スノーシューの定番ルート、霧降高原丸山を下見。雪深く疲れ果てる。

2019年1月30日(水) 晴れ

この冬はスノーシューツアーができないまま終わって春になってしまうのか?
いや、そんなことはない、いつかは降るいつかは降ると希望だけは捨てずに前回の下見(25日)から5日が経過した。
うれしいことに下見した翌日の26日、27日、28日と3日続けて夜半から早朝にかけて2センチから3センチ積もってくれた。
観測したのはペンション敷地内(標高820メートル)なので1500メートルを超える山のことはわからない。でも2~3センチということはないだろう。
今日は期待を込めて霧降高原・丸山をツアーと同じルートで歩き、お客さまに勧めていいものかどうかを確かめるための下見である。

それにしてもだ、1月末になったというのにいまだに下見を繰り返しているとは情けない。ひところであれば年が明けたら下見なんかしなくても現地に行って、登山口でスノーシューを履いて歩き始めたものだがここ3年ばかり、下見を繰り返してようやっと開幕宣言するといったように状況が変化している。
一時的なものなのかそれとも、こんな状況が今後も続くのか素人にはまったく予測はできないが、ニュースで伝え聞く気候変動を目の当たりにして当惑するばかりである。

さて今日、管理人は、雪の状況次第で開幕宣言するかどうかを決めなくてはならないという重圧を負って歩き始めたわけだが登山口に立って見た限りでは、地肌が見えていた25日に比べて積雪に期待が持てた。開幕できればいいのだが、、、

元スキー場のゲレンデ、キスゲ平。ニッコウキスゲの群落が見られることで有名ですね。
ここに雪が十分積もるとゲレンデを歩いて小丸山そして赤薙山へ行けるが、今日も地肌が露出していて歩くわけにはいかない。雪に埋もれている高山植物を痛めてしまう。
管理人は今年2日に小丸山から下山する際にこのゲレンデを歩いたのだが、以後、ここを歩けるようなコンディションだったのはほんの数日しかなかった。


管理人が主催するスノーシューツアーはレストハウス手前のここからスタートする。
25日に来たときは地肌が見えていたが今日は大丈夫のようだ。


25日と同じく歩き始めはアイゼンで、雪が深くなったらスノーシューを着けるつもり。


歩き始めて15分もするとアイゼンではくるぶしの上まで潜るようになった。


アイゼンやチェーンスパイクは圧雪された斜面やクラストした斜面には有効だが、くるぶしまで潜ってしまうような状況だと効率が悪い。
そこで早々にスノーシューを装着することにした。
これはモンベルのアルパインスノーポンという商品で、アイゼンを着けたまま履く、変わり物。4年前に買ってそのとき一度だけ使ってお蔵入りになっていたのを今年になって引っ張り出してきて、今月2日に続いて2回目の使用。
雪がクラストした状況ではアイゼンで歩き、深雪になったときにこれを履くというのが本来の使い方だが、2日も今日も特に差し迫った状況ではなく、単なる管理人の気まぐれで持参したにすぎない。
お蔵入りした理由を再確認する意味で使ったわけだがやはりスノーシューの方が使いやすい。またまたお蔵入りかな?
なお、モンベルでは姉妹品として画像とは別タイプの商品を販売している。管理人はまだ使っていないが10センチ小さくなったのと、脱着がもっと簡単になっているようだ。物欲富むも金はなし!


雪は深くなり、スノーポンが潜る。
足を抜いて深さを計ると50センチに達した。でも雪が重くこの深さは間違いなく筋肉痛の予感がする。


登山道はここで八平ヶ原へと分岐する。


一度、沢へ下って、、、


登り返す。
ここは岩の上に雪が薄く被っているだけなのでとても歩きにくい。


そして丸山の裾野を八平ヶ原へ向かう。
今はまだここが夏道であることがわかるが、雪が深くなると立つ位置が高くなるため、両側から木々の枝が迫ってきて夏道なのかどうかわからなくなってしまう。
大きなアップダウンをせず、同じ等高線上を歩くのがポイント。最後に沢へ下って上り返す。
所々にリボンを見るが、本当に所々なので当てにはできない。
なお、おかしいなと思ったら足跡を辿って引き返すことをお勧めしたい。


八平ヶ原の手前まで来ると視界がぐっと開ける。


緩やかな上りから平らな雪原に変わると、北東に日光と塩原、矢板、塩谷にまたがる高原山(鶏頂山、釈迦ヶ岳、中岳、西平岳の総称)が一望できる絶好のポイントに出る。
奥日光のスノーシューコースでは絶対に困難な絶景がここでは見ることができる。


