那須連峰、ミネザクラには少し遅かったか?

2020年6月3日(水) 晴れ/一時雨

古賀志山に咲く花の探索に夢中になっていて失念している課題があることをふと思い出した。
我ながら迂闊だったが、この時期は那須連峰・日の出平にミネザクラが咲く時期だったのだ。
コロナが終息するまで古賀志山山域に集中しようと考えていたのが仇となり、ミネザクラのことはすっかり忘れてしまっていた。

ミネザクラは例年だと5月半ばから6月上旬にかけて咲くが、今年は花全般、咲くのが1週間早いのでどうなんだろう?
もう遅いかも知れない。
まっ、でも、見逃すと来年まで一年間、待たなくてはならないし、行くとするなら今週しか機会がない。
万一、手遅れだったとしても那須山域は歩き甲斐があって楽しい。
それにミネザクラの他にも花は観られるはずだ。行って損することはないだろう。

ミネザクラのことを思い出した日の晩、さっそく計画に取り組んだ。
起点はいつものように駐車場が空いている「沼原=ぬまっぱら」にし、そこから北東に朝日岳に向かい、下山したら次に茶臼岳、それから日の出平でミネザクラを観て沼原へ下山という計画だ。

行程表
沼原(8:38)~日の出平登山口(9:04)~姥ヶ平下(9:53)~姥ヶ平(10:06/休憩)~牛ヶ首手前(10:44)~避難小屋(11:06)~朝日岳(11:43/休憩)~避難小屋(12:18)~茶臼岳(12:53/休憩)~牛ヶ首(13:53)~日の出平(14:25)~日の出平登山口(15:41)~沼原(16:31)
・歩行距離:19.9キロ(GPSログをカシミール3Dで処理した値)
・所要時間:7時間53分(写真撮影と休憩を含む)
・累積標高:1547メートル(アップダウンのうち、上昇分の累積)

自宅を6時20分に出て途中、コンビニで弁当を購入した以外は休憩などしなかったにもかかわらず、駐車場まで2時間かかった。
やはり那須は遠いと感じる。

那須の山を歩く際は那須連峰の表玄関とされる「峠の茶屋」駐車場を避け、沼原(ぬまっぱら)を起点としている。
第一に、駐車場が空いているという理由がある。
表玄関が満車になることはあっても東北道からのアクセスの悪いここは混雑とは無縁だ。
第二は長い距離が取れるということ。
たとえば朝日岳に登るとした場合、表玄関からだと1時間半もあれば十分だが、沼原からだと倍の3時間はかかる。歩き甲斐があるというものだ(あくまでも人それぞれの考え方です・笑)。


沼原から那須連峰に入るには3通りのルートがある。
ひとつは姥ヶ平(うばがだいら)を経由する方法でこれがスタンダード。
もうひとつは白笹山から南月山を経由する方法でかなりハードだ。→こちら
もうひとつが麦飯坂を歩いて三斗小屋宿跡を経由するマニアックなルートで途中、急流を渡渉する。→こちら(この日は撤退した)
管理人の今日の目的は朝日岳と茶臼岳に登り帰路、日の出平のミネザクラを観ることなのでひとつ目のスタンダードなルートを歩くことにした。

ちなみに、ルート1とルート3は画像の入口からはいる。
ルート2は駐車場を出た車道側に入口がある。


前の画像の入口を入るとすぐ右に曲がる道があるので入っていく。
三斗小屋宿跡へはこの分岐ではなく、沼原湿原まで行って分岐する(でもきっと急流を渡れず引き返すことになると思う)。


ほぼ平坦な林間の道を進むと日の出平への分岐と出合う。
朝日岳に行くにはどちらへ進んでもいいのだが、日の出平を経由すると30分以上、余計にかかる。
ここは迷わず直進だ。


