弁天岩西斜面探索その1(松島コース→西尾根)

2020年4月8日(水)am 晴れ

先月から「古賀志山で見る花たち」のタイトルでブログを続けてきたが、緊急課題が発生したため花の探索はお休みにして、今回は久しぶりに山歩きの記事でも(笑)
もちろん、花の情報も忘れてはいない。

去る3日、富士見峠から林道に下りその後、西尾根で弁天岩に達したとき、管理人がこれまで味わったことにない新鮮味と爽快感を味わったのはブログに書いたとおりだ。→こちら

一昨日(6日)、内倉林道奥のニリンソウを観に行くときに、歩き始めてすぐ前方に奇妙な形のピークを見て、方向から察して弁天岩に違いないと確信した。
帰宅して地図ソフト「カシミール3D」を使って地図を立体化してみたところ方向、姿形からそれは間違いなく弁天岩であった。
実物は木々に被われて尾根を目視できないが、カシミール3Dを使えば地図の尾根が画面上に立体的に描画され、いやでも管理人の興味をかき立てることとなった。→こちら

怖いもの見たさ(実際に怖かったが)への気持ちを抑えきれず、この時期のライフワークとしている花の探索を中断し、あの「頂」に、3日とは別のルートで行ってみることを課題にした。
だって、あの弁天岩の姿を見てしまったら、その懐に飛び込んで自分の目で確かめないわけにはいかないでしょ。

このルートでの接触者
・コンビニ(店員と・客は少ない)
・弁天岩で年配男性と5分ほど立ち話したのみで他に誰とも出合わず

メモ
・歩行距離:5.3キロ(GPSログをカシミール3Dで処理した値)
・所要時間:3時間29分(写真撮影と休憩を含む)
・累積標高:715メートル(アップダウンのうち、上昇分の累積)

砂防堰堤の工事が終わった内倉林道の駐車スペースに車を置いて林道を歩き始めた。


林道は工事用の大型重機が進入できるように拡張された割には植物が多く見られる。
これはミツバツチグリ ヘビイチゴ。


タチツボスミレ


クサイチゴ
背丈の低い種類で赤い実がなる。


なんとなんと、こんなところにもニリンソウがあるではないか。
いままで数回歩いているが今日初めて気がついた。


ミツマタ


見えてきたぞ。
あの奇妙で近寄りがたい姿形のピークが弁天岩である。
管理人、あの上には何度も立っているがほとんどが班根石山(ピーク559)から向かっている。
そうするとあの形のことなどまったく意識せずにトップに立つことになる。
その裏の顔を見せるのが弁天岩西斜面ということになる。


スミレ

車が通れる(ただし、工事車両のみ)最後まで行くと2015年の豪雨で崩落した斜面がある。
その真下の空き地に咲いていたヒナスミレ。
花が全体的に淡紫色で唇弁の先が少し尖り、側弁基部が有毛。
距は長く花と同色で有毛でなおかつ植物体全体が有毛という特徴がある。
※2021/04/29追記


内倉林道は分岐を繰り返す。
最初の分岐を右、次の分岐を左へ行くと小さな橋(三本枕木橋)と出合う。
この手前左に斜面を上がる道があり、それが西尾根。
ちなみに橋のすぐ先に御用済みの重機が放置されていて、この林道を歩く際の目印になる。


これが西尾根だが今日は「松島コース」を歩いて弁天岩に行くつもりなのに、斜面を上がる道は林道沿いにこの1本しかない。
NPO法人「古賀志山を守ろう会」がネットで公開している地図によると、松島コースはこの道から分岐していることが読み取れる。
ということはどこかに分岐があるはずである。


なんだ、5メートルも歩くとリボンが見つかった。
3日に歩いているがこの分岐は気がつかなかった(リボンはなかったような)。


地図によると、西尾根は東へ向かっているが松島コースは斜面をトラバースしながら北に向かい、途中で尾根に乗って東へ向かうようになっている。


ここで進路を東に変えて桧林の斜面を上って行く。
ちなみにこの尾根は西尾根とほぼ並行して弁天岩に向かっている。


さっそく岩場が始まった。
松島コースは管理人未踏のルートなので楽しみ半分、怖さ半分といったところ。
緊張感をもって上がって行く。


アカヤシオ登場。


次はトウゴクミツバツツジ。


アカヤシオとトウゴクミツバツツジは花の色が近いので遠くからだと間違えやすい。
きわだつ違いはアカヤシオが花が終わってから葉が出るのに対して、トウゴクミツバツツジは開花と同時に葉が出る(この画像)。葉の数も5枚と3枚という違いがある。


