恐怖の克服ならず。思い出すとおそろしくてふるえる、古賀志山のカニの縦這い。

2015年11月01日(日) 快晴、気温22度
赤川ダム駐車場~中尾根エスケープルート~古賀志山~御嶽山~赤岩山~猿岩~赤岩山~中岩~背中当山~岩下道~赤川ダム駐車場

過去の恐怖体験を克服するためにはあらためて同じ場所を訪れて、同じ体験をすることだ。その間、十分な時間があれば恐怖の原因を突きとめておくことで二度目はいくらか冷静に行動できるかもわからない。
恐怖の原因はもしかすると初めての体験だったことからくる、精神的なものなのかもわからないし本当に技術的に難しかったのかもわからない。
いずれにしても恐怖を持ち続けるというのは精神的にマイナスだ。克服は早いにこしたことがない。

古賀志山のバリエーションルートを歩き尽くそうと決めて3ヶ月後の6月9日、YouTubeで見たカニの縦這い、カニの横這いを経験した。横這いにはロープと梯子が、縦這いには鎖があるのでそれほど難しいとは思えなかったからだ。

カニの縦這い、カニの横這いは岩下道の男瀧、女瀧を西へ進んだところを北へ入り、背中当山を経て御嶽山と赤岩山を結ぶ稜線の中央部、中岩に至るルートだ。ただし、地図にはそれらの名称もなければルートも描かれていない。ネットの情報をかき集めて机上で地図にルートを手書きして、それを基に歩いた。

岩下道はいくつかの分岐があるがいずれも岩場に行きつく。そのひとつがカニの横這いへのルートだ。横這いは岩壁の下方に横方向にロープが取り付けられているのですぐにわかる。距離は短く5メートルほどであろう。記憶では最後に梯子があるように思えたが記憶違いだったのか、なかった。

横這いが終わるとすぐ縦這いに変わり、急傾斜の一枚岩になった。おっかしいなぁ、YouTubeではここに鎖が付いていたはずなんだがなぁ、ない。これは記憶違いではない。その証拠に鎖を通すためのハーケンが岩の所々に打ち込まれていることでわかった。鎖はきっと老朽化で外され、新しいものに変えられるのだろう。そういえば横ばいの始まり部分の地面に真新しい鎖が置いてあったのを見た。

岩に突起でもあれば手足を引っかけることができるのに、一枚岩はそれがないので厄介だ。
鎖がないのでハーケンの穴の中に指を通して体を引っ張り上げるという、実に危ない体験をした。岩の凹凸に辛うじて引っかかっている靴が滑ったらハーケンに通している指は体重を支えられず、ひとたまりもない。つまり、切断。
その恐怖と闘いながら時間をかけて慎重に慎重に登ったのは言うまでもない。
中岩直下の岩は鎖があったのでかろうじて登れたというものの、とにかく怖かったことが強く印象に残っている。

そのカニの縦這い、カニの横這いでの恐怖を克服しようと考えて挑んだのが今日だ。しかも、登りよりも危険な下りでだ。もう無茶というほかに言いようがないw
せめて明日のニュースにならないことを古賀志山の神様に祈るばかりだ。と、いつものことながら苦しいときの神頼み、困ったときの神頼み(^^)

さて、恐怖の克服はできるのだろうか。


DSCF4509快晴の日曜日とあって赤川ダムに隣接する宇都宮市森林公園駐車場はすでに満杯状態。ぐるぐる回ってなんとか1台分のスペースを見つけた。
これらの車すべてが山歩きとは限らない。散策する人、BBQを楽しむ人、ロードバイクの人などなど森林公園の利用のされ方は様々だ。

DSCF4511おきまりの赤川ダムから眺める古賀志山。

DSCF4513赤川ダムを過ぎ細野ダムへ向かうと道は二股になる。
左は古賀志山北コースへの道、右は細野林道といって山域内にかなり複雑につくられた道だ。
いつもは左に行くが今日は未踏のバリエーションルートを歩くため右へ行く。

