今年3回目の古賀志山は鞍掛山から最長距離の縦走.

2015年04月22日(木) 鞍掛山~古賀志山縦走
天候:晴れ、気温:20度

通算4回、今年だけで3回目となる古賀志山だが今回は最長距離といわれる鞍掛山からの縦走コースにした。
過去の古賀志山の記事になんども書いたが山頂へのルートは国土地理院の地図に描かれているもの以外にも数多くあり、それは50とも100とも言われている。実際のところ地図に描かれていないのでその数を知っているのは足繁く通っている地元の愛好家しかいないというのが現実であろう。
早い話、尾根という尾根がすべて歩かれ、道がついていると言っていい。


昨年10月、管理人がこの山に初めて訪れた際は地理院の地図を参考に歩いたのだが、たしかに小径がたくさんあってしかも標識などないから、どこへ続く道なのか道の方向をコンパスで調べて地図と対比しながら歩くといった作業に追われた。
そんな面倒な作業をしなくても地理院の地図にしたがって歩けばゴール地点に行くから問題はないのだが、詮索いや、探索好きの管理人の性分として、たとえそれが獣道であっても行く先を確かめなくては気が済まないのだ。

1回目は地理院地図にしたがって歩いたわけだが、今年になって宇都宮市に住むOさんと知り合う機会があり、聞くと二年前に山女子としてデビュー以後、古賀志山に50回以上も行っているという古賀志山通であることがわかり現在、Oさんからは管理人がそそられる多くの貴重な情報をいただくに至っている。
しかし問題は、Oさんから聞く古賀志山にまつわる固有名詞は地理院の地図にはなくまた、ルートを教えてもらっても当然ながら地図にないわけだから、Oさんから入手した情報を地理院地図に投影し、推測しながらルートを設定せざるを得ない状況なのだ。
ただし、それも楽しい作業なので管理人にとってはなんら苦にはないのだが。
第1回目 2014年10月27日(ノーマルルート)

3月末、Oさんから、カタクリが咲きだしたという情報を入手。さっそく飛んでいった。
このときはできる限り前回歩いたルートと異なる、いわゆるバリエーションルートを設定したが、尾根の入口がわからずウロウロ探し回ったり、設定したルートを歩いている途中で別のルートが目に入ったのでそちらに向かって歩いて行ったら思わぬ発見をしたりと、収穫のある一日を過ごすことができた。もちろん、Oさんに教えていただいたカタクリの大群落を見つけたのは言うまでもない。
第2回目 2014年03月31日(少しバリエーションルートでカタクリ観賞)

古賀志山バリエーションルートは地理院地図に道が描かれていないが、道はしっかりしているので歩きやすい。が、どこへ行ってしまうのだろうかという不安がつきまとうから地図とコンパスは必携である。道(尾根)の方向をコンパスで調べ行き先を地図で見定める技術が必要になる。逆説的に言えば地図読みの練習にこれほど適した地形はないであろう。
日光の山で正規ルートを外れたら他にハイカーと行き交うことなどないから道迷い遭難が必至である。
古賀志山であればバリエーションルートとはいえ、平日でも多くの人が歩いているからいざとなったら道を尋ねるなり、後について歩けばいい。安全なのだ。

3回目はやはりOさんから、ヒカゲツツジが咲いたという情報をいただき駆けつけたのだが長年、日光で植物の調査に携わってきた管理人もヒカゲツツジなるものを観たことがない。
しかし、メールに添えられたヒカゲツツジは紛れもなくツツジの花でありながら、管理人がこれまで観てきたツツジとは色がかなり異なる。なんと言っていいのか、透き通るようなうすい緑で、ヤシオツツジの艶やかな美しさに例えるなら、楚々とした美しさとでも言えるだろうか。
花は季節の生き物である。一日遅れただけで元気さが衰える。だから、Oさんから情報を入手してから4日も経ってしまい心配だったが、管理人が観たこともない花だけに、今年は残骸でもいいやという気持ちで臨んだ。
ルートは1回目、2回目と変え鎖を使って岩を登るという「東陵コース」から古賀志山に登り、それからピーク559を経て「二枚岩」に至るこれも当然、バリエーションルートを設定した。
第3回目 2014年04月16日(バリエーションルートでヒカゲツツジ観賞)

古賀志山のバリエーションルートは地理院地図に描かれている正規のコースの内側にも外側にもあり、難易度も低~高まであって楽しめる。経験者でないと滑落するほど危険な岩場もあるようだ。
過去3回歩いたのは、推定距離10キロほどのコースなので一般のハイカーにはちょうど良いと言える。が、どちらかと言えばヘロヘロになるまで歩きたい管理人にはもう少し距離がほしい。
もっと長い距離を歩けるルートはないものかと地図を穴の空くほど見つめたりガイドブックで探したところ、正規コースの外側にかなり長いコースがあることを知り、さっそく行ってみることにした。
地理院地図でいえば起点となる赤川ダムを北上して鞍掛山に登り、古賀志山を経由して赤川ダムに戻る、周回ルートである。推定距離、14キロ。

