落としたスマホを探しに、昨日に続いて三本槍岳へ。

2019年3月19日(火) 薄曇り

いくら同じ場所をなんども訪れる傾向がある管理人とは言え、二日続けて三本槍岳とはいくらなんでも、、、
でも行かなくてはならないのだ。訳あって。

これ以上、ないと言うほど気持ちが落ち込んでいる。
昨日15キロも歩いて疲れているので、本来なら今日は休養に充てたいところだが、そんな悠長なことをしている気持ちの余裕はない。

スマホを落とした。

探しに行かなくてはならない。
Geographica(地図ソフトのこと)を入れたスマホはガーミンとともに山行では常に持ち歩くようにしている。
その大切なスマホを紛失した。

Geographicaの他にアウトドア系のアプリが少し入っているだけでメールやSNSは別のスマホを使っているから致命的とはならないが、なくしたこと、それがショックだ。
Geographicaは一定時間ごとにあらかじめ設定したルートの詳細を音声で読み上げてくれる便利な機能(スピーチ機能)がある。進むべき方位を1度単位で知らせてくれるのでコンパスのセットがとても楽になる。紙地図とコンパスを使った読図ができない状況ではとても役に立つ。

それが山頂に到着するまで頻繁に聞こえていたのに、下山時には沈黙していることに気がついた。スマホを入れてあったザックの腰ポケットに手をやると、チャックが全開になっていてそこにあるべきはずのスマホがないことがわかった。

落としたのかな?
手に持って見たあとで他のポケットにしまったのでは?
いや、そんなはずはない。
入れる場所はザックの腰ポケットに決めているからそこに入ってないということはやはり落としたのだろう。

さてと、時間は今、15時20分。
山頂からここまでの間で落としたのは間違いないが、これからスマホを探しに山頂を往復しようとすれば早くても1時間半かかる。ここに戻ってくるのは16時50分か?
予定している県道に下山するのは18時半、途中で日没になるのは間違いない。
昨年同じルートを一度歩いているとはいえ、深い林の中で日没を迎えるのは好ましくない。

思考は巡り巡ったが、このまま下山することに決めた。
落とした場所は山頂と大岩と呼ばれるガレ場の間だとわかっているし、山頂から下山したのは管理人が最後だし上ってくる人もいなかった。雪は固く締まっていてアイゼンの跡がくっきり残っている。明日、一番に入山して踏跡に忠実に沿って歩けば見つかるはずである。

落とし物を捜す目的で二日続けて同じ山に上らなくてはならないのは気が進まないが、管理人の不注意が引き起こしたミスだ。
雨が降ったり雪が降ったりしたら見つけるのは困難だしまして、雪が解けたら下草に潜ってしまい発見などできるわけがない。
見つかる可能性があるのはここ数日の間しかない。

スマホを落としたことで意気消沈していたのか、足取りは重く、さらには予定していた尾根を外して別の尾根に入り込むというオマケがついたのが昨日だった。

スマホを探し当て、気持ちをスッキリさせたい一心で自宅を出発した。

ゴンドラ~山頂駅(8:40)~P1462(8:52)~大岩(10:50)~三本槍岳(11:27/11:40)~大岩(12:24)~P1462(13:28)~山頂駅(13:40)~ゴンドラ
メモ・・・ゴンドラ乗車区間は除く
・歩行距離:9.3キロ(GPSログをカシミール3Dで処理した値)
・所要時間:5時間00分(写真撮影と休憩を含む)
・累積標高:674メートル(アップダウンのうち、上昇分の累積)

昨日はあえて長距離のルート設定としたが、残雪期の三本槍岳へのスタンダードなルートは那須のマウントジーンズスキー場のゴンドラを利用することである。
450メートルの標高差を10分で運んでくれるから時短のためにも利用しない手はない。
ただし問題は、運行開始が登山をするにはやや遅い8時半であることと、終了が15時45分と早すぎることである。
これについての弊害は昨年のブログに書いておいた。→こちら


