刈込湖・切込湖、涼を求めて1700メートルの高原へ

2026年7月21日(火) 晴れ

今年3月、突然、人の話声が聞こえなくなった。
管理人が所属しているガイド仲間の会合に参加した際、すでに数人の仲間が集まっているのに部屋の中がずいぶん静かなことに気づいた。
といって皆、無言というわけではなく、なにかを喋っているのが口の形の変化でわかる。
だが、管理人にはその人らの話している声がまったく聞こえないのである。

その日、管理人は、ガイドツアーで山を歩き終えた後に会合に参加したので、気圧の変化によって生じる耳閉感(耳を塞がれた感じ)が、この日は特に強く感じたのであろうと思った

その日の出来事がこのブログを書いている現在(7月31日)まで続いている、さまざまな不調の前兆であろうことなど、その時点では予想もしなかった。

耳閉感は耳鼻科に行っても治らなかった。
そこで、補聴器の代わりとして使えると評判のAirPodsを購入し、4月の会合に望んだ。

次にやって来たのがなんの前ぶれもなく、意識が薄れることだった。
身体が宙に浮くような感覚とでもいうか、これまで経験したことのない、天国に召されるとはこんな感覚を指すのであろうというような「心地よさ」が頻繁におとずれるようになった。
時間にすればコンマ何秒という、瞬き程度のわずかな時間ですぐに正気に戻るが、家にいるときでも山を歩いているときでも、買い物をしているときでも、運転中でも、頻繁にその妙な感覚に見舞われた。

次に頭の中で大量のセミが大音量で鳴いているような耳鳴りに襲われるようになった。
耳鳴りは24時間(眠りから覚めた直後から聞こえるのでおそらく24時間、続いているのであろう)絶えることなく頭の中に響き、気が狂ってしまいそうな気分が一日中続く。

意識の薄れというか浮遊感は、セミの鳴き声が始まった日を境に激しさを増し、また時間も長くなっていった。
建物の中を歩いているときでも食事をしているときでも、意識の薄れは容赦なくやってきてはそのたびに物につかまって身体を支えたり、箸を持つ動作が止まったりした。
バスに乗って酔ったときのような気持ちの悪さ、あるいはアルコールを飲んだときの酩酊感とでもいうか、とても正気とはいえない不快感だ。

客商売ゆえに日頃から身体のケアは万全にしているつもりの管理人だから、3月から始まった不調はまったくの想定外であり、大きなショックを受けた。
耳鼻科、内科、脳神経内科、眼科、脳神経外科にいっても該当する症例はないといわれ、したがって処置もおこなわれなかった。
自分でも言語化できないような妙な症状ゆえに、いくつかの病院では認知症を疑われた。

救いはあった。
脳神経外科を受診した際、肩と首のコリを訴えたところ、病名不明ながらも薬を処方され、それを服用することでセミは声を潜めるようになり、同時に意識の薄れもなくなった。
肩と首のコリがジージーという強い耳鳴りや意識の薄れとどう関係しているのか不明ながら、処方された筋弛緩薬(エベリゾン)と鎮痛抗炎症剤(インフリー)で改善したのであるから、効果があったのであろう。

ここでふと、そういえば今から10年前、左肩甲骨の内側がひどい痛みに襲われて、整体院や整形外科をハシゴしたことがあった(整体院では酷いめにあったが)。
最後の頼みの綱となる県内有数の総合病院を受診した際、MRIによって、頸椎にヘルニアがあることがわかり、ヘルニアによって左の神経根が圧迫されていることが、画像で示された。

頸骨と頸骨の間にある椎間板が、何らかの原因で押しつぶされて、頸骨から飛び出したのがヘルニアで、それが神経に触れているのだという。

多くは加齢による椎間板の劣化、それから外圧によるものだそうだ。
外圧でいえば高校生の頃に遭ったバイクによる事故が考えられるし、会津駒ヶ岳の濡れた木道でうしろに転倒し、後頭部をしたたか打ったことも考えられる。
ザックの厚みの分、頭がガクンと下がり、その時確かに首が「グギッ」という音を発したのを聞いた。

加齢によるものであれ外圧によるものであれ、いずれにしても管理人の首にはヘルニアがあり、ヘルニアにより神経が圧迫されているのは事実だ。
それが慢性的な首と肩のコリとして現れ、肩甲骨の痛みとして現れ、そして激しい耳鳴りと意識の薄れ、身体のふらつきとして現れるなど、症状が多岐にわたる非常に厄介な病気なのである。

今月になって近くの整形外科(ここでのMRIでもヘルニアが認められた)に通うことになり、首と肩のコリとして処方された神経障害性疼痛薬(ハイペン)を服用している。
幸い、症状は治まっているものの、薬をやめたら症状が現れるのは明かだ。

処方された薬を服用しつつ、首に負担のかかる姿勢(PC操作や山からの下山、調理など)を避ける生活が今の管理人に求められている。

根治するにはヘルニアから神経根を開放してあげることだが、それには高度な技術を必要する手術の他になく、都会の専門医に頼るしかないらしい。
いま、それを調べているところだ。

そんなわけで不自由な生活を強いられている次第だが、上に書いた「首に負担のかかる姿勢」の最たるものが、いまこのブログを書いている姿勢(モニターを見つめながら首と両腕を突き出してキーボードを叩くという動作)といえる。
人の本来とるべき姿勢ではない不自然なことをしているというわけだ。

