遠いが今年も来てしまった栃木県唯一のイワウチワ群生地・花瓶山

2026年4月14日(火) 曇天

閲覧注意!!
イワウチワとニリンソウの写真ばかりです(笑)

最近、新聞(もちろん地方紙の片隅にだが)にも取りあげられるようになり、それなりの人数が訪れるようになったイワウチワの群生地が那珂川町(栃木県)にある。
富山舟戸いわうちわ群生地

イワウチワは栃木県には生育していないものと思っていたところ、那珂川町富山舟戸地区は八溝山系に属するエリアで、イワウチワが生育するのだと知った。
それで八溝山系とはどんなエリアなのかを調べてみると、下記のことがわかった。

八溝山地(やみぞさんち)は、福島県白河市南部から茨城県と栃木県の県境付近を南下し、筑波山に至る山地。福島県東白川郡棚倉町と茨城県久慈郡大子町に跨がって座す八溝山を主峰とする。・・Wikipediaから抜粋

なるほどそうだったのか。
管理人、会津駒ヶ岳と窓明山(いずれも福島県)でイワウチワを見たことがあるが、八溝山系は福島県から始まっていることから察し、植生は栃木県というより福島県に似ているのだ。
八溝山系に属する山で日光からもっとも近い山に「花瓶山(はながめやま)」が見つかった。
随想社「栃木の山150」で花瓶山を調べると、なるほどイワウチワの群落が見られるとある。

イワウチワのあの可憐な姿は一度見たら忘れることはない。
透き通るようなピンクの花は楚々として美しく、やや下向きに咲くのは内気な証拠だ。
女優でいえば山本富士子か佐久間良子(そんな女優知らない?)、ごく最近であれば松坂慶子(それでも古すぎる?)を思わせる清潔感がある。

まっ、それは置いといて、昨年4月に花瓶山に行った。
ガイドブックの説明とおり見事な群落だった。
花瓶山の山頂は栃木県(大田原市)と茨城県(大子町)の県境よりほんの少し茨城県側にあるが、イワウチワの群落は県境よりもずっと栃木県側にある。
したがって、栃木県にもイワウチワが生育してる、と自慢してもいいくらいだ(なんの役にも立たないが)。

今まさに春の盛り。
この季節を待っていたかのように花がいっせいに咲き出すから、優先順位をつけて見ていくしかない。
昨日(13日)はスミレとヒカゲツツジ、アカヤシオを見に古賀志山に行った。
スミレは盛りだが、ヒカゲツツジとアカヤシオにはやや遅かった。
今年はなんでも早いのだ。

もしかするとイワウチワも盛りを過ぎているかもしれない。
記録を見ると昨年は8日に行っている。
こうなったら手遅れにならないように、一日でも早く行くに限る。

メモ(地図アプリのGeographicaで記録した)
・歩行距離:8.4キロ(GPSログをカシミール3Dで処理した値)
・所要時間:3時間48分(写真撮影と休憩を含む)
・累積標高:551メートル(アップダウンのうち、上昇分の累積)花瓶山の登山口となるウツボ沢出合に自宅から2時間20分かけてやってきた。
那須に行くのとほぼ同じ時間と距離だ。
那須も県南の大平山も遠いが、通い慣れたせいか、感覚として両者、身近な山になった。
だが、花瓶山は遠いと感じる。
イワウチワを観るのが目的なのであれば、せいぜい一年に一度しか行かなので、通い慣れることはないはずで、二度目の今日も走り疲れを感じた。


昨日はマルバスミレの出迎えがあったが、今日はタチツボスミレだった。


目の前に見える鬱蒼とした檜林を突き抜ける?、いやそうではなく、ここを右へ上がって行く。


斜面を登り始めるとすぐ、イワウチワの群落が始まる。
登山口からここまで5分とかからない。
イワウチワは日光でよく見るイワカガミの仲間だからか、その性質がよく似ていて、斜面を好んで生育するようだ。
ここから下、イワウチワの画像が続く。


ようやくイワウチワの群落から抜け出した。
なにしろ、腰を落として写真を撮っては数十センチ移動してまた腰を落とすという動作の繰り返しで、スクワットをしているようだった。
200メートルに満たない距離なのに、カメラのシャッターを100回くらい押した。
満腹に近い状態だった。
違う花を見たい、そういっても過言ではない気持ちにさえなった。
贅沢すぎる、我が儘すぎる、と自分でも思う。
だが、今日ばかりは本当にそんな気持ちになった。
この時期、山へ行けば当たり前に見るトウゴクミツバツツジと出合って、正直ホッとした。


むかい山?、むこう山?、読み方がわからないが「向山(548m)」に到着。
ここもまだ栃木県。


これから花瓶山へ向かうわけだが、地図でわかるとおり、小さなピークをいくつか越えていく。
ピークとピークの間には下り斜面と登り斜面があるが、距離は短く、高低差も小さいから疲れることはない。


ここで再びイワウチワと出合うが、あの群落を見た後だけに大きな感動はない。


こちらのイワウチワの方が心もち色が濃いような!