ゴンドラは三本槍岳登山やファットバイク、ドッグランなどを楽しむ人たちを想定し、片道だけの乗車は出来ないようだ。
乗車賃往復1410円を支払ってゴンドラに乗り込んだ。


ゲレンデ下部の雪はほとんど解け、今年の雪の少なさを実感する。


ゴンドラを下りると様相は一変し、残雪期の山そのものといったところ。


ピーク1462に設置してある展望台。


地図をみるとわかるが、ここで三本槍岳へのもうひとつのルートである、北温泉からのルートと交わる。管理人は未踏だが冬はその北温泉までの道路が通行止めになっているはず。
ルートはここから「中の大倉尾根」となる。


昨日、下山に使ったときのアイゼンの跡がくっきり残っている。


ブナの大木


しばらく歩くと左前方に茶臼岳、朝日岳といった那須連峰が見えてくる。
目標としている三本槍岳はここからでは見えない。


進行右には昨日登った赤面山が見える。


昨日は赤面山の次に前岳の登るはずだったが、あらかじめ設定したルートに忠実に歩いたつもりだったのに山名板に出合うことがなかった。
そもそもピークらしきものがないのだ。
実際にはそこがピークと感じることなく通過したのかもわからないが、こうして見るとあの出っ張りが前岳なのかもしれない。


大岩に至る大斜面が始まった。
距離は1キロ強に過ぎないが大岩まで同じ傾斜がずっと続いていて、疲れを加速させる。


昨日は15キロほど歩き、やはり心身ともに疲れているのだろう。
大斜面を上がるのになんども立ち止まっては息を整えなくてはならなかった。
北西の方向に安達太良山が見える。


こちらは磐梯山。
慰めになる。


大岩の手間でガレ場に変わり、ここでスノーシューからチェーンスパイクに替えた。


大岩
昨日はこの右(北)から上って方向を90度変えて三本槍岳に向かった。
スマホのスピーチはここまでかなり頻繁に聞こえていた記憶がある。


大岩で傾斜は緩い下りに転じ、ここで初めて三本槍岳が登場する。
前方ののっぺりした山の右端が三本槍岳である。槍のように尖っているわけではない。


再び大斜面。
休憩が増える。
休憩するたびに辺りをキョロキョロ見渡すが、スマホは見つかっていない。
望みは山頂に絞られた。


ふ~、着いた~。
昨日は初めて歩くルートで山頂に達し、その感激はひとしおだったが、今日は落としたスマホを探しに来たのだ。
感激もなければ達成感もない。


山頂は平面で休憩には最適な地形をしている。
ただし、立っていられないほどの烈風が吹く日も多く、休憩は状況次第。
昨日はここから一段降り、ハイマツの陰で昼食とした。
ザックを下ろしたのはそこでだ。
同じ場所で昼食を摂りながら昨日の行動を振り返ってみたが、スマホを落とすとすればそこでしかない。
が、入念に探したにもかかわらず、スマホは見つからなかった。
疲れがどっと出た。これを徒労感とでもいうのだろう。


気分が沈んだまま、下山に向かった。
安達太良山。


磐梯山


ピーク1462付近


ゴンドラ駅付近


ゴンドラに乗り込むころには徒労感も消え、沈んだ気分も解消されていた。
スマホは見つからなかったが、なくした翌日にはこうして探しに来たんだし、なすべき事はしたのだ。
これ以上の正しい行動はないだろう。それを評価しよう。
昨日の失敗を教訓にして再発しないように努めること、それが健全な考えだといえる。いつまでもぐだぐだしていては老い先短い人生、楽しめない。
カメラもGPSもロガーもすべて、逆立ちしても身体から落下しないようにストラップをつけるなど工夫を施している。
次回の山行までにスマホへの工夫も検討しよう。