残雪の那須連峰、三本槍岳。登り始めからずっと息をのむ絶景だった。

2018年3月14日(水)快晴、山頂は強風

Mt.ジーンズ那須ゴンドラ~山頂駅(10:05)~P1462(10:20)~P1714(11:28)~清水平分岐(12:12)~三本槍岳(12:40/13:15)~清水平分岐(13:30)~P1714(13:52)~P1462(14:25)~山頂駅(14:34)~ゴンドラ
※上り2時間35分、下り1時間19分
※距離:9.3キロメートル
※ゴンドラ:往復1410円、運行8:30~15:45、3月25日まで

昨年、那須の山に惹かれて、6月から10月までの間に4回訪れた。
それぞれ異なる山に登ったわけだがいずれも期待が外れることがないほど那須の山は雄大で、山頂に立つまでもなく絶景が楽しめた。
日光の山はずいぶん登ったが多くは長い林間歩きの末に山頂に立ってようやく展望が得られるというパターンに、そろそろこういう山歩きから脱けて、手軽に展望を楽しみたいと思うようになっていた。

60代後半になり体力が衰えた身体には苦しみながらの登山は厳しい。
陽のあたらない長い樹林帯を歩いていると、ついつい先行きの見えない我が人生と重ねていまい、気持ちが暗くなってしまう。
できるなら始めから終わりまで、遠くの山並みを眺めながらのんびり山を楽しみたい。そのほうが同じ距離歩くにしても疲れが少ないに決まっている。それに気持ちまで明るくなるし。
そんな願望が一昨年、とある山のおかげで会津駒ヶ岳に引き合わせてくれた。
樹林帯を脱けて中腹に達すると目の前にどこまで続いているのかと思わせるような広大な湿原が待ちうけていた。そうなんだよ、おいらが求めていた山歩きはこういうことを言うのだよ→そのときの感動はこちらに詳しく

日光の山は自宅から登山口まで、車で60分以内で行ける。会津駒ヶ岳だと登山口の檜枝岐まで3時間かかるからその差は大きい。しかし、時間差を埋めるに十分なほどの感動を与えてくれるから移動時間の長さが気にならない。
そうやって一昨年から昨年にかけて5回も行く結果となったのだ。お泊まり登山を経験したのも会津駒ヶ岳が初めてであった(ジムニーによる車中泊も経験 ^^;)。

三本槍岳山頂から見た福島県の山並みさて、那須の山のこと。
会津に行くほどの時間の余裕がないときは那須の山々が管理人の気持ちを満たしてくれる。
会津駒ヶ岳に行かなくても展望のいい山はないか、栃木県の山だけを解説している本で探したところ、どうやら那須の山が管理人のニーズを満たしてくれることがわかった。
正確には那須連峰といって茶臼岳、朝日岳、三本槍岳ら主峰に加えて南月山、黒尾谷岳の五峰を指しているが、地図を広げるとわかるとおり、これらの山の稜線を北に辿っていくと福島県の山に通じていることも親しみが湧く。
おっと、そんな精神的なことではなく、那須の山々は展望がいいのだ。
標高こそ日光の山には敵わないが、とにかく展望がいい。労さずして大展望が望めるのだ。一度登ったら病みつきになる。いや、すでに病人と化している管理人なのである(^^;)

前回のブログから1ヶ月以上も間が空いたがこれはその間、スノーシューツアーのガイドを務めていたためで、山歩きをしていなかったわけではありません。

マウントジーンズ那須スキー場朝、7時40分に自宅を出発したものの、起点となるマウントジーンズスキー場に着いたのはこんな時間になった。道路は渋滞もないし全線乾燥していたにもかかわらずにだ。
日光の山へのアクセスに慣れきっている管理人だが、井の中の蛙から抜け出すためにも2時間という移動時間に目をつむらなくてはいけない。

さて、管理人はガイドの依頼を受ける以外、単独行である。山仲間はいない。
ただし、今日のように10数年という常連さんでなおかつ、信頼に足るお客さんとはガイドというよりか、よきパートナーとして一緒に歩くことがある。
今日は十分な経験があり健脚のWさんと一緒だから心強い。