咲き始めのマイヅルソウ


シラカンバはまだ葉が出ていない。
奥日光も同じだがシラカンバとミズナラの芽吹きは遅く、遅い年だと7月になってようやく葉が出揃う。


イワカガミ
周りはマイヅルソウの葉。


あと数日で咲きそうなイワカガミ。


このルートは日の出平分岐を過ぎると一部悪路となるが、全体を通すと歩きやすいと言える。


展望のない林間の道はここへきてようやく展望が開ける。
正面に噴煙(水蒸気?)をあげる茶臼岳が見える。
道はここから下りに転じる。


ムラサキヤシオ


オオカメノキ


姥ヶ平下の分岐
ここを直進すると姥ヶ平(うばがだいら)を経由して牛ヶ首へ、左斜めに下ると三斗小屋温泉へ行く。
ここは直進する。


白いイワカガミ(ヤマイワカガミ?)


姥ヶ平手前にひょうたん池への分岐がある。
朝5時に午前中のエネルギー源としてカップうどんを食べたが、5時間経ち腹が減った。
ここでオニギリを食べて250kcal補給。


ひょうたん池への木道。


木道の終端部分から眺める茶臼岳。
シラカンバの下に池がある。


広大な砂地の姥ヶ平。
火山灰が積もってこのようになったのでしょうかね?
この周りはすべて紅葉する木々ばかり。
10月はじつに見事な紅葉を観ることができる。人出もすごいですが。


姥ヶ平から牛ヶ首を目指すがここはきつかった。
昨日は休館を解かれたジムで筋トレをみっちり行ったがその疲れを引きずっている。


ここで南月山と朝日岳を結ぶ道と合流する。
右へ行くとすぐ牛ヶ首、朝日岳へは左へ行く。


茶臼岳西側のトラバース道を朝日岳へ向かっていく。


茶臼岳西斜面から立ち上る水蒸気。


先ほど立ち寄ったひょうたん池と木道。


草木のないトラバース道はまだ続く。
もしも、無いとは言えない噴火が突然起こったとしたら、、、
という想定でその場合、どうすれば身の安全を確保できるのかを考えながら歩く。
身が隠せるような大きな岩は所々にあるが、突然の噴火で瞬時にそこへ逃げ込むことはできるのだろうか。このような環境下では御嶽山噴火の教訓は通用しそうにない。


峰の茶屋跡避難小屋とその向こうに朝日岳(画像中央のピーク)が見えてきた。
それにしても荒々しい光景だ。
火山帯であるため土壌は保水せず植物が育ちにくい環境なのであろう。
手前に見える大きなピークは剣ヶ峰だが朝日岳へは剣ヶ峰中腹のトラバース道を行く。
なお、積雪期のトラバース道は危険だからと剣ヶ峰を乗り越えて朝日岳に行く強者がいるそうだ。


峰の茶屋跡避難小屋から下を覗くと那須岳避難小屋が見える。
建物と地面との位置関係がおかしいが、これは昨年10月に発生した台風19号(令和元年東日本台風)の際の強風によって建物が動いたことによるものだそうだ。


剣ヶ峰を正面に見ながらこれからトラバース道に入っていく。


ほとんど平坦な気持ちのいいトラバース道。


イワカガミの蕾


ここもきつかったなぁ!


鞍部まで上り詰めるとそこが「朝日の肩」。
山頂まであと数分と近い。


ピークを見ながらゆっくり進んで行く。


朝日岳ピーク
一段下がったところに腰を下ろし周りの景色を眺めながらひと休み。


朝日の肩まで下り、峰の茶屋跡避難小屋までは同じ道を辿る。


避難小屋までは下りが続くと思えばこのくらいの上りは苦にならない。


さあ、お次はあの茶臼岳だ。
それにしてもデカイ!!


