登山の実感薄き方塞山と勝雲山。だが富士山他を拝めたので良しとする。

2024年11月25日(月) 晴れ

昨年9月、なんの前ぶれもなく、日光市と鹿沼市の境界にある地蔵岳に登ってみたくなった。
今から10年前に登ったことのある山である。
背の低い笹が茂る緩やかな斜面を登りきったところが山頂で、その先に古い祠があったのを思い出し、そのときの印象から、もう一度登りたくなったのである。
年寄りの懐古と言うのが妥当かもしれないが、山への情熱が薄れるにつれ、過去登った山に懐かしさを感じるようになっている。

異なるのは、登山口として一般的な細尾峠(日光市)から登るのではなく、鹿沼市側にしたことだ。
中禅寺湖に近い茶ノ木平から細尾峠を経て地蔵岳にかけての現在の登山道は禅頂行者道と称し、古来から修験者の修行に使われていたことが文献に残されている。

管理人は茶ノ木平から細尾峠、細尾峠から地蔵岳を別々の日に歩いているが、禅頂行者道は地蔵岳からさらに南下して鹿沼市の古峯神社へと続いていて、その間は歩いていない。
その空白地帯を歩いて一本の線としてつなぎたい、そんな気持ちが強くなっていった。
そうなのだ、年寄りの懐古だけが地蔵岳に登りたくなった理由ではないのである。
鈍った身体にカツを入れるためにも、行者がおこなった厳しい修行を体験するつもりで歩いてみよう、そう思うようになった。

古峯神社から地蔵岳へは昨年9月に登った(そのときのブログ)。
こうして長大な禅頂行者道のごく一部をつないだわけだが、鹿沼市側から登ってみて印象強かったのは、行者道には石の像や祠といった往時をしのぶ跡が今でも残されていて、修験をしているような厳かな気分で歩けることであった。
また、日光の山は高低差が大きくて足に負担がかかるが、鹿沼市の山は緩やかで、足に優しいということであった。
山だから樹林帯の中を歩くのは当然ながら、道幅が広くまた遠くを見通せることができるのも鹿沼市の山を好印象づけた。

さて、古峯神社から地蔵岳に登った昨年9月以後、鹿沼市の山をもっと深掘りしたいと思うようになり、別の登山口から地蔵岳に登ったり、古峰ヶ原高原を起点に南下して方塞山に行ったり、修験者が立ち寄って経を唱えたとされる深山巴ノ宿を歩いて往時の祠を探したりした。横根高原も歩いた。
どこも緩やかで歩きやすく、まさに軽ハイキングといった印象(これまでのところは)があり、脚力が衰えた管理人と相性がいいのである。

では、エリアをさらに広げて鹿沼市の別の山へ、というのが今日の山行である。
別の山とはいっても昨年11月に登った方塞山を今度は西側の登山口から登るのと、隣接する勝雲山に登る計画である。
方塞山は登山口からの距離わずか800メートル、勝雲山(※)は標高こそ1322メートルあるが登山口の標高が1290メートルなので30メートルしか登らない。
まっでも、せっかく鹿沼市の山に勢いづいている今だからこそ登っておこうと決めた。

※地理院地図を子細に見ると勝雲山は鹿沼市との境界線からわずかに日光市側にある。

メモ結果(2座合計、記録にはGeographicaを使用した)
・歩行距離:8.4キロ(GPSログをカシミール3Dで処理した値)
・所要時間:3時間33分(写真撮影と休憩を含む)
・累積標高:442メートル(アップダウンのうち、上昇分の累積)

古峯神社から栃木県道8号線(草久足尾線)を足尾方面に走って行くと、横根高原への分岐がある。
その分岐が方塞山西登山口になっている。
車を路肩において歩き始めた。
車の左に見える斜面が方塞山へのルートである。


滑落の心配は皆無、幼い子どもでも高齢者でも無理なく歩けるといった緩やかな斜面を牧場(前日光牧場)の柵に沿って登っていく。


方塞山山頂にある観測用の巨大なアンテナが見えてきた。


山頂へは20分もかからずに到着した。
ちなみに登山口からの標高差は120メートル。


山頂はとても広くまた、樹木はあるが葉が落ちて明るく、のんびりするにはとても相応しい。


方塞山の山頂からは3本の登山道が延びている。
1本はいま歩いてきた短い登山道。
1本は前日光牧場から、そしてもう1本、こちらは古峯神社あるいは巴ノ宿からのルート。
昨年11月はこのルートで山頂に立った。
鹿沼市の山らしさを味わうにはお勧めできるルートである。


山頂で折り返して下山を始めると、登りでは気がつかなかったが遠くに富士山が見えた。
カメラで捉えることができるかどうか心配だったが、10倍ズームでくっきり写っていた。
う~ん、いいねぇ。
さすが日本一の山だ、堂々としている。


日光の山より南に位置しているとはいえ標高は1300メートルを超えている。
やはり気温が低いのだ。


無事に下山したので車はそのままにして、勝雲山へ向かって車道を歩き始めた。


勝雲山は方塞山と同じ車道に登山口がある。


勝雲山に登るときに利用する駐車場。
国土地理院の電子基準点が設置されている。
敷地内を見学することにした。


一段上がった場所には四阿とテーブルがあって足尾方面の山並みを見ながら休憩できる。


標識もなにもないがここが勝雲山の入口であることは明らか。


登り始めたばかりなのに展望が広がった。
男体山から始まる日光連山が一望でき、右端には我が家から直線距離で4キロの丸山も見える。


山頂らしき広大な広場に出た。
地理院地図には三角点が示されているがこれなのかなぁ?
それにしては地面に深く埋もれているし、三角点であることを示す彫り込みもない。
もう少し先へ進んでみよう。


広大な山頂は捉えどころがなく、三角点も見つからなかった。


地図アプリに表示されている管理人がいまいる場所が山頂になっているんだがねぇ、、、


さてと、勝雲山は南西に向かって別の登山道が延びていることが地理院地図でわかる。
周回できそうだ。
等高線の間隔が広いので傾斜は緩やかなはずである。
時間はまだたっぷりあるので周回してみよう。


お~、素晴らしい眺め。
足尾山系であろう。
中央に見えるのは皇海山であろう。


地理院地図には勝雲山から南西に向かって尾根が描かれているがまるで広場のようだ。
落ち葉で隠れてしまったのか踏跡は見つからない。


こんな標識があることから、ここは間違いなく登山道なのでしょう。


スマホの地図アプリに映る現在地だと、この辺りで登山道(破線)が軽車道(細い実線)に変わる。
車が通れるようには見えないが登山道とは違って見える。


おっと、うっかり沼地に入ってしまった。
鹿沼市の山は水が豊かなのだ。


ここもなんとなく軽車道に見えるが判然としない。


突然、別荘風の建物が出現した。
なるほど、地理院地図には建物であることを表す四角い記号が描かれている。
ということは、このすぐ先は県道ということになる。


周回すること約1時間で無事に県道に降り立った。
これから車を置いた場所へは舗装路をひたすら歩くのみ。


駐車場に隣接する登山口前を通過。


駐車場に立ち寄り、遅い昼食とした。


無事に帰還。
方塞山からは富士山が、勝雲山からは足尾山系の山並みを楽しむことができ、寿命が一年ばかり延びた感じのする管理人であった。


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