花が見ごろの季節。太平山の謎の究明に出動、これで気持ちが晴れた。

2025年4月15日(火) 晴れ

太平山山域の面白さに魅せられて、一昨年から通い続けている。
古賀志山のように鎖場があるわけではなく、アップダウンも少ないので歩きやすいし、バリエーションルートがたくさんあるわけではないので道迷いの心配はない。傾斜は概ね緩やかなので年老いた管理人には全力を出し切る必要はなく、翌日の筋肉痛を心配することもない。花も楽しめるし、里山の雰囲気が楽しめる、とてもいい山なのである。

こんな山が身近にあれば毎日でも通えるのにと思うとそれが残念だが、それを差し引いても自宅から2時間かけて通う価値のある山である。
地図にしたがって歩けば最長で15キロにもなるから、これは古賀志山の大外を歩くときの距離に近いし、女峰山往復の距離に等しい。

山域内の主峰・晃石山の標高でさえわずか419メートルなのに15キロも歩けるのはこの山域のすそ野の広さを物語っている。
歩き疲れたら、楕円形のコースの南北を結ぶコースを使って降りてくれば車を置いた駐車場に簡単に戻ることができる。

そのようにコース全体を時間の都合や体調によって距離を自在に調節できるのもこの山域のメリットであろう。
これが男体山や女峰山のように、疲れたからこの辺で引き返そうとなったら、後ろ髪引かれる思いで下山しなくてはならず、あとに残るのは挫折感だけといったことになるが、大平山域であればそんな心配はない。

一昨年から昨年にかけて8回通った。
目標がある。
1)地理院地図に描かれている道をすべて歩くこと
2)地理院地図に描かれていなくても多くの登山者が歩いている道ならば歩くこと
3)バリエーションルートを探すこと

※以下、地理院地図を単に地図と書くことにする。

1と2は本日の山行で終わった。
それなりの苦労と危険は伴ったが、管理人の山行記録として地図上に残すことができた。
今日は番外として、昨年12月の山行の際に不可解だった、尾根から沢への「抜け道」を探すことである。

馬不入山(うまいらずさん=345m)とその南に位置する林道・立花(地区の名前)を結ぶルートに、1本の尾根道が地図に描かれている。
一昨年4月のこと、上に書いた(1)の最後の1本を実行するつもりだった。
馬不入山登山口と書かれた標識を見て馬不入山へ向かって登り始めたものの、それは尾根上に書かれた道ではないように思え、立ち止まって地図アプリに映る現在地を確認すると、まさにそこは地図に道が画かれていないのだ。
登山口に標識はあるしレスキューポイントまで立っているからなんの疑いも抱くことなく登って行った結果が地図に道が画かれていないルートだったのである。

では地図に描かれている尾根道は何処に。

それを確かめるために訪れたのが昨年12月だった。
そのとき、この尾根の末端には出入口がないことを知った。
イノシシの侵入防止のため尾根の出入口は柵で塞がれ、そのため馬不入山へ行くは地図に描かれていない沢ルートを使うことしか方法がないことがわかったのである詳しくはこちら)。

さて、では尾根そのものは存在するのだろか、いや廃道になってしまったのだろうか。

昨年12月の山行は、その尾根を馬不入山からの下山で使って状況を確かめるのが目的だった。
結果は予想していたとおりだった。
林道が見える辺りまで降りて来ると、斜面は広い範囲にわたってイノシシ避けの柵で囲まれており、人間でさえも通り抜けが困難であった。

尾根は荒れてはおらず、安全に利用できる。
出入口さえあれば沢ルートよりも快適に歩けるいい尾根である。
問題は尾根の末端に出入口がないことだ。
そこで、どこかに抜け道があるのではないかという仮説を立てた。
尾根と沢を結ぶ抜け道が。

尾根の末端近くに平坦な部分がある。
そこがポイントだ。
おそらくそこが沢ルートへの抜け道になっているはずだ。

諸事情あって昨年12月にわいた疑問から4ヶ月もの間が空いてしまったが、それを確かめる日が訪れた。
花が咲く良い季節になった。
今日は仮説を証明するに相応しい天候だ。

メモ(地図アプリはGeographicaを使用した)
・歩行距離:6.0キロ(GPSログをカシミール3Dで処理した値)
・所要時間:3時間13分(写真撮影と休憩を含む)
・累積標高:562メートル(アップダウンのうち、上昇分の累積)

