霧降高原・丸山での滑落死亡事故とその対応について思うこと。

2020年2月1日(土)

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当記事はまだ書きかけであり、新しい動きがあった都度、追加していきます。

管理人がソロで赤薙山と丸山に登った翌31日、丸山から下山中の登山者が滑落して亡くなるという悲しい事故があった(ソースは下野新聞電子版)。

31日の午後、ペンションでの仕事中に日光駅から霧降高原キスゲ平に向かって走る高原道路を上がっていくサイレンの音と、上空を旋回するヘリの音を聞いたが、それが滑落者の救助に向かう救急車と防災ヘリだったようだ。

滑落場所は丸山北斜面の夏道の階段付近らしい。
北斜面のコースは下山を始めるとすぐ階段になり、尾根の5メートルくらい下に敷設された登山道に向かう。階段を降りると尾根と並行した登山道を歩くようになり、そして再び尾根と交わる。つまり、距離は短いながらその区間だけ尾根下の斜面を横切るように歩く。その間、木製の階段が3箇所ある。

山に階段があるのはそこが急傾斜だからであり、積雪時はとても危険な場所に変わる。
無雪期であれば安全な登山道が、冬はもっとも危険な登山道に変わるのはよくあることだ。
この時期に丸山を歩くとなればアイゼン、チェーンスパイク、スノーシュー(またはワカン)のどれかが必須の装備であり、亡くなった方は当然ながらなんらかの滑り止めを装着していたと思う。それでもこの区間の夏道は危険であることに変わりはない。

今日2月1日、スノーシューツアーでキスゲ平園地を訪れたところ、早々に入山禁止の措置が執られていた(地図参照)。
しかし、ロープが設置されている場所は滑落事故現場に行くルート(八平ヶ原経由)と入口を共通にする、事故現場とは関係のない小丸山へ行くルートの入口であり、それまで封じてしまうという、現場感覚のない措置であることに大いに疑問をもった。
ロープで封じるのであれば八平ヶ原への分岐の部分であろう。
そうしないと安全な登山道(下図の「登山道」)まで封じてしまうことになり、丸山に登るルートの選択肢が減る。
つまり、登山道、天空回廊、ゲレンデ(積雪時のみ歩行可)のうち登山道が利用できなくなるわけだ。
このことは昨日、日光市から管理を請け負っている自然公園財団のスタッフに口頭で伝えておいたが、日光市まで声が届くかどうか?

小丸山を経由して丸山に行くルートは上に書いたように3本あるがこれらを管理人の主観でそれぞれの特徴を挙げておく。
ただし、降雪量や気温、雪がいつ積もったかによってまったく違ってくるし、危険か安全かを見極めるのは登山者自身であるのは言うまでもない。
☆ゲレンデ
日当たりが良いので表面が凍る、するとスノーシューやチェーンスパイクでは制御が効かなくなるためアイゼンが必須となる。

☆天空回廊
歩いた跡の雪がデコボコ状のまま凍りつく。ときに段差が埋まって急斜面になる。
といってアイゼンやチェーンスパイクで歩くと階段のステップを痛めてしまうので滑り止めなしで歩くことになる。それはとても危険だ。

☆登山道
陽が差さない樹林帯なのでクラストすることはあまりない。ただし、急斜面が続くので滑り止めは必須。
特に小丸山からの下りの傾斜は尻込みするほど怖い。
また、地形を見誤ると沢に入り込んでしまうので注意が必要である。

管理人が主催するツアーは通常、事故があった北斜面のルートを登って山頂に立ち、南斜面で降りてくる、周回ルートを組んでいる。
この日(2月1日)は事故現場を回避して丸山に登るべく、地図にある「登山道」を利用して小丸山へ出て、丸山南斜面を利用して山頂に立つルートに変更した。
登山口に張られたロープの脇から歩き始めたわけだが厳密に言えばロープを無視したことになる。
ただし、上にも書いたようにロープの場所は安全な登山道まで封じているわけであり、その安全な登山道を歩くためにはロープを無視せざるを得ない状況にあった。

