三度目の古賀志山挑戦で恐る恐る、東陵の岩をよじ登る。ヒカゲツツジも堪能。

2015年4月16日(木) 宇都宮市・古賀志山
天候:晴れ

宇都宮市郊外にそびえる古賀志山。583メートルという低山ながらハイキングから本格的な登山までできる、宇都宮市民、広くは栃木県民に愛されている山である。実際に管理人が古賀志山を歩いてみても、8割くらいが栃木県民のような気がする。管理人もすでに20年間、日光に住んでいるからよくわかる。

なぜ8割もなどと断定的に言うのかと問われればまず、ハイカーによく利用されている「山と高原地図」に古賀志山を収録したものがなく、知名度が低いこと。
栃木県の山、100座あるいは150座を紹介するガイドブックには収録されているが、栃木県の山でメジャーなのはやはり日光ということになるので、県外の人であれば日光周辺の山を紹介するガイドブックを求めるであろうこと。
電車やバスでのアクセスが悪いため、マイカーが必須となる。なにしろ最寄りのバス停から3キロ歩いてようやく駐車場に達するという不便さだ。バス停がハイキングコースの入口となる日光の便の良さには逆立ちしてもかなわないこと。
標高が低いというのも食指が動かない要因になっているかもしれないこと。

というのが古賀志山にたいする管理人の評価なのだがしかしそれは、古賀志山を利用する人にとってむしろ幸いしているのではないかと思う。マイカーがなくては行くことができないし、知名度も高くないので奥日光の小田代ケ原や戦場ヶ原のようにハイカーが集中することがない。観光の目玉といえば、宇都宮市森林公園を起点にしておこなわれる自転車レース、ジャパンカップサイクルロードレースくらいのもので、開催される期間の混雑はすごいらしいがそれ以外に首都圏から観光で訪れる人はいないはずだ。その結果、古賀志山を利用する人は四季を通して一定の人数に保たれているようだ。訪れてみると、奥日光のようにわれ先にといった感じはなく、全体がほんわかとしていてじつに親しみやすい雰囲気を醸し出しているのがわかる。

健康管理のための散歩に利用できるコースから標高差250メートルの軽登山そして、鎖を使って岩をよじ登る健脚向けのコースまである。
カタクリの群落地帯があるがまったく荒らされることなく保たれているのも、この山を利用する人の理解あってのことであろう。標高が低いので花の咲き始めは3月と早く、10月いっぱいまで長い期間、いろいろな種類の花が見られるのも魅力だ。

管理人は昨年10月、初めて古賀志山を訪れた。
管理人の地元、日光の10月は紅葉見物の車で大渋滞するため、山歩きをしたいと思っても目的地へ移動するだけで半日費やしてしまう。これは平日でも同じだ。でも手術後の長いブランク開けで山歩きに飢えていたから、渋滞する国道とは逆方面で日光に近い古賀志山にしたのだが、これはいい判断であった。
渋滞する国道を横目に、ガラ空きの反対車線をスイスイ走って予定の時刻に到着できたし、300台は収容できるという大きな駐車場も完備している。
登山口から山頂までの標高差は小さいが、100もあるというコースを組み合わせれば10キロ以上も歩けるし、鎖を使って岩を登ることができるというから、これは魅力である。

それに加えて思いもかけず、管理人に強力な助っ人が現れたことも管理人の古賀志詣での背中を押す結果となった。それがこのブログになんども登場する宇都宮在住のOさんである。古賀志山にターゲットを絞ってすでに60回以上も登っている、いわばマニアといってもいいほど古賀志山にのめり込んでいる山女子なのである。今回もたくさんの情報をいただいて助けられた。
Oさんのことはこちらで詳しく紹介

国土地理院の1/25000地図を見るとわかるのだが、駐車場を起点として古賀志山に登るコースは周回する1本だけだ。
管理人も10月は地理院地図に描かれているコースにしたがって歩いたのだが、実際にはそのコースから派生するコースがたくさんあり、頭が混乱するほどであった。
Oさんによると、60回も登っていながらまだ歩いたことがないコースがあるとのことだ。それほど多くのコースがつくられた理由は詮索しないでおくが、とにかく管理人にとって未知が広がる魅力的な山であることに間違いない。