スキー場エスカレーター入口駐車場脇の地下道をくぐると建物の入口と出合う。しかし見てわかるとおり、玄関しかない妙な構造になっている。
実はこれ、受け付けやレストランなどが集合するベースロッジとよばれる建物へ導く長いエスカレーターの乗降口なのだ。


スキー場のゴンドラ乗り場エスカレーターを降り受け付けで登山届けを書いて受付嬢に提出し、同じ場所でゴンドラのチケットを買う仕組みになっている。
スキーをやるためにゴンドラを利用するには片道券でいいのだが、三本槍岳の登山だと往復券(1410円)を購入する必要がある。なぜなら、ゲレンデの中を歩いて登るあるいは下ることは禁じられているからだ。
それとゴンドラの運行は15:45が最終だからそれまでに下山するようにと強く言われた。
実は先月28日に下見で立ち寄った際、ある重要な疑問があったので事務所のスタッフに率直にぶつけてみた。まさにゴンドラの運行時間についてであった。
万一、なんらかの事情で最終のゴンドラに乗れなかった場合、どうすればいいのかと。
答は明快であった。
遭難したと見なして警察に通報する、というのがスキー場の対応らしいのだ。そうしないためには電話で連絡をしてくださいとのことだった。ただし、それによって事態が変わるのかどうかまでは聞かなかった。


ゴンドラは標高950メートルのベースロッジから「中の大倉尾根」が始まる1410メートルまでを数分で運んでくれる。標高差にして460メートル上がるわけだが山での標高差としては大きい。ゴンドラの長さは公称1845メートルなので歩けば1時間半はかかる。


ゴンドラを降り立つと真っ平らゴンドラを降りて外に出てみるとそこは地図の通り、真っ平らな空間が広がっていた。
ここにはドッグランやスノーシューのエリアがしつらえてあるとのことだ。


整備されたコースを北に向かって進む。


ピーク1462にある展望台小高い丘のようなところに展望台のような構造物のある場所に来た。
地図には1462メートルのピークとして描かれている場所である。
なお、地理院地図だと八幡温泉からここまで登山道が描かれているが下山後、GPSのログで見るとゴンドラ駅からここまでの道は地図にある登山道とは違っていることがわかった。


三本槍岳が木々の間に見える先ほどの展望台の手前で左(西)に折れると地図にある「中の大倉尾根」が始まる。
那須連峰に詳しい常連客のTさんによると、この尾根からの眺めは雄大で素晴らしいのひと言に尽きるとのことだ。


進行前方にP1714なるほど、目の前に早くも山が迫ってきた。
地図と対比させると、しばらくの間、緩やかな上りが続いてそれから傾斜が急になっていることから、ここから見るあの小高い山は標高点1714を含む斜面であることがわかる。


遮るものがなくなり茶臼岳がさらに進むと眺めをじゃまする木々はなくなり那須連峰がよりいっそう、際立つようになってきた。中央に見えるのは茶臼岳に違いない。
右端に見える尖った山は朝日岳のはずだ。


茶臼岳の右に朝日岳今度は朝日岳を中央に納めて左に茶臼岳を眺める。


P1714に近づいた先ほど標高点1714を眺めた位置から10分経過した地点で、再び目線を正面に向ける。
標高点1714を中央にしてその奥左が標高点1856、さらに左がピーク1900。
三本槍岳はここからだと見えない。


朝日岳をズームで茶臼岳や朝日岳、それを取り巻く山はどこからでもよく見える。


同じ画像だがわかりやすいように山名を入れてみた。


標高点1714は目の前標高点1714はすぐ目の前になった。
写真を撮る頻度が多くなるにつれて先を行くWさんとの距離は遠のくばかり。


ガレ場。雪はない標高点1714を通過するとガレ場と遭遇。雪はまったく付いていない。


間もなく清水平への分岐三本槍岳と清水平を示す標識だが、清水平へはこの先で南へ分岐して行く。


時刻は12時を回った。
この位置から三本槍岳まで約1キロ、40分かかるとして登頂は12時40分だ。
下山に2時間半は必要と考えるとゴンドラの最終便が15:45だから13時10分には山頂を発たなくてはいけない。したがって山頂にいられるのは30分が限度とみた。
写真を撮るのに10分は費やしたいし絶景も堪能したい。地図とコンパスを使って周りに見える山の名前を同定したい。昼メシも食べなくてはならない。
これらすべてを30分でおこなう必要がある。
脳内は時間の計算で活発に働いている。まるで渋滞する中、車で結婚式場へ向かっているかのようで気持ちが落ち着かない。
いやだ、山でこういう面倒な計算をするのは!! 快適さが失われるというもんだ。


