弁天岩西斜面探索その3(C尾根→松島コース)、花も堪能。

2020年4月15日(水) 晴れ

8日に弁天岩西斜面の無名尾根(D尾根)を探索した後は、コロナを逃れて日光に滞在しにきている孫を連れてのハイキングとスポーツジム通いなどで忙しく、探索が1週間空いてしまった。

弁天岩西斜面に4本の尾根があるのは地図でわかる。そのうちの2本は「西尾根」、「松島コース」と名がついていて(といっても地図に名が描かれているわけではなく、地元での通称)登山者に利用されていることがわかるが、2本は無名の尾根だ。

古賀志山山域に100以上あるとされるバリエーションルートのすべてを歩き尽くすことを目標にしている管理人は、松島コースの他に無名尾根も未踏であり、それを実踏したのが今月8日だった。
松島コース→西尾根
D尾根→松島コース

4本の尾根のうちもっとも北に位置するD尾根は松島コースに合流するまで岩はなく、やや拍子抜けといった印象だったので、残ったC尾根に期待を込めて実踏する機会を窺っていた。
暴風雨が収まったと思いきや翌14日は強風が吹き荒れてとても山歩きどころではなかったが、その風も夜には収まり、今日15日は絶好の探索日和となった。

さっそく探索に行きたいところだがなにしろこの時期の古賀志山山域は花盛りであり、欲張りな管理人は尾根の探索だけでは足りず、花の探索にも時間をたっぷりかけたい。
そこでC尾根の他に花を探索するためのルート設定も重要になってくる。
西尾根も松島コースも距離が短く、目的地とする弁天岩へはのんびり歩いても2時間半で到達してしまう。
したがってそれ以外の時間を花の探索に充てるためルートがかなり複雑になってしまった。

C尾根探索の他に目標としたのは、そろそろ満開になっているであろうニリンソウと数が少ないチゴユリ、咲き始めているであろうヒメイワカガミを探すことである。
スミレもこれまで見てきたのとは異なる種類が咲いているかもわからない。
それらを網羅すると広範囲に歩き回るのは致し方ない。
まっ、とにかく期待して出発しましょ。

今日の接触者
・コンビニ(店員の他に客ひとり)
・弁天岩で女性を案内してきた年配男性と挨拶、他に女性3人グループ(挨拶なし)
・北主稜線で6人とすれ違う(挨拶のみ)

メモ
・歩行距離:8.9キロ(GPSログをカシミール3Dで処理した値)
・所要時間:6時間9分(写真撮影と休憩を含む)
・累積標高:1057メートル(アップダウンのうち、上昇分の累積)

最近よく利用している林道内倉線の広場。
古賀志山を歩く際の定番となる宇都宮市森林公園に行くのに比べて15分の短縮になる。
先着の車は5台あった。
ここから古賀志山や御嶽山に行くにはあまりにも時間がかかる。
おそらく管理人以外は山菜採り目的に来ているのだと思う。
この時期は油漉し、じゃなかったコシアブラが旬なのだ。
天ぷらが美味いらしい(放射能は大丈夫なんだろうか?)。


この林道沿いに驚くほどたくさんの花がある。
これはどこにでもあるタチツボスミレ。


ニリンソウもあるだよ。


アカフタチツボスミレ


マルバスミレ
これは後からもたくさん見かけた。


マルバスミレの特徴がこの「毛」。
花柄にも葉っぱにも密生している。
毛が生えていることから以前はケマルバスミレと呼ばれていたが、毛のないマルバスミレの方が少ないことから現在は、毛があってもなくてもマルバスミレと呼ぶらしい。


カキドオシ
シソ科の植物でどこにでも生育するためどちらかといえば雑草としてじゃま扱いされている。


モミジイチゴ


今日は歩き始めて間もなく分岐するここを入ってみよう。
腰掛岩へのルートに合流する。


5ミリに満たない小さな花をつけるツボスミレ


おぉ、見つけましたぞ、チゴユリ様。
稚児百合と書くから、将軍に可愛がられたお稚児さんに例えてつけられた名だと思う。
この一角にたくさんあったが花が咲いているのは二輪だけだった。


ヤマツツジ


花ではないがミズナラの未生。枯れ葉もミズナラ。
ミズナラはクマの好物であるドングリが成る木だが、幸いにして古賀志山山域はまだクマの侵入はなく安心して歩ける。


咲いたばかりのトウゴクミツバツツジ。


腰掛岩直下の鎖場。


腰掛岩に到着。
ここは展望がいいのでひと休み。


腰掛岩には数本のヒカゲツツジがあるが花はもうほとんど枯れて数個見るだけとなった。


腰掛岩、鳥屋山を通るルートは馬蹄形ルートの一部で、このまま進むと鞍掛山あるいは古賀志山に行く。
このへんで元の林道に戻るため南下したいのだが、、、
馬蹄形ルートはここを左斜め(北東)に下るように道があるが南下するにはどうすればいいのかわからない。


とりあえず尾根の突端(上の画像)を降りてみることにした。
そこは危険がいっぱいだった。
踏跡もなかったからおそらく他に道があるのだと思う。


なんとか正しい道に出ることができた。
目印となる237号鉄塔の下をくぐる。
ちなみに、管理人はこの鉄塔が237号であることを事前に知っているわけだが、知らなくても差し支えない。
尾根はこの画像の通り鉄塔の真下を南北に貫いている(南へ下っている)ことから、地図(もちろん、地理院地図)で該当する場所を探せばどこにいるのかがわかる。