古賀志山の標高は583メートル、登り口が220メートルだから標高差は最大で360メートルしかない。その標高差内を歩くのはさぞかし快適なはずだ。
今回設定したルートは地図で見る限り、いくつもの緩やかなアップダウンが楽しめるトレッキングコースであるはずだ。日光の2千メートル超えの山だとやはり頂上を目指すのが目的となり、登りは厳しいが登ってしまえばあとは下る一方なので最後まで楽しめるということはないが、今日は適度なアップダウンと長い距離を大いに楽しめそうだ。


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宇都宮市営の駐車場は利用時間が決まっていて施錠する。
開門前に着いた場合は隣接する道路脇駐車場を利用する。


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まずは長倉山へ向かうのにこの林道を行く。


IMG_1742あれっ?
初っぱなからこれだもんなぁ。
完全な道間違えw


IMG_1744強引に突っ切って正しい道と合流。


IMG_1745うん、快適!


IMG_1747ヤマツツジのお出迎えだ。


IMG_1748まるで散歩気分で歩ける、快適な道だ。


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標高360メートルの長倉山に到着。
ここまでですでに汗をかいたので、ジャケットを脱いで長袖Tシャツ1枚となる。
散歩できたという地元の人と5分ほど立ち話をして歩き始める。


IMG_1754鞍掛神社へと向かうが快適な道はそのまま続く。


IMG_1757葉の特徴からフジスミレだと思うが確信を持てない。
フジスミレだとすれば日光では貴重種扱いされているだけに、まさか古賀志山で観られるとは思ってもいなかった。


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林道と合流。
ここを東に向かって進めば鞍掛山への登山口が見つかるはずだ。


IMG_1764ここを写真右、北に入る。


IMG_1766なかなか立派な案内板ではないか。
さてとこれから先、鳥居をくぐって次に双体神というのを右に見て、神社に立ち寄ってさらに進んで分岐を右に別れて大岩を経て鞍掛山という順路だ。


IMG_1771少し傾斜がきつくなってきたが、まだ登山とは呼べないほどの傾斜だ。


IMG_1772これはどこにでもあるタチツボスミレ。


IMG_1776これが双体神だな。
いつからここにあるかわからないが、2体とも首から上がなく代わりに石が乗っている。
明治の頃の廃仏毀釈によって壊されたのではないか、と最近、覚えたばかりの歴史で推測する管理人である。


IMG_1780鞍掛神社への道標。滝の文字に惹かれて行ってみた。


IMG_1781水量は少ないが大きな岩を流れ落ち、風情がある滝だ。
神社はどこにあるのだろう?


IMG_1792ほっ、これか?
洞窟じゃないか。


IMG_1790恐る恐る中へ入ってみると中は真っ暗。
懐中電灯で照らしてみるとなるほど、ご神体が祀ってある。


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ここで鎖場経由と大岩経由に別れるので今回は予定通り、大岩に行ってみることにした。
どんな岩が待っているのだろうか?


IMG_1800花の内側から長いツルが伸びているから、おそらくウラシマソウでしょう。
これも日光では見たことがない。


IMG_1802地面が大きくえぐれたのが何ヶ所もある。
イノシシが食い荒らした跡だろうか?


IMG_1806これはヤブレガサですね。
日光では湯ノ湖畔、霧降三滝で見られる。


IMG_1812お~、この色!
遠くからでもよく目立つ。クサボケである。


IMG_1817なんとなく大岩に近づいているような気がしてきたぞ。


IMG_1819ここまで来ると麓では終わっているヤシオツツジがまだ残っていた。


IMG_1821こちらは開花間もないミツバツツジだが古賀志山でもトウゴクミツバツツジと呼ぶのだろうか?
ちなみに日光だと龍頭滝のトウゴクミツバツツジが見事。


IMG_1827ピンクの蕾と葉の特徴から「ズミ」だと思うのだが、日光のズミに比べると背が低く、1メートルくらいしかない。それに蕾になるのもまだ早い。
う~ん、と考える管理人である。


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どうやら大岩らしき場所に着いた。
狭いながら一応、ピークになっているので大岩はここに違いない。


IMG_1834大岩からは北西方面の眺めがよく、これから向かう古賀志山がよく見える。


IMG_1838げっ、ここを下りるのか?
一瞬、戸惑ったが落ち着いて行動すれば大丈夫そうだ。
年取って気が弱くなっている管理人は最近、新聞の事故欄に載るような行動だけは慎むようにしているw


IMG_1840大岩を過ぎれば鞍掛山はもうすぐだが、快適なトレッキング道はまだ続く。


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標高492.4メートルの鞍掛山。
ガイドブックによると眺望なしとなっていたので薄暗い山頂を想像していたが、最悪というレベルではない。


IMG_1846標識も完備されている。


IMG_1861ウリハダカエデ。
カエデの種類は多いがこれだけは簡単に見分けがつく。
名前の通り、瓜に似た樹皮をしているのだ。


IMG_18635メートルほど上の枝先を見ると小さな花をつけている。


IMG_1871古賀志山域はカタクリが多く、至る所で見られる。
が、ほとんど終わっているのでまた来年だ。


IMG_1873ツクバキンモンソウはまだ元気だった。


IMG_1879トウゴクミツバツツジを手前に配置して撮ったアオダイショウ君。管理人の気配を察して動き出したがそれまでぐっすり眠っていたのを起こしてしまったようだ。
よく見るとこのアオダイショウ君、尻尾の先端が欠けている。おとなしい性質なので獣に襲われたのだろうか?


