GPS考。GARMINとGeographicaについての考察。

2020年10月4日(日)

爽やかな秋晴れが続くようになり登山に最適な季節を迎えているものの、管理人は1ヶ月以上もの間、山から遠ざかっていて現在、闘病生活の身。
とはいっても入院という大げさなことではなく、神経痛で左上半身が痛くてたまらず身体を動かすのも億劫で、痛み止めの薬を飲みながら神経痛が治まるのを待っている状態です。

実は9月になって背中に発疹ができているのを見て、これはダニに喰われたに違いないと寝床のシーツや毛布を替えたり布団乾燥機をかけた(万年床なもので)のですが、発疹はさらに広がりを見せ、それで初めて異変に気づいて病院に行ったところ、帯状疱疹との診断が下されました。

ググってみると、帯状疱疹は発症直後であればすぐに治るが、手当が遅れると周辺の神経を刺激して神経痛に発展するとあり、管理人がまさにそのケースであることがわかりました。
すなわち、手遅れ!!

発疹の発見から4週間経ち発疹は薄らいできましたが、発疹が出来た背中から、発疹のない胸にまで、強い力で締め付けられているような嫌な痛みがあって何をする気力もないものだから、ただおとなしくPCに向かって今、ブログ記事を書いている次第です。
なによりも怖いのは、発疹がなくなって治ったかのように見えても菌は体内に潜伏し、免疫力が低下すると再び神経への攻撃を始める、とネットの情報にあることです。

そうならないことを願うばかりですが、日頃、健康には十分すぎるほど気をつけているつもりの管理人なので、これ以上なにに気をつければいいのか、答が見つかりません。
アルコールさえやめればいいのさ、と天の声が聞こえてきますが、「酒は百薬の長」を疑わない管理人にとってそれは地獄からの声に聞こえてしまいます。

さて、本題に入ります。
今回はそんなわけなので山行記録の記事ではなく、1年半前(2019年4月19日)に書き始めて中途半端になっていた(したがって未公開)記事を加筆修正して公開するものです。
道迷い遭難を防止するための実用的な記事だと思っていますので最後までお読みいただければ幸いです。
次に紹介する記事と併せて読めばより理解が進むものと思います。

3台目のスマホにも地図アプリ「Geographica」を入れた。

GPSロガーを試しに霧降三滝へ。


GARMINとGeographica管理人、かなり用心深いし恐がりな性格なので、山で道迷い遭難しないようにGPSの携行を忘れない。特に、地図に登山道がない山や深いヤブの山などGPSなしでは不安で歩くことなどできない。

GPSは用途によって2種類ある。登山の前中後に使うGPSと下山後に使う記録に特化したGPSロガーである。
登山の前中後に使うGPSの代表がGARMIN社製のGPS(以後、GARMIN・画像左)で、管理人はこれしか知らない。


登山の前に計画したルートをGARMINに保存し、そのルートにしたがって歩き(ナビゲート)、下山したらログをPCに保存して分析するというのがGARMINの機能を有効に活用する方法であろう。
画面には現在地を示すアイコンが表示されているので、登山中にあれっ、おかしいぞと思ったら計画ルートあるいは登山道に戻る努力をすればいい。
緯度経度線の入った紙地図(地理院地図)を持参すれば画面に表示されている緯度経度とを見比べて、自分が今いる位置をより正確に知ることができる。

GARMINは信頼性が抜群で、管理人は使い始めて20年になるが誤動作はおろか故障ひとつ経験したことがない。
現在、3台目(車よりも買い替え期間が長い・笑)としてe-Trex 30Jを使用しているが、前機(VISTA)が故障したというわけではなく、e-Trex 30Jは精度が格段に向上したからに他ならないというのが買い替えた理由だ。

具体的には上空からの衛星電波を受信するセンサーの感度やそれを内部で処理する計算回路(アルゴリズムとでもいうのか)の進化である。
古い機種だと深い樹林帯では一時的だが信号ロストで現在位置が不明になったり、実際の登山道から10数メートルも離れた場所を示したりした(それでも山では頼りになった)がそれがe-Trex 30Jではほとんど経験することがなくなった。

画面の地図に現在位置が表示されるわけだから、なにもわざわざ地図で現在地を知る必要などないのでは、と我ながら思うが、そこは長い間に身についた習慣といえるんでしょう、「紙」でないとダメなんですね。
特に老眼が進んだ現在は2インチと小さいGARMINの画面だと地図なんか見えやしない。それに内蔵されている地図が地理院地図ではないため、地理院地図を見慣れているととても違和感がある。やはり紙地図には敵わない。