DSCF4519三叉路に休憩するための四阿(あずまや)があるのでここを左折。

DSCF4522前回、10月27日に目星をつけておいた中尾根の岩場を回避するバリエーションルートだ。
中尾根の北側つまり、崖下を通ってピーク496まで、岩場をエスケープできる。

DSCF4524あまり利用されていないので少し荒れているが歩くのに差し支えはない。

DSCF4525左へ折れる道があってこれは中尾根三番岩の下へ行ける。

DSCF4527下から見上げる中尾根三番岩。

DSCF4535中尾根の稜線が見えてきたので、ここで一旦、稜線に乗る。

DSCF4539オオモミジかな?

DSCF4541中尾根の岩場を回避するエスケープルートはここで終わって岩の間に3メートルほどの枯れ木がニョキッと出ている特徴的なピーク496に合流。
気温23度。ここまでで汗だくなので長袖を脱いで半袖一枚にした。水も300ミリは飲んだろうか、とにかく暑い。

DSCF4543ピーク496先の鞍部、四差路になっている。4方向どちらへも行けるが管理人は直進しピーク559方向へ行く。
今日は古賀志山から御嶽山、赤岩山を縦走する計画だ。

DSCF4554眺めの良い伐採地を通り抜け、、、

DSCF4556富士見峠も素通りして、、、

DSCF4557いよいよ古賀志山への急登が始まる。距離は短いがここは苦しい。
古賀志山まで休まず歩けたらその日は好調、途中で休むようなら不調の証。

DSCF4561急登が終わると古賀志山と見晴台への分岐に出るのでまずは、見晴台から景色を眺めて気持ちを落ち着かせる。

DSCF4563次に古賀志山。
今年3月から数えて25回になった。よくもまあこれだけ通ったものだ。
管理人のホームグランドは日光である。その日光を差し置いて古賀志山に通い詰めるのは、やはりこの山の持つ魅力に取り憑かれてしまったからであろう。

DSCF4566続いて稜線続きの御嶽山。古賀志山まで来て御嶽山に足を伸ばさない手はない。ここからの眺めは抜群なのだ。
秋も深まって空気が澄み、遠く日光連山を始めとして白根山、錫ヶ岳、皇海山、高原山が見える。

DSCF4574御嶽山から赤岩山へ行くルートは魅力的だ。細尾根のアップダウンに岩場の上り下りがある。
稜線からの眺めも良く管理人お気に入りのルートである。
この岩は高さ3メートルほどだがほぼ垂直だ。鎖があるのでコツさえ飲み込めば安全に上り下りできる。

DSCF4577先行した管理人が岩の上に立ち、後続の三人パーティーを撮らせていただいた。

DSCF4584ピーク546の中岩。御嶽山と赤岩山の中間に位置する。ここから南へ張り出した尾根があり、そこが難所のカニの縦這い、カニの横這いだ。
帰路はそこを歩くつもりだ。

DSCF4585風もほどよく、赤岩山から飛び立ったたくさんのパラグライダーが空を浮遊している。

DSCF4597赤岩山も素通りして次の猿岩へと向かう。

DSCF4600これが猿岩。
大きな岩で南の麓から眺めると猿の横顔に似ていることからその名が付いたそうだ。
岩の右側をすり抜けると岩の上に立てる。

DSCF4607岩の上に立って南に位置する馬頭岩を俯瞰する。その逆もまた可なり。
馬頭岩も猿岩と同じように麓から眺めたときの名称だ。
だが、管理人はまだ猿岩も馬頭岩も麓から眺められるポイントを知らない。いつかは麓から眺めるべく、調べたい。

DSCF4618御嶽山と赤岩山を結ぶ稜線の一部。
岩の脇の30センチ幅の道で片側は深い谷になっている。稜線はこのようなところばかりだ。
先ほど通過した中岩まで戻っていよいよカニの縦ばい、横ばいを降りることに。

