スノーシューツアー終了。今シーズンもありがとうございました。

暖冬雪なしで開けた2020年たが1月末になって南岸低気圧特有の湿った雪ながらフィールドは30センチほどの積雪となり、昨年より早く、2月1日にスノーシューツアーを開幕した。

今シーズンは管理人が主催しているツアーの定番コースである霧降高原丸山が1月31日に発生した滑落事故以来、入山禁止となり、場所を奥日光の刈込湖に移して行ったが、幸いなことに小峠(1670m)を境にして刈込湖まで毎回、新雪の上を歩けるという幸運に恵まれ、参加者には大いに満足していただけたのが管理人の慰めとなった。

この雪は日本海側低気圧によるサラサラの雪が群馬県境の山を越えてきた、恵みの雪なのである(反面、小峠までの積雪は例年より1メートル以上少なく、スノーシューで歩く面白みには欠けた)。
日光は雪国ではなく、霧降高原は福島県側の気象の影響を受け、奥日光は日本海側の影響を受けて雪が降る、言わば他国からのもらい雪なのだが、そのおかげで管理人の冬の糧が得られているわけだ。
なので暖冬が上信越と福島県に与えている影響を他人事として見ることができない理由がそこにある。福島県からは多くの情報を入手できているが、経済的損失は膨大であろう。
また、夏場の水の確保は大丈夫だろうか。

さて、昨年は2月10日に開幕し、24日に閉じるという短い開催で、ツアーはわずか5回というかつてない少なさだった。
今年は2月1日から24日までおこない、ツアーは11回。昨年よりは多かったがそれよりも前に比べると格段に少なく、気候変動の現実を目の当たりにする思いがする。

ところで、個人的趣味でスノーシューを楽しむのであれば雪が降ったという情報があれば次の日に遊びに行けばいいわけだが、お客さんをフィールドに案内して楽しんでいただくのを冬の生業にしている管理人の場合、そんな無計画さでは仕事が成り立たない。
ひと月あるいはそれ以上前に予約を受けて当日を待つわけだが、当然ながらその間にフィールドの状況は変化する。
ある日のツアーはベストコンディションでできたのに、次の日以後、高温だったり大雨が降ったりすればフィールドは壊滅的な打撃をうける。
有料のを含めて数社の天気予報を見比べるのを日課としているが、今年は各社の予報がまちまちで、予想に苦しんでいることが見てとれる。
そんな現状だけにツアーを楽しみに待っているお客さんの気持ちを思うと胃がキリキリ痛んで眠れなくなる。

この3連休(22日~24日)に先立つ16日に、29日にツアーの予定をしている常連さんに開催中止のメッセージを送った。
これまでであれば2月下旬はまだ十分な量の雪があるし雪質の劣化もないが、今年の不安定な天候から察して予断を許さない状況であることを踏まえての開催中止の判断だった。

お客さんは忙しい。
忙しい中、ツアーに参加するためにスケジュール調整してくれているわけだが、直前になって中止を決めたとすれば、スケジュールにぽっかり穴が空く。
それはお客さんにとって機会損失となり、決して好ましいことではない。

2週間前の中止連絡であればスケジュールの再調整が可能であろう。
空白となった日の穴埋めは可能であろう、そんな判断だった。
2週間先のことなど予測できないのがここ数年の気象であり、もしかするとベストコンディションでその日を迎えるかもわからない。
しかしそれは明らかに「賭け」である。

自然相手のこと故、賭けの要素が入るのはやむを得ないことだがお客さん、特に何年も続けて来てくれていて日常の忙しさが予想できるお客さんに賭けを強いるのは望ましいこととは思えない。
それが今回、2週間前の中止判断に至ったわけだが、気持ちは重い。

この記事を書いている今(24日の初投に対して27日に追記)、霧降高原や三本松(奥日光)、丸沼高原のライブカメラには昨日降ったのであろう、雪が映っている。
もしかすると明後日29日はベストコンディションでツアーができるのかもしれないとも思う。
そうだとすれば管理人の中止判断は間違っていたのか、賭に負けたのか?
いや、それを判断するのは29日に予定していたお客さんであろう。
早めに判断したことで休日を無駄にすることなく過ごせることを喜んでくれるはずだ、そう思うことで気持ちの重さを取り除こう。

これから先、雪の代わりに真冬でも大雨が降るのが当たり前の現象になりそうな予感がしてならない。
むしろ、雪が積もってくれることを幸運ととらえ、一回一回のスノーシューツアーをより大切に、より充実したものになるよう工夫を凝らさなくてはならないと切実に思う。


2020年2月22日(土)

湯元温泉から刈込湖へ向かうには一旦、金精道路の上に出て、そこから地図にある夏道または冬道を行くが、金精道路に出るまでは雪がなく靴のまま歩くことになった。
温泉が湧くエリアだけに地熱が高いことも雪が着かない理由だ。


