2026年5月5日(火) 晴れ
管理人が住む栃木県であれば古賀志山が低山ながら面白い。
4キロ四方という狭い山域ながらアップダウンが激しいし、鎖を伝って上り下りする岩壁が多数ある。
地理院地図にあるコースはわずかな本数しかないが、地元の人が古くから開拓してきたルートが100本以上あって、飽きることがない。
ピークがたくさんあるから尾根の縦走が楽しめる。
花の種類でいえば小田代ケ原や戦場ヶ原に匹敵するほどだ。
管理人がこの山に魅了されて13年になる。
いまでこそ訪れることが少なくなったが、かつては他の山に登る合間をぬって、年に30回以上も登ったことがある。
管理人が低山の魅力に取り憑かれるようになったのは古賀志山のおかげと言える。
県内の低山に登るようになったのも古賀志山の面白さを知ってからだ。
県内鹿沼市にも面白い山がたくさんある。
最近のお気に入りは日光市細尾と鹿沼市古峰ヶ原を結ぶ修験道歩きで、往時の面影が残る道を歩いていると、荒れた心が清らかになり癒やされる。
地図に目を戻して、どこかに面白い山はないかと探していると、古賀志山の西、日光市と鹿沼市の境界線上に、ピークに埋め尽くされた特異な地形の山域が目にとまった。
東西に2キロ、南北に4キロという縦に細長い山域で、地図には山名はおろか登山道すら描かれていない。
特異なのはその狭い山域にあるピークの数だ。
数えたら28個もある。
古賀志山でさえ、そんなにないぞ。
全ピーク踏破というのはどうだろうか。
もちろん、踏跡のあるピークという条件付きだが。
興味がわいたので「栃木の山150(随想社)」にある山の配置図で調べてみたが、地理院地図にあるそのピークだらけの山域はどこにも見当たらない。
そこで「ヤマレコ」に頼ってみた。
地理院地図とヤマレコに表示されている地図を重ね合わせて当該の山域を探すと、いくつかの山行記録が見つかった。
なるほどねぇ、390.8m三角点のあるこの山は小倉城山だった。
栃木県勤労者山岳連盟がまとめた「栃木の山150」に掲載されていないので、登れる山ではないと思っていたが、ヤマレコには記録が残されている。
そこまでわかれば管理人には十分である。
登山口と駐車場の情報がわかればそれでいい。
というわけで、ゴールデンウィークではあったが渋滞する道路と反対方向、しかも観光道路ではないので渋滞とは無縁のはずだ。
前日泊まったお客さんを見送った後、出かけることにした。
メモ(地図アプリのGeographicaで記録した)
・歩行距離:10.0キロ(GPSログをカシミール3Dで処理した値)
・所要時間:5時間35分(写真撮影と休憩を含む)
・累積標高:1211メートル(アップダウンのうち、上昇分の累積)
ヤマレコの山行記録にあった登山口と駐車場はすぐ見つかった。
日光例幣使街道JR文挟駅の西側、行川と並行して走る市道(おそらく)沿いにあった。
駐車場は広いとはいえず、せいぜい4・5台。
とはいえ地図に名前のない山だけに登山者で混雑するとも思えない。
穴場と言えば穴場と言えるのではないだろうか。
登山口にある案内板。
所要時間が書いてあって親切ともいえるが、八方館という場所で折りかえすようになっている。
八方館が地理院地図のどこを指すのかわからないが、片道1.5キロ、所要時間同57分はやや物足りない。
まっでも、歩き始めがこんな時刻だし、最近衰えを自覚している管理人にはちょうどいいのかもわからない。
おっ、花が、、、
ツボスミレですね。
この先、期待していいのだろうか。
イノシシ避けの柵に沿って桧林の中を進んで行く。
ミズナラが混じるようになってきた。
いい天気だ。
ミズナラの新緑がきれい。
ベンチのある広い場所に出た。
360m等高線辺りかもしれない。
三角点があるからこれが山頂(城跡)だね。
ここがひとつ目のピーク。
案内板にはここまで30分と書いてあったが24分で着いた。
この先に3つのピークがまとまっているのでそこを目指そう。
2つ目のピークに乗った。
進路は西だが、その前に3つ目、4つ目のピークに挑戦しよう。
地図上は明瞭な尾根だからピークは簡単に見つかるだろう。
進路を北に変え、3つ目のピークを目指す。
岩はチャート(海底に堆積した放散虫の死骸が陸地化したもの)だ。
ここも昔は海底だったのだな。
藪になる手前で3つ目のピークに到達。
3つ目のピークを折りかえして元の道に戻り、予定の進路を進む。
管理人は小倉城山から来て、八方館に向かおうとしている。
4つ目のピークはこの辺りを北に入るわけだが、道標にある「板荷」方向は手前過ぎる。
それに道標が示す方向は沢だし藪が広がっている。
もう少し八方館の方へ歩いてみよう。
4つ目のピークへ続く尾根に乗った。
尾根は明瞭でわかりやすい。
先ほどの「板荷」への道はこの尾根のことだと思う。
無事、4つ目のピークをクリア。
このまま下っていけば板荷という町に出られそうだ。
4つ目のピークで折り返して元の道に戻るとヤマツツジと出合えた。
始めは植生が豊かな感じがしたが、ここまでで見たのはツボスミレとこのヤマツツジだけだった。
登山口の案内板にあった八方館に着いた。
ここもピークだから5つ目ということになる。
