古賀志山で見る花たち・スミレを極めたい(2022/04/19)

2022年4月19日(火) 晴れ

きょう観た花
フモトスミレ、マルバスミレ、アカフタチツボスミレ、タチツボスミレ、ツボスミレ、ホウチャクソウ(つぼみ)、ズミ(あと数日)、ヒメスミレサイシン、ヒメイワカガミ、チゴユリ、アオダモ(あと数日)、ヤマツツジ、トウゴクミツバツツジ 、

先月16日から始めた古賀志山に咲く花の探索はきょうで8回目となった。
ひと月と3日で8回だから週に約2回の頻度で古賀志山に通っているわけだが、それほど古賀志山に咲く花は多様で、管理人のような花好きにとって大きな魅力がある山と言える。

4キロ四方の中に山域のすべてが収まってしまう古賀志山はいってみれば箱庭のようなもので、その中に200種類以上の花がぎっしり詰まっている。
少ない時間で多くの花を見ることができる効率の良さがなんといっても素晴らしい。

そんな古賀志山に魅せられて8年目になる。
管理人がこれまでに見てきた花は多いが古賀志山に咲く花をまとめた書籍をめくると、管理人が見た花はその1/3にも満たないほど少ない。
まだ残り2/3もある。
残りの2/3をすべて見ることを課題として取り組んでいるわけだが、そんな中、スミレの存在がある。
スミレの名前を特定するのは難しいとされていて、すべてが同じスミレに見えてしまう管理人のような素人にはなおさらだ。
そこで今年はスミレの名前を的確に当てられるようになることを目指して科学的な手法を取り入れることにした。
それが前回、16日に書いたブログである。
加齢に伴って新しい情報が入りにくくなっている管理人としては遅きに失した感は否めないが、これもスミレを極めたいと熱望する気持ちから始めた、何年かかってマスターできるかわからない遠大な作業と言える。

いい天気になった。
天気はこのままに、気温は上がらないでほしい。
なにしろ古賀志山山域は管理人が住む標高820メートルの霧降高原よりも低いのだ。
低い気温になれている管理人の身体は暑さに弱い。


7日に来たときは赤川ダムのシダレザクラとソメイヨシノが見頃だったが代わって八重桜が満開だった。
山があり、水があり、緑があり、川がある。
宇都宮市森林公園は多様なニーズを満たす環境を備えている。


きょうは鞍掛山ルート(古賀志山北尾根)を歩く予定だが、その途中にある長倉山の植物は16日に見ているので時間短縮のため割愛し、長倉山への最短ルートを歩くことにした。
ここはフモトスミレの宝庫であった。


16日は森林公園駐車場からノーマルルートを歩きながら植物を観察してここ、長倉山まで来たが、きょうはショートカットして山頂のすぐ手前に出た。
山頂から細い2本の尾根がほぼ並行して鞍掛林道に向かっている。
16日はその左の尾根を歩いたのできょうは右の尾根を下ることにした。


特に観るべき花もないまま尾根を下り林道と出合った。
そこが鞍掛山の登山口となっている。


花は淡紫色で柱頭はストレート。距は後に真っ直ぐ延びている。
葉は心形で地上茎があり托葉は櫛の歯状。
とくればタチツボスミレの特徴そのものだが葉っぱの色が少し違う。
タチツボスミレに比べると葉脈が赤い。


葉っぱの付けにある托葉は櫛の歯状。


前回、16日の山行で始めて使った「日本のスミレ類早見表」にあてはめるとタチツボスミレ類に分類される。
あとは帰宅して図鑑で調べれば良い。
帰宅して調べるとフイリタチツボスミレと出た。
ただし、タチツボスミレを紹介するネットの写真で葉に赤い斑が入っているのを見たことがあるので、タチツボスミレの個体差であるかもわからない。
正しくは、タチツボスミレフイリタチツボスミレのどちらかということになるのだろうか。


双体神と出合うのできょうはノーマルルートで鞍掛山に向かうことにした。


双体神前のホウチャクソウ
ちなみに、このホウチャクソウに似た植物としてアマドコロとナルコユリがあって管理人はよく間違える。
花も葉っぱも3者に大きな違いがないのが理由だ。
ここで特徴を整理してみたい。
ホウチャクソウ:茎が上部で枝分かれするのが特徴。
アマドコロ  :葉腋から花柄が出るのと茎の中程から上に稜があるのが特徴。
ナルコユリ  :葉腋から花柄が出るのはアマドコロと同じだが茎は丸く稜がないのが特徴。


