2024年12月6日(金) 晴れ
ちょうど1週間前の先月29日、お客さんとのツアーで太平山から馬不入山(うまいらずさん)までの縦走路を歩き、馬不入山の山頂から北へ少し下ったところにある展望地に立ち寄ったところ、そこからさらに道が続いていることに気がついた。
馬不入山の山頂から派生している尾根が北に向かって延びているのだ。
ただし、尾根の行き先がどこなのか、その場ではわからなかった。
気になったので帰宅してガイドブック(随想社「栃木の山150」2013年発行)で調べると、目次に「太平山から大明神山」という項目が見つかった。
昨年から太平山山域に足繁く通うようになったが、地理院地図にもない大明神山など意識外であった。
標高わずか274メートル、地理院地図に名の描かれていない山頂など気にも留めなかったのである。
馬不入山からの尾根を北西に進むと林道の長坂峠に降り、そこから再び山に入って西に進むと三角点があり、そこが大明神山であることがガイドブックに書かれている。
地理院地図を追うと馬不入山から大明神山への縦走路は約2キロメートルにおよび、これは太平山から晃石山までの距離に匹敵する長さである。
管理人はかつて、古賀志山山域にある100本以上もあるとされるバリエーションルートを歩き尽くすことを目標に、日参したことがあるが、いまその勢いを大平山に向けている。
とはいえ、歩いていれば必ずと言っていいほど分岐があり、分岐の先には別の分岐があるといった古賀志山の面白さとは比べようのないほど、太平山山域にはバリエーションルートが少ない。ガイドブックに記載されているが地理院地図に道が描かれていない、そんな馬不入山から大明神山へのルートをぜひ歩いてみたいと思った。
昨夜、ガイドブックを参考に地理院地図上にルート描いた。
馬不入山から先、4つのピークを越え、5つ目のピークが大明神山だが、馬不入山からの下りで通過するピークなので大したことはなかろう。
林道の長坂峠と大明神山の間はピストンになるのがイヤな材料だが、それはやむを得ないだろう。
ただ、長坂峠と大明神山のちょうど中間地点から北西に向かって尾根が延びていて、そこに破線が描かれているのが管理人の注意を惹いた。
不思議なのは、その破線は、登山道を示す一般的な破線とは少し異なり、線幅が細くまた破線の1コマが登山道記号のそれに比べると短いことだ。
登山道であればピストンを避けられるのだが、、、
う~ん、いったい、この破線はなにを示すものなのか、現地に行って確かめねばならない。
メモ(記録にはGeographicaを使用した)
・歩行距離:10.4キロ(GPSログをカシミール3Dで処理した値)
・所要時間:4時間21分(写真撮影と休憩を含む)
・累積標高:913メートル(アップダウンのうち、上昇分の累積)
起点は清水寺にした。
きょうは馬不入山から大明神山への縦走を試みるだけなので、馬不入山に直登できる場所として清水寺を選んだ次第だ。
清水寺は小さく素朴な寺ではあるが1300年もの歴史のある、名刹である。
到着したこの時間、20台ほど駐まれる駐車場は残り1台分しかなく、利用者が多いことがわかる。
林道からの眺めの良さにあらためて感心する。
これまで太平山山域を歩いてきて展望の良さに満足しているが、管理人がいま歩いている林道の標高はわずか150メートル。
なのにこの展望である。
贅沢すぎるではないか。
馬不入山へはここから入る。
北西に向かって尾根を直登する、、、と地理院地図で読める。
なのだが、実際には違うことを昨年4月の探索で確かめてある。
ここからだと沢(立花沢)を詰めながら山頂に向かうようになっている。
では地理院地図にある登山道はどこなのかを確かめてみよう。
前の画像の場所から林道を西へ向かって少し歩くとそこに地理院地図の登山道が描かれている。
馬不入山から派生している尾根(立花尾根)である。
地理院地図に従えばいま管理人がいる場所から登り始めるわけだが、、、
尾根の末端はイノシシ避けの柵が張り巡らされていて、人でさえ入ることができない。
後ほど書くが、馬不入山からの下りではここへ下りられると思われるような標識が立っているのだがねぇ。
やむなく、いま使われている登山口(11:14の画像)まで戻って登り始めた。
このルートは山域の他のルートほど歩かれていないらしく、下草が生えていたり、木の枝が張り出していたり、道が崩れていたりとワイルド感が漂っている。
密な樹林帯を抜けると視界が開ける。
だがここは傾斜が厳しく、20度もある。
長いお助けロープにすがってようやくここまで来た。
ちなみに、このルートを下りで使うのは避けた方が賢明であろう。
20度もある斜面には枯れ葉が堆積し、登るにも靴が滑るほどだ。
下りは滑って尻もちつくこと間違いなし。
ここで地理院地図にある馬不入山から林道へ下りる尾根(立花尾根)と合流。
右へ行くと青入山と馬不入山を結ぶ縦走路と合流する。
合流点にある標識によると、ここを南へ下って行くと林道に降りられるようになっているのだが、どうなんだろう。
次の課題として残しておこう。
清水寺から歩き始め途中、林道からの眺めを楽しんだり、馬不入山への登山口を探したりしながらも馬不入山へは1時間15分で到着した。
これからいよいよ大明神山へ、管理人が初めて歩くルートに挑戦することになる。
馬不入山の山頂は木々が茂って展望が効かない。
だが、山頂を右(北)へ少し下ると素晴らしい展望が広がる。
展望地は2ヶ所あり、ここ第1展望地からは西面が、、、
そのすぐ先の第2展望地は北面が開けていて日光の山並みが一望できる。
あぁ、絶景なり!!
