会津駒ヶ岳の湿原は今日も花盛り(お客さんとの福島遠征ツアー)

2020年8月29日(土) 晴れのち雨

先週17日と18日に続いて今週もお客さんとの福島遠征ツアー。
場所はお客さんの希望で会津駒ヶ岳になった。

会津駒ヶ岳は山頂の手前から中門岳に向かって緩やかな稜線が続いている。稜線は標高2千メートルの湿原になっていて7月と8月にかけて湿原特有の花が咲き乱れ、まさに天上の楽園といった様相を呈す。
5月、6月の残雪期は花こそないが3メートルも積もった雪は木々を隠し、遮るものなく遠く日光の山並みを俯瞰できる。
管理人は2016年10月に初めて登ってからというもの会津駒ヶ岳の魅力にすっかりとらわれ、今月3日までに11回登っている。
春、夏、秋に登るとそれぞれの季節の良さを味わえるが、夏は花が1週間単位で咲き変わるから1度では足りない。毎週でも行きたいくらいだ。
とまぁ、そんなことをブログに書いたりツアーの時にのべつ幕なしにしゃべるものだからお客さんには会津駒ヶ岳の魅力が少しだが伝わり、今回のように興味をもってもらえる。

今月3日、管理人が単独で訪れた際に会津駒ヶ岳を象徴するハクサンコザクラがちょうど盛りを迎えていて存分に堪能して帰ってきたのだが、ハクサンコザクラの次はどんな花が咲くのだろうかと気にかかっていて、近いうちに再訪したいと思っていた矢先のお客さんからの要望だった。
断る理由などなにひとつ見当たらない。
即断した(注)。

さて、行きたい山は決まった。
とはいえ、具現化するためにはいくつかの課題を解決しなくてはならない。
まずは天候だ。
山頂から中門岳までずっと続く湿原は見るだけでも満足できるほどの雄大さだ。
それには天候という要素が大切になってくる。
晴天の日に行きたいというのは誰もがいだくごく自然な気持ちであろう。
予報では天気は30日まで保つとのことだった。

次に行動予定である。
先週の安達太良山であれば首都圏から新幹線とバスを乗り継いで奥岳登山口まで来て、9時半には歩き始められる便利さがあったが、会津駒ヶ岳の場合は檜枝岐にもっとも近い野岩鉄道の会津高原尾瀬口駅集合とした場合、早くて9時23分着。
そこから管理人の車で登山口に移動するにしても登山開始は11時を過ぎる。
これだと会津駒ヶ岳は往復できるとしても目的とする中門岳まで行くと下山は19時になってしまう。
山頂直下の駒ノ小屋に泊まるという方法はあるがコロナ禍で定員は半分に制限されていて予約できるかどうかわからないし、見知らぬ男女が同室というのはお客さんに勧めづらい。
そこで、小屋泊も含めて考えられる限りのプランをお客さんに提示し、その中からお客さんが望むもっと適切なプランを選んでもらうことにした(プランの詳細は後述する)。

お客さんが選んだプランの結果はこれから書く山行記録の通りとなったわけだが、無理のないいいプランを選んでもらったのではないだろうか。

行程表
滝沢登山口(6:53)~水場(8:18/8:25)~駒ノ小屋(9:39/9:50)~会津駒ケ岳(10:12/10:20)~中門池(10:50)~中門岳(10:55/11:15)~駒ノ小屋(12:30)~水場(13:40/13:50)~滝沢登山口(15:08)~日光(18:20)

メモ
・歩行距離:17.8キロ(GPSログをカシミール3Dで処理した値)
・所要時間:8時間15分(写真撮影と休憩を含む)
・累積標高:1911メートル(アップダウンのうち、上昇分の累積)


先週17日と18日、今回ともに参加者は管理人がガイドを務めるスノーシューツアーの常連さんであり、いずれも管理人が脚力を把握できていてなおかつ、自分の身の安全は自分で守れる方たちです。
管理人のガイドツアーが初めての方でどうしてもという強いご希望がある場合は入念な相談の上で判断させていただきます。

