古賀志山で滑落死亡事故(2019/04/21)

2019年4月21日(日)

悲しいことに古賀志山で死亡事故が起った。
地元紙「下野新聞」16:21発表のネットニュースを引用しておく。

『21日午前11時10分ごろ、宇都宮市福岡町の斑根石山山頂付近で、鹿沼市、会社員男性(67)が約100メートル滑落。同日午後1時25分ごろ、防災ヘリで救助したが、搬送先の病院で死亡が確認された。宇都宮中央署によると、男性は単独で登山中だった。同署で原因を調べている。』

斑根石山(はんねいしやま)とは地元の人でも使うことのない名称だが、管理人がブログでよく書くピーク559(P559)あるいは「ゴーゴーキュー」の正式な地名であることがNPO法人「古賀志山を守ろう会」が設置した案内板でわかる(画像参照)。
ちなみに西へ30メートル行くと日光市との境界線で、そこの「弁天岩」でも先月31日に矢板市の男性が転倒事故で右足を骨折して防災ヘリで救助されている。

実は管理人は今日も花を求めて古賀志山山域を歩き回っていて最後の目的地をP559としていた。
P559へは前回16日と同じく北に位置する三角山から向かっていた。そのころ、ヘリの爆音が接近してきた。時間は12時50分頃だった。
爆音はさらに大きくなり、その上、サイレンの音まで聞こえてきた。サイレンはやはり上空からだった。管理人はこのとき初めて、防災ヘリも救急車やパトカーと同じようにサイレンを鳴らすことを知った。古賀志山のどこかで事故があったに違いない。
しばらくして、普段、車が入ってこないような林道に消防署の車が上ってきた。P559への最短ルートはどこかと聞かれたので地図で説明した。それで事故の発生場所がP559であることを知った。
車は林道の終点まで行って停まり、隊員が急ぎ足で斜面を上っていった。
図らずもこれから管理人がP559へ向かうのと同じルートであった。

ヒカゲツツジの見ごろを迎え、P559は人出が多くなっている。
ヒカゲツツジはその生育環境が半日陰となる山の北斜面、しかも急な斜面でしか育たない。
P559のも同じでメインとなる道(これ自体岩場)から外れ、急斜面を下って行かなくてはビューポイントは得られない。道幅(実際には林がなんども踏まれてできた道)は30センチくらいしかなく、しかも腐葉土が堆積していて崩れやすいから最大の注意を払って歩く必要がある。木の根が露出していて靴に引っかかることもある。

13時50分頃、管理人がP559の手前に差しかかると、通報者と思われる女性が警察官の聴き取りに応じていた。
すれ違いができるほどの路幅もないので通報者と警察官の少し手前で立ち止まり、両者の話を聞いていた。
滑落地点と見られる場所は確かに垂直に切れ落ちてはいるが、狭いながらも平坦で地盤はしっかりしていて身体の重みで崩れることはない。ヒカゲツツジはそこから始まり、東へ向かって不安定な斜面を下るにしたがって多くなる。いわばヒカゲツツジを見ることができるもっとも安全な場所が滑落地点である。
あえて言うならば、他にヒカゲツツジはないかと、足下を覗き込んだ拍子にバランスを崩して落ちたと考えられなくもないが、その場所から東へ下るほどにヒカゲツツジが多くなる(危険も増すが)のに、あえて足下を覗き込むものだろうか。
あとで知ったことだが、亡くなった男性はよく訪れる ”古賀志山の常連さん” だったそうだ。

ニュースには100メートル滑落とあるが、落下した人が横たわっているのを見て、心配になって声をかけたという別の人の話からも100メートルというのはあり得ないように思える。
落下した近辺から地面までの落差は推定で10~20メートル。そこから先は桧林の斜面になっているので必ず停止する。100メートルもの滑落であれば落下してからさらに桧林を90~80メートルも滑り落ちたことになる。それは現地の状況から察して考えにくい。
可能性があるとすれば、落下中に岩にぶつかり、その反動で遠くにはね飛ばされたということになるが、それも現地の状況からは考えにくい。