GPSロガーは基本的に記録に特化した機器であり、地図を表示する機能はないのでGARMINと同じ使い方ができるわけではない。
下山したらPCとつないでログ(記録)を取り込み、結果の分析をするのが主な用途である。
取り込んだログはPC用の地図ソフト「カシミール3D」で処理して、そこから様々な情報たとえば歩いた軌跡や距離、時間、累積標高などを得ることが出来る。グラフ化すれば任意の区間の距離や時間、傾斜を知ることができるので、その日の登山を振り返ったり次回の山行に役立つ(管理人は同じ山を繰り返し登るので)。もちろん、GARMINでも同じことが出来る。

単体では記録の機能しかないGPSロガーの中にあって、GARMINの画面よりさらに小さいながらも液晶画面を備えていて、そこにGARMINのようにさまざまな情報を表示してくれるGPSロガーが存在する。
GARMINよりも小さいし軽いし安価なので管理人はかつてGARMINと併用していた。
製品はHOLUX社のm-241(画像右の黄色、左はGARMIN)とCANMORE社のGP-102だが、面白半分に他のGPSロガーも買い足して、多いときは5種類、10台所有していたことがある。
これらをGARMINと併用している(いた)わけだが、複数のGPSを持ち歩いたところで意味はなく、これは新しもの好きの管理人の趣味の範疇であるとともに、高信頼性のGARMINとはいえ、途中で電池が切れる(※)ことがあるだろうし故障もあるだろうからそれに備えてのことである。
※電池は充電後の自己放電が少ないエネループを使っている。充電していないエネループをGARMINにセットして歩き始め、途中で電池交換する羽目になることがあったので今はセットする前に充電するように心がけている。

数年前、ログの信頼性を確かめたくてGARMINの他に3種類のGPSロガーをザックに取り付けて歩いたことがあるが、GARMIN(古い機種)と遜色のない精度であった。
その時の様子(管理人の姿ではなく)をブログにしてある。→こちら
マイナーな登山だったので他に人はいなかったが、ザックの背にいくつもの機器をぶら下げて歩く管理人を見て、「あれはいったい、何者?」と訝しがられたことだろうと想像する(笑)。

かなり重宝しているm-241とGP-102だが昨年(2019年)4月、ある異常に見舞われた。
下山後、PCと接続してログを取り込もうとしたら、両者ともにエラーが表示されて取り込めなくなったのだ(読者の興味外のことだと思うので詳細は省略→興味ある方はこちらを)。
幸い、有志による原因究明と対策によって取り込む方法はわかったが、これまでのように専用ソフトが使えなくなりログを取り込む操作が面倒になった(m-241、GP-102ともメーカーは改善する意思なし)。

というわけでm-241はGARMINと併用するものの登山後にログを取り込むことはしなくなってしまった。GARMINのログがおかしいときにだけm-241のログを代わりに使うようにしている。
とはいえ、m-241は単三電池1本で12時間も使えるのと105,000ポイントものログが採れるので侮れない。
精度を高めるために仮に1秒に1回、ログを採る設定にした場合だと105,000秒つまり、1750分、29時間分のログが採取可能となり、一度の山行で8時間ほどかかるとすれば3.6日分の記録をm-241のメモリーに貯めておくことができるから驚異的である。
管理人は5秒に1回の設定にしているから18日分(一日に8時間として)の記録が採れるという計算になる。
ヤフオクやメルカリで3千円くらいで買えるのでPCアプリに精通している人であれば利用価値はまだあると思う。安いしね。
GP-102は電源が内蔵充電池なので長時間の使用ができないという難点があるため自然に使わなくなってしまった。
GARMINとm-241は単三電池が使えるので管理人のように車中泊しながら数日間の山行を楽しむには安心して使えるわけだ。

そんなGARMINやm-241だがスマホの地図アプリが世に出てからというもの、GPSで緯度経度を見て紙地図で現在位置を確認するといった手間がスマホの地図アプリによって一挙に解消されたのであまり使わなくなってしまった。
スマホの地図アプリをメインとして使い、GARMINはスマホの電池が消耗して使えなくなったときの予備として持ち歩くようになった。m-241にいたってはほとんど出番がなくなってしまった。

3年くらい前から使い始めたスマホ用の地図アプリ、Geographicaは画面がGARMINよりも大きいので視認性がいいし、なんといっても国土地理院の地図が表示されるから、あたかも紙の地図を見ているような感覚で使える。
最近は紙の地図よりもGeographicaを見ることの方が多くなっていることに、我ながら驚いている次第だ。

