大平山は広い。4座15キロを縦走したが体力が残っていることに大きな喜びを感じた

2025年6月4日(水) 薄曇りだが暑い

宿泊業というレジャー産業に身を置く管理人なので本来なら週末が忙しくて平日はヒマ、となるのが一般的だが、管理人が経営している宿はその反対である。
宿泊客の多くを時間に余裕のあるリピーターが占める管理人の宿はむしろ、週末がヒマで平日が忙しい。

といって週末、どこかへ行こうという気にはなれない。
観光地への道路は渋滞が酷いし山も混む。
管理人が住む日光でいえば、週末や連休は言うに及ばず、ゴールデンウイークと紅葉の時期に山へ行こうとして出かけようものなら登山の開始が午後遅くになってしまうくらいだ。

前回の山行は先月20日と21日だったので次は5月最終週に、と予定を組んだものの、宿泊客が続いて予定は立ち消えとなった。
で、宿泊客の合間をぬってきょうにしたわけだが、長い距離を歩いて体力を確かめたいという気持ち(理由は最後に)から、場所を大平山にした。

大平山はここ2年の間、管理人お気に入りの山で、自宅から登山口まで2時間はかかるものの頻繁に通っている。
激しいアップダウンがあるわけではないし古賀志山のように岩場があるわけではない。
緩やかなアップダウンと随所からの好展望、明るい林内が気に入っているのである。
山域の大外を歩くと15キロもの距離を歩くことができる。

今年初めて行ったのは4月半ばだったのでご無沙汰してしまったが、今週を逃すと行く機会がない。
平日、宿泊客が続くのと仕事柄、行政絡みの仕事があることに加えて、これがもっとも大きなことだが、大平山はアジサイの名所としても知られていて、季節になるとアジサイを求めて観光客が大勢訪れるのだ。
3月から4月にかけての桜祭りの後、6月半ばになると紫陽花祭りが開催される。
この年に2度ある祭りのときに日光からでかけるのは、リスクが大きい。2時間もかけて現地に着いたとしても車を駐めることができなくては無駄足となってしまうのだ。

昨日は大雨だったがきょうの予報は晴れになっている。
行くならきょうを逃して他に日はない。

メモ(地図アプリはGeographicaを使用した)
・歩行距離:14.6キロ(GPSログをカシミール3Dで処理した値)
・所要時間:5時間34分(写真撮影と休憩を含む)
・累積標高:1071メートル(アップダウンのうち、上昇分の累積)

大平山下の駐車場を出るとすぐ大平山の参道が始まる。
鳥居をくぐると左に六角堂という本当に六角形をしたお堂があり、そこから長い階段が始まる。
1000段もあるというから霧降高原の天空回廊に匹敵する長さである。
その階段を「あじさい坂」といって、階段の両側合わせて2500株ものアジサイが咲くそうだ。
見頃は梅雨入り後だが、その時期になるとアジサイを求めて多くの人が訪れる、と想像できる。
だから6月にここを起点として山を歩く場合は、アジサイが見ごろを迎えるよりも前でなくてはならない。
いま、咲き始めたばかりなので人はまだ少なく、空いている。


咲いたばかりのアジサイ


六角堂の入口から「あじさい坂」が始まる。
石積みの階段は段差が小さいので歩きやすいが、なにしろ1000段もあるから急いで昇ろうとすると息が切れる。
階段左右のこれから咲くであろうアジサイを見ながらゆっくりゆっくり登って行く。


山門が見えてきた。
あの山門の前にも車道があり、労せずして行くことができるし、さらにその上の大平山神社までも車で行くことができるから年配の参拝者も多い。


ユキノシタの花
昔よく、新鮮な葉っぱを天ぷらにして食べ、美味いといった印象を持っているが、我が家周辺にはなく、食べることはなくなった。


太平山神社ふたつめの山門


1001段(ガイドブックによる)上ってようやく神社に到着。
すでに大汗をかいている。
ここへもマイカーで来ることができるので、七五三の祝いや参拝で訪れる家族も多い。


