古賀志山。岩場が連続する中尾根と東陵を歩く。

2015年5月13日(水) 古賀志山・中尾根/東陵ルート
天候:快晴、気温:20~25度

山全体が岩盤で構成されている古賀志山の面白さに惹かれ、今年になって今日で4回目となった。過去になんども書いているように古賀志山の正式なルートは国土地理院の地形図に描かれている、北コースと南コースの2本のみである。ところが北コースと南コースを管理人が歩いてみてわかったのはこの2本から派生するルートが他にもたくさんあって、それは意外と面白そうだということである。
古賀志山をよく知っている人に聞くとルートはぜんぶで100本くらいあり、中には鎖やロープを伝って岩場を上り下りするものまであるということだ。そそられる話ではないかw

管理人が初めて古賀志山を訪れたのは昨年の10月末であった。日光市内は紅葉見物の車で大混雑するので避けるために反対方面へ車を走らせたのだが、標高583メートルとは思えないほどの迫力に圧倒された覚えがある。とにかく荒々しいのだ。標高2千メートル以上ある山に恵まれている日光ではあるが、荒々しいのは強いて挙げれば女峰山くらいのもので、他は登りやすい。
・・・昨年10月の古賀志山の記事

IMG_3024そうか、身近な場所にこんな面白い山があったんだ。いつか100本のルートすべてを歩き尽くしてみたい、それが管理人のこの山への第一印象であった。日本百名山などに興味のない管理人は古賀志山100ルート制覇を決め、今年になってすでに4回目となった次第だ。
100ルート制覇が目標なので毎回、それまでとは異なるルートを歩きたいのだが、なにしろ地理院の地図に道が描かれていないとあってはどうすることもできない。

そこで古賀志山に60回以上も登っていて詳しいOさんから毎回のように、情報をいただき自分でルートを設定し地図とコンパスそして、GPSを頼りに歩くのだが、ルート通りに歩けたこともあれば今日のように藪に突入し抜け出すのに苦労することもある。
地図は平面だが実際の地形は立体だ。崖は地図に記号として描かれているので避けることができるが、岩や藪などは描かれていないから、歩いてみなければわからない。歩いていると地図だけでは想像できない事態に出くわすことがじつに多い。

今日の目的は地元では中尾根と呼ばれている岩場を登ることだ。その後のことはどうでもいい。行き当たりばったり。これが良くも悪くも意外な発見をもたらす。


IMG_2905古賀志山は地元の人の利用が多く、台風が通過したばかりでコースのコンディションが悪いことを知っているためか8時50分現在、駐車場はいつもなら満車の時間なのにガラガラ。


IMG_2907駐車場に隣接する赤川ダム。水がずいぶん少ないような。
中央に見えるふたこぶの山が古賀志山。


IMG_2912ダムの脇を歩いて正規のコースがある方向に歩いて行く。


IMG_2913途中で朽ちた木の橋があるので渡ると北コース。富士見峠を経由して古賀志山に至るもっとも簡単なコースだ。
地図を見ると中尾根へ行くにはここから入ったどこかに入口があるはずだ。


IMG_2915北コースを歩いて5分ほどで小径を見つけたので入ってみた。


IMG_2916地図を見ながらゆっくり歩いていたら後から来る人に気付き、挨拶を交わして道を空けた。挨拶がてら立ち話をすると地元の人で、実に詳しい。
このルートが中尾根で間違いないとのことだ。が、中尾根には1から3番までのルートがあり、ここはもっとも易しい3番だそうだ。
これで易しいのなら1番と2番はどんなんだ(^^)
地元の人に先に行ってもらったがその足のなんと早いこと。躊躇いなく、ぐんぐん登っていく。
管理人と違ってロープなど使わない。


IMG_2918ロープのある岩場をクリアするとまたすぐロープと鎖が出現。


IMG_2920ホッ、やっと地面の上を歩ける。地面が懐かしく感じられるほどだ(^^)