茶臼岳は終始、大小の石が連続した道だ。


噴火口に到着。
噴火口を一周するようにして道がある。


ジグソーパズル


標高1915メートルの茶臼岳山頂に立つ那須岳神社。
ちなみに那須岳とは主峰の茶臼岳(1915m)と朝日岳(1896m)、三本槍岳(1917m)、南月山(1776m)、黒尾谷岳(1589m)の総称。


空腹も限界に達した。
茶臼岳山頂で小さな虫たちにじゃまされながらもコンビニ弁当をぱくつく。
これで500kcal摂取。


三角点(四等)は山頂から少し下がった1897.5メートル地点にある。
山頂から離れているため注意しないと気がつかない場所だ。
さて、これから牛ヶ首まで戻って日の出平へ行くことにするが、牛ヶ首へ行くには方角が180度異なるロープウェイ駅手前まで行って進路を西へ変える必要があって面倒だ。


ロープウェイ駅手前の分岐まで20分ほどかかった。
左がロープウェイ駅、牛ヶ首へは右へ行く。


安達太良山の山腹を思わせる雄大さ。
このように遠くの稜線を見通せるようなロケーション、管理人は好きだなぁ。
しかも他に誰もいない。貸しっきりなのである。
このような場所を歩けばこれまでの疲れも忘れる、、、ということはない(笑)


牛ヶ首に到着。
南に日の出平が見える。
さて、ミネザクラは観ることができるでしょうか?


少し歩くと道の両側にミネザクラが目立つようになってきた。
だが花はついていない。


う~む、花は終わってしまったのだろうか?


タチツボスミレの群落。


これはニリンソウ?


おっ、ようやく花が。
でも少ない。


振り返ってミネザクラと茶臼岳。


ここにも白いイワカガミ。


ムラサキヤシオ


オオカメノキ


お~、これはもしかしてツバメオモトでは?
貴重な花と出会って得した気分。


もう一度振り返って茶臼岳を。
牛ヶ首から朝日岳へ向かうトラバース道がはっきり見える。
噴煙はそのすぐ脇から昇っている。


ミネザクラ
この辺まで来て雨が降り出した。
強くなりそうな感じなので雨具の上だけ身につける。


日の出平分岐
直進すると南月山、右へ行くと沼原。
どちらを進んでも沼原へ行くことができるが、今日は右に行くと決めておいた。
那須の山は10回ほど歩いているが日の出平から沼原へ行くルートは未踏なのである。
雨がかなり激しくなってきたのでここで雨具のズボンを履いた。


ミツバオウレン


コミヤマカタバミ


遠くに沼原調整池が見える。
雲が切れてきたので雨は上がるのだろうか?


咲いたばかりのアズマシャクナゲ
雨が上がって明るくなってきたので雨具を脱ぐ。


この道、悪くない。


シロヤシオまで観ることができた。


ここで沼原から姥ヶ平下へのルートに合流。
左に折れて沼原へ行く。


マイヅルソウ
管理人の博識ぶりを披露しておくと、マイヅルソウという名は花に似合わず大きな葉っぱの形が、鶴が舞っているように見えることから付いたのである。
ということが、どんなに安い花の図鑑にも書いてある(笑)


ここで駐車場と沼原湿原へのルートに分岐するので湿原の花を探索するため右へ行ってみることにした。


チゴユリだが終わりかけている。


登山道の終端まで来ると湿原を廻る木道と出合うので右へ行く。
直進すると湿原には行けず、駐車場に行ってしまう。


三斗小屋宿跡への分岐。
昨年11月はここから三斗小屋宿跡へ向かった。→こちら


バイケイソウ


レンゲツツジの蕾


咲き始まったばかりのズミ。


一周しようと考えたが咲いているのはズミくらいしかないので半周で終わりにして駐車場へ向かった。


無事に帰還。
これからまた2時間かけて自宅へ向かうことを考えると気が重くなる。
福島県の山から帰る場合はもっと長い時間がかかるため道の駅で車中泊ということになるが、その方が翌日の疲れが軽い。
一日も早くコロナ禍が終息して福島遠征をしたいものだ。