1714に隠れて見えなかった三本槍岳が見えたこれまで標高点1714に隠れて見えなかった三本槍岳を正面にとらえた。


三本槍岳、もうすぐ三本槍岳は昨年、3回登っているが、傾斜はここから眺めるよりもきつかったような気がする。雪が積もっているために緩やかに見えるのだろうか。


旭岳進行右(北)に旭岳が先鋭的な姿を見せている。


山頂が間近に迫った。


人の姿が見える。目の前が山頂である。


三本槍岳山頂やったぞ!
ついに残雪の三本槍岳に登頂!!
歩き始めて2時間35分か、思っていたよりも時間は短かった。
下りは2時間半かかると見ていたがこれなら2時間でいいかもわからない。

驚くことに山頂には雪がまったくない。
その理由はすぐにわかった。


昨年、3回訪れているがここから白い山並みを眺めるのは初めてである。
それにしても凄まじい風だ。身体がふらついて真っ直ぐ立っていられない。
山頂に雪が積もらないのはこの風のせいだ。すべて吹き飛ばされてしまうのだ。



あまりにも凄まじい風で立っているのがやっとの状態。


旭岳旭岳。
そのすぐ手前は須立山かもしれない。


流石山や三倉山などを結んでいる稜線山頂の西に実に美しい稜線が見える。
栃木県と福島県との境に位置する流石山や三倉山などを結んでいる稜線である。
県境にある山だが栃木県側から登ろうとすると日帰りは困難であることから、福島県の山としたほうがいいようだ。
今年はあの稜線を歩いてみたいものだ。


ズームで撮ってみるとその美しさがより際立つ。


ひとつ前の画像に山名を加えてみた。


今日の出で立ち山頂の強風を避けるためブッシュに身を寄せて昼食にする。
ゴンドラの終点からここまでスノーシューをザックにくくりつけ、チェーンスパイクのまま歩いて来た。雪は適度に締まっていて潜ることなく快適に歩けた。


下山開始ゴンドラの終了時間が気になって仕方がないので下山にとりかかった。
この時刻なら2時間とみても最終には間に合うはずだ。


ゴンドラの山頂駅が見える眼下に先ほどのゴンドラ駅が見える。


振り返って朝日岳時間に追われているとはいえ、この絶景を楽しまないわけにはいかない。


傾斜は緩くなりゴンドラ駅に近くなったことがわかる。


ゴンドラ駅間近ブナとミズナラ、ダケカンバの自然林の中を歩く。傾斜はない。


ゴンドラ駅に到着ゴンドラ駅に到着した。


時刻は14時34分。
計算よりも1時間ほど早く下山できた。ベースロッジに戻って無事に下山したことを告げて今日の山行は終了した。


本日歩いたルートスキー場からのピストンなのでGPSの軌跡は1本のみ。
ゴンドラに乗って途中まで行くというのは時間と労力の軽減にはなるがお手軽登山という感じもする。ただし、今日の目的は「中の大倉尾根」の感触を得るのと、尾根の始まりから三本槍岳までの時間計測にあったので良しとする。
実は本心は時間に制約のあるゴンドラを利用せず、県道290号線からピーク1462に達してそれから中の大倉尾根で三本槍岳に登ることなのだ。
最適な登り口は下見を2回おこなってすでに見つけてある。
290号線脇に駐車できる場所が2箇所あって、そこからピーク1462を目指すことができそうだ。
距離約1.6キロの緩やかな傾斜なので残雪期ならば90分みておけば大丈夫だと思う。それにそのルートはスキー場の敷地外であるはずだ。迷惑をかけることはないだろう。
今日の結果だとゴンドラ駅から三本槍岳往復で4時間だったのでプラス2時間すればいい。今年はすでに遅いので来年の課題としたい。