより長い睡眠時間を確保することが必至だ。
そのことがこれまでだったら4時に起床して朝食を摂り、6時には登山開始というこれまでのパターンを崩さざるを得ない理由だ。
行ける山は自ずと限られてしまうが、睡眠時間を確保することで帯状疱疹後の体力を養い、元の生活に戻したい。
今日、目指すのは鞍掛山(古賀志山山域北部)にした。
コースがたくさんあるので組み合わせることでそこそこの距離を歩ける。疲れたらショートカットしてもいいし、平坦な林道を歩いて駐車場に戻るのもいい。
アップダウンが多いから弱った身体のリハビリにはいいだろう。
目的のもうひとつはスマホの地図アプリ「Geographica」の比較テストである。
手元に現在、3台のandroidとiPhoneがある。
これらにGeographicaをインストールして性能を比較しようと思う。
スマホ用の地図アプリは周知の通り、Geographicaの他にYAMAPや山レコ地図などがあるが、管理人はこれらの中で地図アプリ本来の機能に特化したGeographicaを使っている。
理由はこれまでのブログに書いたとおり、余計な機能が付属していないシンプルさにある。
用意したスマホは次の通り。
・HUAWEI P20 light(バージョン9.1.0、mineoのデータSIM)
・andoroid one S4(バージョン9.0、SIMなし)
・Fujitsu arrows M03(バーション6.01、SIMなし)
・iPhone7(iOS14.2、UQmobileの音声SIM)
スマホではないがGPSでもっとも信頼のおけるGARMIN社のe-Trex 30Jも持参して、比較の対象にした。
比較したいのは軌跡の正確さ、下山後の電池残量、歩行距離など。
※Geographicaは自宅のWi-Fiで地理院地図をダウンロードしておけば屋外ではSIMがなくても地図を表示できる。
メモ(GARMINで記録)
・歩行距離:10.0キロ(GPSログをカシミール3Dで処理した値)
・所要時間:5時間6分(写真撮影と休憩を含む)
・累積標高:779メートル(アップダウンのうち、上昇分の累積)
12月ともなるとさすがに登山者は少なくなり、快晴のこんな時間にもかかわらず森林公園の駐車場は十分な余裕があった。
古賀志山に前回、来たのは8月11日だったから4ヶ月ぶりということになる。
赤川ダムの紅葉はまだ見られるだろうか、それとももう終わっているだろうか?
古賀志山の登山口に向かう道だがいつもなら地元の人が連なって歩く姿を見るのに今日はまばらだ。
赤川ダムの堰堤から見る古賀志山。
湖畔の紅葉が映えるのがこの場所だがかろうじてメタセコイヤの紅葉が残っているだけ。
手が加えられた林ではあるが、山を久しく遠ざかっている管理人には美しい光景として映る。
道はここで分岐する。
左は古賀志山北コース入口への道で、ここまで歩いてきた人の9割以上はここを左へと行く。
管理人には鞍掛山の中間点、長倉山へ向かうのでここは右へ進んで行く。
正規のルートだと駐車場を出てすぐ東側の斜面を入るのだが赤川ダムまで来てしまうと戻るのが面倒なのでショートカットして長倉山へ向かう。
中尾根北ルートへの入口を左に見て林道右(東側)の斜面に取り付く。
山頂には真新しい道標が設置されていた。
支柱には今年8月に設置とペイントされていた。
長倉山は中継点として相応しく、ここから先3つのルートがある。
北に向かって2つのルートは尾根を下ると林道で交わり、鞍掛山に至る。
もうひとつは西へ向かうルートで通称、北尾根コースと呼ばれている。
北尾根は二枚岩や三角山、シゲト山を経て鞍掛山に行けたりと自由度が高く、管理人はよく利用している。
今日はこれから鞍掛山へ行くので北に向かって並行して延びる2つの尾根のうち、東側の尾根で林道まで下ることにした。
ちなみに、西側の尾根は伐採後の斜面を見ながら下っていくので面白みに欠ける。
尾根を下りきるとアスファルトの林道に交わるのでここを突っ切って向かいの林に入る。
斜面の入口は階段になっているので迷うことはない。
さらにもう1本の林道と交わるので突っ切ると鞍掛神社の鳥居の裏に出るのでハッキリした道を進んでいく(画像は振り返って鳥居を眺めたところ)。
緩やかな斜面を上っていくと間もなく、頭のない2つの石像が並んで立っているのが見つかる。
双体神というが明治時代の廃仏毀釈によって人の手で破壊された、と管理人は見ている。
さて、ここでルートは分岐する。
ひとつは双体神を右に見ながら沢に沿って歩いていくと霊感漂う鞍掛神社に出合う。さらに進むと再び分岐してどちらの道も山頂に達するが、管理人はそれとは違うこの大きな岩を左に回り込むようにつけられている道を行くことにした。
鞍掛山まで少し遠くなるが面白い。
おぉ、まだ紅葉が観られた。
これはアブラツツジですね。
岩を乗り越えたり息を切らしながら急階段の道を進むとやがてここ、「大岩」に達する。
