古賀志山で見る花たち・これはミヤマウズラかベニシュスランか?

2022年6月28日(火) 梅雨明けの後の猛暑日

きょう観た花(順不同)
ホタルブクロ(白花)、オオバジャノヒゲ、キツリフネ、ケナツノタムラソウ、コメツツジ、オカトラノオ、ヒメイワカガミ(実)、ネジキ(実)、アブラツツジ(実)、ミヤマウズラかベニシュスランの葉

古賀志山に生育している植物(ここでは花に限定)は多種多様で、植物の宝庫とされている日光と比べても遜色はない。

大きな違いとして言えるのは、古賀志山山域はわずか4キロ四方の中に200数十種の植物がギュッと詰まっていて、広範囲を歩き回らなくても多くの花を見ることができることだ。
それが管理人をして古賀志山通いを長続きさせている大きな理由となっている。

古賀志山は植物が多様なのに加えて低山ゆえに花期は3月から10月までと長い。
5月に始まって8月には終わってしまう日光との違いがここにもある。
だが、できることならば避けたい時節がある。

それは夏である。

最高標高の古賀志山山頂でさえ583メートルなので、それより低い山域内はとにかく暑い。
霧降高原の麓、標高820メートルに住み、熱帯夜の経験のない管理人にとってその暑さは、真夏に密閉した部屋でストーブを燃やしているようで耐えられないほどだ。
だからよほどの動機がなければ夏の古賀志山に行くことはしない。

先月26日、古賀志山の岩場を経験したいというOさんのリクエストに応じてガイドを務めた際に、Oさんが見つけた植物があった。
まだ花は咲いてなく、葉っぱを見ただけでこれはミヤマウズラかベニシュスランだと言う。
聞くとOさんはかつて神奈川県の山岳会に所属し、植物班のリーダーを担当していたとのことだった。
植物にやたらと詳しい。

それは葉っぱが展開したばかりで背丈は3センチほどと小さく、特徴といえば葉っぱの表面に亀の甲羅のような模様があるだけで管理人が見たこともない植物だった。
帰宅してミヤマウズラとベニシュスランを図鑑で調べたものの、葉っぱだけだと判別できないというのが管理人が下した結論であった。

わかったのは両者、7月から8月にかけて咲く植物であるということ。
花が咲けば違いは一目瞭然であることが図鑑に掲載されている写真からわかる。
とはいえ、花の開花はいろいろな要因で図鑑の通りにはいかない。
もしも見逃してしまうと翌年を待たなくてはならないという悲劇に見舞われる。
花が咲く前から通って兆候をつかみ、開花のちょうど良いタイミングで見られるように通いたい。

異常気象は今年も例外ではない。
今年は昨日、異例の速さで梅雨が明けた。
もうこれが異常ではなく、当たり前のように思える。
晴れる季節には晴れ、降る季節には降る、そんな気象にはもう戻らないのだろうか?

古賀志山を訪れるのは地元の人でおおよそ8割を占めるが、やはりというか、この暑さで敬遠したのであろう、宇都宮市森林公園の駐車場は1/3にも満たない入りであった。


先月、渇水で湖底が見えていた赤川ダムだが、今日は8割ほどに復活していた。
その分、涼しげな光景だ。


登山口に向かうアスファルトの林道脇に白いホタルブクロが多く見られた。


細野ダムを悠然と泳ぐ2匹の鯉。


オオバジャノヒゲ


現場に到着した。
ここに来るまでの間で全身汗だく。
Tシャツは吸い込んだ汗が乾くこともないほどの発汗である。

さて、今日はこの葉っぱの正体を探るべく、ここへ来た。
先月、植物にやたら詳しいOさんと同行した折に、これはミヤマウズラかベニシュスランのどちらかであろうと教わった。


あらかじめ図鑑(山と溪谷社「山に咲く花」)で両者の違いを調べてきたのだが、それは花が咲いているときの状態で、葉っぱだけで特定するのははなはだ難しいとあらためて思う。


葉はやや厚く、手触りはツルツル。
葉の特徴を言い表すのに、細かい毛が生えていて “ビロードのような手触り” という表現を用いることがあるが、これには当てはまらない。
ちなみに、ベニシュスランは漢字で紅繻子蘭と書くとおり、葉っぱが「朱子(繻子)織」のように厚く、光沢があり、密度が濃く、しっとりした感触であることにちなんで付けられているそうだ。
ツルツルかしっとりか?
感触なので人それぞれ、感じ方が違うが、管理人にはツルツルに感じた。
ということは、これはミヤマウズラかと思って図鑑の解説を読んでもベニシュスランとの大きな違いは見当たらない。


最初の葉は地表を這い、上の葉は互生している。
しかし、ミヤマウズラもベニシュスランも互生だし斑(ふ)も同じ。


茎が地表を這っているのも両者共通。


葉の主脈に白くて太い斑が入り、全体が亀の甲羅のような模様になっているが、これも判別の決め手に欠く。


葉の裏は表よりも白い。


最初に見た場所から約50メートルほどの間に散見された。

いやぁ、それにしてもこれだけ時間をかけて観察したのに判別の決め手になるものはなにひとつ得られなかった。
図鑑によると花期は7月から8月との記載があるのでこれから当分の間、通って生長を見守ろう。
前にも書いたが花が咲けば一目瞭然なのだ。


近くに生育しているジガバチソウ。
花らしいのはこの1株だけで他はすべて枯れていた。


ひと頃、あれだけ古賀志山を華やかにしたヒメイワカガミは花が実になっていた。また、葉も茎も大きく生長し、来年のための栄養を蓄えているようだ。


コメツツジ


実になったアブラツツジ。
葉っぱはすでに色づいている。


浅い鋸歯をもち厚く光沢のある互生の葉からヒサカキと特定。
実は9月から10月に黒紫色に熟す。


キツリフネ
遠くからでもよく目立つ鮮やかな黄色だ。


ケナツノタムラソウ


虎の尻尾にたとえて名がついているオカトラノオ


よく見ると小さい花の集まりである。


ふ~、終わった。
暑かったのひと言。
今日の最高標高点は525メートルで、管理人が住む霧降高原の麓、820メートルより300メートルも低い。
夏の低山を歩くときは命がけなのである。

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