遊歩道工事の前に急遽、中禅寺湖一周を敢行(靴壊れる)

2021年6月18日(金) 晴れのち曇り

自らの意志によって行動を律すること、それがすなわち自粛であり、管理人は今年、まだ福島県の山に一度も行っていない。

現在、栃木県にも福島県にも緊急事態宣言は発令されていないが、それとコロナへの感染は別物であることは東京の感染者の推移を見ていればわかるし、栃木県は日々20人台と大きく増えはしていないが減ってもなく、水平に推移していることでわかる。

福島県の人たちにとってたとえ緊急事態宣言が出されていない栃木県とはいえ県民感情として、県外からの来訪は望んでいないであろうと管理人は思っているからこその自粛である。
管理人が自粛を解くのはワクチンの接種が終わり、他人への感染の心配がなくなる7月になってからだ。
それまでは管理人がこよなく愛す古賀志山と地元、日光の山を楽しむことにしたい。
福島県の山に比べると人と遭う確率が圧倒的に少ないからね。

昨日、Facebookの投稿で、中禅寺湖南岸の遊歩道が工事のために11月30日まで通行止めになることを知った。
5ヶ月以上にわたる通行止めである。
迂回路は設けないらしい。
予定通り11月30日で工事が終わったとしても12月には極寒の地となり雪が積もる。
これまで通り快適に歩けるようになるのは来年の4月以後になるので、都合10ヶ月もの間、中禅寺湖南岸は歩くことができなくなる。→詳しいことはチラシで

実は管理人、6年ぶりになるが体力測定を兼ねて夏前までに中禅寺湖一周ハイキングを予定していて、先日はその事前練習のために湯元温泉から光徳温泉まで18キロの疑似体験を済ませたところだ。
次は実践を待つばかりとなっていて、天気予報を日々チェックしていたところ昨日、Facebookで通行止めの報を知ったのである。
工事の開始日は来週の月曜日すなわち21日。
ということはその前に歩けるのは今日18日と19日、20日の3日間しかない。

昨日、その報を知ってすぐ、1時間ごとの天気予報を調べると、雨の心配がないのは今日しかないらしい。もう少し先の快晴日を狙っていただけに、あまりにも急すぎる。
来年まで待つかそれとも急だがやるか、両極端の選択肢ということになるが、中禅寺湖一周のために体調を整えてきただけに、来年まで待つという選択はできない。
敢行することにした。

問題は履いていく靴だった。
遊歩道は南岸がやや荒れている程度でほとんど危険はない(個人的な見解)。
古賀志山で履く定番であるラ・スポルティバのローカットにするか、家トレで使っている中古で購入したアディダスのトレランシューズにするかで迷った。
安定感と安全性で選べばスポルティバ、軽快さで選べばアディダスとなるが、中禅寺湖一周遊歩道は過去に4回歩いていて状況を把握しているのと、雨の心配はないので身軽さ重視でトレランシューズに決めた。
と、この時点ではこれから起こるアクシデントのことなど想像すらしていなかった。

結果(GPSはiPhone7を使用した)
・歩行距離:25.7キロ(GPSログをカシミール3Dで処理した値)
・所要時間:7時間20分(写真撮影と休憩を含む)
・累積標高:1235メートル(アップダウンのうち、上昇分の累積)
※同時に測定したHOLUX m-241は距離28.6キロ、累積標高1656mと明らかにおかしい値だったので不採用。
※2015年の記録→こちら
※2014年の記録→こちら
※2006年と2007年にも歩いているが正式な記録がない。

中禅寺湖まで来たらこの景色は是非とも目に入れておきたい。
水面の向こうにそびえる社山(しゃざん)の雄姿だ。
この日は中禅寺湖から立ち上った水蒸気が雲を作り、社山中腹に浮かんでいた。
真冬の雪を被った姿もまた素晴らしいものだ。
後ほどあの山の登山口となる阿世潟を通過する予定。


竜頭滝の市営駐車場に車を置き、久しぶりに竜頭滝を見学した。
ツツジが終わってなにもない竜頭滝をあとにして、国道を横断すると湖に通じる車道があるので奥へ進んでいくと湖畔に沿って歩く遊歩道の入口がある。この道標が目印になる。
このすぐ手前に広大な駐車場(竜頭滝臨時駐車場)があるがトイレがないため上に書いた市営駐車場に置いた次第。


