女峰山のトレーニングで鳴虫山へ。アカヤシオに間に合った!

2017年5月6日(土)

天候不順に泣かされつつも日光に春は訪れた。
ただし今年は3月末になって大雪が降ったりしたため、花の開花は遅めだ。
日光駅からもっとも近い、ツツジが咲く山として知名度の高い鳴虫山はどうだろうか。毎年、4月末にはアカヤシオを観ることができるが、今年はやはり遅いように思える。
遅いとはいってもせいぜい1週間から10日だ。
ちょうどゴールデンウイークと重なるから悩ましい。

ゴールデンウイーク中はたとえ時間の余裕があっても外出は控えたい。ふだんなら15分で鳴虫山の登山口まで行けるのに、1時間あるいはそれ以上かかってしまう。それほどこの期間中の日光市内の渋滞は凄まじい。
したがって花が咲く時期が遅い年だと、鳴虫山へ行くのはどうしてもゴールデンウイークが終わって渋滞が治まった頃になる。

渋滞もやや緩和した今日、チェックアウトするお客さんを見送るのとほぼ同時に鳴虫山に向かった。
前回の山行は先月28日だったため8日ぶりだ。週明けには残雪の女峰山を予定しているので体力をつけるためにも急傾斜が続く鳴虫山はちょうどいい。良いトレーニングになるといいのだが。

国道119号は昨日までのような渋滞はないものの土曜日とあってそれなりに混雑している。こんなときは国道の南に並行して走る県道14号に入り込み、御幸町(ごこうまち)まで行くのがいい。県道に至るのにかなり迂回するがそれでも時間の短縮にはなる。
御幸町まで行けば元消防署に隣接する市営の駐車場と土日なら旧日光市役所の駐車場が利用でき、そこから歩き始めるのがガイドブックに解説されているノーマルなルートである。
ただし、管理人はここ数年、ノーマルルートは使っていない。
この時期のノーマルルートはツツジを目的に訪れるハイカーで混雑するし、それに歩く面白みに欠けるため、一般のハイカーが知らないバリエーションルートを好んで歩くようにしている。


管理人が鳴虫山に登る際の定番ルートとしている志度淵川堰堤に車をデポ。ここから歩き始める。


ここまで山間を流れてきた志度淵川はここからは市街地を流れて大谷川と合流する。昨年(だったかな?)、ここに巨大な堰堤が完成した。
堰堤の下流には人家が多いことから、大水や土石流が発生したときの備え。


ここが登山口。
といっても地理院地図に道は描かれていない。


んっ、霜?
いや、シカの死骸らしい。食い尽くされて体毛だけになったものだ。


このルート、急登があるかと思えば平坦があったりで、適当に息が抜ける。


山頂を除いて唯一、視界が開ける場所。
男体山から女峰山まで一望できる。


男体山


かなり汗をかいたのでアンダーシャツを脱ぎ、中間着1枚だけになった。
再び遠方を見ようとしたとき、地上から1~2メートルくらいのところでカラマツの幹が切られているのが目に入った。よく見ると他にも十数本のカラマツが切ってある。すべて幹が切られている。画像のは幹の他に上に延びている枝が切られているが水平の枝は残っている。とても不自然な切り方だ。
はたしてこれは伐採なのかという疑問が湧いた。
いや、伐採ではないだろう。
間伐のために切ることはあってもここのは密生というほどの本数ではない。それに2本ならんでいるのが切られている。間伐以外の明らかになんらかの意図があってのことだ。
悪い推測だが、この場所から日光連山を眺めるのにこれらのカラマツがじゃまになると考えた人がいて切った、管理人にはそう思える。
管理人の推測はたぶん正しいだろう。


左に尾根が見える。
これまで歩いてきた尾根とは違う別の尾根で、「中ソネ」という。
ソネあるいは曽根とは今でいう尾根のことで、ここから地図のピーク1058へと続いている。