これから行く鞍掛山は展望がないのでここで休憩することにした。
十分な休憩をとったので大岩を後にして鞍掛山に向かう。
大岩から鞍掛山への平坦な道には落ち葉が堆積し、気持ちがいい。
広葉樹の葉がほぼ落ちた初冬の林は明るく、遠くまで見通せるので管理人が好きな季節だ。
鞍掛山には10分もかからず着いた。
木立に囲まれて展望はないが、閉塞感はなく広くて気持ちのいい山頂である。
鞍掛山では写真を撮っただけで先へ進んだ。
道はここで分岐し、左は鎖場コース。
下りきると今朝ほど横断した林道と出合う。
鎖場と言っても岩場ではなく、急階段の脇に支柱が埋め込まれ、鎖はそれら支柱をつないでるだけ。つまり手摺りとして鎖が使われているだけ。
管理人、標識を信じて行って落胆したことがある。
分岐を直進し、下りから上りに転じると標高430メートルの小さなピークに達する。
道はここで90度右(北)に折れてシゲト山に向かうが、地図によるとここから西へ向かって尾根が延びていて、シゲト山を経由せずに猪倉峠に出られるように見える。
別に時間を短縮したい(反対に時間がかかる場合がある)わけではないが木々の葉が落ち、見通しの利くこの時期は古賀志山山域の未踏ルートを探索するのにもってこいだ。
うむ、、、これで良かったのか悪かったのか。
シゲト山を回避したつもりがかえって時間をくってしまいそうだ(笑)
尾根はやがて沢に変わり、大小の石が堆積した上を歩くことになった。
猪倉峠に近づいたが軌道修正するためにもこの辺で沢から脱出しよう(画像はiPhone)。
無事に猪倉峠に出ることができた。
おそらくシゲト山を経由した方が時間は短かったはず。
猪倉峠から急な斜面を上がると標高431メートルの小さなピークに出る。
腹が減ったのでここで昼メシにしよう。
クルミパンとあんパンをそれぞれ2ケずつ食べ、エネルギー源とした。
小ピークを後にすると間もなく、北尾根の開始点(終了点)と交わる。
右へ行くと手岡峠を経て古賀志山に行くが、下山したら米の生産を委託している農家に寄る都合があるので、時間を短縮するために北尾根で長倉山に達して森林公園駐車場に戻るつもりでいる。
北尾根は数年前に大規模な伐採が行われ見通しが利き、気持ちよく歩ける。
北尾根から見る鞍掛山(右から2つ目のピーク)、標高430メートルの小ピーク(中央)、標高470メートルのシゲト山(左のピーク)。
さっきは小ピークを左斜めに下ってシゲト山南面の沢を歩き猪倉峠に出たわけだが、なんの意味もないルート探索に終わった。
あれまっ、トウゴクミツバツツジの狂い咲きだ。
たくさんの蕾まであった。
この時期、ときどき見ることがあるがこの花の特性なのかも知れない。
北尾根はここで一旦、林道と出合う。
長倉山から下って交わったのと同じ鞍掛林道で、左へ行くと鞍掛山・長倉山の登山口、右へ行くと細野ダムに注ぐ赤川の上流部と交わる。
なんてことのない緩やかな傾斜だが、衰えきった管理人の脚にはとても厳しく感じた。
今日、二度目の長倉山。
これから森林公園駐車場に向かうのだが朝と同じ道を歩くのはつまらないので正規のルートを歩くことにしよう。
初冬の山は広葉樹の葉が落ちて開放感が味わえるのがいい。
森林公園駐車場脇の車道が見えてきた。
ちょうどいい時間に下山できた。
Geographica比較
冒頭で書いたことと重複するが用意したスマホは次の4機種、そしてGARMIN社のe-Trex 30J。
スマホは左から、
・Fujitsu arrows M03(バーション6.01、SIMなし)
・HUAWEI P20 light(バージョン9.1.0、mineoのデータSIM)
・andoroid one S4(バージョン9.0、SIMなし)
・iPhone7(iOS14.2、UQmobileの音声SIM)
それぞれGeographicaを立ち上げトラックモードにしたところでarrows が早くもフリーズ。再起動してもGeographicaが立ち上がるとフリーズするというだらしのない結果で戦線を離脱することになった。機械もAndroidのバージョンも古いし、仕方がないのかもね(自宅では正常に動いていた)。
したがって比較はHUAWEIとandoroid oneとiPhone7の3台でおこなうことになった。
GARMINはもちろん、携帯する。
下山して記録が採れているのをそれぞれの機種で確かめてみた。
GARMINを含めて4台、1台たりとも同じ数値を示していない。
Geographicaに限らず、YAMAPも山レコ地図もスマホに内蔵されているGPSをベースに計測しているため、値はスマホのGPS性能に左右される。
したがって結果が異なるのは当然と言える。
そもそも、こうしてスマホを並べているからその違いに気づくのであり、よほど極端な差異がなければあとは使い勝手や電池の消耗度、バージョン(OSの)の新しさで選ぶのがいいのではないだろうか?