スカッとした青空とダケカンバ。
昨日は一日、強風が吹き荒れたが今日はとても穏やか。


やがて八平ヶ原の道標。
ここで方向は北から西へと変わり、丸山の登山口へ向かう。


キツネですね。
犬と同じ足跡だが犬は臭いを追いながら歩くため円を描いたりするが、キツネは一本の線上を実にきれいに歩く。


ここでも50センチとまずまず。


ここは日当たりがいいので部分的に雪が締まっていて、キツネの肉球がハッキリ確認できた。


丸山北斜面を歩き始めて間もなく、地震のときに感じるように足下から「ズズン」という振動とともに鈍い音が聞こえた。山頂に行くまでに3・4回、聞いた。
正体はこれ。
管理人の体重と歩く刺激で、積もった雪が破断されたのだ。
破断は足下の場合もあるし数メートル離れた場所で発生することもある。長さは数メートルに達すした。雪が積もり初めてまだひと月程度であるため雪の層が不安定なのだ。
画像の破断は長さ約3メートル、深さは30センチだった。また、斜度は18度。
ここは尾根上なのと樹林帯なので破断するだけで雪崩には至らない(雪の条件にもよる)が、尾根の両側の斜度が大きい場所では破断面を境にして雪がずり落ちるつまり、雪崩となる。
画像からさらに進むと夏道は尾根の東側30度という急斜面を横切るようについていて、雪崩の危険が大きい。
冬は夏道を避けて樹林帯で雪が少ない尾根上を歩くのが無難。


丸山北登山道を上っている途中で振り返ると何人もの人が歩いたかのような踏跡に見えるが、これで管理人ひとり分。
いわゆる重たい雪なんですね。
ふかふかの新雪であれば踏んだその部分だけが沈むが、雪が重たいと周りの雪を巻き込んで沈むため、実際のスノーシューのサイズよりも踏跡は大きくなる。
そして、そこから足を抜き出すにはスノーシューの上にかぶさった重い雪ごと足を持ち上げなくてはならないので大変な苦労を強いられる。それは筋トレそのもの(笑)


積雪が50センチの場合、斜面では70センチに達する(斜面でも積雪は50センチと変わらないが、それは地面に対して直角に計った場合。垂直に計るとより深くなる)。
これは厳しいですぞ。
なにしろ管理人の太ももまで潜るのだから(それはオマエが短足だからってか? 言えるかもな・笑)。


地衣類のサルオガセ
和名は「猿尾枷」と書くから、サルの尾っぽが絡んでしまうという意味?


お~、ようやっと山頂が見えた。
苦しかった~。


シカもこの深く重たい雪に苦労していると見える。


山頂はまだ岩が露出していて雪が少ないことがわかる。


9時33分に歩き始めてなんと、4時間39分もかかった。
これまでの最長新記録!
それもこれも変化する雪質と膝まで(場所によっては太ももまで)潜る深い雪で、足を大きく持ち上げなければ先へ進めないことで疲れ果て、必然的に休憩が多くなったのが理由。すべてがフカフカの軽い雪であればこれほど長い時間かかることはないが、今日は重い雪が大半を占めている。足に過大な負担がかかり十歩進んでは休むという動作を数百回繰り返すことになった。
何年ぶりだろう、こんなに疲れたのは。


今日の予定はあの赤薙山まで行くことだった。
昨夜、組んだのはこんな計画だった。
レストハウス(9:00)~八平ヶ原(10:00)~丸山(11:20)~焼石金剛(12:20)~赤薙山(13:10)~
出発が30分遅いとはいっても丸山山頂には12時前に着く計画だった。それが14時過ぎである。


ここで大休止。
予定を大きく遅れたため保温水筒の湯も冷めかけて、3分待ったが麺は硬め。
おまけに疲れて食欲なし。無理やり口に詰め込んだ。


癒しとなる自然の芸術品。


丸山の南に降りて全体を見上げる。
丸山に登るにはこちら側から方がずっと楽ですよ、読者の皆さま。


小丸山に着いてこれから定番ルートの旧登山道で下山する。
なお、一般的にはこのゲートを入って天空回廊を下るか、ゲレンデに十分な雪がある場合はゲレンデを下る方が楽。


陽が差さない樹林帯の中は雪が深くなおかつ重い。膝まで潜った足を大きく持ち上げて雪の上に乗せるとそれがまた膝まで潜る。その繰り返し。
ここはレストハウスまでずっと下りなのにもかかわらず、今日は楽ができない。


朝はここを八平ヶ原に向けて沢を下った。
帰りは直進。


ふ~、苦難の末にゴールにたどり着いた。
歩き始めて6時間17分は長かった。しかもわずか6キロという距離で。
これまでの最長時間を記録したに違いない。
帰ったら風呂、そしてビールだ!

肝心の開幕宣言のこと、、、
今日のコンディションであればスノーシューで歩くことはできる。できるが、よほど強靱な体力の持ち主でないとヘトヘトに疲れる。
これから雪は徐々に締まり、さらにはその上に新雪が乗ることでコンディションは上向くから来週以後がお勧め。
というのが正直なところです。