結局、会津駒ヶ岳への登山は移動日の翌日に実施するということにして、前日の28日は檜枝岐にある日本蕎麦の有名店「まる屋」で昼食をし、それから御池に移動して2時間ほど湿原廻りをすることになった。
御池から三条ノ滝に向かって7つの小さな湿原が点在している。
尾瀬ヶ原ほど大きな湿原ではないし、三条ノ滝まで行く登山者は少ないので午後のひととき、気の向くままのんびり歩けるはずだ。
浅草を9時に発った東武線リバティ会津111号・会津田島行はお客さんを乗せて間もなく(11時59分)この駅に到着する。
なお、首都圏に住む参加者が尾瀬の玄関口である檜枝岐に行くには、管理人とこの駅で合流するのが檜枝岐への到着がもっとも早い(下今市駅、日光駅での合流だと1時間ほど遅くなる)。


この駅は会津田島発、沼山峠行の路線バスの停車駅になっていて電車で来ても尾瀬沼まで苦労せずに行くことができる。
浅草23:55発の「尾瀬夜行23:55」も同じルートの運行。


同行者HKさんとは無事に合流できた。
2017年2月にスノーシューツアーに参加して以来、冬は毎年、それ以外にもよく一緒に行くようになった。
ここからは管理人の車で檜枝岐に向かう。
ちなみに浅草始発の電車の乗車率は2~3割だったそうだ。


檜枝岐の「まる屋」で昼食を終え、御池に車を駐めて(※)歩き始めた。
最初の湿原は御池田代。
田代とは湿原の意味。
※御池駐車場は昨年まで2時間無料だったが今年から一律1000円となった。また、檜枝岐の宿に泊まると駐車代金は無料だったが今年から廃止された。


歩き始めてすぐ、色鮮やかなトリカブトの出迎えをうけた。
木道の両側に数十株もあったあろうか、壮観そのもの。
図鑑によるとオゼトリカブトらしい。


三条ノ滝に向かう2つめの湿原は姫田代。
規模は小さい。


イワショウブが盛りだった。


このルートの湿原でもっとも大きな上田代に入ると燧ヶ岳を正面に見るようになる。
管理人、今年はまだ燧ヶ岳に登っていない。


先ほどのイワショウブは純白だったが標高が上がったせいか少し色づいていた。


モウセンゴケ
花を楽しみながら最後の湿原、天神田代まで歩いて制限時間となった。
明日は早朝から会津駒ヶ岳に登り始め、中門岳まで足を延ばして下山する計画だ。
そのため今夜の宿泊先として檜枝岐の民宿を予約しておいた。
17時過ぎにはチェックインしなくてはならない。
そろそろ折りかえして御池に戻ろう。


アキノキリンソウ


オゼミズギク


サラシナショウマ
猫の尻尾の感触に似てふっかふか。


咲き始まりのサラシナショウマ。

さて、明日の足慣らしが終わったところで今夜の宿泊場所、檜枝岐の民宿「こまどり」へ行こう。
「こまどり」は管理人が過去3回ほど利用したことがあるが朝食の時間を早めに設定してくれるので会津駒ヶ岳や燧ヶ岳の登山に都合がいいし、一人1室にしてもらえるので女性のお客さんには安心であろう。


民宿に着いて入浴後、お待ちかねの夕食。
檜枝岐では旅館、民宿とも夕食に「山人=やもうど」料理を出すのが特徴だ。
山人とは山で働く男の人を指し、稲作に向いていない痩せた土地の檜枝岐は昔、男が長い間、山にこもって仕事をする際にそば粉や味噌などを持って山で採れる食材を調理したことがあり、それが今では宿の料理として定着したそうだ(画像は二人前)。