管理人としては信頼するGARMINと同じあるいは近似値を示すスマホを選びたい。
以下、見やすいように結果を表にまとめてみた。
P20 light | android one | iPhone7 | e-trex 30J | |
---|---|---|---|---|
歩行距離 | 8.2km | 9.5km | 9.7km | 8.26km |
所要時間 | 05:04 | 05:02 | 05:04 | 05:04 |
累積標高 | 747m | 808m | 866m | - |
電池残量 | 47% | 75% | 60% | - |
下山後、Geographicaの結果をそのまま記したのが上の表である。
GARMINは表示項目をカスタマイズ可能だが、累積標高と電池残量は表示の対象としていない。
続いて各機種のデータをカシミール3Dを使って処理した値を載せておく。
PCに保存しておき次の山行に役立てるにはこの方が都合がいい。
P20 light | android one | iPhone7 | e-Trex 30J | |
---|---|---|---|---|
歩行距離 | 7.98km | 9.14km | 9.23km | 9.64km |
沿面距離 | 8.13km | 9.36km | 9.47km | 9.96km |
所要時間 | 05:07 | 05:07 | 05:06 | 05:06 |
累積標高 | 607m | 746m | 721m | 779m |
スマホのデータもGARMINのデータもPCで見るにはカシミール3Dを使って処理するのがいい。
カシミール3Dもアプリ独自のアルゴリズムによってGPSデータを処理するため、前の画像の表と異なるが、同じ土俵の上で比較するにはこれしか方法がない。
これで見ると管理人が信頼を置くGARMINにもっとも近い値を出したのはiPhone7。P20 lightはGARMINと20パーセント前後の差がある。android oneとiPhone7は差異が10パーセント以内に収まっている。
P20 lightは2年前に購入した当時の新製品なのでGPS性能が劣っているとは言いがたい。もしかするとスマホの内部処理でこのような結果になっているのではないか、そんな気がしている。
ただし次の地図でわかるとおり、軌跡に大きな差異はないので、道間違いの防止や道間違いからの脱出という、地図アプリ本来の目的で使うにはまったく差し支えないように思える。
鞍掛山から西側を拡大表示すると、各機種の軌跡が標高430メートル地点から先で大きく違っているのがわかる。
これはルートになっていない深い樹林帯(途中から沢)に入り込んだためで、そういった環境だとGPSの性能差が如実に現れる。
ただし、GPSの世界標準となる機器が存在しない以上、どの機種が正しくてどの機種がおかしいといった判定はできない。
それに、図で言えば橙色(android one)と青色(P20 light)との軌跡がもっとも離れているがその距離差は50メートルにすぎない。Garmin(赤色)の軌跡を基準に比べると距離差はもう少し小さくなる。
自分の現在地を知ったり、道間違いから脱出するのになんら差し支えのない差異と言える。
スマホが古く内蔵しているGPSの感度、精度が悪いと軌跡があり得ない場所に描かれることが往々にしてあるが、今日、持参したスマホはそんなことはなかった。
P20 lightもandroid oneも2年前に購入したスマホだし、iPhone7は最新機種と同じOSバージョンである。発売年から察してGPSの性能は悪くないはずだ。
Fujitsu製は一時的なのかどうかわからないがフリーズして検証できなかったが、なにしろ基本スペックが時代遅れの代物である。他3台のスマホを前にビビってしまったのかもわからない。帰宅したらOSを初期化してみよう。
肝心な電池の保ちで言えば、P20 lightは残量が50%を下回る結果となり、使うのに躊躇う。android oneは十分な残量を保っていた。
その2台はGeographicaを立ち上げた状態でザックにしまい、取り出すことはなかったが、iPhone7は画面を見ることが頻繁にあったから電池の消費が激しかったのかもわからない。
その電池の保ちのことだが、Geographicaを使うにはあらかじめ自宅で地図をダウンロードしておけば、Wi-Fi環境もモバイル環境も必要ない。
山で使うには機内モードにしておけば電波を探すことがないので電池の保ちは少し良くなるらしい。
とはいえ仕事柄、登山中でも電話が必須だという人の場合は機内モードにするのは無理があろう。やはり電池の保ちはスマホを選ぶ際の重要な要素になると思う。
それとどれほど電池の保ちのいいスマホであっても遭難など、万が一の場合の通信手段として使うためにも、電池の残量は確保しておかなければならない。そのためにもモバイルバッテリの携行は必須ではないかと思う。
なにしろGPSは登山にあっては命綱だからね。
サブ機の位置づけとし、結論としてはGPS精度も電池の保ちもいいandroid oneをGeographica専用に用い、iPhone7は主に電話専用機として用い、電池を消費させないよう山行中はGeographicaを起動しないでandroid oneの電池切れのときやandroid oneがダウンしたときに使う、つまりサブ機の位置づけだ。
GARMINはといえば、もはやサブのサブ、つまり記録に特化したGPSロガーの位置づけになっている、というのが現在の管理人の使い方だ(もったいないが)。
まっ、それほどスマホの地図アプリの存在が大きくなっていることの証であると言えますな。