2020年5月1日(金) 晴れ/暑い
今日見た花(順不同)
チゴユリ、シュンラン、ヤマツツジ、ガマズミ、オトコヨウゾメ、タチツボスミレ、ツボスミレ、マルバスミレ、ホウチャクソウ、マムシグサ、ニガイチゴ、クサイチゴ、ミツバツチグリ、イカリソウ、ズミ、タケシマラン(蕾)、オニタビラコ、ツクバキンモンソウ
登山自粛要請が出され多くの登山愛好家を悲しませていることは想像に難くない。
そんな折、先月25日に八ヶ岳連峰・阿弥陀岳で登山をしていた都内に住む男性が尾根から滑落して県警ヘリで救助されるというショッキングなニュースが入ってきた。
調べると阿弥陀岳は2800メートルと高く、この時期であればまだ雪がたっぷり残っていてたとえ実力があっても事故の危険をはらんでいるであろうことは、他県といえば福島県の山しか知らない管理人にも容易に想像できる。
そんな山に、なぜ登山自粛要請中のこんな時期に、、、
ことあれば叩かれるのは目に見えてわかっているのに、、、
あまりにもタイミングが悪すぎる。
それが管理人にはショックだった。
案の定、この事故を受けて、登山界では著名と言われる人がメディアに現れて、GW中に同様の事故が起こったら名前を公表すべきだと述べたことに愕然とした。休業要請に応じないパチンコ店を公表するのと同列に個人を扱うこの人は一体、何様のつもりなのだろう。
個人を晒し者にする権利がこの人にあるのだろうか。
今回、メディアに大きく報道されたのは、病院でCTを受けた当事者の肺に新型コロナ感染の疑いがあったために、救助に携わった人らが二日間の自宅待機を余儀なくされたという理由によるものだが、だからといって今後は個人名を公表すべきだとの意見は粗雑で乱暴すぎる。
こういう人が世の中にずんぶん増えていることが恐ろしい。
著名人としての影響力を使って登山事故を防止したいのであれば要請や指示、命令によって、さらには晒し者という見せしめで自粛させるのではなく、登山が出来ずにストレスが溜まっている人たちの気持ちに寄り添って具体的な手立てを講じ、自分の意志で自粛するよう丁寧に説明した方がより効果的なのではないだろうか。そんな印象を拭えない不快な気持ちを抱いた。
さて、10日ぶりの花の探索となった。
花も様変わりしたであろう。
今日は鞍掛山ルートに咲くツクバキンモンソウがお目当てである。
不快な気持ちを払拭するためにもツクバキンモンソウが見つかったらバンザ~イと叫ぼう!
今日の接触者
・コンビニ(店員と)
・山行中は10人ほど(3~4メートル離れての挨拶)
メモ
・歩行距離:10.5キロ(GPSログをカシミール3Dで処理した値)
・所要時間:5時間36分(写真撮影と休憩を含む)
・累積標高:946メートル(アップダウンのうち、上昇分の累積)
ありがたいことにここ宇都宮市森林公園は市民の健康維持のために、駐車場を閉めることなく、開放している。市民に憩いの場を提供するという市の立場は固守しているようだ。
ざっと見たところ駐まっている車はみな宇都宮ナンバーばかりだが、外出自粛要請を受けてG/W中のこの時間でも空きスペースが目立つ。
6・7割がハイキング、残りは散歩や釣り、サイクリングを楽しむ地元の人であることが感じられる。
ハイキングのグループでお喋りをしながら登山口へ向かう姿はなく、それが平時とは違っていた。
今日のお目当てはツクバキンモンソウ(筑波金紋草)。
それには鞍掛山ルートしかない。
歩き始めるとすぐタチツボスミレと出会った。
どこででも見るごくありふれたスミレだが、花期が間もなく終わるのでこの機会にじっくり観察することにした。
花弁は5枚でこれは他のスミレにもあてはまる。
色は個体差が大きくて画像のように薄紫もあればもっと濃いのもある。
5枚の花弁のうち、唇弁と呼ばれる下の花弁にだけ筋が入る(これは一部を除き他のスミレにもあてはまる)。
横から見ると唇弁の後に「距=きょ」と呼ばれる出っ張りがあるのもスミレ全体の特徴で、この中に蜜が蓄えられている。
距はスミレによって球体だったり太短かったり、後部が上を向いていたり、色が違ったり、それらもスミレの種類を見分けるポイントになる。
葉ももちろん、種類を見分けるポイントで、大きさや形、縁のギザギザの有無、葉脈の濃淡、毛の有無をよく観察する必要がある。
などなど知ったかぶりをしているが実際に現地で見ると違いがハッキリしないものもあって毎回毎回、特定に苦労するのがスミレなんですね。
実になりかけのニガイチゴ
真っ赤になるまで待てば食べられるらしいがやや苦いらしい。
新緑はほぼ出揃った感のある快適な道を、数メートル歩いては立ち止まって左右を見回してはまた歩き出す。
花を探索するにはそんな歩き方をしなくてはならず、また、写真を撮るのにしゃがんでは立ち上がる動作の繰り返しなので結構、疲れます。
まっ、ジムが休館中で筋トレができないのでスクワットの代わりにはなる(笑)
う~ん、見つからない。
もともと古賀志山山域でも数が少ないのがツクバキンモンソウで、生育場所は限られている。
数年前、このルートに2株あったのだが、、、
天狗鳥屋(てんぐのとや)南端まで来た。
ここまで歩いて見つからないというのは自然消滅してしまったんだろうか。
だがあと1カ所、鞍掛山ルートがある。
望みを捨てず、移動する前にここで腹ごしらえだ。
