2025年5月20日(火) 晴れて暑い
今年7月で喜寿となる管理人は、加齢に伴って山への意欲が薄れるばかりで、よほどの強い動機がないとエンジンがかからない。
日光の山は大方登ったし、日光の山は急だし、日光の山は山頂に立たなければ展望がないし、と山に行かない理由を並べ立てては登山を避ける傾向が強くなってきている。
そこんところをなんとかしなければ、と勇気を出して泌尿器科へ行って男性ホルモンの値を測定したところ、これ以上、下がりようがないという最低値に達していることがわかり、そうかそれが意欲減退の原因かと納得し、現在、月に一度、男性ホルモンを注入するために病院通いをしている。
男性ホルモン注入の効果を実感するには至っていないが、なになにを「しなけれならない」、「すべきである」という強迫観念の強い傾向にある管理人には、山へ行くには強い動機が必須である。
その動機こそ、古賀志山や大平山のバリエーションルート探しだったり、花の観賞である。
今まさに花の季節。
この季節を逃すと次の年まで待たなくてはならないという強迫観念が管理人をして山に向かわせることになる。
これから向かうミツモチ山(1248m)は2017年に初めて訪れて貴重な体験をした、思い出深い山だ。
「貴重な体験」をしたと書いたが、それは8年経った今でも鮮明に覚えている。
駐車場から歩き始め、下りながらミツモチ山の山頂に達するという、それまで管理人が経験したことのない登山だったのだ。→そのときの様子
その後もちょくちょく訪れているが、日光の山と違って傾斜が緩やかで歩きやすく、周回コースを歩くことができるのがいい。
特に今の時期はツツジが見事で、その一点だけでも行く価値のある山だと思っているくらいだ。
ツツジは前週、薬師岳で見たばかりだが、場所が変われば美しさも変わる。
まったく同じ美しさというのはない。
さあ、今日はどんな美人ぶりを見せてくれるのか、心はすでに山頂にある。
メモ(地図アプリはGeographicaを使用した)
・歩行距離:8.8キロ(GPSログをカシミール3Dで処理した値)
・所要時間:3時間56分(写真撮影と休憩を含む)
・累積標高:608メートル(アップダウンのうち、上昇分の累積)栃木県民の森キャンプ場の駐車場に1時間半かけて着いた。
ここを起点に周回コースを歩いて戻ってくる計画だ。
キャンプ場前のアスファルト道路からミツモチ山への登山道を入る。
こうしてカメラを通して見ると明るい感じがするが、ここから砂利が敷かれた第2展望台まで、陽が差さない部分が多く、そこは地面が水をたっぷり含んでジメジメしている。
看板にも注意書きがあるが、この登山道はヤマビルの巣窟なのだ。
第2展望台まで、できるだけ止まることなく歩き続けるのがヤマビルの被害を防ぐ策となる。
それとヤマビル忌避剤(管理人は「ヒル下がりのジョニー」を使っている)の携行が必須。
明るい場所に来ると気分も晴れる。
第1展望台である。
水分補給を兼ねて展望を楽しみ第2展望台へ向かった。
ここから第2展望台まで、さらにヤマビルに注意しながら歩く。
広葉樹林帯を抜けて砂利が敷かれた林道に出るとすぐ、第2展望台がある。
前に来たときは老朽化して危険なため立入禁止となっていたが、再建されて真新しいものに替わっていた。
ここに至るまで一度、ヤマビルにやられた。
写真を撮るわずか10数秒の間に上ってきたのだと思うが、右足首になにか妙な感じがしたのでパンツの裾をまくり上げたとき、そこに「さあ、これから生き血をたっぷり吸ってやるからな」といった体勢のヤマビルが取り付いているのを見た。
ヤマビルはシカやイノシシが多数いる環境で、なおかつ陽が差さないジメジメした林間には必ずと言っていいほど生息している。
そのため、日光や近隣のシカやイノシシが多数いる山を歩く際はヤマビル忌避剤の携行が欠かせない。
望ましいのはあらかじめ靴全体に忌避剤を噴霧しておき、ヤマビルを寄せ付けないことだが、今日はそれを怠った。
ザック外側のポケットにしのばせておいた忌避剤を取り出して噴霧し、ヤマビルを撃退したが、発見が早かったので出血はごくわずかで済んだ。
発見が遅れるとヒルジン(血液を凝固させない毒)が注入され、長時間にわたって出血が止まらなくなる。
ヤマビルの性質として、人が吐き出す息を敏感に察し、同じ場所に立ち止まっていると靴から這い上がってくるし、立ち止まらずに歩き続けていてもヤマビルを踏んだその瞬間、靴底に取り付くから厄介だ。
被害を防ぐには靴に忌避剤を噴霧しておくしか方法がない。
先ほども書いたが、写真を撮るわずか10数秒の間にもヤマビルに狙われるから細心の注意を必要とする。
展望台を降りて林道を歩き始めると色鮮やかなヤマツツジが2本、新緑の中で存在感を示していた。
山頂への道はジグザグの林道をショートカットするように敷設されている。
もちろん、林道を歩くよりも距離は短かい。
より長い距離を、と決めて訪れている管理人は、距離が延びるがあえて林道に沿って山頂を目指すことにした。
山頂直下までやってきた。
見上げる(というほどでもありませんが)と正面にミツモチ山が見える。
やがてミツモチ山山頂直下の広場に出ると、ここが折り返し点となる。
テーブルとベンチがあり、ツツジを目の前に休憩できる素晴らしい場所である。
シロヤシオとトウゴクミツバツツジ、ヤマツツジが咲き誇っていた。
山頂は広場の一段上にある。
ツツジのトンネルの下を山頂へ向かう。
さて、広場を離れ人混みを避けてランチとしよう。
広場のテーブルとベンチは6人で使えるほど大きく、それを管理人ひとりで占有してしまうのは申し訳ない。
広場から少し下るとこんな場所がある。
ここでランチとしよう。
年代物の山名板(柱)にはミツモチ山頂と刻まれているが、先ほどの展望台がある場所よりは間違いなく低いから、ここを山頂とは言わないであろう。
同じ場所から展望台を見上げる。
どう見てもあっちの方が標高が高いよね。
地理院地図で見ても等高線で1本半、高い位置にある。
さあ、待望のランチタイム。
今日はセブンのベーグル。
1ヶで234kcalあるから下山までのエネルギー源として十分だろう。
10分ほどの休憩の後、下山に取りかかった。
下山路は上りで使った林道ではなく、南へ向かっている林間の登山道を使う。
花はギンリョウソウ(幽霊茸)
緩やかな傾斜をスピードをつけて下っていく。
7月の誕生月以後、年内に、管理人の年間3大チャレンジとなっている中禅寺湖1周25キロと女峰山16キロ、古賀志山18キロを目指しているのでそのトレーニングも兼ねている。
斜面を下り切ると檜林の中の道となり、間もなく栃木県民の森の中を走る林道と出合う。
うへぇ、失敗だった。
県民の森の中の道は檜の伐採で重機が動き回っているためか、路面が削られて泥濘となっていた。
こんな道が200メートルほど続いていた。
泥濘から脱出するとアスファルト道に変わる。
駐車場へはその道の方が近いが、あえて距離を延ばすためここは直進する。
約4時間のツツジ堪能ハイキングが終わった。
今年、ここに来るのは紅葉の季節しかないと思うとあの白、赤、紫のツツジと別れるのは寂しいが、来年のお楽しみとしておこう。
朝、車を駐めたときは気がつかなかったが、すぐ脇の頭上に、サラサドウダンが多くの花をつけていた。