ヒカゲツツジが成育している区間は岩場の急斜面でその下はほぼ垂直に切れ落ちている。
滑落開始点がどこであれ、岩にバウンドしながら落ちれば身体は致命的なダメージを受ける。斜面に横たわっていたときはまだ意識はあったようだとの目撃者の話だったが、頭は岩の上にあったらしい。それが滑落の最後に受けたダメージであったかもわからない。

ニュースは警察の発表をそのまま記事にするのでつじつまが合わないことが往々にしてあるのを感じている(したがって事故の本当の原因を知りたいと思っても困難)。
残された家族は真実を知りたいであろう。
どこから落ちたのか、なぜ落ちたのか、どのようにして落ちたのか、どこに落ち、どこで止まったのか、どのような姿で横たわっていたのか、救助は速やかだったのかなど、男性の生前最後の行動を詳しく知りたいのではないだろうか。
警察はいずれ現場検証の結果をご遺族に伝えるものと思うが、ご遺族には納得のゆく説明であってほしいと願う。


管理人は事故を目撃したわけではなく、現地の状況と、そこにたまたま居合わせた登山者から話を聞いて、推測で書いています。もしも通報者と目撃者の話を否定する内容になっていたらお詫びいたします。
古賀志山山域は滑落事故が頻繁に起こっていて、管理人が古賀志山山域を歩き始めた2015年以来、死に至る事故が起きたのは今回で3回目(過去2回は御嶽山の岩場と二尊岩付近)。いずれも高所からの落下によるものです。
他に地元紙のニュースになったもの、ならなかったものは数知れずというほど多くの事故が起きています。
それらの事故をこのブログで伝えることで古賀志山の危険性について注意喚起したいというのが管理人の気持ちです。とはいうものの、情報の入手先は地元紙のニュース(警察発表の)に限られます。それを補う意味で現地に行き、事故が起きたときの状況をあれこれ想像して書くのですが、限界を感じているのが正直なところです。

当ブログは「日光を歩こう!」というタイトルになっていますがその実、単一の山としては古賀志山(日光に属する山ではなく宇都宮市)に関する記事が圧倒的に多いのが事実です。閲覧回数が飛び抜けて多いのも古賀志山です。
それだけ古賀志山が関心をもたれていることを実感しています。
その一方で、危険性については自分でも過剰かなと思うほど強調して書いています。でも読者の皆さまにおきましては管理人が強調する危険性を割り引くことなく、滑落事故が日常的に起こっている本当に危険な山なのだということを頭に入れて、安全に楽しんでいただくことを強く望んでいます。

最後になりましたが、ヒカゲツツジを楽しみに古賀志山を訪れながら不慮の事故で亡くなった男性そして、ご遺族の方には心からお悔やみを申し上げます。

地理院地図を見る限りP559には岩記号も崖記号も描かれていないが、北面は切れ落ちていて滑落すれば大事故になるのは間違いない。


ピーク559とか「ゴーゴーキュー」と呼ばれ親しまれている「斑根石山」。
展望がいいことから地元の登山者の憩いの場になっている。


以下は事故現場近くの様子(当日撮った写真ではありませんが参考になれば)。急斜面に成育するヒカゲツツジ。
足下は30センチ幅しかありません。
この下にも成育していますが管理人にはとてもそこへ近づく勇気はありません。


ヒカゲツツジが成育するのに適した環境。
ヒカゲツツジは急傾斜の岩盤の上に堆積した腐葉土に根を生やして成育する。
したがって地盤は薄くやわらかく、崩れやすい。


ヒカゲツツジとアカヤシオを同時に見ることができるP559へのルート(メインルートからは外れていますが歩く人は多い)。
木の根が露出する急斜面を登るか左の岩の上を歩くかの選択。
右(北側)は切れ落ちている。


上の画像の岩。
左(南側)は切れ落ちている。