ついでながら、、、
今日のもうひとつの目的として、山行の前の日に購入したばかりの靴、LA SPORTIVA ボルダーX(画像中)の慣らしがあった。
今年2月、より身軽に歩けるようにと思い、LA SPORTIVA トラバース X4 というローカットのアプローチシューズを手に入れた(画像右、グレーの)。
3月6日から5月30日までの17回に渡る山行はすべてこの靴で歩いている。
これがじつに期待以上の足馴染みと歩きやすさなのだ。
ローカットだからという身軽さもあるが、足全体を包み込むようなフィット感があり、それは床の上に落ちている小さなゴミを素足でつまんでゴミ箱にいれることができるくらい柔軟な働きをしてくれるのだ。
ヨーロッパ製の靴、これはイタリア製だが、全体に細身で幅広甲高の日本人の足には合わないとされているが、管理人が昔、履いたことのあるこれもイタリア製のKayLandもSPORTIVA同様、とても履きやすかった記憶がある。
トラバース X4を購入以来、古賀志山を17回、続けて歩いたが、ソールの硬い登山靴と違って岩場で『足の指が使える』のは安心感が大きい。

今日、慣らしで使ったのは同じSPORTIVAのボルダーXという、これもアプローチシューズの範疇なのだが、トラバース X4に比べるとソールがやや硬めなのとかかと部分のパターンが異なっている。
岩場を歩くのに適したアプローチシューズと、石がごろごろした道を歩くのに適した登山靴の堅牢性を同時に追求した設計なのではないかと思う。
重さはトラバース X4の430グラムにたいしてボルダーXは500グラムとそれほど大きな差はないが、それでいてミッドカット、硬めのソールはありがたい。

サイズ選びはトラバース X4と同じEU表示42にした。
SPORTIVAのEU表示42は日本のサイズにすると26.7センチとなり、一般的にいわれているEU42=26.5センチより2ミリ大きい。この2ミリの差が管理人の足に合ってるらしい。
気分的なものだろうが、親指の爪が靴に当たる感触が嫌で素足25センチにもかかわらず、これまで日本サイズ26.5を選んできた。
それでも急な斜面を下る場合や足がふやけてきたりすると爪が接触し苦痛を感じることがある。
トラバース X4にしたらその苦痛が消えた。
足の左右と甲をしっかりホールドしてくれるのと2ミリ大きいおかげであろうと思う。
ボルダーXについては今日の一度だけで評価するのは早計だが、やはりソールの硬さの有効性を実感した。
特に茶臼岳の上り下りは大小の石がごろごろしているため、トラバース X4では石の感触が足裏に伝わり疲れの原因になったことだろう。

これで前から履いているSCARPA(前掲画像のえんじ色の靴・同じのを2足所有)と合わせてすべてイタリア製の靴となった。特に意図したわけではないが。
そして、管理人の今後の登山回数を見込むと手持ちの靴だけで十分、足りる数を確保した。
万一、現役4足の寿命が尽き、足りなくなったときは靴箱にしまい込んだままになっている他メーカー(モンベル、キャラバン、サロモン)の靴を引っ張り出して履くことにしよう。
その頃にはもう古賀志山の普通ルートしか歩けないだろうからね(笑)

※※
自分の足形と靴のサイズについてあらためて考察してみた。
管理人、自分の足形は日本人固有の幅広甲高という思いを長い間、持っていた。
ところが、KayLandやSCARPA、SPORTIVA、MONTURAといったヨーロッパ製(生産国は中国)を履くようになってその考えは間違っているように思えてきた。
なぜか?

ヨーロッパ製の登山靴は細身に出来ていて管理人のような幅広甲高の足には合わないとされている。
ところが店舗で実際に足を入れてみると足全体を包み込むような感触があって素足長より15ミリくらい大きくても靴の中で足が動いたりせず、履き心地がとてもいいのだ。
よほど急な傾斜を下るようなことをしなければ爪が靴に当たることもなく快適に歩けることがわかった(急な傾斜でも靴ひもを締め直せば問題ない)。

そのような経験上、今では管理人の足形は「細身」なのではないかと思うようになった。
いま履いている靴がご自分の足に合わないという方、メーカー国を替えてみるのもアリかもわかりません。
ちなみに上に挙げたメーカーはすべてイタリアです。