次に滑落現場の状況

最初の階段。尾根の下に敷設されている。

地理院地図には丸山山頂から北に向かって派生する尾根が登山道として描かれている。
尾根は始め広く、標高を上げるにしたがって狭くなる(北斜面から上る場合)。
中程に大きな岩があり、夏道は岩を左に回り込むようにつけられている。その大岩から先の夏道は尾根から5メートルほど下がった斜面に尾根と並行して続いていて途中、階段が3つある。
※大岩→最初の階段だったか最初の階段→大岩だったか、記憶が曖昧。

最後の階段。これを上ると尾根上に出る。傾斜は厳しい。

大岩から最後の階段の間、路幅は狭くそこに雪が積もると登山道を隠して20度以上の雪の斜面になる。

今年の雪は水分をたっぷり含んだ南岸低気圧特有の雪質で、気温が下がると凍る。地図に忠実に歩こうとすれば滑落の危険は高まる。

※階段脇の笹の斜面が夏道と尾根との落差になる。


管理人が積雪期に歩く場合、大岩から最後の階段まで(下図の四角で囲った場所)、夏道を回避して尾根の真上(地図だとその微妙なズレまではわからない)を歩くようにしている。
尾根の真上は北風にさらされて雪が浅くまた、広いので滑落の心配がない。
尾根上は木が密生していたり木の根が剥き出しになっているが雪が積もると安全なルート(冬道)になる。
危険を回避するにはこの箇所の夏道にこそロープを張り、安全な尾根の真上に誘導する措置が望ましいといえる。
第二第三の事故を防ぎたいという役所の意向は尊重するが、現場を知ってもっと適切な措置をしてほしかった。


当記事をアップした後、日光市から園地の管理を委託されている(一財)自然公園財団のホームページを見て腰を抜かした。
重要なお知らせとして「丸山トレッキングコース通行禁止」とありなんと、安全な南斜面のコースまで封鎖していることがわかった(下図の赤線部分)。
管理人の主張が認められて入山禁止のロープがレストハウスから八平ヶ原分岐に移動されたのは評価するが、驚いたのは事故があった北斜面だけでなく、安全かつ易しい南斜面のコースまで一緒に封じてしまうという、管理人の想像を超えた措置となっていることだ。
日光市の指示によるものであろうと思うが、現場を知らない行政による暴挙といえよう。
警察や山岳関係者らによって、これから今回の事故の原因究明や対策が検討されるはずだがそれを前にしてなんらかの措置を講じるのは当然として、あまりの無茶ぶりに驚くばかりである。
常識的に考えて登山者の支持を得られるものではないだろう。

警察や山岳関係者から意見の聴取要請があれば、事故現場を安全に通過するためのルートを説明するつもりだが、果たしてそこまで気を回すほどの器が行政にあるのかどうか、、、
図は自然公園財団のホームページから転載。


2月9日
その後、安全確認がとれたのか入山禁止区間が緩和され、丸山南斜面のコースが通れるようになったとの情報が自然公園財団のホームページに掲載された(ただし、日付は上の画像が掲載されたのと同じ、2月2日だったため気づかず)。
これでとりあえず、丸山へは従来通りゲレンデ(積雪時のみ)、天空回廊、登山道の3つのルートを利用できるようになったが、丸山は北斜面を登ってこそ冬山登山の面白さを味わえるので、関係者による安全確認が済み次第、早めに開放してほしい。
丸山地図図は自然公園財団のホームページから転載。

文中、「安全な登山道」という言葉を使っているが厳密に言えば、初心者からベテランに至るすべての登山者が安全に歩けるような登山道などありはしない。
安全は必要な装備と技術、知識があって初めて得られるものであり、登山者自らが創り出すものであると管理人は考えている。