ハルカラマツの群落があった。


身体のコンディションは悪くない。
昨夜の夕食はアルコールを抜いた。
だが、昨日決めて今日という急な展開だけに気持ちの高揚感にやや欠ける。


天気晴朗、波は静かだ。
どうか快適な一日でありますように、、、


湖畔を一周する遊歩道はわずかなアップダウンはあるが概ね平坦だ。


湖の透明度は高い。
画像左隅にシカの足跡が見える。
水を飲みに来たのであろう。


「高山」への南の登山口、熊窪を通過。


千手ヶ浜へは遊歩道入口から1時間で着いた。
ここは中禅寺湖の西の外れに相当し国道120号線の赤沼から専用バスで来ることができる。
この奥に個人宅があって、敷地内にクリンソウの群落があることで知られている。
その季節になるとバスや遊覧船で大勢の観光客がクリンソウを目当てに訪れる(コロナ禍の今年はわからないが)。


千手ヶ浜から望む男体山。
手前は遊覧船の発着桟橋。


西岸遊歩道に工事を知らせる立て看があった。
この先に車が通れる道はないから遊歩道や木製の階段の改修工事であることがわかる。
と、それは理解したのだが、昨日知らせのあった工事とは終了期間に2ヶ月もの違いがある。
はて、昨日の知らせとは違う工事なのだろうか?・・・答は後ほど。
なお、この立て看には発注者名として「栃木県県西環境森事務所」と書かれているが正しくは「栃木県県西環境森林事務所」。「林」が抜けている。
おそらく施工者が作成したものなのだろう。


中禅寺湖に流入する川にかかる乙次郎橋を渡る。


これは工事の一環なのであろう、迂回路が設けられている。
矢印が両側についているので通常のハイキングコースすなわち左へ行ったところ、そこにもロープが張ってあって行き止まりだった。
水路にかかっている橋が撤去されているため通行止めにしているようだったがなんとも紛らわしい。
ここまで戻って右へ行ったところ迂回のロープは個人宅の広大な敷地を複雑に張り巡らされていてまるで迷路のようだった。


敷地内のクリンソウ。
敷地は広大でクリンソウが群れを成している。
かつて管理人もここのクリンソウを目当てに訪れたことがあるが、その規模に圧倒された覚えがある。同時に観光客の多さにも圧倒された。


ロープの迷路から抜け出してようやく、目指す南岸遊歩道に入ることができた。


千手堂
ずいぶん立派なお堂が建っていた。
前回(といっても6年前)、中禅寺湖一周で歩いたときはお堂の由来を説明する案内板があるだけだったが、平成28年に日光開山1250年を機に復元したもの。→6年前の同じ場所


黒檜岳(くろびだけ)への登山口を通過。
ちなみに地理院地図に描かれている黒檜岳の登山ルートはこの1箇所だけ。
山頂から社山へ抜けるルートもあるが笹が深くて道迷い必至である。→こちら


中禅寺湖を一周するために歩いているのだから当然だが、遊歩道のどこからでも中禅寺湖を眺めることが出来る。
遊歩道は水面すれすれのところもあれば湖を見下ろすところもあるといった変化があって飽きることがない。


老朽化によって土台から崩れ落ちた木橋。
21日から始まる工事はこれらを改修するためのものであろう。


林は密になり、ウリハダカエデが目立つようになった。
1メートルの範囲に数本のウリハダカエデの幼樹が生えている。
ウリハダカエデは5メートルほどに生育する種であるため大きく生長するには条件が悪そうだ。


沢の増水によって損壊した木橋。
放置されたまま10数年いや、数十年経っているような感じ。
通過するには差し支えはない。


白岩展望台から望む男体山。
その左に太郎山が見える。


苔と一体化した木橋。
これはこれで風情があって残しておきたい気持ちになる。
ちなみに南岸遊歩道は山の陰になっていて日差しが入らないため、北岸の遊歩道よりも条件が悪い。
左の木橋を見るとわかるが、長年の雨や雪で水をたっぷり含んで乾くことがない。
そのため木橋の表面はヌルヌルしていてどのような靴をもってしても滑る。細心の注意を払って歩かなくてはならない。
それは南岸遊歩道全行程にあてはまる。


中禅寺湖南岸にはその南に連なる山を源とする沢が数本、流入している。
中禅寺湖が涸れることがないのは流入する沢の水が豊かだからに他ならない。
ここのは伏流水を飲み水として供するためにパイプを埋め込んでいる。


足下がなんとなく頼りなく感じたので立ち止まって靴を見ると、かかとのソールが完全に剥がれてしまっている。
着地するときに剥がれたソールを踏んでグニャッとした感じになる。
こうなると元に戻すことなど困難なので応急処置に頭を巡らせた。