ここでGeographicaについて知らない人に説明しておくと、Geographicaはスマホに内蔵されているGPS機能を利用した地図アプリであり、GARMINのようなGPS機器ではない。
スマホの画面に表示する地図は国土地理院の電子地図なのでとても見やすいし、拡大はズームレベルでいうところの「17」まで可能(※)であり、これは縮尺1/3500(下記リンクを参考にした)に相当するから、現在地は「ここだ!」というくらいにピンポイントでわかる。
※ズームレベルは最大18だが、拡大されすぎて実用的ではない。登山では15~17が妥当だと思う。
地理院タイルの Zoom Level に対する縮尺の目安
国土地理院の既存の地図の体系と、地理院地図のズームレベル(縮尺)の関係

注意点としては、Geographicaはスマホの性能やGPSの精度に依存することを知った上で使用するのが重要だ。古い機種のスマホやGPS精度の悪いスマホだと性能が発揮されないし、特殊な節電機能のあるスマホだとそのままではログが採れなかったりするから注意が必要である。
管理人は現在、中古で購入した富士通のarrow03に格安SIMを入れてGeographicaを使っているが、アプリ作者が推奨する機種(iPhone)ではないものの特に不自由なく使えている。
懸念は常に電池の残量を気にしながら使わなければならないことだ。
Geographica使用中はLINEやFacebook、メールなどの使用は出来るだけ避けたい。
アプリ開発者によれば電池の余計な消費を防ぐためにもGeographicaの使用中はWi-Fiとモバイル通信機能はオフ(マナーモード)にすることを推奨されているが、それでも12時間が限界である(スマホの機種に依存する)。
12時間といえば通常の日帰り登山であれば十分すぎる電池の保ちだが、小屋に泊まるような山行だとモバイルバッテリの携行は必須である。これが交換可能な乾電池で25時間も稼働するGARMINとの安心感の違いであろう。
万一、道に迷ってGeographicaを頼りに藪の中を彷徨ったりすれば電池の残量は減り、心細くなること必至である。
日帰り登山であってもモバイルバッテリは必須だ。

とはいえ、それらを差し引いてもGeographicaを使う価値は有り余るほどである。
自分の身は自分で守ることを求められる登山ではまず、道迷い遭難そして道迷いに起因する焦りからの事故を防止するためにも、Geographicaのような安価でかつ信頼の置ける地図アプリを携行することをお勧めしたい。

高価なGARMINに比べてその数十分の一の価格で買える地図アプリ(※)なので、多くの登山者に使ってほしいと管理人は願っているが、いまだに道迷い遭難が減らないことから見て、100パーセントの普及は遠い先のことになりそうだ。→山岳事故一欄
※最新の価格はたしか980円(ただし、スマホ代は別ですよ)。
Geographica開発者のホームページ

Geographicaと類似の地図アプリにYAMAPや山レコがあるが、これらは地図アプリの他にもいろいろな機能が付加されていて管理人には使い勝手が悪いのと、Geographicaのように地図が進行方向に向いてくれない(※)という、管理人が地図アプリに求めるもっとも重要な機能がないことから使っていない(試用はしたが)。
※最新版はどうなんだろう?
※紙地図は進行方向に向けて(正置または整置という)使うのが基本。

それと、管理人がGeographicaを使うもうひとつの理由として、管理人にはブログといった表現手段があることからYAMAPや山レコのようにログや画像、コメントを載せるような機能は必要としない。国土地理院地図がスマホの画面に表示され、自分が今いる位置を示す機能だけあればいい。
さらには道迷い遭難を防ぐ目的でGeographicaを開発したという作者の思想に共感したことも理由であるし、地図アプリの普及に努めるための研修会や登山教室の講師としても力を注いでいる作者の努力に敬意を表している。

とはいえ、GeographicaがいいのかYAMAPあるいは山レコがいいのかは試してみて個人の好みで決めればいい。
ただし、当然だがこれらの地図アプリはスマホを所有していないと使えない。

最後にスマホアレルギーの人に朗報を!
Geographica作者のホームページにGeographicaに適したスマホがいくつか紹介されていて、中には中古なら数千円で買える機種がある。
スマホを持つと通信会社と契約して毎月、数千円を支払わなくてはならないと思っている方もいるだろうが、そんなことはない。
自宅にWi-Fi環境があれば通信会社と契約しなくてもスマホは使える(外では無理だが)。
そのスマホにあらかじめ地図をダウンロード(Geographicaがやってくれる)しておけば外に持ち出してもGeographicaはちゃんと機能するから安心していい。

以上、舌っ足らずな面は否めませんが管理人が知りうることを記事にしてみました。
ご不明なことがあればコメント欄に。