古賀志山未踏ルート。自分の鼓動が聞こえるほど怖い体験だった。

2015年6月9日(火) 古賀志山(北コース~熊尾根~小マラ尾根~猪落~三本松~御嶽~古賀志山~東陵コース)
天候:雨のち曇り

管理人の住まいから奥日光へ行くのとほぼ同距離にありながら、奥日光の山のようにピークを目指さなくても楽しめるので今年になって今日で7回目、通算8回目の訪問となる古賀志山だが、小ぶりながら山全体が岩陵で構成されているため地形が変化に富んでいて飽きることがない。
それに奥日光の場合、車を置いた場所に戻るには往復とも同じコースを歩く必要があるが古賀志山は同じ場所に戻るにしても往きと帰りのルートを別にすることができるのが魅力だ。
その理由として、尾根という尾根すべてにルートが作られていてそれは100もあるとされ、組合せ自由自在。
スタートからゴールに至るまで自分でオリジナルのコースを設定できる。もっとも、それをできるのは地図が正しく読めるとともにコンパスを使えることが条件になるが、それが可能になれば古賀志山の面白さは無限に広がるというものだ。

今月2日はこれまで未体験のルートを机上で設定し歩き始めたのはいいけれど地図読みに失敗し、予定とはまったく別の場所に出てしまったことが悔しくて、再度挑戦する機会を狙っていたのだが本業が立て込んでなかなか行けず今日ようやく丸一日、時間がとれたのであいにくの雨ではあったが出かけた次第だ。

雨の古賀志山はこれまでで初めてだが、設定したルートには岩場が多くありそこを安全に通過するのが今日の課題であった。
岩は乾燥している状態であれば滑ることはないが雨に濡れると表面に付着しているコケや地衣類が潤滑剤というありがたくない役割を果たし、滑る。古賀志山に限らず雨に濡れれば地面が滑るし木の根や倒木の上はよく滑るから細心の注意が必要である。
であるならばわざわざ危険を冒してまで雨が降る中を歩かなくてもよさそうなものを、と自分でも思うがその危機感よりも失敗した2日の悔しい気持ちの方が大きかったのであろう、一日も早く悔しさから脱したい、そんな思いが今日の古賀志山行きを決定づけた。


古賀志山・富士見峠歩き始めて60分経過後にようやくカメラを撮りだして撮った1枚目の写真がこれ、地理院地図にある富士見峠。
それまで激しい雨にカメラも出せなかったが、やはり記録のためには必要との思いから濡れた手でシャッターを押す。


古賀志山・団子岩富士見峠から伐採地と呼ばれる場所に移動。目の前に見える重なり合った岩がある方に進むがここで濡れた地面で滑って転倒。
これから先、岩場が待ち受けているので気を引き締めよう。


IMG_4311大きな岩の向こう側に出てみるとそこにも岩が。
岩と岩の間をすり抜けるようにして歩く。
この尾根が熊尾根と称されていて大岩と呼ばれている場所まで続くが、前回は尾根の途中で道を間違えて別ルートで大岩に達した。


IMG_4312熊尾根の末端はこのような崖になっていて鎖を伝って降りる。それにしても濡れた岩は滑る。


IMG_4313薄暗い桧の林を下っていくと目印となる大岩に出る。ここから小マラ尾根を歩いて御嶽山に達するのだが前回はここから明瞭な道を進んだのが間違いの元であった。
今日は御嶽山への方角をコンパスにセットして慎重に歩くことにした。


IMG_4314小さな沢を渡って南東の方角が御嶽山だが順調に向かっているようだ。
この頃になるとカメラはレンズに水滴がつき、まるでミニチュアライズ風だ。帰りまで使えるだろうかと心配になってきた。


古賀志山・小マラ岩んっ、なんだこれは?
ルートが導くまま歩いてきたつもりだがルートはここで途絶え、目の前に大きな岩が出現した。しかし、これまで古賀志山で経験してきた岩のように鎖やロープはない。回り道も見あたらない。
GPSで現在地を確認してもこのルートで間違いはない。
ということはこれが「小マラ岩」か? が、まさか鎖もロープもないとは想定外の展開となった。
無鉄砲を地でいく管理人もさすがに怖じ気づく。しかし、ここをクリアしないと御嶽には行けないようだ。さて、どうしたものか。
しばらく考えた末、ここまで来たら行くしかない、それが結論であった。時間がかかってもいいから慎重に行こう。


IMG_4317クリアしてわかったのは「小マラ岩」は岩の傾斜が異なる3つの大きな岩で構成されていて、このブログの女性読者には書きづらいのだがマラとは男性のシンボルを表す隠語で、おそらく3つの岩それぞれが天に向かってそそり立っていることからその名が付いたのではないかと推測する。
この写真の岩は2つ目の上部から撮ったものだがほぼ垂直の壁だ。失敗したら3メートル下の地面しかも岩に叩きつけられ、大怪我必至であった。