いや~、快適ですな~、この下りの尾根道は。
自宅での朝食から5時間たったが、昼食は今日の目的地である大明神山で食べようと決めている。
ハンガーノックの前兆を感じたらそこで立ち止まって行動食でも食べよう。
林道の長坂峠に下りたら横断し、再び山へ入る。
なお、帰りは大明神山を折り返してここまで戻り、ここを右(カメラの位置から見て)へ行く。
余談だが、もしも別のルートで大明神山に登ったとして、下山してここから馬不入山へ行こうと思うとこの入口は見つからないと思う。
入口は細いし標識もない。
ひとつ目のピークに差しかかるところ。
長坂峠から大明神山へは上りが続き、ピークを3つ越えることになるが、いずれも傾斜は緩やかかつ安全な尾根道である。
とはいえ、下る場合は堆積した落ち葉で滑って転ばないよう、最新の注意が必要となる。
さてさて、ここが冒頭に書いたように、地理院地図に破線が描かれている尾根の分岐。
が、今はなにも考えないで大明神山へ向かうことにしよう。
林道の長坂峠から30分弱で今日の目的地、大明神山に着いた。
標高は274メートル。
管理人がこれまで登ったなかでもっとも標高の低い山ではないかと思う。
四等三角点がある。
さて、ここで昼食にしよう。
山頂は北西方面に展望が開けていて、男体山を中心に左右の山並みが一望できる。
274メートルからの眺めとは思えないほどだ。
ここで後から到着した地元、大平町に住んでいるという人と話をした。
散歩がてらよく来るそうで、この辺の事情に詳しい。
そこで、計画段階で気になっていた例の破線の道のことを聞いてみたが、そんな場所に道などないはず、との答が返ってきた。
地理院地図の破線がますます気になっていく管理人であった。
大明神山で折り返して長坂峠へ向かうが、その中間点にいま管理人はいる。
12:45の画像の場所である。
ここから別の尾根が北西に向かって延びていて、そこに破線が描かれている。
が、先ほど出合った地元の人の言うとおり、道などない。
この破線は他の登山道の記号と異なっているのは冒頭に書いたとおりだ。
言えるのは、破線に沿って下って行けば車道に出ることだ。
気になったことを残したままだと後々、後悔すること必至である。
進んでみることにした。
所々、樹木の混み合っている部分があるが、尾根としては明瞭である。
藪化した場所では尾根を外さないよう、スマホに映る地図を見ながら破線に沿って忠実に進む。
破線はここで尾根から外れて沢へ向かっている。
その沢はかなり深い。
藪が激しくなってきたのはこの辺りからだ。
破線に沿って進むのが難しくなってきた。
といって尾根に進みたくても目の前には格子状の金属の柵が張り巡らされていて進めない。柵は隣接するゴルフ場との境のようだ。
しかたなく尾根と沢の中間辺りをトラバースしながら藪の突破口を探した。
枝が張りだしていたり蔓性の植物が這っていたり、倒木や斜めに傾いだ木などを避けながら進んでいくと、間もなく車道という手前で今度は行く手を高さ2メートル近い篠竹の藪に阻まれた。
辺りを見回しても同じ状況に、ここは突破するしかないと判断した。
両手で篠竹をかき分けながら歩を進めた。
もしも近くに人がいたなら、クマが向かってきた、そう思われても仕方のない有様だった。
ほっ、なんとか道に降りることができた。
地理院地図に描かれた路幅3メートル未満の軽車道である。
が、雰囲気がなんとなく違う。
なにかの管理道路でもあるようだ。
ということは民有地(ゴルフ場のか)なのかも知れない。
右へ行くと桜峠に行く道路だ。
一般車道に出ることができ、これで人心地がついた。
さて、これから桜峠に向かうわけだが、久しぶりの藪歩きで疲れを感じた。
同じルートは二度は歩くまいと決めた。
長坂峠から来る道(12:28の画像)と合流した。
桜峠は車道を直進する。
ガイドブックによるとここに供養塔があるとなっているが、右に見える小さな屋根がそうなのだろうか?