刈込湖コースの実質的な登山口となる金精道路まで来てオーバーシューズを装着。
オーバーシューズは靴の上から履く大型の靴下をイメージしてもらうとわかりやすい。
防水性のある靴でなかったり、スパッツを持っていない参加者のために貸し出している。


今シーズン2回目のWさんがこの日はお友達のIさん(左)を誘って来てくれた。
リピーターのこうした厚意によってスノーシューのファンが増える。ありがたいことだ。


小峠の手前でWさん、前方にオコジョを発見。
しばらく巣穴(左の樹木)をウロウロしていたが我々に気づいたのか、林になっている斜面に向かって一目散に走って行った。


口に何か黒い物体をくわえているのが肉眼でもよくわかった。
よく見るとネズミだった。
可愛い顔してネズミを捕食するとは、、、
そういえばオコジョは肉食のイタチ科だった。


刈込湖はまだ分厚い氷に被われていた。
気温の上昇に伴っていつかは溶けるだろうがそれまではこうして遊ぶことができる。


刈込湖コースの良さは地図にある夏道の他に、普段は背丈ほどの笹が茂って歩けない藪の中を冬は歩けることだ。
登山口から小峠までの夏道は雪が積もった斜面のトラバースを強いられて危険なため、冬道を往復する必要があるが、小峠と刈込湖の間は夏道と冬道の両方が使える。
管理人のツアーではコースに変化をつけるために小峠と刈込湖間は往きに夏道、帰りに冬道を歩くことにしている。その方が断然、面白い。
帰りの冬道は両側を斜面に挟まれた沢でドビン沢まで上りが続くが、起伏に富んで楽しめる。
ただし、雪が緩んでくると雪崩が発生するから注意(今年はそろそろその季節)。


小峠から蓼ノ湖への下りは危険箇所がいくつかある。
ここは小峠直下の急斜面で、注意を要する場所だ。
腰を落として体重を足裏に載せるようにすると身体が安定する。と、管理人は参加者にアドバイスしているが、なかなかその通りにはいかないものである。
このあと尻もちをついてそのまま3メートルほど滑ったWさんであった。


2020年2月23日(日)お馴染みの蓼ノ湖だが色彩がない分、幻想的だ。
今シーズン初めての、雪降る中でのスノーシューツアー。


この日は小学4年生の男子とその親御さんとのツアーだった。
管理人は疲れを知らない男子について行くのがやっと。
そのはずで1歳半の頃から家族で山を登っているとのことだ。
将来が楽しみなH君。


激しく降る雪にコースはふっかふか。
スノーシューが潜る。


お伽の森、、、
雪が降りしきり景色が一変した林の中でのスノーシューツアーは幻想的でいい。


雪まみれのデジカメはレンズが雲ってこんなシーンになってしまった。
防水カメラを持ってくれば良かった。


2020年2月24日(月)

今シーズン最後の日と決めたスノーシューツアーは昨日とは一転し、穏やかな陽射しの下で行えた。
この日の参加者は管理人の助っ人としてよく参加してくれるKさんと、Kさんが誘ってくれた知人2名。


単独参加のDさんはしっかりした装備から察してヤマ女に違いない、と会った瞬間に閃いたが力強い足取りで先頭を行くDさんを見て確信に変わった。
ちなみに、お客さんに先頭に立ってもらうのは管理人のツアーでは日常のことで、これは雪山の単独行を疑似体験していただくための工夫である。


刈込湖氷上。 氷はやや緩んだもののまだ大丈夫(今日のところは)。
氷のでき方と丈夫さを解説する(だったかな、この場面?)、サブガイドのKさん(左から二人目)。


Kさんはガイド専業ではなくサラリーマン(たしか?)。
ときどき管理人のツアーに参加してはガイド役を買って出てくれる強力な助っ人で、白山ジオトレイルやサロマ湖ウルトラなどのアドベンチャーマラソンの常連。並の人間ではない。変人、宇宙人、Mといった形容がぴったりのアラ還である。


満水時の刈込湖の水位と氷の厚さを表す貴重なショット。
湖面が15センチの厚さで凍りその後、水位が低下し、岸辺の氷だけが残ったものですね。


というわけで、今シーズン11日間にわたるスノーシューツアーが終わりました。
かつては12月末にスタートし、3月末まで行っていたのが嘘のよう。
雪が降っても水分をたっぷり含み重たくすぐに溶ける雪、真冬の大雨、初夏を思わせる汗ばむ気温。
これも世界規模の気候変動による暖冬の影響なのでしょう。
一朝一夕に元の正常な気候に戻るとは思えません。
それだけに雪があることをありがたいと考え、開催日ごとにより充実したスノーシューツアーになるよう努めるのが管理人のこれからの課題となりそうです。