IMG_1901ヒメイワカガミだ!!
16日は別の場所で蕾を見つけたが開花していた。
分布は広く、鞍掛山からピーク559に至るまでどこででも見られた。

あまりの可愛さに良い写真を撮ってあげようと追いかけていったらルートを完全に外してしまい、元の道を探して10分ほど彷徨う。


IMG_1925ピーク559の近くまで来ると目の前にこんな大きな岩が立ちはだかっていた。
鎖がかかっているから、ここを登れというのか?
よく見ると進行左へと巻道が見つかった。


IMG_1929まぁ、でもせっかくだから鎖を利用しない手はないなと鎖をしっかり握って登ってみると、、、、


IMG_1931鎖の支点はなんと、桧の根元であった。
まだ成長途中に巻き付けられたらしく、桧は苦しそうだ。


P55913:20
ピーク559に到着した。
ここは4差路になっていて古賀志山へはここを真南へと下る。
腰掛けられそうな場所があったので東の広がる景色を眺めながら昼食。


IMG_1952通称、伐採地と呼ばれる展望の良い場所。


IMG_1958伐採地にある岩。傾斜は緩いので怖さはない。


IMG_196313:58
駐車場を出発して6時間15分かかって古賀志山に着いた。これで4回目の登頂だ。


IMG_1962時間が遅かったのか、いつもなら地元の人たちで賑わう山頂に誰もいない。


IMG_1973下山ルートはいくつかあるのだが、今日はこれまでと違うルートにする。
で、こんな岩場を下ることになった。


IMG_1980岩場が終わり振り返ると、そこは昨年10月に下りた階段道と交わっている場所だった。長い階段なので上りも下りも岩場ルートの方が楽かもしれない。


IMG_1986ここで一度、車道と出合うので標識にしたがって、駐車場がある赤川ダム方面に進むところを、「坊主山」に行ってみることにした。
が、標高が上がっているらしい感じはなく山らしい山もない。


IMG_2007車道から再び、ハイキングコースに入り赤川ダムに向かうが、ここはヤマツツジが咲き誇り散歩にもよさそうだ。


IMG_201815:26
赤川ダムに下りる直前からの眺め。
あれは八重桜なのだろうか、新緑にやや濃い色のサクラが加わってじつにいい感じ。


こうして8時間にわたる鞍掛山、古賀志山トレッキングが終わった。
過去3回は5~6時間の行程だったので2時間、多いだけなのだが、ずいぶん歩いたというのが実感だし、花も景色も堪能でき満足のゆく一日であった。

特に今日は緩やかなアップダウンが連続する、まさにトレッキングを満喫したわけだが、コースの多彩さでは日光の方が勝るものの、残念なことに日光はトレッキングを楽しめるコースはない。2千メートル超えの登山の他には小田代ケ原や戦場ヶ原のような平坦な道を歩くハイキングしかできないので、古賀志山域は管理人のニーズにマッチする。

地理院地図に道が描かれていない、地元の人にしか知られていないルートがまだたくさんあるし、難易度の高い本格的な岩場もあるようだ。地図読みの練習にもよさそうだ。古賀志山は管理人にとって重要な位置を占めつつあるのを感じる。

途中、地元の人らしき3人のハイカーと出会い、立ち話をした。
毎日、散歩で歩いているという年配の男性は管理人がザックにくくりつけておいたチェーンスパイクに興味を示してくれたので、モンベルに代わって大いに宣伝してあげた。
鞍掛山近くで出会った男性には楽しめるルートを時間をたっぷりかけて聞かせていただいた。ピーク559で出会った人は管理人が日光から訪れたと話したところ、とても驚かれた。2千メートル級の山がいくつもある日光からどうして古賀志山になど来たのか、などと不審がられた(笑)ので、そこは丁寧な説明が必要であった。管理人が手にしていた地図とコンパスを見て、やはり驚いていたようだ。

管理人は20年前から栃木県民として生活しているが日光ではいまだにヨソ者と呼ばれ、一線を引かれている。今日、出会った3人の地元の男性はとても気さくで優しく、県民性をよく表しているように管理人には思え、この山を利用する人たちに親しみを感じざるを得ない。
「居心地のいい山」、そんな言葉を古賀志山に見つけたような清々しい一日であった。

参考にこれまでの記事をご紹介
第1回目 2014年10月27日(ノーマルルート)
第2回目 2014年03月31日(カタクリ観賞)
第3回目 2014年04月16日(ヒカゲツツジ観賞)