言葉で言えない素晴らしさ、奥日光の春

初夏を思わせるような陽気に誘われて、半年ぶりに西ノ湖を訪れました。
目的は中禅寺湖のツツジの咲き具合を確認するのと、西ノ湖の水量の確認です。
この時期、中禅寺湖畔はアカヤシオやシロヤシオ、トウゴクミツバツツジ他、大小様々、色とりどりの花が咲き、一年でもっとも華やかな景観となります。咲くタイミングが微妙にずれるため、5月はなんらかの花を見ることができます。
西ノ湖は水の流入がないことから、渇水期は干上がってしまい、満水時の神秘的な美しさとは対照的に荒涼とした風景が広がるだけ。昨年9月に奥日光を直撃した台風9号の影響で、一時は私がいままで見たこともないほどの水位となりましたが、冬を越えて、その後どうなったのか心配していたところです。

台風9号直後の西ノ湖(2007.9.12)
https://www.ippo.jp/blog/2007/09/92.html

西ノ湖へ行くもっとも簡単な方法は、赤沼から公園内を走る専用のバスを利用するがもっとも便利ですが、一般の観光客ではあるまいし、そんな安直な方法では奥日光のすばらしさを味わうことなどできません。
お勧めは菖蒲ヶ浜(龍頭滝)から中禅寺湖畔に沿って、中禅寺湖西端の千手ヶ浜まで、中禅寺湖の景色を眺めながらのんびり歩き、千手ヶ浜からは広大な原生林(千手ヶ原)を野鳥の声を聞きながら歩いて西ノ湖へ、というコースが私のお気に入り。
特にこの時期は、ヤシオツツジやシロヤシオ、トウゴクミツバツツジが咲き誇り、もちろん他にも春の花がたくさん咲いているので、歩く楽しさが倍増します。

それでは、その素晴らしさを写真でご紹介しましょう。

 タチツボスミレ
 日光全域、どこででも見られるタチツボスミレ。
開花時期は長く、5月半ばから咲き始め、6月でも見ることがあります。

 ミツバツチグリ
ミツバツチグリ。
根が栗の味に似ていることから、土の中の栗、ツチグリと呼ばれています。
葉はイチゴに似て3枚あることからミツバツチグリ。
実はこれに花も葉もソックリなキジムシロというのがあって、いつも間違えてしまうのですが、キジムシロは雉筵と書き、葉っぱが雉が座る筵のように地面に広がっていることから名が付いていますので、かろうじてそれが区別の方法。

 ヤシオツツジ
 トウゴクミツバツツジ。
何も言いません。この景色を見るために訪れました。

 シロヤシオ
 咲き出したシロヤシオ。
真っ白な花なのと、コースの南側、つまり逆光の位置にあるため、写真に撮りにくく、いまだにいい写真がありません。
写真だと見栄えがしませんが、実物はそれはきれい。
あと数日後が見頃かも。

 ハウチワカエデ
 天狗が手にしている大きな葉っぱがこれ。ハウチワカエデです。
その名の通り、団扇になるほど大きく成長する葉っぱですが、今はまだ赤ちゃんの手のひらくらいの大きさしかありません。そして、その花のきれいなこと。

 オオヤマザクラ
 桜も見頃(笑)。
ただし奥日光は平地で見る桜、ソメイヨシノはありません。
これはオオヤマザクラ。それにしても、5月になって桜を見られるというのも山岳地方特有の光景ですね。

 観光船
中禅寺湖西端の千手ヶ浜に到着しました。
試験運航のため停泊していた観光機船を入れて、男体山をパチリ。
千手ヶ浜は中禅寺湖の西端にあり、普段あまり観光客が訪れないのですが、6月半ばになると、ここがラッシュアワー時の電車のような混雑となります。
その理由は、、、一年のほんの数日ですが、とにかく奥日光の自然とは似あわない光景が出現しますので、あえて紹介は避けましょう。
興味がある方は「クリンソウ 千手ヶ浜」で検索してみてください。

 西ノ湖
  水を満々とたたえた西ノ湖。
昨年9月の台風直後から水量はほとんど変わらず、休憩する場所もないくらい。
私が初めてここを訪れたのは7・8年前かな? 緑一色だったから6月か7月頃だと思いますが、その神秘的な美しさに感動し、以来毎年3・4回は訪れるお気に入りの場所となっています。

 ヒガラ
 湖畔で昼食を食べているときに飛んできたヒガラ。
なんだか物欲しげに私を見ているではありませんか(そんな馬鹿な)。

 シロバナタチツボスミレ
 タチツボスミレの変種、シロバナタチツボスミレ。
タチツボスミレは日光というより日本全土に分布しているほど一般的な花ですが、シロバナタチツボスミレを見たのは初めてでした。

 ワチガイソウ
星形に並んだ花弁に茶褐色の斑点が特徴のワチガイソウ。
実はこの斑点は花弁ではなく、オシベの先端の花粉が付いている部分なんですね。
ワチガイソウのオシベは反り返り、ちょうど花粉の部分が花弁の中央に位置するため、真上から見ると花弁に斑点が付いているように見えるんです。

 アズマシャクナゲ
開花間近のアズマシャクナゲ。
中禅寺湖では千手ヶ浜より先、南岸に群生していますが、この写真は帰りに登った高山でのもの。山頂から龍頭滝へ下るルートに小群生があり、5月下旬に開花します。淡いピンクの花は大柄ですが、楚々としてきれいです。

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