商売道具を忘れて来てしまったことに愕然とするガイド。ガイド生命もこれで終わりかと思ったがお客さまに救われたツアーであった。

2015年3月6日(金) 霧降高原・丸山、天気は目まぐるしく変化

スノーシューツアーをおこなうのにいろんな小物を持ち歩いていてザックは軽いときで12キロ、参加者が多いと15キロにもなる。軽量化して身体への負担を減らしたいのはやまやまなのだが、たとえばガスコンロはお湯を沸かすだけでなく暖をとるにも便利だし、人数分のランチを暖かい状態のまま運ぶには1リットルの熱湯が入った水筒が不可欠である。

ツェルトなどは2キロもあるから吹雪の日は必須だが穏やかな日は重たい荷物になるだけで、老いた身体にこれほど負担になるものはない。が、天候に応じて携行したりしなかったりというのはザックのパッキングがかえって面倒になるので結局、常時携行することになる。
地図やコンパス、GPSは歩くルートが決まっていて視界が良好であればあえて必要はないが、吹雪で視界が得られない場合は必須となるため、これも常時携行している。
救急セットしかり細ひも、ライター、ナイフ、爪切り、医薬品なども使う機会は滅多にないが万一の時に必要なので常時携行。
例外はスマホやタブレットで、これらはツアーには無用の長物と考え携行していない。緊急時の連絡は遠距離でも電波の届くFOMAプラスエリアをカバーできるガラケーがベストだ。

デジカメはどうか。ツアーの記録用に予備電池といっしょに携行しては一回のツアーで数十枚は撮る。小物の中ではフィールドの状況にかかわらず必ず使う、最重要のアイテムである。が、唯一の欠点は撮った写真をPCに取り込んだりバッテリを充電するのにツアーが終わったらカメラケースから取り出し、ツアーに出かけるときにカメラケースに収めなくてはならないことだ。他の小物がザックに入れっぱなしでいいのに対してデジカメのこの作業は面倒だ。

面倒な作業は時間帯を決めて習慣づけるようにしているのだが、今日はそれを怠ってしまった。
歩き始めて最初のビューポイントまで来たので、写真を撮ろうとカメラケースに手を伸ばしたところ、ないのだ。
しまったぁ、PCの脇に置いたままだ、と気づくのに数秒とかからなかったがその時間がえらく長く感じたのは、知人の名前をほんの一瞬だが忘れてしまい、頭の 中の引き出しから候補となる名前をいくつか拾い出し、その中から目の前にいる知人の名前を選択するというのに似て、脳内では思考と血液が猛烈な速度で駆け 巡ったはずだ。
いつもならツアーの前夜、充電済みの電池をカメラにセットしてザックにくくりつけてあるカメラケースに入れ、ツアー当日はパッキングしたザックだけ持ち出せば いいようにしているのだが昨夜は撮影済みの写真をPCに取り込む時間が遅く、充電を就寝中にしたのが間違いの元であった。
ツアー前夜にすべてを揃えておくという長年の習慣が、このときに破れたのであった。

とにかく、長いツアー歴の中でデジカメを忘れたというのは今日が初めてである。

カメラがないことに気づいたとき、ザックを車に積む間に落としたのではないか、いや、ザックを背負うときに落としたのだ、いやそれも違う。歩いている時に落としたはずだなどという考えばかりが先に立ち、家に置きっぱなしで出かけてしまったという、自分に都合の悪い答えは決して出てこないということを発見したのは収穫であった(そんなことを自慢している場合ではないのだがww)。

まっ、ないものは仕方がないと諦めて記録は文字として残すことにしようと、歩きながら考えたのがこの記事である。
いやしかし、次のツアーの時も忘れたらどうしよう、それはガイド業から手を引けというサインなのではないだろうかという、恐怖心をいだきながら歩いたのも事実である(う~、コワッ)。

と、ここまでのことをお客さまと話していたところ、ご厚意で写真を提供してくださることになった。
したがって当記事に使った写真はすべて、お客さまのご厚意によるものである。感謝。
とはいえ、管理人は撮ったその場でこのショットをどんな記事にしようかと考える習慣がついているため、お借りした写真を記事にしようとしてもキーボードを打つ手がもどかしい。でもなんとか頑張ってみた。


