クマハギ

標高2000メートルの山が連なる奥日光は、太平洋の湿った空気が山に遮られ、下界が雨でも山の裏側、戦場ヶ原や小田代ガ原では晴れの日が多いのが特徴です。毎木曜日、花の開花状況を調べるために訪れた小田代ガ原は、晴とは言えないまでもまずまずのお天気。花のピークを迎え、お花畑に咲く可憐や花々をじっくり堪能してきました。
午後になって場所を湯元に変え、いざ歩き出そうとしたとたんに天気は一転し、激しい雨。急いで雨具を取り出したので濡れずにすんだものの、カメラも出せず、ノートに記録も取れず、ただ歩いただけ。
話を戦場ヶ原に戻し、楽しくも怖い話題を。
奥日光に広く分布しているウラジロモミ。この木は、どうしたわけかとても不幸な木で、シカなどのいい餌となり、その痕跡があちこちで見られます。草食動物のシカは、笹の葉や花芽を常食とし、餌が不足すると木の樹皮を剥き、すぐ下にある甘い繊維質の部分を食べるのですが、繊維質部分がすべてなくなってしまうと、地中からの栄養分を吸い上げることができなくなって、数年後には枯れてしまいます。これをシカによる食害といって、奥日光にとっては頭の痛い問題となっています。
加害者はシカだけではありません。
写真は奥日光に生息するクマによる害です。
クマハギという現象で、その目的はシカと同様、繊維質を食べるためといわれたり、爪を研ぐためともいわれていますが、写真を見ただけでその破壊力がわかります。
怖いのはその破壊力ではなく、これがハイキングコース脇で行われたということ。場所は赤沼から戦場ヶ原に入って青木橋のすぐ手前。
もちろん、人一倍? 気の弱いクマのこと。人の気配を察したら姿を現すことはないので、夜間の行動だと推測されますが、私たちの身近な場所にクマがいるのだということを、人間が認識して注意しなければならないという好例でした。
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