山頂は広く植物も豊富で、食後もツクバキンモンソウを探したがとうとう見つからなかった。
同じ道を戻りながらツクバキンモンソウ探しを続けたが見つからず。
これはコアジサイの蕾。
長倉山まで来た。
ここから鞍掛山に行くには並行した道が2本。
今日は東側の道を下ろう。
ガマズミと同じ5弁花だがよく見るとガマズミのように雄しべが飛び出していない。
宿題として帰宅して調べることにした。
調べた結果、オトコヨウゾメといってガマズミと同じガマズミ科ガマズミ属の植物だった。
長倉山を下りると林道と出合うので突っ切り、鞍掛山ルートに入っていく。
2つの石像が並んで立っている。
双体神という。
廃仏毀釈によるものなのだろうか2体とも頭と手はなく、頭には代わりに石が載せられている。
ここで沢を遡る道と双体神の裏に回り込む道に分かれるが、今日は沢を遡る道を行きツクバキンモンソウを探したい。
※
管理人、この石像のことを長い間、「双神体=そうしんたい」と書き、呼んでいたが、双体神が正しい書き方、呼び方であることをつい最近になって知った。
歳とってから覚えた知識はガイドブックに双体神と書かれていても頭の中で勝手に双神体に変換してしまうから恐ろしい。
でももう大丈夫だ。リセットしたから。
ここにホウチャクソウが10数株あった。
ホウチャクソウはナルコユリ、アマドコロと合わせて見分けが難しい植物だ。
整理するとホウチャクソウは茎の先端が分かれ、ナルコユリは茎が丸く、アマドコロは茎に翼(よく)があるという見分け方が簡単だと思う。
ちょっと失礼してマムシグサの内部を。
管理人がつまんでいるのは苞(ホウ)といって葉が変形したもので、その中にあるのが花。
沢に沿って遡ると鞍掛神社がある。
大きな岩とそこに流れ落ちる滝は荘厳さを醸し出すに十分な光景で、これを神に見立てて祀ったのはまさに自然崇拝の証。
滝のすぐ脇に小さな洞窟があってその中に石像が収められている。
洞窟は3メートルほどの奥行きがあり、中に小さな石像が収められている。
明るく歩きやすい道だが今はツクバキンモンソウ探しに集中しているため歩きを楽しんでいる余裕がない。
お~、古賀志山山域で初めて見たぞ。
貴重な花と遭遇し、実に得した気分!
船の錨に似た花が名の由来。
あっ、名前を書くのを忘れてた。
イカリソウですね。
つっ、ついに見つけた。バンザ~イ!!
これが今日お目当てのツクバキンモンソウなのだ。
決して美しいとか目を見張るとかいう花ではないが古賀志山山域でも少なく、貴重種といえる。
花のつき方がシソ科特有でこまごましている。
花は下弁が長く出ていて上弁はほぼない。
ここで鞍掛神社で分かれた道と合流し「大岩」へ向かう。
結果として分かれ道を沢に沿って進んだのがよかったようだ。
大岩に到着。
平らな岩場だが南端は切れ落ちているので近寄らない方が無難。
ズミが全開している。
古賀志山山域でズミが見られるのは管理人、ここしか知らない。
大切に見守りたいものだ。
春霞のせいか古賀志山がずいぶん遠くに見えてしまう。
遠方の景色を眺めながらここで2回目の食事とし、鞍掛山へ向かった。
周りを大きな桧に囲まれて展望はないが、といって息苦しさはない。
今日はこの後、林道に降りてそのまま林道を歩いて駐車場に戻る予定だ。
おやっ、タケシマランですね?
管理人の地元、日光では貴重種なのに、、、
タケシマランは小群落を成していた。
と、ここでふと疑問がわいた。
タケシマランは茎が分かれるのが普通だが、ここのは1本だ。
葉も蕾は紛れもなくタケシマランだが茎が1本というのが引っかかる。
成長すると茎が分かれるのかも知れないので花が咲く来月になってもう一度確かめてみよう。
下りはとんでもなく急だ。
幸い鎖があるのでつかまることが出来るが、鎖がなかったら転がり落ちること必至。
ここで分岐と合流。
往きはここを左へ行ってツクバキンモンソウを発見した。
アスファルトの林道に降り立ち、ここを西へ向かっていく。
古賀志山山域は林道沿いにも花が結構多いのだ。
道沿いにゴミの山。
NPO法人「古賀志山を守ろう会」が不法投棄されたゴミを拾い集めたとの情報が活動記録にあったが、そのときのものなのかも知れない。
この林道は一般車が通行できるので闇夜に紛れて捨てに来る人がいるのだろう。
守ろう会の地道な活動に感謝の言葉しかない。
ゴミが集められたすぐ先に初めて見る花があった。
雑草の類であろうことは山の中では見たことがないからわかる。
マメ科だと思うが帰宅したら調べてみよう。
※
マメ科and羽状複葉をキーワードに図鑑で調べたところ、葉茎の先端に渦巻き状のヒゲがあることから、カラスノエンドウ(別名:ヤハズエンドウ)であることがわかった。
ここで長倉山から派生している北尾根と合流。
北尾根は左から来て林道を横断して右の林へ入っていく。
キク科オニタビラコ(鬼田平子)
読みだが、「おにた びらこ」だと語呂が悪いので、「おに たびらこ」が正しいように思える。
※
内倉林道でよく見た花だが今までハナニガナとばかり思っていた。
思えばハナニガナはこれほど逞しくはなく、なよっとしている。花の数もこんなに多くはない(過去記事は訂正済み)。
赤川ダムの湖畔はヤマザクラや枝垂れ桜に代わって八重桜とヤマツツジが盛りを迎えていた。
車は1/3に減っていたが陽が延びたせいか散歩を楽しむ人の姿は多くあった。