雨ばかりの1月、憂さ晴らしにチェーンスパイクで赤薙山へ。

2018年1月19日(金) 晴れ

レストハウス(8:58)~小丸山(9:38/9:45)~焼石金剛(10:22/10:32)~赤薙山(11:14/11:42)~展望地(11:46/11:54)~焼石金剛(12:18)~小丸山(12:45/12:50)~レストハウス(13:26)

昨年、一昨年と雪なしの1月という異常気象に泣いた。
今年、雪は年末から年始にかけて順調に降り、3年ぶりに真っ白に輝く女峰山そして、赤薙山を仰ぎ見ることができ、これで3年続けての異常気象は免れたことを確信した。

管理人が主催するスノーシューツアーは正月3日に開幕し30センチのパウダースノーを大いに満喫、さあこれから申し込みが殺到して忙しくなるぞ、と期待に胸が膨らんだのも束の間、急転直下、8日は丸一日中雨が降るという最悪の天候となった。

予報が雨だと山岳地帯の日光は雪になるのが相場なのだが、気温が高くて雪はならず、せっかく積もった雪を解かす結果となった。
それだけなら次の雪を待てばいいのだが10日経った17日、またもや雨となりフィールドは致命的なダメージを負ってしまった。

日本海側に大雪をもたらす寒気団や低気圧は群馬県を越えて日光にも雪を降らすのが冬特有の天候であったが、その勢力は年を追って弱くなっているような気がする。
3年連続というのは地球の歴史から観れば一過性に過ぎず、いずれ元に戻るのかもしれない。
そのように考えるのが精神健康にいいとは思うものの、スノーシューツアーを生業としている管理人にとってはダメージが大きすぎる。
平均寿命にはまだ間があるとはいうものの体力には限界があるのだ。
そんなことを考えると気が滅入る。

今月のツアー募集はやめた。予約済みの客には断りのメールを出した。
次に雪が降るまでの間、雪は少ないながら管理人独りなら楽しめる。
憂さ晴らしのために出かけてみた。

登山口の天空回廊スタートはここ、霧降高原・キスゲ平の天空回廊。
元スキー場だけあって幅数十メートルのなだらかな斜面が上方に向かって延びていて、そこは高山植物の宝庫である。園内を散策しながら数十種類の花を観ることができる。
リフトの跡に1445段の長~い階段が設置され、途中に展望台が3箇所、階段トップにも展望台があっていずれも関東平野が一望できる。
積雪が多ければ斜面を歩いて階段トップまで行くことができる(今月3日はそうした)が、1月になって8日と17日にほぼ丸一日中、雨が降り、せっかくのパウダースノーが台無しになってしまった。斜面は地面が剥き出しとなり春を待つ植物のことを考えるととても歩ける状態ではない。
したがって今日は階段を歩いて最上段まで行く必要に迫られるが1445段もの階段は辛い。


階段はこんな具合。
雪は雨で解け、それが気温の低下で凍ってガチガチになっている。
こんな状況だとチェーンスパイクが威力を発揮するのだが、同時に階段の板を傷つけてしまう。
登山靴のままで恐る恐る上っていく。


700段目の避難小屋700段目にある避難小屋に着いた。
ここまで15分かかった。


避難小屋から上はスキー場でいえば中級から上級の斜度がある。
階段の傾斜もここからぐっときつくなる。


階段は避難小屋まではノンストップで、それから上は100段ごとに休憩を挟んで上がっていくと疲れない。
振り返ると高原山(鶏頂山、釈迦ヶ岳、中岳、西平岳の総称)がよく見える。この右には関東平野が一望できる。


天空回廊終段階段の最上段に到着。
凍った雪に気をつけながらゆっくり上がってきたため、ここまで34分。


小丸山階段の最上段からさらに上がると標高1601メートルの小丸山に着く。
正面に見えるピークが赤薙山で尾根は女峰山を経て帝釈山まで約7キロも続く。


ここからチェーンスパイクさあ、ここから先はチェーンスパイクで歩くことにしよう。
雪は階段と同じように凍っているはずだし、雪がない場所は地面が凍っている。
靴のままだと滑って脚力のロスが甚だしい。


小丸山から焼石金剛までコメツガの間を縫うようにして歩く。
雪はあったりなかったり。


焼石金剛標高1800メートルの焼石金剛から高原山(鶏頂山、釈迦ヶ岳、中岳、西平岳の総称)を望む。
素晴らしいのひと言に尽きる。


前方に赤薙山が迫ってきた。
山頂直下の雪面はヤセ尾根。このルートでもっとも緊張する場所である。


赤薙山直下のヤセ尾根これがヤセ尾根。
この踏跡のとおりに歩けば大丈夫なのだが間違っても左に寄ってはならない。
足を滑らすと35度の斜面を谷に向かって一気に500メートル滑り落ちる。
危ないと感じたら右に見える林に近づいて歩くといい。
なお、これからさらに雪が降り積もると尾根の形状が変化する。幅広になるのだ。
そのとき、進行左側の雪は雪庇になっていて、その下は空間である。画像の状態よりも危険は増すから注意した方がいい。雪庇を踏み抜くと谷に向かって滑り落ちる。


ヤセ尾根南側の斜面。
足がすくむほどの傾斜と深さ。


ヤセ尾根が終わるとこのような道標と出合う。
赤薙山への指示にしたがってもいいし、このまま尾根を行ってもいい。すぐに交わる。


傾斜がきつくなってきた。
積雪は浅く、雨で締まっているので歩きやすいが、新雪が積もっているときは太ももまで潜ることがある。


傾斜が緩くなり前方に大きな岩が見えると山頂はすぐ。


赤薙山山頂登頂!!
天気がいいので今日はここで昼メシと決めた。
その前に、、、
母なる山、女峰山にご挨拶しなくては。


女峰山鳥居をくぐると立入禁止のロープが張ってあり、そこから女峰山と男体山がよく見える。
う~ん、いい眺め!
赤薙山からの展望は唯一、ここだけ。


男体山こちらは男体山。


時間は十分すぎるほどある。
赤薙山から先のルートはこんな感じ。
少し歩くと展望の良い場所がある。


福島県境の山並み展望地から北の眺め。
あの山並みはおそらく福島県境の台倉高山、帝釈山、田代山、枯木山、荒海山といった中央分水嶺の山ではないかと思う。
栃木県の面積の1/4を占める日光市は広い。あそこまで20キロもある。


高原山こちらは高原山をズームしたもの。
画像左はハンターマウンテンスキー場がある明神岳。
さあ、そろそろ帰るとしましょう。


ヤセ尾根を慎重に通過。


焼石金剛を通過して振り返る。
祠は屋根を残して埋まっている。


丸山全景昨年9月26日、女峰山から下山中に幻覚に襲われた丸山→詳しくはこちら


小丸山まで降りてここでチェーンスパイクを外した。


小丸山展望台階段トップに別れを告げて往きよりもさらに慎重に階段を下りることにする。


凍った雪は上りは良くても下りは怖い。
なるべく雪のない部分に足を置くように心がけても雪がステップを覆っていると滑る。神経をすり減らす。


700段から下は園内を散策できる遊歩道が敷設されている。
遠回りになるが階段よりも安全だし歩き足りない場合など、ここで体力を消費できる。