車を置いた清水寺(せいすいじ)境内はシダレザクラが見ごろを迎えていた。
なんとものどかで落ち着く。
今日は昨年12月に立てた仮説を検証するのが目的で訪れたが、歩く距離が短いので自宅を出発したのは8時を大きく回っていた。
起点となる清水寺の出発がこんな時間になってしまったが、それでも十分余裕がある。


いつものように清水寺前の林道を桜峠への分岐を目指して歩いていると、分岐のすぐ手前に薄い踏跡を見つけたので入ってみることにした(人差し指の向き)。


中に入ると踏跡は明瞭になり、迷う心配はなくなった。


ここまで来て、この踏跡が向かっている先がおおよそわかった。
きっとあそこであろう。


予想とおり、林道と桜峠を結んでいる、多くの登山者が歩く道だ。


距離が短縮できたわけではないが、地図にも書かれていない道を発見し喜んでいる管理人である。


咲いたばかりでまだ初々しいタチツボスミレ


桜峠に到着


雲があるものの視界くっきり、北西方面の山並がよく見える。


クサイチゴ


今日は馬不入山から「立花尾根」で下山するため、桜峠の四差路を左(南)に折れて馬不入山へ向かう。
ここから登りになるが傾斜は緩い。


チゴユリ


蕾のヤマツツジ


日当たりの良い場所では咲いていた。


ひときわ鮮やかな色を放つミツバツチグリ


ニオイタチツボスミレ
一見、タチツボスミレかと思ったが色がずいぶん濃い。
鼻を近づけると柔らかないい匂いを感じる。
間違いなくニオイタチツボスミレだ。


モミジイチゴ
野いちごの中でもっともおいしいキイチゴである。


この時期の木々の葉は淡い緑とでもいうのか、目に優しく、気持ちが和む。


咲いたばかりのマルバアオダモ
あと数日もすると全体が綿帽子をかぶったように白くなる。


これから咲こうというマルバアオダモ


クサイチゴ


これもニオイタチツボスミレ


フモトスミレ


ほぼ咲きそろったヤマツツジ


桜峠から馬不入山へは45分で着いた。
ここから立花尾根で下山するにあたってまず腹ごしらえといきたい。


山頂を少し右へ行くと展望のいい場所がある。
うっすらとだが富士山が見えた。


立花尾根の入口は馬不入山の山頂を100メートルほど桜峠側に戻るとある(人差し指側)。


立花尾根は標識もないことから知られていないらしく、ほとんど歩かれていない。
踏跡もあるのかないのか、堆積した枯れ葉によって見えない。
傾斜が急なことも相まって、枯れ葉の上は滑る。
滑って転倒しないよう、チェーンスパイクを装着した。


ここは沢ルートと尾根ルートとの分岐。
尾根ルートはここを直進する。


藪になっているわけではなく、枯れ葉で滑ることを除けばいいルートなんだが、、、


尾根はここで平坦になる。
地図で見るとわかるがこの先で傾斜が急になり、さらには斜面は荒れ放題で歩けたものではない。
そして、出口がないというのが昨年12月の結論だった。
そこで仮説だが、ここから沢への抜け道があるはずなのである。


尾根の左右は沢になっている。
進行左側(北東側)が沢ルートへ向かっているのだろう、降りていった。


目測を誤ったため一旦、尾根に戻り、少し方角を変えて降りていくと、、、


お~、沢ルートに設置されたレスキューポイントに出たぞ。
なるほどこういう構造になっていたのか。
未知へチャレンジすれば必ず良いことがあるというものだ。


レスキューポイントから振り返って尾根方面を眺める。
これではここが尾根とつながっているとはわからない。
沢ルートから尾根ルートへ行く目印はレスキューポイント26番と覚えておこう。


イノシシ避けの柵はこれまでになく堅固に固定されていた。
針金を丁寧にほどいて林道に降り立った。
ここから清水寺へはこのアスファルトの林道(西山田線)を歩いて行く。


マムシグサが元気に育っている。
通り過ぎようとすると、ちょっと待て、とマムシグサが言う。
オイラをよく見てくれよ、わかるかい?


マムシグサの声に振り向くと、花の脇から長く立派な釣り竿が出ているのがわかった。
それは紛れもなくウラシマソウだ。
いや、これは失礼しました!


タチツボスミレが大きな群落を作っていた。


ほどなくして車を置いた清水寺に戻ってきた。
自宅には明るいうちに帰れそうだ。
ここでしばしの間、景色を楽しんでいこう。


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