いまが旬。沼原から那須連峰をぐるりと紅葉の旅。

2018年10月2日(火) 晴れ/強風

那須の紅葉那須の紅葉はそれは美しい。
と、昨年の10月(18日)、来年(すなわち今年)に向けての下見と思って沼原から姥ヶ平まで行った際に、ひょうたん池で出合ったハイカーからそのように聞いた。
栃木県の紅葉の本場は日光、とよく言われテレビのニュースで流れるほどだが、実は管理人、日光の紅葉をのんびり楽しんだことがない。

かなり前になるが紅葉盛りの奥日光へ出かけたら帰って来れなくなって大変な目にあったことがある。渋滞で身動きできないのだ。
宿泊客がいる日なので3時にはペンションに戻りたかったが、遅れに遅れて5時近くになったことがあった。もちろん平日である。
以来、紅葉の時期の奥日光へは行っていない。

那須は福島県の山ほどではないが遠い。
しかし、ありがたいことに日光から那須へは混雑を避けていくことができる。来訪者の多くは東北道を利用して那須の表玄関とも言える那須湯本へ向かうが、その道はレジャー施設が多いこともあって混む。
管理人が選んだのは、那須連峰の登山でしか利用されない沼原登山口である。
今日も渋滞なしで行けることを確信している。

行程表(名称は昭文社「山と高原地図」の記載に基づく)
沼原登山口(8:08)~白笹山(9:42)~南月山(10:27)~日の出平(10:59)~牛ヶ首(11:20)~避難小屋(11:55)~朝日の肩(12:38)~朝日岳(12:47)~朝日の肩(12:59)~分岐(13:07)~隠居倉(13:37)~三斗小屋温泉(14:42)~沼原分岐(15:05)~姥ヶ平下(15:42)~沼原登山口(17:13)

メモ
・歩行距離:18.6キロメートル
・所要時間:9時間5分
・累積標高:1573メートル(アップダウンのうち、上り分の累積)
・南月山から先、立ち止まって紅葉を眺める時間が長大だった。



沼原駐車場
台風24号が去って2日目、絶好の紅葉日よりになった。
明日の午後から天気は下り坂で明後日は雨らしい。
それを見越してか、人出は今日に集中したようだ。
ここ沼原(ぬまっぱら)に車を置くのはこれで二度目だが、8時過ぎに到着しても駐車場の半分は空いていた。ここまで混雑はまったくなかった。


スパッツ着用昨年10月、やはり沼原から歩いたことがあってそのときは泥濘でズボンの裾を汚したことを覚えている。台風の後なので泥濘はもっとひどいと考えスパッツを着けた。


沼原登山口沼原へ行く道路は駐車場で行き止まりになる。
そしてこの行き止まりから登山道が始まる。
ただし、ここから那須連峰を目指す場合、白笹山まで急登を強いられる。そのため、登山者の多くは駐車場の一角にある別の登山道を北上して那須連峰を目指す。傾斜が緩やかなのに加えて那須連峰でもっとも紅葉が美しいといわれる姥ヶ平への近道でもあるからだ。
那須登山の表玄関である大丸温泉やロープウエイ駅、峠の茶屋といった登山口の混雑にくらべて沼原登山口は空いている。その空いている2本の登山ルートでも上りに利用するには急すぎて敬遠されるルートを選んだのは、ひとえに管理人の偏屈な性格によるものである。
だって他に誰もいない道を歩くのは贅沢な気分が味わえるし得した気になれるじゃない!


コースの泥濘沼原というくらいだから土壌は水を多く含んでいるのであろう、台風が去ったばかりということもあり低地はぬかるんでいる。


沼原の調整池が見えてきた標高が上がると進行左に歩き始めた沼原の調整池が見えてくる。
歩き始めて1時間。その間に駐車場はずいぶん混んできたようだ。


沼原の調整池が見えてくる。ここは標高1500メートル付近。
最初の目標地、白笹山の手前だが展望が開けて福島県の山並みが見える。


山を背景に紅葉先ほどの山を背景に紅葉を。


カエデとゴヨウツツジの紅葉う~ん、いいですねぇ。
鮮やかな朱色はカエデ、濃い朱色はゴヨウツツジ。


ナナカマド?オオカメノキかな、それともナナカマド?


