水没前に西ノ湖へイトキンポウゲ探し。ついでに高山も。

2021年7月26日(月) 晴れ 台風8号接近中

今年はほぼ例年とおりの梅雨入りと梅雨明けとなり、梅雨が明けた後は晴天と猛暑が続いた。
アウトドア派には嬉しい夏となったわけだが、天候によって浮き沈みする商売を営む管理人にとってこの時期は悩ましい。
ワクチン接種が済み、コロナに感染するリスク、他人に感染させるリスクともに軽減されて、さあそろそろ自粛を解いて福島遠征でもと目論んでいたところ、少数ながら来客があって、コロナ禍で売上げが激減している管理人にはとてもありがたく、出かけたい衝動を抑えて商売に徹することにした。

天気に恵まれた4連休が終わって、次は管理人が楽しむ番だと思った矢先に台風8号が関東を直撃する恐れがあるとの天気予報だ。
天気予報各社の予報を見比べてもほぼ同じで晴天に恵まれるのは26日すなわち、今日までとなっている。
おかしいのは台風が過ぎ去っても台風一過の快晴とはならず、天候はしばらくの間ぐずつくらしい。

花を探索し眺めるのを極上の楽しみとしている管理人にとって雨は非情だ。
濡れそぼった花を観るのは忍びないし、写真が撮れないのがなんといっても悲しい。

今月最後の晴れという貴重な日を有効に活用したいがさて、どこへ行こうか?
ありきたりの花の探索は面白みに欠けるので日光でも特定の場所でしか観ることのできない花、イトキンポウゲを探しにいこう。
日光では西ノ湖と刈込湖に生育する絶滅危惧ⅠB類に指定されている植物だ。

万一、台風の直撃を受けて西ノ湖畔に生育しているイトキンポウゲが水没してしまうと、水位が下がって砂浜が露出するまで当分の間、観ることができない。
なんとしてもその前に観ておきたいと思う。

※台風8号は進路を北に変え、日光直撃は免れた様子。ブログを書いている27日11時現在、風はややあるものの雨は上がって空は明るい。

結果(GPSはiPhoneを使用)
・歩行距離:16.9キロ(GPSログをカシミール3Dで処理した値)
・所要時間:5時間22分(写真撮影と休憩を含む)
・累積標高:1098メートル(アップダウンのうち、上昇分の累積)

バス停の竜頭滝から近い中禅寺湖の入口。
竜頭滝から国道を横断すると湖へ通じる車道があるので下って行くとこの道標がある。
昔は車道の行き止まりに西武プリンスホテルと同ホテル直営のスキー場があってそこそこ賑わっていたが、ホテルが撤退したのに伴ってスキー場も閉鎖。
そのスキー場は現在、日光市の臨時駐車場として通年開放されていて、紅葉時期のマイカーを吸収する役を担っている。
道標は臨時駐車場のすぐ脇にある。


入口を入るとすぐヨツバヒヨドリとバイケイソウの群落に迎えられた。


中禅寺湖を一周する遊歩道は標高1300mプラスマイナス20メートルの範囲内に敷設されていて大きなアップダウンはなく、歩きやすい。
が、部分的にはこんな階段もあるし目の前に巨岩が迫ってきたりするので気を抜くことは出来ない。


まるで鏡面のような静かな湖面。
ではありますがぁ、、、


熊窪まで来ると再び砂浜に下りることができる。
湖岸から数メートル先で水の色が無色から濃いブルーに変わっているのがわかる。
中禅寺湖はもっとも深いところで水深が160メートルもあり、湖岸からの落ち込みが顕著になっている。
ここから見えるブルーの部分で水深はすでに5メートルはありそうだ。
迂闊に足を踏み込んだりすれば浮かび上がって来れないと言うことになりかねない。


熊窪
ここから山に入ると高山峠を経て高山に登ることが出来る。
帰りにまだ元気が残っていれば高山に登って竜頭滝に下る計画。


竜頭滝駐車場からジャスト1時間で千手ヶ浜に着いた。
中禅寺湖入口の道標には3.8キロとあったので時速4キロ弱で歩いたことになる。
山道(といってもほぼ平坦)を時速4キロ弱で歩けたのは亀足の管理人としては上出来。
ちなみに、このまま湖岸沿いに進むと中禅寺湖南岸遊歩道となり、湖を一周することが出来る(ただし現在、工事中で通行止めのはず)。


千手ヶ浜からの男体山の眺め。
この時間、下界ではすでに暑いのだろうがここは暑さとは無縁。
赤とんぼが飛び交い、涼風が吹き、秋の風情さえ感じる。
さて、これから今日の目的地である西ノ湖(さいのこ)へ向かうわけだが、西ノ湖は流入する沢がないため水位は雨の量次第である。
雨量が少ないと水は湖底から地下に浸透し見る影もないくらい、無残な姿をさらけ出す。
反面、台風の直撃に遭うと雨量に加えて周りの斜面から流れ来る雨水が溜まって林さえも水に浸かる。