腰を下ろせる場所まで移動して救急セットに入っていた粘着式の包帯で応急処置を施した。
だが問題はこんな状態で果たしてどれほどの時間を稼げるかということだ。
よく見ると反対側の靴底も剥がれかかっていた。
この靴は中古のアディダスをメルカリで手に入れたもの。
5回使っただけという触れ込みのを昨年9月、確か2000円だったと記憶しているが家で筋トレする目的なのでいいかと思って手を出したのだ。
足馴染みが良かったので屋内だけで使うのはもったいないと思って外履きにしたのだが、今月1日、18キロ歩いたのみで今日が2回目の外での使用だった。
ここまでが約12キロくらいなので買って40キロ歩いてこのザマである。
原因は経年劣化であろう。
10数年前の商品を買ってしまったことになる。
安物買いの銭失いを地でいったようなものだが安全上の問題があるだけに後悔しきり。
次は新品を買おう。
なお、別のザックにはこんなときのために細引きを入れてあるが今日はいらないと判断して持ってこなかった。


残骸程度だが残っていたヤマツツジ。
今日、湖岸で初めて観た花だった。


社山の登山口、阿世潟に到着。
ここまで来れば残りは10キロ、しかも多くはアスファルト道路と整備された遊歩道歩きとなる。気持ちがぐっと楽になった。
足下の不具合を除けば、、、
傍らの岩に腰をかけてエネルギーバーと魚肉ソーセージ、バナナを食べて後半のエネルギー源とした。
汗をかいたのは北岸を歩いたときだけで南岸はむしろ涼しかった。
飲料水はまだたっぷり残っている。
水平移動が多いのでエネルギー消費が少なくて済み摂取したカロリーは合計で500kcalくらいだ。


半月山の登山口、狸窪(むじなくぼ)を通過。


ソールの剥がれた靴の応急処置は30分が限界だった。
ここでアウトソールをナイフで切り落としてミッドソールを剥き出しにした。
クッションは効かないが歩くたびにパカンパカンと動くアウトソールを道連れにするよりはいいだろう。


アウトソールがない靴というもので初めて歩くわけだが、違和感はあるものの慣れれば問題ないようだ。
とはいえ、かかと部分が低いだけに着地したときにふくらはぎが伸ばされる感じは否めない。


歌ヶ浜に着いた。
梅雨の合間の晴れの日と言うこともあるのかマイカーが多く駐まっていた。
しかし、大型バスは1台も見なかった。


国道に出てしばし歩道を歩く。


男体山の登山口となる二荒山神社前を通過。


北岸の遊歩道は南岸に比べて明るくまた、整備が行き届いていて歩きやすい。


西六番別荘跡。
かつて中禅寺湖がまだ観光地となる前、日本に仕事で訪れていた外交官や大使館員、貿易商たちが好んで訪れたという奥日光には彼らの別荘があったそうな。
その跡を整備してミニ公園にしたもの。
なかなか落ち着ける場所だ。


中禅寺湖を眺めながらテラスで休憩できるようになっている。
湖に面したテラスの囲いは往時の石壁をそのまま残してあるという。


すぐ右に国道が走っているが車の騒音が苦にならないほど静かな遊歩道。


遊覧船の発着場となっている菖蒲ヶ浜。
ゴールは目前。


6年ぶりだったがここから歩き始めて7時間20分で戻ってきた。
靴のトラブルがなければ7時間を切ることができたかもしれない。
管理人、来月末で齢七三を迎える。
まだ1・2年は大丈夫じゃね? というのが今日の偽らざる感想だった。
ただし、管理人につきものの怪我と病気さえしなければ、、、


なんの面白みもないGSPの軌跡であることをご容赦のほど。
ちなみに道迷いの心配は120パーセントありません。
斜面を滑落する心配は、、、少しあるかな?(笑)


ところで南岸遊歩道工事のことだが現場の立て看(7:23の画像を参照)には工事終了は9月13日となっていて、管理人が昨日入手した情報とは2ヶ月の差異がある。
この2ヶ月の差は大きい。

工事終了が9月であれば紅葉を楽しむことができるし、11月は冬枯れの中禅寺湖を歩くことができる。
昨日入手した情報の通り工事が11月30日までかかるとすれば工事明けには厳冬期を迎えるわけであり、快適に歩けるようになるには4月まで待たなくてはならない。
大きな違いである。

そこで工事発注元の栃木県に電話で確認したところ立て看にある工事が終わった後も別の工事が予定されていて、それが終わるのが11月末であるとの回答だった。
ただし、その別の工事とは、まだ具体的に決まっているわけではないらしい。

いずれにしても来週21日からの工事は確定しているので年内に歩けるようになるのか、来年まで待たなくてはならないのかはこれからの推移を見守るしかないようだ。
9月になったら栃木県県西環境森林事務所のホームページで確認することにしよう。