白笹山最大斜度25度という急登を強いられたが無事に白笹山(1719メートル)に到着。
白笹山は周りを木々に囲まれて展望がない。
が、今日のお楽しみはこれから先にある。


先ず南月山へ見えてきたぞ、南月山だ。
那須連峰は黒尾谷岳、南月山、茶臼岳、朝日岳、三本槍岳の五峰を指すといわれているが黒尾谷岳はルートから外れて1時間かかるから今日は除外して、これから先ず南月山へと。


腰高の笹原だが見通しは良く、息苦しさはない。


南月山山頂南月山の山頂に到着。正面に大きな茶臼岳が見える。
ここまで、すれ違った登山者は1名。管理人が読んだとおり、沼原から白笹山経由で南月山を目指す人はいなかった。
ところで、南月山と名がついているからにはどこかに「月山」もあるのではという疑問が湧く。
昨年の山行でそう思ったので調べたところ、昔は茶臼岳のことを月山と呼んでいたことがあるらしい。

いやぁ、それにしてもものすごい風だ。
これまで樹林帯の中を歩いて来たので感じなかったが、ジャケットもズボンも風にあおられてバタバタと音がしている。


読者には管理人が紅葉を観ながら快適に歩いているかの如く映ると思うが、実際にはあまりの風にカメラを構える手が定まらず、大変な思いで撮っていることを知っていただきたい(^^;)


ガレ場を茶臼岳へ強風にあおられながら火山礫のザレ場を茶臼岳へ向かう。


ヘリが旋回しているザレ場はやがてミネザクラの並木に変わる。
先ほどから前方でヘリが旋回しているのが気になっていたが茶臼岳の少し西で滞空姿勢に入った。
事故でもあったのだろうか?


日の出平やがて日の出平。
左に折れる道があって沼原へ降りることができる。


姥ヶ平(うばがだいら)を見下ろす日の出平から少し進むと姥ヶ平(うばがだいら)を見下ろす地点に着く。中央に見えるのは「ひょうたん池」、その左の白い筋は木道。
すばらしい紅葉だ。
錦秋とはこういう彩りをいうのだろうか、実に美しい。


牛ヶ首。正面に茶臼岳を見上げる茶臼岳の南の麓、牛ヶ首。4本のルートが交わり多くの人がここで休憩している。
オレンジ色のユニフォームを着た男性が5人、見える。消防のレスキュー隊員のようだ。
先ほどのヘリはやはり、けが人を救出するために飛んできたようだ。
帰宅して地元のネットニュースを見ると、この西下方で登山者が転倒して足首を折るという事故があったそうだ。


那須で紅葉がもっとも美しいと言われている姥ヶ平。
管理人がいるここ牛ヶ首まで、ロープウエイを降りて20分。あの紅葉のど真ん中まで同じく40分で行けることから、多くの人が見学に訪れる景勝地である。
いままさに、紅葉の旬と言えますな。
なお、先ほどの事故の男性はあそこへ下る際に足を踏み外してしまったらしい。


さあ、あの紅葉の中に踏み込むか、それとも上から見下ろしながら歩くかの考えどころ。
今日の行動予定はこれから朝日岳に登り、三斗小屋温泉を経て沼原へ戻ることになっている。
あそこへ行ってしまうと1時間、余計にかかる。
紅葉を楽しみながら予定を消化するためにも、降りずに先へ進もう。


紅葉は遠くから眺めるに限るやはり紅葉は遠くから眺めるに限りますな。
あそこへ降りると「木を見て森を見ず」。ここからだと「木を見ることなく、大局を見る」ことができる。


無間地獄茶臼岳へは登らず、間近に眺めるだけにした。
山頂の西に峰の茶屋避難小屋への最短ルートがある。
いま、その中間あたり、茶臼岳が噴煙を上げる無間地獄という地点にいる。


ここを歩く登山者は多い。
姥ヶ平の紅葉を見終わった人たちであろう。
峰の茶屋避難小屋まで行けば駐車場は近い。


峰の茶屋避難小屋その峰の茶屋避難小屋と、これから向かう朝日岳が全貌を現す。
腹が減ってきた。小屋まで行ってパンでも食べることにしよう。


朝日岳への道朝日岳(中央の突起)へ行くにはこの大きな岩を乗り越える、、、必要はない。
岩の西側(画像の裏側)にちゃんと道がある。


巨大な岩を西に巻く前の画像の巨大な岩を西に巻いていく。


朝日の肩朝日岳はルートから少し外れてある。
ここは朝日の肩と呼ばれる分岐。
朝日岳はここを起点に往復するようになっている。
山頂は遠くに見えるが実際には10~15分ほど。