5時半の朝食は願ってもない。
この林道に沿っていくつかある駐車場は当然の如く登山口に近い方から埋まっていき、もっとも下にある駐車場まで埋まると国道沿いの駐車場まで戻り、30分かけてここまで徒歩で上がってこなくてはならなくなる。
平日でも7時には登山口に近い場所は満車になるくらいだから土曜日のこの日は6時前には埋まってしまったのではないだろうか。
したがって、ここへの到着は早いほうがいい。
この日は8月最後の週末ということもあって登山者は多く、管理人の車はここまで徒歩10分かかる駐車場に駐めることになった。


滝沢登山口
あらかじめ作成しておいた登山届をポストに投函し、階段を昇り始めた。


会津駒ヶ岳の登山道は木道に代わるまで2時間ほど急登を強いられる。
いつも経験することだが2時間という短い時間ながら登山道の途中で休憩している人を多く見かける。


3日に発見したツルリンドウは健在だった。


樹林帯は風の通り抜けがないため暑く、管理人はすでに大汗をかいている。


オヤマリンドウ


階段が始まったがこれがまた長いのなんのって、、、
この辺りで下山してくるカップルと出合った。
この時間の下山であれば当然ながら前日は駒ノ小屋に泊まったはずだ。
聞くとコロナ対策の一環で現在、定員はフルの半分で14名だが満室だったとのことだ。
8月とはいえ平日の宿泊で満室とは駒ノ小屋の人気のほどがうかがえる。


ゴマナでしょうね、多分。


樹林帯が終わると湿原に代わる。
雄大な稜線の景色が楽しめるのはこれから先だ。


湿原を歩き始めると間もなく休憩用のテラスがある。
イワショウブは今が盛り。


花後のキンコウカ。


いい色に染まったイワショウブ。


傾斜湿原は緩やかながら高度を上げていく。
これから会津駒ヶ岳山頂を経由して中門岳までずっと木道歩きとなる。
木道は一部新しくつけ替えられているが古いのはまだたくさん残っていて、それらは朽ちて傾いていたりぐらぐらしていたりで注意を要するが、もっとも怖いのは雨や雪解け水をたっぷり含んで表面がヌルヌルしている木道だ。
特に陽が当たらない場所にある木道は乾くことがなく、滑りやすい。
木道は斜面上に敷設されているため傾斜しているから滑って当たり前と考えた方がいい。
今月3日、管理人もやってしまった。
場所は会津駒山頂と中門岳との分岐部分の下り。


今月3日に来たときはこのイワイチョウの盛りだったが今日は探すのも苦労するほど少なくなっていた。


湿原の上に建つ駒ノ小屋を前にして佇むHKさん。
心はアルプスの少女ハイジ?(笑)。


歩き始めて2時間35分、ほぼ予定通りのペースで駒ノ大池に到着した。
山頂に向かう前に少し休憩。
ここには小屋番のいる山小屋があって寝具付きの宿泊が可能だ(ただし、予約制でなおかつ自炊)。トイレ(チップ制)もある。
午後から上り始めても夕刻には到着するから小屋に泊まれば翌日は丸一日、十分な時間を山歩きに費やすことが出来る。


駒ノ大池とその向こうに薄い雲がかかって幻想的な会津駒ヶ岳。
晴れていればここに逆さ駒が映ってそれは美しい。


山頂へは15分で到着。
ここからの燧ヶ岳を見たかったが360度、グレーの景色。
ちなみに左の木道は駒ノ小屋から、右は中門岳への木道。


山頂を北へ降りると中門岳への長い、フラットな稜線が待っている。
ここは景色と花を眺めながら時間をかけて歩きたい。


霧の中から現れたHKさん。
アルプスの少女ハイジならぬ ”霧の中の少女(※)” だった。

「昭和」というよき時代に流行した歌謡曲を知ってる数少ない世代となった管理人である(笑)。


オヤマリンドウは至る所に咲いていた。


中門大池に到着。
なお、中門岳となっているが地図の中門岳はここから5分先の標高2060メートル地点。


その中門岳まで足を延ばし新設されたベンチに腰をかけ、民宿で用意してもらった弁当で昼食とした。
大きなオニギリ2つ(紫蘇と海苔)と鶏の唐揚げ、ウインナ、シソ巻き、キュウリのお新香、ミニトマト2ケ、個包装のチーズ2ケといった内容。それと尾瀬の天然水のペットボトル。