よっし、これを機会にその100もあるといわれているコースをすべて歩いてみよう、日本百名山ならぬ古賀志山100コース歩きである(笑)
そんなわけで今日、16日は第3回目の古賀志詣でとなった次第だ。ルートは一部重複するが、できるだけ異なるようにした。

今日の目的は3つある。
ひとつはOさんに教えていただいたヒカゲツツジを探すこと。ふたつ目は東陵コースの岩場を登って見晴台に到達すること。そして3つ目は、数日前に入手したばかりのオリエンテーリング用のサムコンパスでルートファインディングをおこなうことだ。

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サムコンパス(上)とふつうのコンパス(下)

サムコンパスについて少し説明すると、構成物はカプセル内の針のみで目盛りもなんにもない。ふつうのコンパスのようにセットしたらあとは地図をポケットにしまってもいいというタイプではなく、周りの地形を確認しながら必ず地図とセットで使うという厄介な代物である。
が、使ってみてわかったのはサム(thumb=親指)というように、ゴムバンドに親指を通して持つ仕掛けになっているので、ふつうのコンパスのように片手で本体を持ち、もう一方の手で回転盤を回すといった操作は必要ない。親指に着けていても両手は自由に動かせるし、コンパスと地図を同じ手で持つことができるので片手はフリーだ。
野山に設けられたチェックポイントを走りながら探すオリエンテーリングに最適化されたコンパスといえるが、山歩きで地図読みをするのにも便利であることがわかった。
今日はサムコンパスと地図、現在地の確認に時々GPSを使うのみで、ふつうのコンパスの出番はなかった。


参考(過去二度の古賀志山の記録)
第1回目:2014年10月27日(とりあえず正規のルートで)
第2回目:2015年03月31日(カタクリが目当て)


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花が見ごろを迎えて混雑するだろと思い、宇都宮市森林公園の駐車場に8時半に到着した。
平日なのでこの時間はまだ充分に空いていたが土日は9時には満車になってしまうそうだ。
左奥の建物はトイレ。駐車場の先に赤川ダムがある。


IMG_1551登山口まではアスファルト道路を1キロ歩くが、ダム周囲の景色を眺めたり花を観賞したりして楽しめる。
これはヤマブキ。


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ここで地図に書かれた北コースと地図にない東陵コースに分岐する。赤い横断幕の方が北コース。
管理人が設定した今日のルートは鎖場があるという東陵コースだ。左に見える橋の脇を入る。


IMG_1555ここが東陵コースの入口。
いきなり急な登りになる。今日は10キロくらいの距離を設定したので、後半バテないように登りはゆっくり、時間をかけよう。


IMG_1557傾斜はこれくらい。稜線に出るまで185メートル、標高差88メートルというのが地図から読み取れる。


IMG_1558これは山ならどこででも見られるタチツボスミレ。


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こんな大きな岩があちこちにあるがまだ岩に登るわけではない。


IMG_1562ヤシオツツジですね。
全体的には終わりに近いが場所によってはまだ楽しめる。


IMG_1576昨日の雨で足下が滑りやすくなっているのでここでチェーンスパイクを装着した。
以後、下山まで脱ぐことはなかった。


ヤマザクラこれはきっとヤマザクラでしょう。


フモトスミレ遠目はタチツボスミレかと思ったのだが近づいてみるとフモトスミレだった。


第1鎖10:03
東陵コースが終わりに近くなるとこのような岩場を4箇所、登らなくてはならない。
でも鎖とロープがあるから大丈夫(だと思う)。管理人の今日の目標はできるだけ鎖やロープを使わず、両手両足で登ることだ。
この岩場はクリアできた。


IMG_1601登り終えて振り返ってみるとなかなかのものである。下りは怖いだろうなぁ。


第2鎖岩場は連続していてこれが2つ目。
これも鎖に頼ることなくクリア。


第3鎖続いて3つ目。
これも手がかり足がかりがしっかりしているのでクリアした。


第4鎖問題は最後のこれであった。
垂直に近いのと手がかりが少ないためここは鎖に頼らなくてはならなかった。


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最後の岩場を登りきると見晴台があり、展望が開ける。写真は南側の展望でおそらく宇都宮市街であろう。少し移動すると日光連山が見えるはずなのだが今日は霞がかかっていて見えず。