車道を右へ入る道が見つかった。
標識があるが、桜峠という名は右へ曲がってからでないと見えない。
前の画像の分岐を右へ折れると、その道が桜峠への道であることがわかった。
1100メートルだから大した距離ではない、と舐めてかかってはいけない。
地理院地図にため池の記号が6つ並んで描いてあるが、これがそうらしい。
錦鯉の養殖場という看板があった。
ため池を過ぎると疑似木を組んだ階段が始まった。
疲れてもいるので数回の休憩を取りながら桜峠へ向かった。
見慣れた桜峠に着く。
これまで3回、ここを通過したりここで昼食を食べたりした。
ここは四差路になっていて左は青入山からの下り、右は馬不入山への登り、そして直進が清水寺への下りである。
今日はもちろん、直進する。
気温が低いと摂取する水分量が自ずと少なくなる。
今日はまだ水を入れたボトルに数えるほどしか口をつけていない。
ベンチに腰をかけ、ボトルの水を少しずつ時間をかけて飲んだ。
桜峠を直進し、往きで通過した桜峠入口に降りた。
車道を左へ進むと清水寺である。
起点とした清水寺に戻ってきた。
満車だった駐車場は管理人の車を含め残り3台になっていた。
馬不入山から右へ周回しながら桜峠に達するのがガイドブックに記載されたルート。
一部異なるのは、大明神山を折り返した後、林道の長坂峠へはピストンになるのを、管理人は別ルートを辿ったことである。
結果として軽車道に降り立つ前の藪歩きとなったわけだが、「破線の解明」のためのやむを得ない行動だった。
とはいうものの、地理院地図に描かれた破線の意味はまだ解明できていない。
帰宅して、地理院地図の別の場所で同じ破線を探したところ、地理院地図の多くの場所で、ゴルフ場が隣接していることがわかった。
で推測だが、登山道を示す破線と異なるこの破線は、もしかするとゴルフ場の広大な敷地と市・県・国の所有地との境界を示すもの、あるいはゴルフ場の管理道路(徒歩専用の)ではないかと思うようになった。
そういえば、尾根を下っているときに気がついたのだが、ところどころに5センチ角ほどの杭が打ち込んであるのを見た。全体が黒くペイントされ、頭だけ赤い杭だった。
謎の解明に向けて課題として取り組みたい。
追記
この山行記録を書いているいま(12月7日)、地理院地図で見るゴルフ場にはほぼ例外なく、登山道とは異なる破線が描かれている。ゴルフ場敷地内の車道から派生するものもあれば単独のものもある。
このことから、登山道と異なる地理院地図上の破線は、ゴルフ場内の徒歩専用の道、すなわち私有地というのが今の管理人の考え方である。
ゴルフをしない管理人はこれまで地理院地図に描かれたゴルフ場の地形に目をやったことはなく、破線の存在など知る由もなかった。
今回はたまたま、破線が大明神山の山頂から延びていたため、それがゴルフ場の管理路とは気づかなかったし、国土地理院のサイトにも説明がなかったので疑問に思った次第だ。
まったく想定外の場所に私有地があるものだ(ちなみに日光の山はほとんどが二荒山神社の私有地だが)。
でもいい勉強になった。
もしも我が家の敷地が数万坪もあり、そこに管理人が散歩する小径があったなら、それも地理院地図に破線として描かれるのだなと、妙に納得した。