ところで、この八方館というのはどんな謂れがあるのだろう。
小倉城に近いこともあり、茶店でもあったのあろうか。
ということで帰宅後に調べてみると、詳しいことがわかった。
https://yogokun.my.coocan.jp/totigi/kanumatadasi.htm
https://www.hb.pei.jp/shiro/shimotsuke/hachibou-date/
こういうことをきちんと調べて公開してくれる人がいるのはありがたい。
ちなみに、「八方館」は「はっぽうかん」ではなく、「はちぼうだて」と読むのだそうだ。
6つ目のピークは「今里山」だった。
鹿沼市今里に近いから名が付いたようだ。
これも地理院地図には書かれていない。
今里山からの縦走路は真南に向かっている。
日光の山ではお目にかかれない、快適な道だ。
地理院地図の標高点372m(7つ目のピーク)脇に送電線の鉄塔がある。
鉄塔のコンクリート基礎に腰をかけ、コンビニ弁当で昼食とした。
古賀志山を思わせる、こんな岩場の細尾根があった。
この辺りまで来て、侮ってはいけない山であることを悟った。
こんな急斜面もあるし、、、
心してかからなくては。
標高点372をさらに南下していくと進行左(東)に8つ目のピークがある。
今日の目的はひとつでも多く、ピークを登ることだ。
進路から外れてピークへ向かう。
なかなかいい眺め。
ピークは東に向けて開けているので、あれは古賀志山でしょう。
あとでわかったのだが、このピークには雷電山という名が付けられている。
なお、このピークから北と南に派生する尾根があるが、どちらも行けそうにはなかった。
ここで折りかえして元の道に戻ることにした。
雷電山を折り返し、岩の際を登って縦走路に戻った。
標高410メートルにある石の祠。
屋根を載せた重厚な造りで南北に細長いピーク上に建っている。
これが9つ目のピーク。
380m付近
同じく380m付近を歩いている。
緩やかなアップダウンを繰り返しているが、標高は変わらないという、なんとも不思議な感じだ。
標高点473を目前にして、左側(東側)に巨大な壁が見える。
今日、予定しているルートは標高点473から東に向かうのだが、まさかあの壁が進路ではあるまいな。
不安が生じた。
10個目のピーク、三等三角点473に着いた。
「次石山」という山名板が見える。
山頂は広く、たおやかだ。
屋根を木の枝で支えた石の祠がある。
昭和8年とあるから今から93年前(1933年)に奉納されたものだ。
さてと、ここで進路を東に変えて下山するとしよう。
今日予定しているルート上のピークは残り3つ。
下山地点との標高差は280メートル。
時間が時間だし、慎重に下りましょう。
次石山から次のピークへ向かうとすぐ、道が不明瞭になった。
これまでとは様子が違うことに戸惑う。
次石山を東へ下り、次のピークに向かっているときだった。
このコブを乗り越えると410m等高線で、そこが鞍部になる。
その鞍部は次のピークに差しかかるまで平坦、と地図で読める。
その読みは正しいはずだ。
だが予想もしない落とし穴があった。
いま管理人がいるのは410m等高線の上で、次のピークが始まるのも410m等高線。
だからそれまで平坦な鞍部を歩けるはずだったのだが、その鞍部に起伏が隠されていたのである。
地図ではわからないが、起伏は10メートル未満の緩やかなアップダウンの場合もあれば崖の場合もある。
そこは「崖」なのだった。
悪いことに踏跡が見つからない。
岩の崖だから踏跡がつかないとはいえ、誰も歩いた形跡がないことに戸惑いを感じた。
スマホに表示される現在地を確認し、そして次のピークの方角を確かめたが、間違ってはいない。
どういうことなんだろう。
時刻は15時を大きく過ぎた。
戸惑いは焦りに変わった。
日没にはまだ3時間あるにしても、崖を目の前に、大いに焦った。
管理人も知らない山だし、低山とはいえここに来るまでに出合った登山者は年配夫婦1組だけだった。
なにかことがあったら、発見されるはいつになるのかわからない。
行程の2/3まで来たんだよ、道がないなんてそれはないだろ~。
「またも高齢者が遭難」などというニュースの見出し(ただし、ローカル版に小さく)が頭をよぎる。
そんなことになったら、恥ずかしくて生きていけないというものだ。
ここは絶対に無事に帰らなくてはならない。
まっ、我が家から近いし、その気になればいつでも来れる。
ここで折りかえすことにした。
「三十六計逃げるに如かず」だ。
折りかえして数メートル歩いたところに、崖を回避して沢へ向かう斜面があった。
おそらくそれがルートであろう、そう思った。
次はそのルートを反対側から辿ってここへ来てみよう。
次石山に戻った。
これから先は来た道を戻るだけだ。
標高点372を通過
おっ、フモトスミレちゃんだ。
可愛い!
標高360m付近
板荷への標識前を通過
小倉城山を通過
桧林の中は暗い。
が、ゴールは間近だと思うと安堵する。
ほっ、車が見えた。
残り1/3というところまで来て崖に阻まれて撤退を余儀なくされたが、無事に生還できた。
この教訓を次に生かし、全ピーク踏破を目指すことにしよう。