赤沼駐車場を起点とする低公害バスの終点まで約300メートル歩くとトイレがあるので借用。


車道から離れて西ノ湖へ向かう千手ケ原遊歩道。


千手ケ原はミズナラなど広葉樹の宝庫だ。
植生保護のため指定された場所以外は歩けないが道は整備されていて気持ちよく歩ける。


原が尽きたところが柳沢川で、鉄骨の橋が架かっているので渡ると西ノ湖まで10分とかからない。


満水時に比べると水位は低いがこれならお目当てのイトキンポウゲが見られるかもしれない。


ほぼひと月にわたる今年の梅雨だったが雨量はそれほど多くはなかったようだ。
といって渇水というわけではなく、砂地が適度に露出している方がイトキンポウゲの観察には良い。
イトキンポウゲの花は1センチ未満と小さいため砂浜を漠然と眺めていたのでは見つからない。
イトキンポウゲ、イトキンポウゲと心の中で唱えながら精神をイトキンポウゲに集中することが肝要である。そうすれば必ず見つかる(たぶん)。
この場所は西ノ湖が満水になると水没するがそれでも枯れることはなく生き続けるほど、イトキンポウゲは水に強い性質を持つ。
ここでは残念ながら数株しか見つけることが出来なかった。


湖岸を西ヶ浜(にしがはま)へ歩くとそこはまさにイトキンポウゲの宝庫だった。
目をこらさなくてもあちこちに小さな、黄色の可憐な花を見つけることが出来た。
葉は幅1~2ミリほどと細長く、それがイトキンポウゲの名の由来になっている。

明日からしばらくの間、雨の予報だ。
台風8号が日光を直撃するようだと西ノ湖は周りの斜面から大量の雨水が流れ込んで氾濫する。
管理人は2007年9月10日にそれを目撃している。
以下は台風直後の西ノ湖。まさに氾濫状態。


西ヶ浜から男体山を眺める。
砂地はやや湿り気をおびているので最近まで水に浸かっていたであろうことが想像できる。


30分という長い休憩をとって西ノ湖を後にした。


往復同じルートというのはつまらないので別ルートで千手ケ浜へ向かう。


再び、千手ヶ浜。
台風の影響が少し出ているのだろうか、中禅寺湖にやや波が立っていた。


湖畔の遊歩道を熊窪まで戻ってきた。
このまま遊歩道を歩いて行けば11時過ぎには竜頭滝、午前中には自宅に戻れそうだが、そんな早い時刻に帰宅すれば体調が悪くてリタイヤしたのではと家人が心配する。
スタートしてここまでで11キロ強歩いているがまだ数キロは大丈夫そうだ。
やはり高山に登ろう。


高山への登山道は広葉樹林の中にあり、日差しが遮られるが明るく、とても気持ちよく歩ける。


高山峠着。
直進すると低公害バスが走る市道1002号線に出る。
高山山頂はここを直角に右に折れる。
標高差はここから200メートルほど。
西ノ湖から休みなしで歩いて来たので登頂の前に5分の休憩を取った。


高山峠から間もない登山道。
緩急折り混ざって歩き甲斐がある。
2015年5月、高山山頂が目前というところまで来ていきなり足が動かなくなった。
足を前に出そうとしても自分の意識とは裏腹に、足が地に張り付いたかのように動かないのだ。
これがよく言われるしゃりバテ(ハンガーノック)なのだと、すぐに分かった。
であればこの場所に腰を下ろして食事をすれば回復するはずである、と考えたが、一方でこのまま食事をせずに歩き続けたらどうなるのかを試してみたい気持ちにもなった。
周りの木々や岩に手を添えて、動きたくないと言っている足を無理やり引き上げながら山頂に達したことがあったが、それは辛かった。


高山峠から部分的ではあるが急登があって体力を消耗したが無事に山頂に着いた。
山頂は周りを木々に囲まれて展望はないが、密を避けても50人以上が休憩できそうなほど広い。
ここで20分ほどの本格的な休憩とし、菓子パンをかじった。

しゃりバテの際、なんとかここまで来て、倒木に腰掛けて持参したパンを時間をかけてゆっくり咀嚼し、長い休憩をとると足に力が入るようになり、その後はなにごともなかったように足が動くようになった。
まるでガソリンを切らした車のように、エンジンはいきなり停止するが、ガソリンを入れるとすぐ走り出すことができる、それと同じ現象だった(ヒトの場合、食べ物が消化吸収するまでの時間が必要だが)。
管理人が山行における食糧計画を入念に行うようになったのはそれからである。


山頂から竜頭滝上までは2キロちょっとの緩やかな傾斜が続く尾根道だ。
危険箇所はなく快適に下ることができる。
咲いたばかりのイチヤクソウが数株、目に入った。
10分ほど、撮影に没頭する。


終わりに近くなると道は平坦になる。


シカの食害から林を守るためのシカ侵入防止用のゲート。
すぐ手前に新しいバイケイソウを見つけた。


名前の通り梅の花に似たバイ(梅)ケイソウ。
派手さはないがまとまって咲くことから遠くからでもよく目立つ。


ゲートを抜けて竜頭滝の落ち口となる国道に出た。
あの橋の下が竜頭滝の上流部で流れに沿って整備された階段があり、竜頭滝駐車場へ下りることが出来る。


竜頭滝の流れに沿って階段を下っていく。
西ノ湖と違ってこの辺は梅雨の影響で雨が多かったのだろうか、水量が多い。


日光で登山というとどうしても白根山や男体山に人が集中する。
この2座は百名山でもあり人が集まるのは当然と言えるが、人出を避けてもっと静かな登山を楽しみたいのであればこの高山などうってつけではないかと思う。
なんといってもバスを降りたらすぐ登山口だし満車になることのない駐車場が備わっているのは魅力だ。
日光の山にありがちなピストン山行を嫌って周回コースを設定することができるのもいい。
その場合、行程の1/3は中禅寺湖を間近に見ながら歩くという、贅沢な気分が味わえる穴場的な山といえるのではないだろうか。