モミジイチゴ


斜面と斜面の間には平坦で歩きやすい尾根がある。


日光の山でこういった道を歩けるのは足尾山系の地蔵岳くらいしか知らない。
贅沢を言わせてもらうとすべての樹木が広葉樹だったらなお良しだ。
さて、そろそろカタクリの群落と出合えるはずだが、、、


んっ、終わってしまったのかな?
この辺りから花瓶山直下まで、見事なほどのカタクリの群落になっているのだがね。


これなどまだ元気なほうだ。


花瓶山山頂を示す山名板が見える。
ここまで来るとカタクリはない。
結局、カタクリには間に合わなかったのだ。


標高692メートル、栃木百名山の花瓶山に到着。
と、この山名板を見れば誰もがそう思うだろう。
だが、地理院地図の山頂はここではなく、山頂はここを右へ50メートルほど進んだ場所になっている。


地理院地図にしたがって県境から50メートルほど進むと展望が開け、手頃な休憩ポイントがある。
ここが地理院地図に描かれている山頂で、行政上は茨城県である(ただし、登山道はない)

管理人が到着したとき、若いご夫婦がいたので花の情報を交換し合う。
聞くと霞ヶ浦から2時間半かけて来たのだと言うから、管理人とほぼ同じだ。
花にも詳しかった。


菓子パン1個と水で昼食とし、下山を始めた。
これから先は下る一方なので気持ちが楽。


下山路はここを左に折れる。
直進すると朽ちかけたブナの古木がある。
名を次郎ブナという。
さらにその先には太郎ブナがある、と標識に書かれているが、今はすでにないことを昨年知った。
名前の順序として、太郎ブナは次郎ブナより古いはずだから、枯れて消滅してしまったのではないかと思う。

先を急ぐわけではないがブナは見ずに下山することにした。


スタート地点のウツボ沢に戻るにはこの沢筋を下って林道に出、如来沢と並行する林道を3キロほど歩く。
その林道沿いには花瓶山のもうひとつの顔、ニリンソウとキクザキイチゲの群落が見られる。
ネコノメソウ愛好者にもちゃんと用意がされている。
林道はとかく単調になりがちだが、ここのは沢に沿っているだけに土壌に水分が含まれていて、特定の植物が多いのかもしれない。飽きることなく歩けるのを昨年経験している。


ニリンソウ


一花目(もうすぐ咲く蕾)の花柄の付け根に二花目の小さな蕾が見える。
これも植物の生存本能なのだろうと思う。
すなわち、一花、二花とより長く咲かすことによって、昆虫に見つけてもらい易いようにしているのだろう。


タチツボスミレ


エイザンスミレ
昨日、古賀志山で見たのは白花だったが、これはごく薄い紫の花で美しい。


ウツボ沢へ向かう林道と出合う。
ここは左(南)へ進むが、これからニリンソウの群落が始まる。


一花目と二花目の両者が咲いているのもあれば二花目が蕾なのも多い。


少しズームで。


タネツケバナ


ニリンソウ


花後のヤマネコノメソウ(たぶん)


コハコベ


一花目と二花目が咲いているが、よく見ると一花目の花柄の付け根に三花目の蕾がある。
花が3つあるニリンソウを管理人は初めて観た。


これは一花目が咲き、二花目と三花目が蕾のニリンソウ


キクザキイチゲも多い。


ユリワサビ


マルバスミレ


ムラサキケマン


ツルネコノメソウ


ハナネコノメソウ

 


林道最後の花はマルバスミレだった。


ウツボ沢出合をスタートして左回りで戻って来た。
昨年は右回りだったが、歩いても歩いてもイワウチワの群落に出合えず、最後の最後、ウツボ沢出合の手前、すなわちゴール直前になってようやく群落と出合うことができた。

今日はまず体力があるうちに(なにしろスクワットを強いられるから)イワウチワの写真を撮ろうと、左回りコースにした。
結果は左回りが正解だった。


イワウチワの群落が見られる花瓶山は、福島県と茨城県、栃木県の県境にある八溝山から始まる八溝山地にあり、日光との位置関係は図に示すとおりである。


これは「国立研究開発法人 産業技術総合研究所」が公開している「20万分の1 日本シームレス地質図」で、当ブログに初めて登場する。
管理人、ごく最近になって地質に興味を持つようになり地質図を見ることが多い。
植物の生育は環境によって大きく違ってくるが、栃木県内でイワウチワが群生するのはなぜ八溝山地だけなのかに疑問を持ったのが、地質図を見るに至ったきっかけである。
地質図はその土地がいつ頃、どうやってでき、どんな成分で構成されているのかを教えてくれるから、見ていて飽きない(地質ごとに色分けされていて、地点ごとに詳しい説明が表示される)。

八溝山地は中生代中期のジュラ紀に、海底で砂が堆積固結(砂岩)し、それが海洋プレートに載って動き、大陸にぶつかって山地となった、と管理人には読める。
とはいえ、管理人の知識はそこで終わり、その土壌になぜイワウチワが群落を作るのかまではわからない。

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