ここからの展望は良く、遠く筑波山が見え、、、いや今日は見えなかった。


太平山へは神社の右端にある階段を登って行く。


まずは奥宮
信仰心ゼロの管理人だが、いちおう頭を下げて入ることにしている。


奥宮を過ぎると分岐があって右へ行くと大平山だが、登るのが厳しいという人のために迂回路(左)もある。


富士浅間神社
ここを大平山山頂といっても差し支えはないと思うが、実は本当の山頂はこの社の裏にある(ここから2メートルくらい高い)。


神社の脇ではこれも梅雨時の花、コアジサイが咲いていた。


大平山から降りると迂回路と合流し、次の山頂、晃石山へと向かう。


林道を迂回して山に入る。
わずかだが距離が延びる。
なにを考えているのかというと、今日は全行程を15キロにしたいのである。


電波塔へ行く林道を横切って登山コースに。


グミの木峠を通過
晃石山へは直進だが、ここを左へ下っていくと大中寺へショートカットできる。


名前はないが「ぶどう団地」を見下ろす展望地と出合う。
ぶどう団地とは妙な名前だが、この下の県道にぶどうを栽培している生産者が連なっていて、数がが多いことから「団地」と名付けているようだ。


南面が開けていて、少しかすんでいるがまずまずの展望。


ここでまた分岐。
右への道が晃石山へ、左が迂回路。


今日は太平山→晃石山→青入山→馬不入山と縦走する。
4つのピークを渡り歩くので当然ながらアップダウンを繰り返しながら進んで行くが、晃石山への登りが一番厳しいかな。


晃石山山頂の祠が見えてきた。
晃石山神社は山頂を左へ下ったところにあるので、あの祠は奥宮ということになるのだろうか。


山域の最高標高点、晃石山(419m)にある三角点。
ここは堂々たる一等三角点なのである。


今日も休憩なしでどんどん進んで行く。
次は青入山だが晃石山からの下りはやや急で危険。


祠の左側を行って晃石山を下り切ると分岐があるので青入山へは直進する。
左は晃石山神社へ行く。


う~ん、いいねぇ、こういう道って。
日光の山では味わえない開放感、なんとも言えない快適さがある。


青入山に着いた。
ほう、この先は晃石山へ行くのか?
ってことではなく、あなたはいま晃石山から来たのだよ、とわざわざ教えてくれる不思議な標識。


晃石山からここへ来た100人の登山者のうち、おそらく99人はこの柱を左に見て先へ進む。
登山道がそうなっているからである。
初めてここを訪れた人たちにはここが青入山だとはわかるまい。
管理人も初めてこのピークに来たときはわからなかった。
文字がかすれて見えない、ということではなく、青入山とは書かれていないからだ。
と言い切ってしまうと語弊があるが、実は柱の裏側、人が通らない側に大きな文字で青入山と書かれている。
それがわかったのは、展望がありベンチまである立派なピークなのに山名がない、と不思議に思ってこの柱を一周したときだった。
ここが青入山であることをまるで隠すかのように書かれていたのだ。→こちら
原因は設置を請け負った業者が柱の向きを180度、反対にして埋め込んでしまったらしい。


青入山から先の快適な登山道。
両側はヤマツツジの並木になっている。


お~、なんという惨状!
イノシシがほっくり返した後が数メートルにわたって続いている。
低山でよく見る光景だが、イノシシはなにを探しているのだろう。
草木の根や茎、球根、昆虫など食えるものなら何でもOK、そんな習性があるのかもしれない。


本日、最後のピークとなる馬不入山への途中、実に長い階段がある。
この階段を降りると桜峠といって、清水寺前を走るアスファルトの林道へショートカットできる四差路に出る。
石段造りだが段数が多いため足元をしっかり見ていないと錯覚により足がもつれることがある。
また、雨後、石が濡れていると滑る。
きょう、管理人は中段辺りで、昨日の雨で濡れた石で滑って尻もちをついた。
幸いなことに背負っていたザックがクッションとなって怪我などはなかったが、今日初めて履く登山用のパンツが泥で汚れなかったかどうか、それを一番心配した(笑)


尻もちは一度だけで済み、無事にさくら峠に着いた。
四差路の左が清水寺への近道、右は大明神山へ、馬不入山へは直進する。


峠の右の角にクサイチゴの一群があって真っ赤な実をつけていた。
食べたい欲求に駆られたが、他に登山者がいたので遠慮した。


なかなかワイルドな登山道は古賀志山を思い起こさせる。


きょう最後のピーク、馬不入山に到着。
ここは青入山と違って山名が書かれた標識が通路から見える側に設置してある。
そろそろお昼ご飯を食べる時間なのでは、と胃袋が訴えている。
だがその前に、展望台に行ってみよう。


山頂をほんの少し右に下ると2つの展望台がある。
ここ第1展望台は西側が開けていて、諏訪岳(右端)から唐沢山(左端)に至る稜線がよく見える(画像中央の山並み)
第1展望台からさらに下ると日光連山が一望できる場所があるが、そこへは行かなかった。
きょうの天気だとおそらく霞んで見えないだろう。


