古賀志山で見る花たち(2020/04/03)

2020年4月3日(金) 晴れ

今日見た花
ニリンソウ、エイザンスミレ、カタクリ、タチツボスミレ、ハナニラ、ヤマツツジ、ヒカゲツツジ、アカヤシオ、トウゴクミツバツツジ、アカフタチツボスミレ

例年よりも早く、3月1週目から始めた古賀志山の花の探索は今回で9回目となった。
ということは週に二度、古賀志山に通っているわけだが、管理人をしてそこまで駆り立てるのはひとえに、たぐいまれな植物の宝庫として大きな魅力を古賀志山に感じているからである。

管理人が住む日光も植物の多さでは負けていないが、広範囲に歩き回る必要がある。それに比べて古賀志山はわずか数時間で何種類もの花を楽しめるのが魅力であり、日光全域の植物をギュッと凝縮した箱庭を歩いているようで、花好きにとって堪えられんのです。
ヒカゲツツジやヒメイワカガミなど日光では成育していない植物、日光では少ない植物を見ることができるのも古賀志山の魅力と言えましょう。

もうひとつ、多くのバリエーションルートがあって歩く楽しみがあるのも古賀志山の大きな魅力といえる。これは山頂まで1本の道が続く日光では体験できないことだ。
朝9時過ぎから歩き始めて、バリエーションルートと花を存分に楽しんでも夕飯に十分、間に合うというお手軽な(一方で危険性の高い)山、古賀志山を形容するならそんな言葉が最適かも知れない。
願わくば古賀志山がもっと近く、20分以内で行ければなと思う。
出来ることなら花の季節はすぐ近くに移住したいとさえ思っているほどだ(笑)

今日の接触者
・コンビニ(店員と・客は少ない)
・北コースの水場で「古賀志山を守ろう会」のメンバーのひとり、Hさんと5分ほど立ち話。
・弁天岩への上りで、下ってくる人ふたりとすれ違う(時間差あり)。
・他は5~10メートルの距離あり。

・歩行距離:11.2キロ(GPSログをカシミール3Dで処理した値)
・所要時間:5時間35分(写真撮影と休憩を含む)
・累積標高:1233メートル(アップダウンのうち、上昇分の累積)

お決まりの赤川ダム堰堤からの古賀志山全景。
この画像を載せないとブログが始まらない(笑)


今日は古賀志山へ行くもっともスタンダードな北コースを歩く計画を組んで臨んだ。
歩き始めるとすぐ、愛らしい花たちと出会えるのである。


31日はまだ蕾だったニリンソウが開いた。
真っ白な花でなんとも言えない愛らしさ。
花の柄の根元に小さな蕾があるのがわかるだろうか?
1本の茎にふたつの花が咲くのでニリンソウなのだが、一輪目が先に咲き、二輪目が後から咲くのが特徴で、順番を待つその奥ゆかしさ、礼儀正しさが愛される理由だ(って、独断も甚だしいが)。


エイザンスミレ
我が地元、日光で見ることは稀だが古賀志山山域ではごく普通に見られる。


カタクリはまだ健在。
これは咲いたばかりだ。
左は蕾をつけたニリンソウ群。週明けにはいっせいに開花するだろう。


水場の先で小沢(膳棚沢というそうだ)を渡る。
写真を撮り忘れたがここでNPO法人「古賀志山を守ろう会」のメンバー数名と遭遇した。
斜面に倒木があっていまにもコース上にずり落ちそうなのでそれを処理しに来たそうだ。他の場所にも危険な倒木があるのでこの後、向かうらしい。
老若男女、誰にでも安全に古賀志山を楽しんでもらうことを使命とし、活動している同会に敬意を表して管理人はこの場を去った。


タチツボスミレ
この花の個体差は大きくて、顕著なのは花の色だ。
白に近いものから紫色までさまざまだが、花や葉の大きさと形がほぼ同じなのと、山域のどこででも成育していることでタチツボスミレだとわかる。


通称「広場」に着くと見慣れない花があることに気がついた。
古賀志山では初めて見る花だ。
帰宅して調べると「ハナニラ」だった。
南米原産の帰化植物で繁殖力は非常に強いとある。
帰化植物というからにはもともと古賀志山山域には存在しない植物に違いない。
だれかが厚意で植えたのかも知れないが在来植物を脅かすことのないよう祈るばかりだ。


春の雨と先日降った雪で土壌は水をたっぷり蓄え、しみ出た水がコース上を流れている。
200種類もの植物が育つのはこうした自然の恵みがあってこそのものだ。


29日に降った雪の重みで折れた杉の木の枝。
枝は直径10センチはあるというのに南岸低気圧の重たい雪に耐えられなかったのであろう。


富士見峠に着いた。
ここを左へ行くと古賀志山だが今日は班根石山(通称、ごーごーきゅー)に咲くヒカゲツツジを見るのが目的なので右へ、、、
というのが普通だが、それだとゆっくり歩いても1時間弱で着いてしまって面白くない。
そこで右でも左でもなく、このまま直進。


適度に日が差し込む桧林の中をどんどん下っていく。


やがて林道と交わり、左に地理院地図に描かれていない小さな沢、おそらく白石川の源流だと思う、がある。
そこは「小マラ岩=小マラ尾根」への分岐だ。
4年前と5年前の恐怖体験が甦った。→2015年2016年


林道を少し進むとお役御免になって放置されたままになっている重機があるのでその先を右へ上がる。


細かった道は間もなく広く明るい斜面に変わるのでどんどん上がって行く。


桧の植林地を過ぎると広葉樹林帯に変わった。
なんとも快適な小径ではないか。
前方に1本のヒカゲツツジが見えた。


形容しがたいほどに美しい。


ヤマツツジに、、、


開いたばかりのトウゴクミツバツツジに、、、


アカヤシオまで、、、
ツツジの宝庫じゃ、このルートは!!
と感嘆していられるのもここまでだった。


目の前に立ちはだかったのは鎖もロープもない巨大な岩であった。
もしかするとここは管理人が初めて歩く尾根なのだろうか?


