古賀志山で見る花たち(2021/03/18)

2021年3月18日(木) 快晴

今日見た花
エイザンスミレ、タチツボスミレ、シュンラン、ヤマツツジ、キクザキイチゲ、ショウジョウバカマ、セリバオウレン

シリーズもの、「古賀志山で見る花たち」は4年目を迎え、今日が今年の初日にあたる。
これからの古賀志山は咲く花が毎週入れ替わり、それを観に行くのが楽しみでありまた、忙しくもある。
今年は管理人の冬の収入源であるスノーシューツアーがコロナ禍と大雨、フィールドの高温化で奮わず、2月末をもって終了した。
そうなるともはや、日光の山へは目もくれず、古賀志山に咲く花の探索をいつスタートするか、そのタイミングを計ることに気持ちを切り替える。

同じ山に何度も繰り返して登る傾向のある管理人は、一度の山行で100枚以上の写真を撮り、GPSのログを残し、それらを元にブログに記録することを習慣としている。
それによって、前年の今頃はどこにどんな花が咲いていたかが即座に分かる。

自然の妙というべきか、植物は古賀志山山域という、日光の山岳に比べれば決して広くないエリア内でも標高や日当たり、土壌の違いなどの要因によって生育エリアが決まっていて、割と広範囲に分布する植物もあればごく狭い範囲にしか分布しない植物もある。

昨年2020年は3月15日が探索初日だった。
お目当てはシュンランとショウジョウバカマだった。
この2種類は生育範囲が限られていてその場所は少ない。
管理人が知るところ、シュンランは1箇所のみ、ショウジョウバカマは2箇所だ(※)。

その前年、2019年は27日が初日だったが昨年は3月の気温が高く、開花が早まるだろうと予想して10日ほど早めに探索に出かけたわけだが、その予想はピタリと当たった。
まさにシュンランとショウジョウバカマの見頃に出会えたのである。
こういうときは競馬で大穴を当てたときのように実に嬉しい(ちと違うか?)。
今年も昨年同様、3月になって気温の上昇が見られたので快晴予報の今日、運動不足解消も兼ねてノコノコと出かけた次第だ。

※探せばもっとあるのかもわからないが、道沿いにある生育場所という意味。

・歩行距離:11.2キロ(GPSログをカシミール3Dで処理した値)
・所要時間:4時間50分(写真撮影と休憩を含む)
・累積標高:891メートル(アップダウンのうち、上昇分の累積)

好天も今日までで週末は雨の予報だ。
そのためか森林公園の駐車場は賑わっていた。
といってもこれらがすべて古賀志山に登るハイカーの車というわけではなく、公園内を散策する人や釣りを楽しむ人、レンタサイクルに乗る人など、この公園は様々な利用のされ方をしている。
ちなみに、一番手前の車がジムニーから替わったエブリイ。
4ナンバーの軽貨物車である。
これからの山行の足として、寝床として活躍してくれるだろう。


今日はシュンランとショウジョウバカマの探索が目的なので、古賀志山の登山口へは向かわず、ここを右へ入って長倉山ルートをとる。


駐車場の脇が登山道というのがいい。


登山道に入るとすぐ、エイザンスミレの出迎えだ。
古賀志山にスミレの種類は多いがエイザンスミレは葉っぱに深い切れ込みが入っているので素人の管理人にもすぐに分かる。


急斜面を登り切るとやや平坦な道に変わる。
シュンランはこの辺りから始まる。
面白いのはシュンランは道の左側にしか生育していないことだ。
だから目を左右にキョロキョロさせながら歩かなくて済む。


まだ咲いたばかりとみえて花弁の形がはっきりしない。
また、株が少ないように思えた。
昨年は15日だったがもっと花らしかったし、株も多かった。


ヤマツツジだがこれは狂い咲きといっていいだろう、咲くのが早すぎる。


シュンランの生育地をあっという間に過ぎ、長倉山に達した。
ここを下って次のショウジョウバカマ生育地に向かう。


山頂を北に向かって下るとアスファルトの林道と出合い、そこにキクザキイチゲがほんの少しだが生育している。


おぉ、今年もお目にかかれましたぞ。
わずか30センチ四方という極狭の範囲に11個の花が咲いていた。


全身真っ黒の鳥が林道脇を流れる沢にある桧の根元に入っていった。
どうやらそこを巣としているらしい。
名はカワガラス。
水辺に巣を作って生活している小型の鳥だ。


これから夏の終わりまで、どこででも見ることができるタチツボスミレ。


ショウジョウバカマは健在だった。
咲き始まったばかりの初々しい姿と対面できた。


正面から。


ショウジョウバカマが終わるとこの時期、もう花とは出会えない。
これから少し距離を稼ぐため先ず、大岩に登りそれから鞍掛山まで行ってみよう。
大岩~鞍掛山ルートは南から登り南に下りるのがガイドブックにあるルート(地理院地図にルートはない)だが、数年前にルートのない北斜面から登ってみてその厳しさに快感を覚え、病みつきとなった(笑)。
以来、ショウジョウバカマを探索に来たときは北斜面から登るようにしている。


尾根からの展望は抜群で男体山から始まる日光連山が一望できるだけでなく、白根山やその南にある錫ヶ岳、福島県境の帝釈山と田代山まで見渡せる。


大岩直下の急斜面を前に息を整える。
ここからは滑落しないように木の幹を順手、逆手でつかんだり、細い草木だったら幾本かをまとめてつかんで身体を引き上げていく。
脚の力だけでは到底登れない。


なんとか無事に大岩の上に立つことができた。
尾根に取り付いて約30分かかった。


時間もいい頃なので正面の古賀志山と宇都宮市街の展望を楽しみながら昼メシとした。
450キロカロリー、炭水化物たっぷりのコンビニ弁当で腹を満たす。


30分という長い昼休みを終えて歩き始めた。
大岩のすぐ西側にある鞍掛山は展望がないので写真を1枚撮っただけで先へ進んだ。


シゲト山を下り猪倉峠を過ぎると長い上り傾斜となる。


道はここで北尾根コースに合流する。
右へ行くと手岡峠を経てピーク559、古賀志山へと行くが、距離が長いため管理人の今の体力では行き倒れとなる恐れがある。
ここは安直に長倉山に戻る北尾根コースを行こう。


カメラの位置からわずか850メートルしか離れていないにもかかわらず、4つのピークが1枚の写真に収まってしまうという箱庭的なコンパクトさが古賀志山(山域)の面白いところだ。
右から大岩、鞍掛山、ピーク448、シゲト山。
短い距離で4つのピークがあるということは、その数だけアップダウンもあるということ。こう見えて箱庭といえど厳しいですぞ!!


細野峠に下りると林道と合流する。
林道を突っ切ると再び山道となり長倉山に至るが、ここも安直に、苦労せずに駐車場に戻れる林道を行くことにした。
スミレを期待したが一輪も見られず。


林道はやがて細野ダムに差しかかる。
水の色がきれいだ。


駐車場の北にある赤川ダムの畔を歩く。
ここのシンボルとも言える大きな枝垂れ桜。
今年はいつ咲くのだろうか?


蕾をびっしりつけ、開花を待つ枝垂れ桜。
あと1週間もすれば咲きそうな感じだ。


車に乗り込み別の場所に移動。
日光市との境界まで来るとセリバオウレンの群落地がある。
日も差さないような薄暗い林間に咲くセリバオウレンはそこだけがスポットライトを受けて光っているように見えた。