山頂まで戻ってコンビニパンでランチにした。
これ1個で280kcalあるから下山までのエネルギー源としては十分だろう。


馬不入山からの下山路は悪くない。
明るいし傾斜が緩やかなのがいい。


平坦な道もあれば、、、


擬木を組んだ急で長い階段もある。


ぶどう団地の中を抜けてJR両毛線・大平下駅へ向かう県道282号線、通称「ぶどう通り」が見えてきた。


県道を500メートルほど歩くと林道・西山田線があるので左へ入って清水寺に向かう。


林道と馬不入山を結んでいるショートカット道、立花沢コースの出入口前を通過。
ここから馬不入山へ行くにはイノシシ避けのフェンスを開けて入る。


標高わずか140メートルの林道だが、筑波山が望める。


林道脇に咲いていたホタルブクロ


清水寺の前に差しかかる。


駐車場に入るとイロハモミジがプロペラ上の赤い実をつけ、葉の緑との対比が美しかった。


清水寺前に五畿七道(ごきしちどう)のひとつ、「東山道=とうさんどう」への分岐がある。
大中寺まで続くアスファルト道を避けるためにもここは東山道を歩くことにしよう。
あっそれから、五畿七道のことも東山道のことも地理そして歴史に疎い管理人はなにも知らないから説明もできない。
興味のある方はWikipediaで調べてください。


竹林の中のくぼんだ道を歩く。
すごいなこれは!
これもイノシシの被害かと思ったが、荒れ方が半端ではない。
もしかすると昨日の大雨によって枯れ葉や木々の枝が流れ込んだのかもわからない。


ここで再び林道と交わる。


この林道は「あじさい林道」と名がついているほどなのでアジサイが数多く生育している。


10:19の画像のグミの木峠へのショートカット道の入口となっている大中寺に着いた。
謙信平へも行くことができるが、スマホの地図アプリに表示されている地理院地図を見ると、いつもの登山道とは別の道で謙信平に行く道もある。
きょうはその道を使ってみよう。
いつもの道は参道の奥から山へ入るのだが、きょうはこのすぐ先を右へ入っていく。


地理院地図に描かれている軽車道を歩いて謙信平まで行こう。
と考えて歩いて来たところ、えっ、これが地理院地図に描かれた軽車道か、と思わせるところに来た。


藪を通り抜け標高を上げていくとフェンスが見えてきた。
もしかするとあれは、と希望を持って進んで行くと、、、、


見覚えのある店の前に出た。
謙信平に並ぶ茶店だ。
ここまで来る道は面白くもなんともない、次に通ることはないだろう。


謙信平の車道からの展望はいい。
300メートル以上にわたって南面に広がる景色を眺めることができる。
ここから駐車場まで20分とかからない。
ここでしばし休憩、景色を観ながらボーッとしていよう。


車道から外れて太平山神社の駐車場へ行く道を下る。
午前中、桜峠に下る階段で尻もちをついたのでここは慎重に歩く。
多くの人が歩くわけではないためうっすらと苔が生え、雨後は滑りやすいのだ。


アカショウマ


5時間半、目標にした約15キロ(GPSによる計測は14.6キロ)に渡る大平山大外周りを終えて戻って来た。謙信平に出る直前の藪道がイヤだったが、これも大平山の懐の深さとだと考えよう。
来月、喜寿を迎えるにあたり、これくらいの距離ならまだ歩ける体力があることを喜ばなければいけない。
昨年は能登の災害ボランティアに行くことが多かったため登山がほとんどできず、体力が著しく低下したが、少しずつだが戻ってきた。
とはいえ50代、60代の頃の体力にはとうてい及ばないが、「体力の低下は登山で補う」の管理人の人生訓を実践しながら、せめて女峰山を疲れずに登れるように努めたい。

管理人、誕生月(7月)以後、体力がどれくらいあるのかを測るため、これまで毎年、女峰山16キロ、中禅寺湖1周25キロ、古賀志山18キロを歩いて来た。
昨年は上に書いたように、登山の時間を割いて能登へのボランティアで延べ40日以上を充てたため、数えるほどの登山しかできず、それが結果として体力の衰えとなった。

ボランティア活動中にギックリ腰をやって病院通いが続いた。
年齢から見てもう登山は無理なのかなとも思ったが、山への思いを断つことはできず、リハビリとストレッチ、筋トレに努め、今年になってようやく10キロ以上の山歩きができるまでになった。
いま、2年ぶりとなる女峰山、中禅寺湖1周、古賀志山に挑戦すべく体力の復活に努めているところだ。


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