IMG_2930と思ったのもつかの間でまたもやロープだ。


IMG_2939岩場をいくつ登ったのか数える余裕もないまま、突然こんな岩に出くわした。
その形から軍艦岩と言うんだそうだ。
圧巻である。


IMG_2951岩の上部は1坪ほどの平面になっている。
今日の管理人は万一のことを考えヘルメットをかぶってきた。注目度も高かったようだ(^^)
それにしても自撮りは怖い。シャッターを押してこの岩の上まで、小走りだもの(^^)


IMG_2964軍艦岩から下りて先へ進む。古賀志山は普通に歩けるルートでさえ、このような岩があちこちにある。


IMG_2966また出た~(^^)


IMG_2967岩をよじ登るときは必死になっているので気がつかないが、上から見下ろすとかなり怖い。
実際に下りるとなればさらに怖い思いをする。
中尾根ルートの岩場はこれが最後。さあ、お次はなにが待ち構えているのか楽しみ、というか怖いもの見たさw


IMG_2970ピーク559(これは地図にある)と呼ばれる展望のいい場所。
前回4月22日に来たときは霞がかかって見えなかったが今日は日光連山が一望できる。台風通過で空気が洗われたのであろう。
・・・4月22日の記事


IMG_2972アブラツツジ。これでも一応、咲いていることになる。


IMG_2974ほぼ真北に塩原の高原山が見える。


IMG_2976今日の目的は中尾根の岩場を歩くことだったので、この後どうするかはまったく考えていない。
そういえばこの近くに弁当岩というのがあるのをネットで見たのを思い出し、ピーク559をあとに向かった。
この小さな道標にしたがうと鞍掛山に行くのだが、弁当岩へ行くにはこの写真の左に構えている大きな岩を登るようだ。


IMG_2978これがその岩。
今日、よじ登った中では最大で、傾斜もきつい。
なんとか登れるにしても降りるのはちょっとなぁ、といった厳しさだ。


IMG_2981難関をクリアした後にはこのような展望が待っていていてくれた。弁当岩だ。
ピーク559と同じ方角が開けている。
ちなみにこの岩を弁当箱に見立てたのかそれとも、皆さんここで弁当を広げるからなのか、それが弁当岩の由来らしい。正式には弁天岩というらしいが地図には描かれていないからこれも地元で通じる名称。
管理人もここで昼メシに。弁当岩の名前にふさわしく、味も気分もいい。


IMG_2989さて、古賀志山は100ものルートがあると書いたが、管理人の目標は来るたびに、前とは異なるルートを歩くことにある。弁天岩からだとどうなるか?
先ほどよじ登った大岩を下るとピーク559に戻ることになって面白くない。そこで弁天岩の先を覗いてみると地図にはないが道、というか岩盤があったので下ってみることにした。
一応、地図では尾根になっていて林道に出られるようになっている。

 


IMG_2994下りきると林道と出合ったので富士見峠に向かうため、Uターンするようにして檜林を登る。この林の奥に大きな岩壁が見えたので壁の上がおそらく富士見峠と見当をつけ、どんどん進んでいったがこれが間違いの元であった。


IMG_2997檜林が終わり、壁は目の前に迫ってきたのだが今度は藪を抜けなければ進めない。ところがこの藪、茎と枝がトゲトゲの植物が密生している。背丈も1メートルくらいある。
服の上から両手、両足に容赦なくトゲが襲いかかる。


IMG_3001必死の思いで藪から抜け出すと次はこんな岩が立ちはだかる。


IMG_3002岩をクリアしたら次は壁だ。古賀志山は手を変え品を変え楽しませてくれる(^^)
さて、どこから登ればいいんだろう。万一、登れなかったら、、、そのときはあのトゲトゲの藪を引き返すしかない。
不退転の決意で登れそうな場所を探して右往左往。なんとか見つけて進むと、そこにはちゃんとした踏跡があった。


IMG_3007振り返るとこんな岩の縁を通過したらしい。
はて、どこかで見た岩だと思ったら、数回通ったことがある伐採地から見る奇岩であった。
この奇岩の脇を抜けて来たのかぁ、驚きと同時に感動すらした。
この岩のてっぺん(木に隠れている部分)に続く踏跡もあったが、さすがにそれは遠慮した。