IMG_43213つの巨岩をクリアしてようやく地面を踏めた。が、喜びよりも小マラ岩を登った恐怖心の方が大きく心臓の鼓動がまだ鳴り止まない。


IMG_4322古賀志山と御嶽を結ぶ稜線を横切り、次は猪落(ししおとし)を下る。
ここは尾根が岩陵で構成されていて歩きづらい。今月2日は下から登ってきたのだが今日はここを下る。


IMG_4324猪落を下りきったら南西に進路を変えると不動の滝に出る。洞窟の中に滝神社がある。
滝神社の左、植物が生い茂っている岩の上部からはかなり激しい勢いで水が落ちてくる。
これが不動の滝(雄滝)であろう。
そして、滝神社を囲む岩はクライミングに使われるほど、著名な岩として人気があるらしい。

※不動の滝は元々、古賀志山山域には存在しないそうだ。雄滝(おたき)も正式には男瀧と書くそうだが、この記事では書いた時点のままにしておく(2015/09/30)。


IMG_4331滝神社にあった説明書き。
900余年もの歴史があるそうだ。


IMG_4337小さな神社ながらも造りは立派で、正面以外の3つの側面に彫刻が施されている。


IMG_4343滝神社からもっとも西に位置するこの壁まで、クライミングで使われている。


IMG_4354最後の壁を抜けて先に進むとバシャバシャと音を立てて岩壁から水が落ちている場所がある。
これが女滝らしい。

※その後の調べで女滝ではないことがわかった。女滝はここと男瀧との間にある。


IMG_4345女滝の奥に3つの小さな社がある。
これらは弁天、天狗宮、風神雷神と並んでいる。


IMG_4351それらのひとつ、これは弁天なのだろうか、木を彫った像がある。歴史を刻む像だ。


IMG_4360女滝を過ぎさらに進むと次の目的地、三本松と大日堂を経て車道に至る分岐に出る。
ここまで来たついでだからとこの分岐を直進して大日堂に行ってみることにした。


IMG_4361先ほどの不動の滝からずっと、進行右手は岩壁になっているがこんな滝と出合った。荒沢瀧というそうだ。
壁が一段低くなったところから細い流れが実にいい形をなしていて、はやりの言葉で言えば霊感スポットそのものだ。


IMG_4367真新しい建物に大日如来像があるが先ほど見た弁天、天狗宮、風神雷神に比べると霊感的には欠ける(^^)


古賀志山・カニの横ばい先ほどの分岐まで戻り三本松へ向かうことにするが、分岐を右に進んですぐ出合ったのが岩を横切る「カニの横ばい」である。
ロープがあるところは簡単だが5メートルも進むとロープはなくなり、次は急な岩をよじ登らなくてはならない。
カメラはレンズ中央部分を残して水滴が付いているようでボケがひどい。


古賀志山・カニの縦ばい苦労の末にカニの横ばいをクリアすると続けて今度は「カニの縦ばい」だ。鎖もロープもないのでこちらも怖い。


IMG_4389ふ~、これだけ岩が続くと地面が嬉しく感じる(^^)


IMG_4393また岩。ただし、今度は鎖がある。


IMG_4398中央に古賀志山が見えてきた。
その手前が御嶽だ。


IMG_4403ひぇ~、まだあったのかw
これが最後であってほしい。


古賀志山・御嶽山御嶽山に到着。昨年9月に大噴火を起こし、多くの犠牲者を出した長野県の御嶽山と同じ山名だ。
犠牲者の冥福を祈るつもりでここで合掌。


IMG_4412御嶽山からは先ほど、恐怖と闘いながらクリアした小マラ岩がよく見える。
帰宅後よく調べたらこの岩は、単独でしかも確保なしで登るには無謀であることがわかった。安全のためにも複数人でロープを使って登る岩のようだ。


古賀志山山頂御嶽山とは同じ稜線上にあり、目と鼻の先の古賀志山。これで通算8回目。
滞在時間10秒、この写真を撮っただけで次の東陵見晴台へと急ぐ。


古賀志山・東陵コース見晴台からはやはり岩場を下る。5つの異なる岩をそれぞれ鎖やロープを伝い下っていく。


IMG_4416最後は車を置いた赤川ダムまでこのような広く緩やかな傾斜を歩く。これまでと比べるとまるでお散歩だ。
今日一日の行動を振り返りながら足早に駐車場に向かった。
それにしても今日、歩いたルートは過去7回の経験でもっとも厳しかった。あの恐怖はもう二度と味わいたくないというのがここを歩きながらの感想であった。
が、ほとぼりが冷めるともう一度体験したいという欲求が沸くのが管理人の常のことである(^^)