実はこのとき、管理人は身体にふたつの異変を感じ取っていた。
空腹を感じないのだ。
いつもなら朝食を食べ終わって2時間もすれば空腹になり行動食を口にするが、食後5時間も経って空腹感がない。
そしてもうひとつは朝食に味噌汁を飲み食後にお茶とコーヒーを飲み(あっ、前夜はビールを)、山行中に水を飲んでいるにもかかわらず5時間というもの尿意を感じることなくここまで来た。管理人にしては異例のことだ。
それで暑さと高湿度による脱水状態らしいことを察した。
しかし意識はハッキリしているし弁当はすべて食べることができたし、持参した缶コーヒーも飲めた。空腹を感じなかったのは脳の問題であり、実際には空腹であったのだ。
脱水による痙攣がなかったのは幸いだが、これは筋トレと常用しているアミノ酸の効果であろう(としておく)。
水はこれから下山するまで意識して多く飲むようにしよう。


長い休憩を取り中門岳を後にした。
最新の予報によると14時頃から雨になるらしい。
それまでに木道を抜け出したい。
なぜなら朽ちた木道は雨に濡れると乾いていたヌルヌルが復活し、滑るからだ。
木道専用の滑り止め(モンベル製)を持参したがそれに頼ることなく、木道が濡れる前に下山したい。


部分的だったがタテヤマリンドウを十数株見た。
オヤマリンドウは咲いてもほとんど開かないがこの花は花弁を横に大きく開いて楽しませてくれる。


綿毛はだいぶ衰えたが花後のチングルマであることがわかる。


駒ノ小屋までは雨に降られずに戻ることが出来た。
ここを今日、最後の休憩場所にして美しい稜線を惜しむようにして眺めた後、下山に取りかかった。


タケシマラン


アサギマダラが3匹、笹の葉にとまって吸蜜していた。
もっとしっかり撮りたいところだったが不覚にもデジカメの電池残量がゼロとなり、この画像を最後に下山するまでの画像はゼロ。
昨夜、宿に着いてモバイルバッテリで満充電にしたはずなのに電池切れはまさかの事態だ。
予備電池を持参すべきだったと反省。

大雨に見舞われたのはこの後からだった。

車中で濡れた衣類を着替えて帰途についた。
HKさんは今夜、管理人のペンションに泊まることになっている。
帰ったら夕食の際に反省会と打ち上げをやろうと決めてある。
事故のないよう気をつけて安全運転で帰ろう。
檜枝岐を15時半に経ってペンションには18時20分に着いた。
首都圏のお客さんであればこの日に自宅に帰ることも十分可能な時間だ。
会津駒ヶ岳は1泊2日でたっぷり楽しめるとてもお手軽な山なのである(簡単に登れるという意味ではありません)。


ピストン山行なのでGPSの軌跡は1本と寂しいが、行程の半分は長い湿原歩きが楽しめて退屈しない。


駒ノ小屋(図では駒ノ大池)の手前から会津駒ヶ岳山頂、そして中門岳へと続く湿原が会津駒ヶ岳の最大の魅力。登山者の多くが中門岳まで足を延ばす。
一方、駒ノ小屋から南、大津岐峠へのルートもフラットな湿原歩きが楽しめる。が、岩場があったり斜面の崩落があったりで危険な場所も。


参考(HKさんに提示したプラン、◎が実現したプラン)
Ⅰ案
28日は会津駒ヶ岳往復して民宿泊(中門岳は割愛)。29日は燧ヶ岳登山して帰宅。
Ⅱ案
28日は湿原を軽ハイキングして民宿泊、29日に会津駒ヶ岳~中門岳の後、民宿泊。30日に燧ヶ岳登山して帰宅。
Ⅲ案(◎)
28日は湿原を軽ハイキングして民宿泊、29日に会津駒ヶ岳~中門岳の後、帰宅。管理人が経営しているペンションに宿泊し反省会と打ち上げ。