尾根と交わったところに、むかし、ここが修験道として使われていたことを示す石の道しるべがある。
池田正夫著「日光修験・三峰五禅頂の道」によれば道しるべには「右なきむし山」、「左かんおん堂」と刻まれているとある。
かんおん堂とは、これから訪ねる岩屋観音のことだ。
画像の左上隅に黄色のプレートが見えるが、山によくある赤と黄色のプレートである。
プレートには右鳴虫山、左岩屋観音と書かれている。ごく最近、古いプレートの上に重ねるようにして取り付けたらしい。
管理人には古い石の道しるべだけで十分、用が足りるのだが。


道しるべから見て北東50メートルの方向に人が立って入れるくらいの大きな洞窟があって、中に観音像が鎮座している。
洞窟の中には三体の石柱がある。そのひとつに「承應四乙未年二月十八日」と彫られている(本によると)。江戸末期だそうだ。


岩屋観音から中ソネをピーク1058へ向かって歩くと、そこはもうツツジの宝庫である。
アカヤシオはこの標高では咲き終わっているが、シロヤシオは咲いたばかりで純白の花を開いている。


トウゴクミツバツツジも咲き始まったばかりだ。


ヤマツツジは蕾なので今月半ばまで楽しめるであろう。


起伏だらけの中ソネを、花を探しながらゆっくり歩を進める。


マイヅルソウも多い。
蕾はまだ堅く、花を見るには来月まで待たなくてはならない。


ピーク1058直下で別の尾根と合流する。
ピーク1058から下ってきた場合は別の尾根の方に導かれ、行った先は沢になるので注意が必要だ。


おぉ、ようやくアカヤシオに出会えた。
わずか千メートルという低い山だが少し標高が違うだけで咲き終わっている場所と見ごろの場所がある。ここから山頂まで期待できそう。


同じ場所だが別のアカヤシオ


蕾のシロヤシオ


ピーク1058に達すると御幸町から登ってくるノーマルルートと合流する。


ここから鳴虫山山頂に至る尾根はアカヤシオはもちろんのこと、足下にはカタクリが点在する。踏んづけないよう足下をよく見ながら歩かなくては。


アカヤシオは葉っぱが出るよりも先に花を咲かすから見応えがあるというもんだ。
桜の樹が少ない日光はアカヤシオの開花で春を知るというほど、市民に親しまれている。


枝がこみ入っているが向こうに女峰山が見える。


アカヤシオとカタクリを愛でながら無事に山頂に着いた。先着4名が食事中。
自宅から登山口までの移動距離が短い管理人はまだ腹は空かない。この先の合峰まで行って昼食にしよう。


アカヤシオ越しに日光連山を眺める。


山頂から合峰を経由して含満淵へ下山するにはまずこの急な階段を降りる。


ここからだとアカヤシオ越しに男体山が望める。


緩やかなアップダウンがあるものの、全体としては下っている(当たり前か・笑)


含満淵と銭沢不動尊との分岐となる合峰、地図でいうところのピーク1084。
木の根をイス代わりにして座り、コンビニで買った菓子パンをほおばる。飲み物は缶コーヒー。
ポツポツと冷たいものを感じた。予報通り、これから雨が降るようだ。早々に下山しよう。


合峰から銭沢不動尊へ向けて歩きだろうと腰を上げたところ、何かが足りない気配を感じた。
そうだ、いつもの作業用手袋が見あたらない。
暑いから外して無造作にザックの腰ベルトに挟んでおいたのがいけなかった。ここまで来る間に落としたらしい。下山口を含満淵にする予定だったがここを折り返し点にして往路を忠実に辿って手袋を探すことにした。色とりどりのツツジ咲く鳴虫山のゴミにしたくない。
ピーク1058まで戻ってこれから急傾斜を下るため靴にチェーンスパイクを装着した。


往きで見たのとは別のシロヤシオを見つけた。


あった、あった!
ゴミにならなくてよかった。


岩屋観音への分岐


薄暗い檜林の間を歩き、、、


有料道路が貫通している上を歩いて志度淵川の堰堤へ降りた。