ヒカゲツツジ


岩は連続してあり、地面を歩くことの方が少なくなった。


トラロープが下がった岩があったのでなんの疑問も持たずに上がったところ、行き場がなくなった。降りたのはもちろんのことだ。


正解はこちらだった。
岩を左へ巻くようにして進むのが正しい。


次の岩も巻いたつもりだったのだが、、、


そこは踏跡もなく、つかめるような木もなく非常に危険な場所であった。


ここまで来て、目の前にロープの支点が見えた。
正しくはあのロープの下から上がってくるのだと知った。
9:47の画像のロープではない。


次はこの岩。
足下からこの岩まで1メートル以上あって短足の管理人には足が届かない。


落ち着いてよく見ると中段に鉄製のアングルが取り付けられていて、そこに右足を載せるようになっているらしい。
もちろん、ありがたく利用させてもらった。


岩を降りるとヒメイワカガミがあった。
すでに蕾をつけていて来週には咲きそうな感じだった。


岩、岩、岩の連続。
ところでこのコース、先ほどから松の木が多いのが気になっていたが、「松島コース」の名の由来はこのことからきているのではないかと思った。


次は岩の基部を回り込むようにしてトラロープがつけられているのでロープをつかんで進んで行ったところ、、、


うひゃぁ、なんだこれは、と思わず叫び声をあげた。
落差およそ5メートルの垂壁だ。
これほどの岩は古賀志山山域に数多くある岩の中でも少ない。
で、ここを降りろというのか?
う~ん、ここは十分考えなくてはならないぞ。
落ちたらかなり痛い?
いやそんなものでは済まないだろう、新聞ネタになるはずだ。
「高齢ハイカー、実力不相応の岩場で滑落し意識不明」と。
慎重を期して時間をかけて降りたのは言うまでもない。


降りて振り返って見た垂壁。
古賀志山山域の岩としては難易度トップレベルだ。
鼓動の高鳴りがまだ続いている。


垂壁を降りると目の前に別の大きな岩が待ち構えていた。
どうすれば先に進めるのかわからず、左に巻いたところ、行き止まりだった。
この踏跡は管理人のように途方にくれた人たちがつけたものだった。
なんのことはない岩に突入すればいいだけだった。


ここで右から来ている西尾根と合流した。
弁天岩はもうすぐだ。


弁天岩目前。


西尾根をはるかに上回る難易度ながらなんとか無事に弁天岩に到達できた。
それにしてもあの垂壁の下りは怖かった。
鼓動の高鳴りが静まるまでここでゆっくりしよう。
さてこれからの行動だが、今日は弁天岩西斜面の探索を目的にやってきた。
できれば4本の尾根すべてを経験したいと思っている。
それをどうすれば効率よくできるのかが問題だ。
この時間から出来ることとして、西尾根または松島コースのどちらかで下り、次に無名の尾根でもう一度、弁天岩に上り、西尾根または松島コースのどちらかで下りる、そんな周回コースを考えた。
ただし、2本の尾根のうちの1本、C尾根は存在がわからないので探すのは後日とし、今日はこれからもっとも北に位置するこれも無名のD尾根を探索してみたい。
したがって、これから西尾根で林道まで降りて次にD尾根で弁天岩に上がって松島コースで林道に降りるという設定にすれば3本の尾根を周回することができる。
よしっ、さっそく行動しよう。
あんパンで小腹を満たして下山することにした。


西尾根も松島コースもこれまで見たとおり、ツツジが多い。
アカヤシオにヒカゲツツジ、トウゴクミツバツツジ、ヤマツツジとツツジのオンパレードだ。
古賀志山にないのはシロヤシオだけ。


松島コースとの分岐を過ぎると岩ではなく、地面が多くなる。


アカヤシオ
これまで何本のアカヤシオを見ただろうか。
しかし飽くことなくその美しさに魅入ってしまう。


一枚岩を慎重に下りる。


始めから終わりまで岩ばかりの松島コースに比べると西尾根は楽しく感じられてしまう。


ヒカゲツツジ


ここで明るい広葉樹林帯から桧林に変わる。


モミジイチゴ(キイチゴ)
黄色い甘い実をつけるアレですね。


エイザンスミレ


林道に舞い降り、初めて歩くルートで不安はあったが松島コースから西尾根への周回コースは終わった。
その2へ続く。