ブログに必須となる写真を撮るのも液晶画面を覗き込むのに首を前に突き出す姿勢になるし、山の斜面を下るときは足元を注意して見るために首を突き出す必要があるなど、首に大きな負担がかかる。

今のところ薬の効果で治まっているが生涯にわたって薬に頼りたくはない。
今後も山歩きを続けるのであれば手術が可能な病院を探して根治を目指すしか道はないが、患者がいくら病状を訴えたとところで手術の可否を決めるのは医師次第だ。
当面はそんな葛藤をかかえながらの生活が続きそうだ。

なんだかとても暗い出だしとなってしまった。

本題に入ろう。
管理人、先月29日に78歳になった。
これまで長い間、年間3大行事をおこなってきた。
女峰山往復16キロと中禅寺湖一周25キロ、古賀志山大外周り18キロである。
いずれも疲労困憊で終わるという、管理人の体力の限りを尽くしておこなう山行である。

病状がいまより悪化しなければ年内に挑戦することになるだろう。
今日の山行はそのための体力強化と位置づけ、年に数回おこなっているが、症状が発生しないことを祈るばかりだ。

メモ(歩行ログはGeographicaで記録、写真iPhoneで記録した)
・歩行距離:14.6キロ(GPSログをカシミール3Dで処理した値)
・所要時間:4時間38分(写真撮影と休憩を含む)
・累積標高:698メートル(アップダウンのうち、上昇分の累積)

刈込湖・切込湖への起点となる湯元温泉に行く前に、どうしても立ち寄るべき場所がある。
中禅寺湖の華厳滝側だ。
小雨少雪によって水位が1メートル以上も低下している中禅寺湖の様子を見るために立ち寄ってみた。
数ヶ月前と変わってはいなかった。
湖底は剥き出しとなり、足こぎボートはロープで桟橋につながれた状態で湖底の上にあった。


硫黄臭が漂う湯元温泉源泉から歩き始める。
ルートは三岳の麓を右回りに歩いて刈込湖・切込湖を経て光徳温泉に下り、湯元に戻る15キロの高低差の少ない道程である。
不調から脱し切れていない管理人にとって今はこれが限界。


源泉から国道に上がり、そこから三岳周回路を刈込湖へと向かって行く。


休憩ポイントとなる小峠だが、複数ある木製のベンチは古く、霜柱の力で上下を繰り返し、ひしゃげてしまっている。


休憩せずにどんどん歩く。
ここは標高1720メートル付近。
ここから刈込湖まで階段を使って一気に100メートル下る。


刈込湖へのルートは積雪期になると冬道というのが設けられ、そうなると雪が積もって危険な階段路を歩く人はいなくなる。
が、この林が雪の季節、どれほどいい雰囲気に変わるか、味わってみるといい。


階段は全部で12基あり、最後の階段に差しかかるときれいなエメラルドグリーンの刈込湖が見える。


歩き始めてちょうど1時間で着いた。
3連休明けの平日の刈込湖はハイカーの姿はなく静かそのもの。
いい日に来たものだ。


刈込湖をあとに湖畔に沿った道を歩いて切込湖との境まで来た。
刈込湖と切込湖は画像に見える水路でつながっていて、水面の高い刈込湖から切込湖に水が流入する。


涸沼手前に咲いていたクルマユリ。


涸沼展望台
平坦路はここまでで、ここから山王林道まで急斜面を一気に100メートル上がる。


ニッコウアザミ


山王林道と交わると、この先で視界が開け、気持ちのいい笹原となる。


このルートで標高がもっとも高い辺り(1740m)。
風が抜けるので高原気分を満喫できる。


歩き始めてまだ2時間と少しだが、朝食から4時間経ったので、景色を眺めながらここでエネルギーを補給した。
ちなみに今日は肩(ひいては首への)の負担を極小にするため、飲み水1リットルを含めた総重量を3キロに抑えた。


山王峠
笹はここまでで、ここから先は深いコメツガ林となる。


コメツガは密で暗く、足早になる。


ミズナラの林に変わると雰囲気はガラッと変わる。


光徳温泉に着き、案内板にあるハイキングコースは一応、終わる。
ここから路線バスで車を置いた湯元温泉に戻るのが一般向けだが、それだと9キロと物足りない。
距離を稼ぐためにも湯元温泉まで歩くのが管理人のこのルートの使い方だ。


湯元温泉へは車道を使わなくても行くことができる。
とっておきの裏道があるのだ。
ここは逆川が流れる光徳沼。
だが、土砂の流入でもはや沼とは言えなくなってしまった。


逆川の流れに沿って林間を歩いて行くとやがて国道と交わる。
ここはそのすぐ手前、シカが侵入できないようにするゲートである。


ゲートの先で国道を横断するとこんな静かな林間の道がある。
国道に沿っているので迷うことはないし、静かだ。


車道を歩かずに済むようどう工夫しても、この区間700メートルだけは車道歩きを避けられない。
湯ノ湖まで、歩道のない車道の右側ギリギリを歩いて行こう(※)。

11時22分の画像の行き止まりは湯滝駐車場の入口になっている。
この車道に出ず、湯滝駐車場→湯滝展望台の手前にある階段を上がっていけば車道歩きを避けられる。


静かな湯ノ湖に着いた。
ここを右回りでも左回りでも、半周したところが始点となる湯元温泉。
ここでも距離を稼ぐために左回りとし、途中から兎島に入ることにする。


湯元温泉に直行する木道(右)と兎島に入る木道との分岐。


兎島北部から温泉方向を眺める。


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