はっきりした尾根道でとても気持ちよく歩ける。


ここで林道内倉線に合流。
駐車地から20分も歩けばここに来られるが花を求めて1時間半を費やした。


ヤマブキ


数分歩くと林道の分岐に差しかかる。
右へ行くと西尾根と松島コースの取り付き点に行けるが、今日はここを左へ入ってC尾根の取り付き点を探したい。


桧林を右に見ながらどこから入るべきか探す。
藪化しているため奥が見通せないが目印らしきテープがあった。
GPSで現在地を確認すると尾根に乗るにはここがちょうどいいようだ。


目印はあったが斜面は深い藪だ。
利用されている形跡はないがとりあえず上に向かって進んでいく。


藪は途切れて遠くが見通せるようになった。
GPSで現在地を確認するとここがC尾根の上であることを示していた。


C尾根は岩もないまま終わって松島コースと合流した。
取り付き点からここまで30分だった。
D尾根を歩いたときのような拍子抜けするルートだ。


次はニリンソウ目指してこのまま弁天岩に向かうことにしよう。


この岩は左から巻くことが出来るが今日は岩の上を歩いてみた。
特に危険はない。


前回は緊張していたためかこの岩とロープの存在に気づかず、左に巻いたところかえって危険な目に遭ったがこの岩を上がるのが正しい。


ここは1メートルほどのギャップがあるので、よほど足が長い人でない限り岩に取り付けられた鉄製のアングルを利用すべきだ。巻き道はない。


イソギンチャクの触覚を思わせるような花。
念願のヒメイワカガミである。
古賀志山山域であればどこででも見られるので珍しいとは言えないが、こうして一年ぶりに対面できるとやはり嬉しいものだ。


ロープがついていない岩もある。
地上からの高さは2メートルほどだが飛び降りるわけにもいかず、慎重さが求められる。


最後の難関がこの5メートルの垂壁だ。
ロープを使わず降りられるというレベルではない。ここはロープをしっかり握って時間をかけて降りたのはいうまでもない。


降りて振り返ったところ。
ここをロープを使わずに上り下りできるような日は来るのだろうか?


垂壁を降りると目の前に大きな岩が立ちはだかるので上ると西尾根と合流する。
これで難関はクリアできた。
あとは岩尾根を伝って行けば弁天岩に着く。


古賀志山を目の前にしてホッと一息。
そういえば古賀志山山域は頻繁に来ているが古賀志山には登ってないな。


こんな岩場が歩きやすいと感じてしまうのが西尾根そして松島コースのすごいところだ。


まだ蕾がたくさんあるアカヤシオ。


無事に弁天岩に到着。
今日はC尾根探しと松島コースの岩場歩きで緊張のしっぱなしだったので腹が減っていることさえ忘れていた。
ここでのんびり昼メシを食べよう。


13日の暴風雨は山では大雪だったらしく、日光連山は3月並の冠雪となっている。


あんぱん2個を残して平らげた。


弁天岩から先は手岡分岐に向かって北主稜線を北上する。
まずはこの岩を降りる。
ここは何度も経験しているので鎖を使わなくても大丈夫だ。


岩を降りたところの分岐を左へ行く。
直進するとすぐ班根石山(ピーク559)。


このルート(おそらく北主稜線だと思う)も他と同じように変化に富んでいて面白い。


ピーク540手前の明るい林を上がって行く。


マルバスミレ ヒメスミレサイシン


ツボスミレ フモトスミレ


ピーク540手前に来て左に踏跡を見つけた。
ニリンソウの群生地に行けそうなので降りてみることにした。


ヒメイワカガミ
明瞭だった踏跡はここから数分後には不明瞭となり、40度もある傾斜を下る羽目となり、失敗を悟ったときには戻るに戻れない深みにはまっていた。


立木に捕まりながら急斜面を降りきり、なんとか無事にニリンソウの群生地にたどり着く。


今日はとにかくマルバスミレが多かった。


ニリンソウはちょうど見ごろを迎えていた。


ひとつの株に2つの花をつけるのがニリンソウの名の由来だが、3つの花をつけるニリンソウもあった。


群落と言うに相応しい数のニリンソウだ。


もう1枚


ヒゲネワチガイソウ


セントウソウ


マルバスミレ


カタクリがまだ花をつけていた。


いつまで見ていても飽きないがそろそろ帰る時間になった。


先月11日に見たセリバオウレンがその後、どうしているかを確認するため群生地に寄ってみた。
ひと月経過して当然ながら花は終わっていて種が出来ていた→花の写真


種のアップ


キジムシロ


キジムシロのアップ
花はミツバツチグリとそっくりで、葉っぱも似ている。
見分け方は葉っぱの数。
やや乱暴な見分け方になるが、三菱のマークのような3枚葉がミツバツチグリで、3枚葉のすぐ下に2枚または4枚または6枚横に出ている(計5~9枚)のがキジムシロ。
また、キジムシロの葉は地面を這うように伸びる(むしろ状に)。


スミレ(という名のスミレ)


ハナニガナ オニタビラコ


駐車地の車は2台に減っていた。
はたしてコシアブラは収穫できたのだろうか?


C尾根を実踏するのに加えて花を探索するため、かなりエキセントリックなルートになった。
林道に戻るのに鳥屋山の先を南下するルートを選んだが、ルートの入口がわからずかなり危険な思いをした。
もっと安全なルートがあるはずなので、次の機会に逆ルートを辿って見つけたい。
ニリンソウ群生地へ行くのにP540の手前で進路を西へ変えたのは失敗だった。急傾斜をズルズル滑りながら下ることになった。
P540の先、手岡分岐の手前まで行って南下するのが正しいように思える。


これで弁天岩西斜面の尾根4本を実踏したことになる。
C尾根とD尾根は岩場がないまま松島コースに合流することがわかったが、面白みの観点からは西尾根と松島コースに遠く及ばない。