DSCF4621まずはこの岩を下ることから始まる。古賀志山の他の岩場とは違ってここのは一枚岩なので凹凸がない。
足を肩幅より少し広く開き、鎖は両足の中心に置く。体を岩に密着させると重力で下に引っ張られるので、体は岩から遠ざけて靴底全体で体重を支えるのがコツ。と、言うのは簡単だけどやってみるとけっこう難しい。とにかく冷静になって慎重に行動することだ。

ところで、カニの横這いは前回の経験でその位置はわかるが、縦這いはどこからどこまでを指すのかわからない。中岩直下のここから始まるのかそれとも、背中当山から先を指すのだろうかという疑問がある。

DSCF4622地面に近づいたので気持ちが少し楽になり、写真を撮る余裕が生まれた。

DSCF4630鎖場が終わりホッとする。ほんのしばらくだが地面の上を歩ける。

DSCF4631背中当山まで来た。
岩下道まで50メートルに近づいた。が、このルートの核心はこの先なのだ。

DSCF4639先に全体像を掲載してしまうが、これから下る岩を下から仰ぎ見るとこんな状態だ。今日はこの岩を下る。古賀志山山域は普通、急な岩場には必ずといっていいほど鎖かロープが設置されているが、ここにはそのどちらもない。

DSCF4637胸の鼓動を感じながら下り始める。
以前は鎖が取り付けてあったらしく、リング構造のハーケンだけが残っている。
そこにカラビナとその先につけたスリングを命綱とし、ゆっくりゆっくりゆっくり慎重に下っていく。
ハーケンは古く、錆ついているのですっぽ抜けないことだけを祈る。

DSCF4638落差は小さいが足の置き場がないため探しながら慎重に降りる。こんな感じですかねw
まて、写真なんか撮ってる場合じゃない。この危険な状況をまったく理解していない管理人なのである(^^)

DSCF4642ここまで降りてホッとする。同時に初めて、恐怖で膝が震えだした。やはり縦這いは怖い。恐怖は克服できなかった。再々挑戦の必要あり。

写真はカニの横這いを見下ろしているところ。

DSCF4645カニの横這い全体像。
写真右上からロープを伝って壁をトラバースしながら降りていく。その様子からカニの横這いと名がついたのであろう。
ちなみに古い情報では写真右上部分には梯子がかかっていることになっているが今は取り外されている。

DSCF4647カニの横這いの下部に真新しい鎖が巻かれて置いてある。当初、カニの縦這いに取り付けるためのものだろうと思ったのだがその後、詳しい事情を知る人から聞いた話では、もともとカニの縦這いについていた鎖が第三者によって取り外されたのだという。

DSCF4657岩下道を赤川ダムに向かって進むとロッククライミングができる岩壁に出る。
日曜日とあって多くの愛好家が岩登りに昂じていた。中には中学生と見られる子も登っていた。

DSCF4658岩壁の洞窟内にある瀧神社。
クライマーが集う広場として利用されている。神社のすぐ脇に岩の最上部から滝が流れ落ちている。

DSCF4661滝はこの平たい石に当たり、水量は少ないもののバシャバシャと大きな音を立てている。
この石のことを修行石といい、滝には男瀧という名がつけられている。滝の源流は雨乞岩。

DSCF4660修行石の左にも小さな洞窟があってそこには「瀧不動」と彫られた石柱がある。
瀧不動、瀧神社という連想からこの滝が「不動の滝」と称されているらしいが、正式には男瀧が正しい。
当ブログも当初、情報不足から不動の滝と書いたことがあるが、記事を書いた時点の思い(つまり、無知であったこと)を大切にするためにそのままにしてある。

DSCF4669瀧神社近くの聖観音(せいかんのん)に向かい、あの恐ろしいカニの縦這いを降り、ここまで無事に来られたことに感謝して手を合わせた。

DSCF4673あぁ、やっぱり地面の上はいいなぁ。岩場と違って安心して歩けるものなぁ。怖い思いをしなくてもいいものなぁ、としみじみ思う管理人なのである。
が、その感慨も長続きないのが管理人の悪いところだ。いつしか今日歩いたカニの縦這い、カニの横這いを懐かしく思いまた出かけてしまうのだ。

コメントを残す