鈍足の管理人で9分だった。
360度の展望があるが強風で眺めている余裕なし。早々に下山することにした。


朝日の肩に降り、お次は向こうに見える小さな1860ピークへ。


三斗小屋温泉へ行く分岐1860ピークを過ぎた先に三本槍岳へ行く道と隠居倉を経て三斗小屋温泉へ行く道の分岐がある。
石積みに大きく行き先名(ここから見ると「隠居倉」)が表示されていて迷うことがないのが那須連峰のいいところ。


振り返って茶臼岳と剣ヶ峰振り返って茶臼岳と剣ヶ峰(手前)のすそ野に広がる紅葉を見る。


同じ場所からズームで。


隠居倉隠居倉に到着。
標高は1819メートル。


紅葉はここが見納め隠居倉から先、三斗小屋温泉まであの紅葉の中を下っていく、、、ということになるわけだが、林の中に入ると目に入る紅葉は全体の一部だけであり、感動にはほど遠くなる。
紅葉はここが見納めだ。


三斗小屋温泉まで、標高で350メートルも下る隠居倉から三斗小屋温泉まで、標高で350メートルも下るから易しくはない。


三斗小屋温泉の源泉前方に湯煙が立ち上っているのが見えるとそこは三斗小屋温泉の源泉である。


源泉手前のカエデ源泉手前のカエデ。


源泉があるくらいだから旅館は近いと思いきや、地図で見ると500メートルほどの距離がある。
その間、温泉水は地中に埋設されたパイプで運ばれる。


源泉から溢れ出た湯源泉から溢れ出た湯が沢となって登山道の脇を流れている。


三斗小屋温泉神社三斗小屋温泉神社


狛犬神社のすぐ先に2頭の狛犬(ここのは獅子)と灯明がここを通る旅人を迎える、ここは参道なのである。


煙草屋旅館三斗小屋温泉には2棟の旅館があってこちらは煙草屋旅館。
本館と別館との渡り廊下のすき間が登山道を兼ねている。
ここを通り抜けるともうひとつの旅館、大黒屋がある。


さあ、これから車を置いた沼原へ戻るとしよう。
ここから先はずっと樹林帯の中を歩くので隠居倉までのように山や紅葉を眺めることはできない。ただひたすら歩く。


御沢を渡る地図に描かれている比較的大きな沢、「御沢」を渡る。


姥ヶ平下姥ヶ平を経て牛ヶ首へ行く分岐(姥ヶ平下)を沼原へと進む。


広葉樹林の中は気持ちいい展望はないが広葉樹林の中は気持ちよく歩ける。


笹の中からガサガサという音駐車場への近道と湿原への分岐があったので前回、歩かなかった湿原への道を進む。
ここから数分後、笹の中からガサガサという音がしたので身構える。道のすぐ近くだった。管理人の足音に気づいて移動を始めた動物に違いない。
遠ざかってくれればありがたいが近寄ってきたら為す術もない。
両手を思いっきり叩いて大きな音を出す。次にザックのベルトにくくりつけてあるホイッスルを鳴らす。ガサガサという音はまだ近くでしている。こちらの様子をうかがっているのかもわからない。
ただし、クマであればそんな悠長な行動はとらないはずだ。瞬時に逃げるかこちらに向かってくるかのどちらかだ。やや安心する。
やがて遠くでキーキーという鳴き声が聞こえてきた。サルだ。
クマではなかったのだ。


沼原湿原に到着沼原湿原に到着。
スタートして17キロは歩いているはず。
身体の疲れに先ほどの気疲れが加わっている。早く車に戻ってシートに座りたい。


朝、あれほど多くの車が駐まっていたのに今はない。


帰ったらまずは風呂家に帰れるのは7時半を回るであろう。
帰ったらまずは風呂、そしてビールを飲もう。いや、風呂に浸かりながら缶ビールを飲み、晩酌は冷えた日本酒を飲もう。
身体は疲れているのに帰宅後のアルコールのことは忘れていないのである(^^;)


紅葉は南月山から隠居倉にかけての登山道からよく見えた。


隠居倉から見たそれぞれの山の位置関係を示しておく。