IMG_1625見晴台を西へ向かうと古賀志山山頂と、管理人がこれから向かう富士見峠との分岐に出る。
山頂へは5分くらいで着くので行ってみることに。


IMG_162610:32
これまで二度の登頂の際は多くの人で賑わっていたが、今日は時間が早いためか地元の人と思われる年配男性ひとりだけ。昼食時には多くの人で賑わうのだろう。


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地図にある北コースと559と称される小さいピークとの分岐、富士見峠だ。
今日の目的のひとつはヒカゲツツジが咲いているというピーク559へ行くことなので、ここを直進する。


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標高540メートルの小さなピークから振り返ると古賀志山の山頂がよく見える。その左が見晴台でさらに左の切り立った斜面が鎖のある岩場だ。


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ピーク559に到着。
ここでヒカゲツツジが観られると聞いていたので辺りを見回したが、それらしきものはない。
しばらくうろうろした挙げ句、あきらめて次の二枚岩へと進むことにした。
後でわかったのだがこの岩の下、崖の斜面にあるらしい。上から覗いても見えないはずだ。来年の楽しみにとっておこう。


IMG_1653ピーク559から二枚岩へのルートは地図に描かれていないため、自分で最適と思うルートを設定しなくてはならない。二枚岩というのも地元の通称であり、地図には描かれていない。
また、前にも書いたように地図に描かれていない道がたくさんあるため、地図を頼りに正しい道を歩かなくては二枚岩に到達できない。コンパスは必須だ。
今日はSILVA社のサムコンパスを使った。ふつうのコンパスよりも使い方が難しいがその分、読図力は向上する(と思う)。


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地図に道はないが道標が見つかった。
地図上で現在地を推測し、これから向かう二枚岩の方向を見定めることにした。
ここから北北西に向かうのが正解らしい。


ヒメイワカガミまだ蕾だが葉っぱの特徴から見てイワカガミに違いない。が、蕾は白(赤いのは萼片)なので白い花を咲かすヒメイワカガミであろう。


二枚岩12:36
着いたぞ。
これがOさんに教えてもらった二枚岩だ。文字通り、2つの大きな岩が仲良く並んでいる。元はひとつの岩だったのがなんらかの原因で割れたのではないだろうか。断面が一致する。


IMG_1684なるほど、これがヒカゲツツジか。
花は紛れもなくツツジだが色はこれ以上、薄くすることは無理というほど白に近い緑で、じつに綺麗だ。
日光もツツジの種類が豊富だがヒカゲツツジはこれまで見たことがないだけに管理人、大いに感動する。


IMG_1691葉っぱの縁が茶色になっているのは盛りを過ぎたことを思わせるが、花はまだ充分、綺麗だ。


IMG_1694もう一枚。ヤマツツジとのツーショットだ。


IMG_1704さて、ヒカゲツツジをたっぷり観賞したし昼飯も食べたので、そろそろ元の道に戻ることにしよう。
と、戻りかけたら分岐があったのでどこへ行くか見極めるために入ってみたが、これは失敗であった。
元の道と合流したのだがかなり遠回りした。


エイザンスミレ13:53
地図にある道と合流し、駐車場へと向かう途中でエイザンスミレが見つかった。
左下の丸い葉っぱはタチツボスミレのもの。エイザンスミレの葉っぱは細長く、深く切れ込んでいる。


ニリンソウこれはニリンソウ。
先に一輪だけ咲いて、そのすぐ脇に遅れてもう一輪咲くのが特徴だが、今はまだ一輪だけ。
と、これはOさんの受け売り(^^)


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ここまで来ればもうすぐ駐車場に着く。


距離、約9.5キロ。標高差350メートル。
地図に道が描かれていないとはいっても道はあるので藪こぎの必要はなく、地図読みの練習と写真を撮りながらゆっくり歩いて6時間の楽しい山歩きであった。
次は来週かな?