IMG_3010ここはどこへ行くにも通過しなくてはならないポイントの富士見峠だ。


IMG_3012せっかくだから古賀志山にご挨拶。
滞在時間30秒。すぐに引き返して見晴台へと急ぐ。見晴台から東陵コースの岩を降りるつもりだ。


IMG_3016東陵コースは見晴台のすぐ下から始まる。
岩は確か3つあったはずだ。これは1つ目。見覚えがある。前回は下から歩き始めてこの岩を登って見晴台に出た。
・・・東陵コースの岩を登ったときの記事


東陵岩5上からどうもおかしい。これで5個目の岩だ。
4月16日に登ったのは間違いなく3つだ。
岩が増えている(^^)


IMG_3027岩は東陵コースと呼ばれているルート上にあるはずだ。そして、岩が終わるとかなり激しいアップダウンがあるはず。こんな平坦な道はなかったように記憶している。疑問は尽きない。


IMG_3029
おぉ、なんということだ。
東陵コースを下っていたつもりだったがまったく違う尾根を下ってしまった。
岩の数の違いに秘密が隠されているようだ。これは帰ってから精査しなくては(^^)


IMG_3034出発点の赤川ダムに戻ってきた。
中央のふたつのピークのうち、左が古賀志山。右が見晴台。5つ続けて岩を降りたのは見晴台から。
あの傾斜をよくぞ降りたものだ。


20131124_084227秋の古賀志山はこのような景色に変貌するそうだ。湖面には古賀志山と紅葉の木々、雲、空の色まで溶け込んでいる。
今から11月が楽しみ(古賀志山の山女子、Oさんの撮影によるもの)。



今日は岩をいくつ登っていくつ降りたのだろう。
6・7ヶの岩を登って降りたような気がする。神経が張り詰め、数えている余裕などなかったというのが正直なところだ。もう少し余裕を持って歩けるようになったら、地図上に岩の位置を描いてみよう。
岩は足をかけるホールドの位置が頭に入ればもっとすんなり登れそうだ。が、慣れはもっとも危険だ。
常に最悪のことを考えながら慎重に登らなければ、新聞記事になってしまう。
古賀志山は岩場が多くて楽しめる反面、事故も多い。事故で困るのはもちろん本人だが、山の所有者や管理者にも影響を与える結果になってしまう。はやる気持ちをコントロールしながら無事故を心がけよう。

そうそう、先ほどの疑問が解けた。
4月16日は東陵コースを見晴台に向かって歩き、岩を3つ登って見晴台に達した。ところが今日、その反対に見晴台から下ったところ、岩が5つあった。
GPSのログを地図に投影しそこに写真を載せてみてわかったのだが、見晴台から数えて3つ目の岩と4つ目の岩の間に分岐路があって、そこで間違えたようだ。3つ目の岩を降りて進路を北に変えると前回歩いた東陵コースなのだが管理人はその分岐を見落とし道なりに進んだ結果、4つ目の岩と5つ目の岩を降りることになったようだ。しかしそれは図らずもこれまで未経験の道であった。だから結果として良かったと言える。道を間違っても脱出する術を知っていれば、多少アバウトであった方が意外な発見をするというものだ(爆)。

今日はこれまで未体験の道を4本、歩けた。尾根という尾根すべてが道になっているので100ルート制覇はまだまだ先だが、訪れるたびに異なる道を探して歩けるのが古賀志山の魅力だ。岩場で怖い思いをしたり適度なアップダウンを楽しんだり、トレッキング可能なロングコースで筋トレと持久力アップができる。数キロにもわたって一方的に登りが続く日光の山とは違った楽しみ方ができる。

ここで出会う多くは地元の人だ。道がわからず思案顔でいると声をかけてくれて、親切に教えてくれる。どこから来たのだといった一言から会話が弾んで10分くらい、立ち話をすることがなん度かあった。山は岩場があって怖いけれどここに来る人はみな優しい。