岩をひとつクリアするとすぐまた大きな岩が立ちはだかる。


いくつもの巨岩を乗り越えるとようやく普通の岩場に変わり、歩きやすくなった。


アカヤシオ


おぉ、見覚えのある岩、そこは弁天岩のトップであった。
実は今日のルートは5年前に下りで利用したことがあり、今日は上ってきたわけだ。
5年前の記憶はまったくといっていいほどなく、初めて歩くバリエーションルートのようでじつに新鮮な体験であった(もっとも、上りでは初体験だが)。


遮るものなく日光連山が一望という点では御嶽山と肩を並べるほどの展望だ。
ゆっくりランチした後、次に班根石山へ向かうことにした。


その前に落差5メートルほどの巨岩を降りる。
ここは鎖が設置されているので問題ない。


巨岩を下りるとすぐ班根石山(ピーク559)。
ここを過ぎるとアカヤシオとヒカゲツツジが待っている。


まずアカヤシオ。


淡いピンクの花なのに集合体となると遠くからでも一目でわかるのがアカヤシオである。
遠くの山の斜面にピンクの塊が見えればそれはアカヤシオに間違いない。


次にヒカゲツツジ。
ただし、尾根から一段下がった急斜面にあるので写真を撮るには足下に気をつけなくてはならない。昨年はここで登山者が滑落して亡くなっている。

命がけで撮ってもこんな見栄えのしない写真になるのは管理人に写真撮影の基礎知識がないからだろう。
昔、当時は当たり前だった一眼レフを所有したことはあったが、絞りやシャッター速度などの操作が煩わしくて、使うのはもっぱらオートフォーカス付きのコンパクトカメラだった。
それだけに上手に撮るための基本操作の習得というものが疎かとなり今に至っている。
今は一度の山行で多い日は400枚撮るので、ポケットからサッと取り出してパッと撮り、スッとポケットにしまえる小型のデジカメが良き相棒となっているため、写真撮影の腕前はまったく向上していない。


もう一枚、アカヤシオを。


岩尾根を慎重に下っていき、最後に沢に向かって降りる。


その沢には小規模ながらカタクリ群が見られる。
周りを木立に囲まれているため咲き始めが遅く、今が見ごろ。


班根石山のヒカゲツツジはパッとしなかったので、前月31日に訪れたばかりだが二枚岩のヒカゲツツジを見て今日の終わりにしたい。


これが二枚岩。
ひとつの大きな岩がなにかの理由で真っぷたつに割れ、それが名前の由来となっている。
ここもツツジの宝庫で、ヒカゲツツジの他にアカヤシオ、トウゴクミツバツツジ、ヤマツツジが生育している。
班根石山のヒカゲツツジを見るには命を賭ける必要があるが、ここのは割と安全。


株数も班根石山よりも多い。


楚々として美しくなんど見てもいいですな。


二枚岩から少し戻って分岐を左(東)に折れると緩やかな尾根道を細野林道に向かって降りることが出来る。


明るく歩きやすい尾根道を林道に向かって下る。


この尾根道にもヒカゲツツジやアカヤシオなどツツジが多数ある。


林道の支線が見えたがザーザーという音とともに水が流れている。
林道と並行して沢が流れているのだが、もしかすると沢に土砂、流木が流れ込んであふれ出てしまったのかもしれない。


細野林道と合流し細野ダム、赤川ダムを経ると駐車場はすぐだ。


まだしつこく花を撮っている管理人なのである(笑)
これはエイザンスミレ。


タチツボスミレだがよく見ると葉脈の色が濃い紫になっていて10時5分に撮ったタチツボスミレとは違っている。
葉に「赤」い「斑(ふ)」が入ることからアカフタチツボスミレという。

タチツボスミレ
スミレは特定がむずかしい。同じスミレなのに変異が大きいというのも特定を難しくさせている一因であろう。


深緑色の細野ダム。


ここで北コースと合流するので左へ。


赤川ダム北端から堰堤方向を眺める。


赤川ダム脇から。


たっぷり花を観て岩で遊んでまだこんな時間。
とってもお得ですよ、古賀志山は(笑)


二枚岩の場所はあえて明示していませんがこの地図を見ればおわかりですね?

☆☆
荷物を少しでも軽くしたいのでここ数回(3月6日以後)、GPSのログはGARMINに代えてスマホの地図アプリ(Geographica)を使って記録している。
しかし、歩行距離、累積標高ともGARMINに比べてGeographicaは多めに出る。累積標高が顕著で20パーセント以上も多くなる。GARMINであれば累積標高は1000メートル未満になるだろう。
アプリのアルゴリズムの違いあるいは、スマホの精度で差異が生じるものと考えるが管理人にはどうすることもできない。→GPS比較