DSCN3757今日のお客さま3年前から毎年、スノーシューツアーに参加してくれているTさんだ。
Tさん、いつもなら会社の先輩のKさんといっしょに来ていて今年は1月にすでに経験済みなので今冬2回目の参加であるが、今回は大学への進学が決まった息子さんといっしょだ。
ちなみに1月のツアーでは猛吹雪に見舞われて昼食を断念、下山して食べるという、数年に一度あるかないかという貴重な体験をされている(^^)

さて、息子さんは小学生のころから高校生時代までサッカー生活に明け暮れたスポーツ少年なので体力は抜群である。コースもそれに見合ったものにしなくてはならないであろうと考え、丸山延長コースにした。
通常であれば丸山を登頂したら小丸山経由で下山するところを距離を1キロほど延長し、焼石金剛まで足を延ばすのだ。長い斜面を1時間かけて登るため丸山を二度登るのに相当する運動量になるがこの間の展望は素晴らしく、疲れも忘れてしまう。

DSCN3764Yahooの天気情報によれば栃木県北部は今日一日、ほぼ晴れの予報。気温も上がりそうなので快適なツアーになるであろう。7時現在、霧降高原の上空は青空が広がっているので予報は当たりだ。
実際に現地に行ってみると霧降高原を中心に半径20キロの範囲で晴れているようだ。
ただし、春の天気である。数分のサイクルで目まぐるしく変わるのを念頭に置かなくてはならないであろう。

DSCN3765先頭をご子息に任せてガイド役の管理人は後から進むべき方向と危険箇所を伝える役だ。

DSCN3775雪は固く締まって歩きやすく、スタートしてから八平ヶ原まで1時間5分で着いてしまった。気温が高いため休憩を多く取りながらである。

DSCN3778丸山の尾根は緩急取り混ぜた斜面があって面白いのだが、中には写真のような急斜面があり苦しんだりもする。
ここは登山道の上だが迂回もできるのでツアーでは参加者の脚力に応じて使い分けるようにしている。

DSCN3785ご子息のペースが速かったので山頂到達は11:28。
ここからもう一度、丸山を登るほどの傾斜を歩く予定なので、とりあえずここで腹ごしらえとしよう。

DSCN3787上空は厚い雲に被われているが視界はまずまずだ。

DSCN3790次に目指すのはあそこ。
中央に見える出っ張りが焼石金剛といって大きな溶岩魂が多数ある場所だ。

DSCN3805雪に埋もれたコメツガを縫うようにして歩き、あと5分という位置まで来た。

DSCN3806焼石金剛の溶岩魂。小さな祠が雪に埋まっている。
昔は信仰の山だったことを表している。

DSCN3808丸山山頂からここまでわずか47分という、相変わらずのハイペースだ。

Tさんが頻繁に写真を撮ってくれたおかげでこのように記事ができている。本当にありがたいお客さまだ。

DSCN3813福島方面の山をバックにご子息。
「焼石金剛」を示す道標の文字はかすれて目を近づけないと読めないが、最近の味気ない道標にくらべて管理人はこのような風雪に耐えた古いものが好きだ。

DSCN3827関東平野を眼下に、管理人も撮っていただいた。
この日の天気の変化は目まぐるしく、フリースを脱いだり来たり、ジャケットのフードを被ったりと、忙しい。
が、体温を一定に保つのに不可欠な作業である。

DSCN3830焼石金剛をあとに小丸山へと下る。

DSCN3831中央に見える構造物はシカが侵入しないようにする回転ゲート。その左右は同じくシカ柵である。
ゲートから中に入ると元スキー場のゲレンデと天空回廊だ。
われわれは柵の外、登山道を辿って下山する。

DSCN3843丸山北斜面と南斜面との登山道の分岐まで下りた。ここからゴールまで10分ほど、緩やかな傾斜を歩いてツアーは終わりとなる。

Tさん、ご子息、今日は本当にありがとうございました。

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