道はここで分岐する。
数年前、道標に「左・岩コース」と書かれているのに惹かれて行ってみたところ、そこは鎖が設置された急斜面で岩場ではなかった。
斜面の脇に大きな岩があったがその岩を上っていくのではなく、拍子抜けしたことがある。
以来、右へのコースを歩くことにした。
その方が植物も多い。


分岐にあるヤブレガサの小群落


白いスミレの登場
さっそく特徴を調べてみることに。
唇弁のみ紫条が入り、柱頭の形状はカマキリの頭。


花柄にも葉柄にも毛があり、托葉は剣先型で葉柄に沿って延びている。
茎はなく、花柄と葉柄の付け根は地上。
以上の特徴を日本のスミレ類早見表にあてはめるとミヤマスミレ類に該当する。
帰宅してミヤマスミレ類の仲間を図鑑で調べるとマルバスミレが答となった。


マルバコンロンソウ


クサボケ


この先で双体神の上を走る尾根と合流する。
実はその間、ツクバキンモンソウを探しながら歩いたのにとうとう見つからなかった。
たしか昨年まではあったはずなのにどこへ消えてしまったのだろう?


ツツジの仲間ではいま、トウゴクミツバツツジが盛りだった。
ヤマツツジはあと数日で蕾がすべて開く勢いだ。


もうすぐ咲こうというマルバアオダモ。


大岩に到着。
眺めがいいことから人気のあるルートだがきょうは人の姿はなく、管理人の貸し切りとなった。


ズミはあと数日で咲きそうだ。


フモトスミレ


シゲト山(470m)を通過。
ここからの眺めもいい。


アップダウンが多いがこういった歩きやすい部分もあるのが鞍掛山ルートの良さと言える。


ありふれたタチツボスミレ。


猪倉峠を過ぎた辺りで白いスミレを見つけた。
花弁の唇弁に紫条。
柱頭の形状はカマキリの頭で距は太く短い。
マルバスミレか?
いや、それにしては花がマルバスミレよりも小さくてまた、花柄にも葉柄にも毛が生えていない(葉には毛がある)。


花柄も葉柄も地中から地中から生えていて茎はない。
托葉は葉柄からわずかに離れている。
葉は出たばかりなのか、基部はまだ完全に開いていない。
以上の特徴を早見表にあてはめるとスミレサイシン類に分類された。
帰宅して図鑑で調べるとヒメスミレサイシンという答になった。
ただし、ヒメスミレサイシンの特徴として側弁基部は無毛に対してこれは有毛。
唇弁は丸みをおびるとあるがこれはやや尖っているという相違がある。
また、古賀志山の花に特化した書籍2冊にヒメスミレサイシンが掲載されていないのが気になるところだ。


道はここで長倉山から延びている北尾根と交わる。
左が長倉山、右へ行くと手岡峠を経て班根石山(P559)に行く。
きょうはこれから三角山へ行くので右の道を行く。


ツルリンドウ


北尾根と別れて三角山(480m)へ。


山頂直下でヒメイワカガミと出合った。
株数は多い。


三角山山頂
遠方から見ると二等辺三角形をしていて、それを「おむすび」に見立て「おむすび山」と地元で親しまれている山である。


5分ほど休んで南へ下る道で下山した。
下に見えるアスファルト道路は林道入山線。
左へ行くと赤川に沿って森林公園に戻る。


二枚岩北登山口を通過


伐採作業がおこなわている現場の手前を右折して赤川の右岸に沿って細野ダムへ向かう。


滅多にお目にかかれない伐採の作業風景。
大がかりな伐採を宇都宮市森林組合の作業員4名だけでおこなっている。
大型の重機が2台、1台は根元をチェーンソーで切った桧を安全な場所に倒すためのもの。もう1台は伐採された桧をつかんで枝切りと定寸カットをおこなう重機(これは凄い、1台欲しい)。
見ていて飽きない作業だった。


チゴユリ


ニョイスミレ(ツボスミレ)
花が小さくフモトスミレと似ているが側弁と唇弁に濃い紫条が入っているのと、薄く明るい緑の葉が異なっている。


4月に入り雨の日が多いためか満水状態になった細野ダム。


番外赤川ダムへ戻る途中にBBQ場があるが、そのすぐ脇に咲いていたヴィオラ・ソロリア・プリセアナという園芸品種。
管理人が住む日光、大谷川河川敷にもあるが人里に近い場所にはこのような外来の園芸種がはびこるようだ。


時系列から外れるが、某所にあったウラシマソウ。
遠目にはマムシグサに見えるが近づくと黒い仏炎苞から延びるヒゲが明らかにマムシグサとは異なる。
このまま無事に育ってほしいものだ。